大阪弁で歌う「第九」？？

　こちら大阪の「１万人の第九」合唱団員募集開始まで残り１週間を切ろうとしているところですが、そんな中、その大阪とベートーヴェンの「第九」にちなんだものをネット上で見つけました。

　私もちょっとびっくり、といった感じかな・・・

　今回ネット上で見つけたのは大阪弁で書かれた「第九」の日本語訳詞。

　これを公開しているのは『IROMSOFT & IROMBOOK』という各種画像等の素材を公開しているサイト内にある「雑文（音楽編）ベートーベン 第九 歓びの歌」というＷｅｂページ。

　現在日本各地で演奏される「第九」は大抵原語（ドイツ語）のまま歌われており《ちなみに「１万人の第九」・「第九ひろしま」・「国技館5000人の第九」の３つの大規模「第九」イヴェントもドイツ語指定です》、日本語訳された「第九」歌詞で歌われるのは殆ど無いでしょう。

　にもかかわらず、現在知られている「第九」歌詞の日本語訳はわかりにくい、と考えた当該サイトの管理人がなんと大阪弁に書き直してしまった・・・これには私も頭蓋骨がポーンと飛ばされる思いがしました《何という変な表現！》

　で、実際どうなっているか。歌詞全部はちょっと長いので、前半部分のみを抜き出して比べてみます。

　まずは一般的な日本語訳。関西で活躍するアマチュアオーケストラ、関西シティフィルハーモニー交響楽団が自ら開設しているホームページ内にて公開している「第九」の日本語訳から・・・

　

おお、友よ！ このような調べではない！
そんな調べより、もっと心地よく歌い始めよう、喜びに満ちて。
　
歓喜よ、美しき神々の煌めきよ、
エリジウム（楽土）から来た娘よ、
我等は炎のような情熱に酔って
天空の彼方、貴方の聖地に踏み入る！
　
貴方の御力により、時の流れで容赦なく分け隔たれたものは、再び一つとなる。
全ての人々は貴方の柔らかな翼のもとで兄弟になる。・・・

　

　次に今回とりあげているＷｅｂサイトで公開されている大阪弁的「第九」日本語訳詞。

　

おいおい、そんな歌 ちゃうやろ
もっともっと気持ちのええ、おもろい歌があるんとちゃうん
そんな歌、うたおうやないか
　
わあうれしい。神さんの火が光っとる
あそこにいるのはユートピアから来た娘さん
そうや、僕らみんなちょっとばかり酒をひっかけて
天にある楽園に行きたいもんや
世の中きびしいよってに欲しいもんにはなかなか手が届かん
そやけど、あんたの凄い力で
もういっぺん僕らのとこへ呼び寄せてくれや
　
あんたの優しいふところで飲み明かしたら、
そう、みんな誰でも友達になれるんや
一生懸命頑張って働いたやつはみんな僕らの友達やんか
友達の友達はみな友達なんや
そいで、かわいい娘と一緒に暮らせたらごっつ うれしい
それこそ歓喜やで　・・・

　

　確かに文語的なところのある従来からの「第九」日本語訳と比べたらわかりやすいし、なんといってもこれは大阪弁の文章・・・同じ大阪在住の私としては心の中で思わずクスッと一発、てな感じかな。

　でもこの大阪弁的「第九」訳詞、なんだか大いに”字余り”のような気がする。

　実際、このサイトの管理人自身も、これであの「歓びの歌(An die Freude)」の意味が分かるというものだ、と胸を張るような言い方をしつつ、こう続けています。

　　ただし、この詞では歌は唄えない。

ま、変な話、実用にならない部屋飾り用のヴァイオリンみたいなものでしょうな《ううん…》。

　以上、大阪「１万人の第九」にちなんだ、大阪弁の「第九」のお話デシタ《何と短絡的な…》。

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