鈍行乗り継ぎで本州から北海道へ・・・(3)
鈍行乗り継ぎで本州から北海道へと旅する話をしてきていますが、前回(第2回)はかなりもっさりとした内容となってしまいましたネ。
変なところで欲張ってしまう私の悪い癖の現れデス・・・何卒ご容赦を。
で、3回目の話に入っていきますが・・・・・・
本州最北端の青森に夜遅くに到着、列車ダイヤ上「青春18きっぷ」ではこの先進めないところ、”青函航路”(勿論かの「青函連絡船」ではなく、民間のフェリー航路ですが)の活用により費用負担を抑えることが出来るという話を前回(第2回)の記事の中でしました(したつもり!?)。
でも、例え青森駅に夜遅く着いたとしても、駅から大分離れたところにあるフェリーターミナルから出発する船をわざわざ旅の行程に組み入れる必要が無く、青森から追加の負担無しにJR線でそのまま北海道入りする出来る方法があります。
方法、というよりはそれを可能にしてくれるトクトクきっぷが存在する、というのが正確な言い方になりますが・・・
それは、「青春18きっぷ」を使って東京から青森を通って北海道入りするのではなく、特に東日本・北日本地域に住んでいる旅好きの間でとみに知られている・・・
を使って北海道入りするというものであります《このきっぷの公式説明→JR東日本・JR北海道》。
読んで字の如く(?)、これはJR北海道とJR東日本が共同で販売しているフリーきっぷで、両社のエリア内の普通列車が連続5日間乗り放題となるものです。販売額は10,000円。
利用可能エリアがJR北海道・JR東日本両社管轄内に限定されていることを除けば、このきっぷの備わっている効力の範囲、学校の春・夏・冬休みくらいに販売・利用期間が設定されている点等、どこか「青春18」と似た印象を抱かせてくれるきっぷと言うことが出来るわけですが、「青春18」と異なる点が幾つかあります。
まず短所的相違点から(先に記した、利用可能エリアが限定される点以外で)・・・
● 購入時に利用開始日を指定
● 連続5日間有効。飛び飛び日程での使用不可
● 1人1枚必要。複数人で1枚使用不可
これら相違点から、「北海道&東日本パス」が、ある意味、普通乗車券に近い性格を備えていることが窺えますね。
次に長所的相違点・・・
◎ 第3セクター鉄道3社も”エリア内”の扱い
◎ 急行「はまなす」自由席もそのまま乗車OK
◎ 青森~函館間の特急自由席に別途料金分負担のみで乗車OK
◎ 自動改札機に通せる
上記でいうところの”第3セクター鉄道3社”とは「北越急行」・「IGRいわて銀河鉄道」・「青い森鉄道」の3社のことで、これら3社線は「青春18」ではJR線ではないということで”エリア外”とされているのに対し、「北海道&東日本パス」では”エリア内”とされ、追加負担無しでそのまま乗車出来ます。
特に「IGR」と「青い森鉄道」については、かつて首都圏から東北へのメインラインを形成していた東北本線の一部にあたることもあり、北国に旅立つ人々にとっては大いなるメリットといえるでしょう。
そして急行「はまなす」自由席にもそのまま乗車OKというのは、今回の話のキモの部分でもある、本州から北海道に渡る向きには絶大なるメリットと言えるでしょう。
急行「はまなす」で札幌まで乗っていった場合、自由席利用でも1万近くの負担となるところを、「北海道&東日本パス」ではその「はまなす」の普通車自由席に追加負担無しで乗車出来るのですから・・・
「はまなす」の青森発時刻は22時45分で、第1回の中で紹介しました青森までの行程のうち、上野から東北本線1本で北上する行程に限り、「はまなす」への乗り継ぎが可能です《青森20時43分着》。
ただ「はまなす」の普通車自由席は6両編成中2両のため(ネット上の公開情報によると、繁忙期には増結により自由席3両とする場合もある模様→乗車前に現地での放送案内等で確認して下さい)、発車時間間際では座れない可能性が高いです。そのため座りたければ、例えば先に話した「上野から東北本線1本で北上する行程」で青森に着いたならばその足ですぐ「はまなす」発車ホームに向かって並んで待つ等、早いうちから並んで待つ必要がありそうですね。
あと、自動改札機に通せる点については、自動改札機の設置が進んでいる首都圏、仙台エリア等に於いては大きなメリットになり得ることですね《スムースな乗り降りに寄与出来るため》。
なお青森~函館間の特急列車の普通車自由席に自由席特急券のみの別途購入により乗車出来る点については、実際の乗車区間が当該区間より片一方・1駅でもはみ出る場合には乗車全区間の運賃並びに特急料金等が必要となりますので、注意が必要です。
ところで、この「北海道&東日本パス」で利用出来る急行「はまなす」に纏わる話を一つ。といっても「はまなす」自体のことではありませんが・・・
下り「はまなす」(青森→札幌)から北海道内の普通列車への乗り継ぎに際し、実はこの記事を書いている最中に以下のWebサイトと遭遇しました。「北海道&東日本パス」をメイン・テーマとして制作されたWebサイト『北海道レールウェイトラベラーズネット』内に掲載されている以下のWebページ2つです。
新札幌駅→厚別駅 徒歩移動マップ
新札幌駅→厚別駅 徒歩移動イメージ
《「急行はまなす詳細情報」より》
実は「はまなす」でそのまま札幌まで乗った場合、札幌から函館本線・旭川方面の列車に乗り継ごうとしても、現在のダイヤでは、「はまなす」の札幌到着の僅か5分前に旭川行普通列車が出ていく形になっています《「はまなす」は札幌6時7分着、一方旭川行普通列車は札幌6時2分発》。
すると、札幌で乗り継ぐことの出来る最も早い旭川方面の普通列車は6時35分発の滝川行となりますが、滝川から先に行く普通列車は、区間運転の列車も含めて、札幌9時6分発の旭川行まで1本もありません。僅か5分遅いだけなのですが、何とも悔やまれるところですね。
尤も6時35分発の滝川行普通列車でも、終着の滝川(8時16分着)で1時間22分待ちで根室本線の釧路行普通列車(滝川0938発)に乗り継ぐことで富良野、新得方面に出ることは可能ですが《札幌6時58分発の滝川行普通列車でもこの列車に間に合います(滝川0839着)》・・・
ただ、旭川からさらに石北本線や宗谷本線方面に向かう場合、この「僅か5分」がもたらす差は決して軽微なものではありません。
何とか「はまなす」からこの旭川行き普通列車に乗り継げないものか、というところから考え出されたのが先記の『北海道レールウェイトラベラーズネット』にて紹介されている”新札幌駅で「はまなす」を降りて厚別駅まで徒歩で乗り継ぐ”方法であり、上記2つのWebページは新札幌駅から厚別駅までの道筋などを写真も交えて紹介しているものになっています。
この徒歩乗り継ぎ法でありますが、当該サイトによると、その元ネタは『JR時刻表』2004年11月号の読者ページ「ボックスシート」の中の”トクトクきっぷの達人”コーナーに掲載されていた記事だそうです。
ところで、当該サイトによると、新札幌駅から厚別駅までの距離は1.1km、徒歩所要時間は約15分とのこと。「はまなす」の新札幌着時刻は5時55分(正確には”発時刻”ですが、札幌の一つ手前の停車駅であること等から、着時刻と見なしても差し支えないでしょう)、札幌6時2分発の旭川行普通列車の厚別駅発時刻は6時15分・・・時刻上からは、突発的事態に遭遇しない限り、乗り継ぎは十分可能でしょう。
そこで、両駅の位置関係について、地図サイト『マピオン』を使って調べてみたところ、確かに新札幌駅と厚別駅との間は視覚的にはそれほど離れていない印象を抱きました。また、先の『マピオン』地図とJR北海道提供の駅情報から、新札幌駅も厚別駅も実は札幌市厚別区内に所在し(新札幌駅は「厚別区厚別中央二条」、厚別駅は「厚別区厚別中央五条」)、厚別区役所の所在地はなんと新札幌駅近くであることも判明・・・ま、区役所の所在地は乗り継ぎには関係のないことですけれども。
実際の徒歩経路等、詳しい内容については上記Webページ2つに譲ることとして、少しでも足に自信のある方は実行してみる価値はあると思いますよ。特に旭川以遠の乗り継ぎに威力を発揮出来ることでしょう《私もこの乗り継ぎテクニックには思わずうなってしまいました》。
さて、「北海道&東日本パス」については、先のJR東日本とJR北海道の各公式説明ページ、及び『北海道レールウェイトラベラーズネット』の他、以下のサイトでも詳しく解説されています。
◎ 北海道&東日本パス(普通列車限定)
(よっしーの18きっぷガイド)
◎ 北海道&東日本パス活用例集
(Kitakitsune Station)
◎ 「北海道&東日本パス(普通列車限定)」で北海道へ
(Local Train Trip)
そのため、今回の記事は主に「青春18」との相違点を中心にお話ししてきました《「北海道&東日本パス」自体の詳細な内容及び発売・利用可能期間についてはこれら解説ページ等をご参照下さい》。
で、以上紹介した解説ページでも記載されていることですが、この「北海道&東日本パス」、JR東日本とJR北海道が共同で販売しているきっぷであることから、当然のことですが、販売箇所はJR北海道・JR東日本両管轄地域内に於ける「みどりの窓口」・旅行センター及び主要旅行会社と定められています。
そのため、これら両JR旅客会社の管轄外(東海・北陸地方以西)に在住の旅行者がこのきっぷを使って北海道方面に旅行する場合には、まず両JR旅客会社管轄内の任意の駅(但し「みどりの窓口」設置駅)までの乗車に有効な乗車券類(例えば「青春18」)で旅行し、その任意の駅で「北海道&東日本パス」を購入して使用開始するという手順を踏むことになります。
トクトクきっぷによっては利用開始日の前日以前までに購入するよう規定されているもの(利用開始当日購入不可)も存在しますが、この「北海道&東日本パス」については、公式説明にも「利用開始当日購入不可」の記載が見あたらないことから、販売期間内であれば購入してすぐ使い始めることも可能のようです。
で、先ほど、販売箇所はJR北海道・JR東日本両管轄地域内に於ける「みどりの窓口」・旅行センター及び主要旅行会社と定められています、と記しましたが、実を言うと、JR北海道・JR東日本両管轄区域外でこの「北海道&東日本パス」が販売されているところが1カ所だけ存在します。
それはJR北海道の旅行センター「JR北海道プラザ」の道外に構えている3つの支店のうちの大阪支店(JR北海道プラザ大阪支店)で、少し古くなりますが、『T&P とくとくきっぷとプランニングのホームページ』内にある「北海道&東日本パス」Webページの下のほうにある”ユーザ評価”欄の2005年3月12日評価(書き込み)分に当該店舗にて購入した旨が記されています。
ただ、JR北海道の発表によると、この「JR北海道プラザ大阪支店」は現在の店舗での営業を去る4月27日を以て終了し、GW明けにあたる5月7日から新店舗で営業を開始するとしていますが、その新店舗の所在地については今のところ明らかにされていません。私自身としても、今後とも同じ大阪市内で営業を続けてくれることを期待していますが・・・
東日本以北を乗り歩きする分にはとてもおいしいきっぷですね、これは・・・
「青春18」との組み合わせ等により、有意義な北国での鈍行乗り歩きを!
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