JR富山港線から転換のLRT、鉄道趣味人の支持獲得か・・・2007年「ブルーリボン賞」・「ローレル賞」
私も一応会員(でも幽霊…)として籍を置かせてもらっている鉄道友の会が昨年1年間に新規投入された鉄道車両を対象に選定している「ブルーリボン賞」と「ローレル賞」の今年の受賞車両が発表となっています。
◎ ブルーリボン賞
富山ライトレール 0600形電車
◎ ローレル賞
東日本旅客鉄道 E233系電車
西日本鉄道 3000系電車
このうち、ブルーリボン賞を受賞した「富山ライトレール0600形電車」については、以下の朝日新聞Web版・7月5日付け掲載コラム記事で報じていますように、路面電車では初の受賞とのこと・・・
鉄道友の会は、2007年の「ブルーリボン賞に」、最新式の路面電車(LRT)として昨年開業した富山ライトレールの0600形(愛称・ポートラム)を選んだと発表した。同賞は今年で50回目だが、路面電車が選ばれたのは初めてだ。(アサヒ・コム編集部) 富山ライトレールは昨年、JR富山港線を譲り受けて、路面電車化して開業した第三セクターの鉄道会社で、富山駅北―岩瀬浜駅間の7.6キロを結ぶ。「0600形」は、開業に伴って導入された車両で、新潟トランシス製。曲面を多用した斬新なデザインと、高齢者でも乗降しやすい低床構造になっているのが特徴だ。 鉄道友の会は、1953年に結成された鉄道ファンの全国組織で、会員数3400人。ブルーリボン賞は、前年中に営業運転を始めた鉄道車両の中から会員による投票で選ぶ。鉄道業界ではもっとも由緒ある賞の一つで、小田急ロマンスカー「50000形」(06年)や、JR東日本の特急あずさ「E257系」(02年)など、都市部を走る新型特急車両が選ばれることが多かった。 だが今年、総投票数の4分の1を獲得したのは、首都圏や関西圏ではなく、かつ路面電車という一見地味な存在だった。 「車両そのものの魅力だけでなく、赤字のローカル線を再生するという積極性が評価されました。地方では、中小私鉄や第三セクターの路線廃止が相次いでおり、そんな中での明るい話題として注目された」。同会事務局はそう分析する。 富山ライトレール経営企画部も「鉄道は単なる移動の手段だけではなく、街づくりの装置にもなる。そうした流れを鉄道ファンも感じている。それが受賞につながったのではないでしょうか」と話している。 |
なお、この富山のLRT「富山ライトレール」について、朝日新聞Web版では、現在の1日の平均利用者数は4750人でJR時代の倍以上、とも報じられています。
参考までに、今回受賞車両の「富山ライトレール 0600形電車」を製造した新潟トランシスについて簡単に紹介しますと、ご存じの方もおられると思いますが、この会社は元・新潟鐵工所の新交通システム・鉄道車両・除雪機械・産業用車両部門と富士重工業の鉄道車両事業部門の承継により誕生した鉄道車両等のメーカーでありまして、最近の製造例では鳥取・島根地区を走るJR西日本のキハ121系・キハ126系両気動車があります。
で、『YouTube』に寄せられている動画の中から「富山ライトレール」関連動画を2つ・・・
◎ JR富山港線 東岩瀬→岩瀬浜(前面展望)
《「富山ライトレール」に転換される前の映像》
◎ 富山ライトレール(前面展望)
次にローレル賞受賞車両のうちの「西日本鉄道 3000系電車」についてですが、これも朝日新聞Web版に掲載の記事(7月2日付け)から・・・
西日本鉄道の3000形車両が、性能やデザインの優れた車両に与えられる07年の「ローレル賞」を受賞した。鉄道ファンでつくる鉄道友の会が選んだ。3000形は06年春に運転を始めた同社初のステンレス製車両で、川崎重工業の製造。西鉄の従来の車両に比べて車内の幅を広げ、溶接の跡を目立たなくしたことなどが評価された。西鉄のローレル賞受賞は74年以来2回目。 |
実に33年ぶりの西鉄車両の受賞だったんですネ。
鉄道友の会Webサイトでの紹介では、この「西日本鉄道 3000系電車」は主に急行列車への運用を想定したものということなのですが、私自身、初めてこの車両の前面(顔)をパッと見た時、最近開業した仙台空港鉄道向けに製造されたJR東日本E721系電車を連想してしまいました(よく似た顔同士と感じたから)・・・・・・
そしてもう一つのローレル賞受賞車両となった「東日本旅客鉄道 E233系電車」でありますが、鉄道友の会では、「利用者第一の設計コンセプト」、「上質な車内サービス装備の標準化」、「機器二重化による故障対策の実現」の3要素が受賞に繋がったとしています。
このことについて、「鉄道友の会、2007年ブルーリボン賞・ローレル賞選定」という記事の後半部分にて興味深いことが記されています。
JR東日本では、京浜東北線用に投入された209系電車以降、経費節減を目指し、「寿命半分、値段半分、重さ半分」というコンセプトの下で新型車両を次々と投入していきましたが(俗称”走ルンです”)、この「鉄道友の会、2007年ブルーリボン賞・ローレル賞選定」という記事によると、この結果として、小さなトラブルを幾つも抱えることとなり、それが次第に運行障害へと発展してしまったわけで、このことを重く受け止めたJR東日本では、機器の二重化を徹底させたり、座席や内装の改善にも着手するなど、顧客満足を意識した車両作りを心がけるようになってきているとのことで、この点を鉄道友の会が評価したのだそうです。
なお、このE233系電車についてと今後の動向については「E233系営業運転開始で見える未来」という記事でも触れられていますが、興味深い内容と感じています。
で、『YouTube』に寄せられている動画からE233系電車に関する動画を2つ・・・
◎ E233系運転ダイジェスト(中央快速線)
◎ Train in Tokyo,Japan (JR Chuo Line)
《JR中央線E233系快速電車車内(荻窪→中野)》
以上、受賞した3車両が今後の日本鉄道界を益々盛り立ててくれる存在となることを願っています。
【関連記事(追記)】
「札幌市電、架線の有無に関わらず走行可能な低床式路面電車(LRV)の試験走行実施へ」
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