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鹿児島・熊本両県の中心駅への直通乗り入れ、ついに実現へ・・・・・・肥薩おれんじ鉄道

 九州新幹線の先行開業(新八代~鹿児島中央間)に伴う鹿児島本線の八代~川内間のJRからの経営分離により誕生した「肥薩おれんじ鉄道」・・・・・・

 

 以前、このブログの「吉と出るか凶と出るか・・・肥薩おれんじ鉄道鹿児島・熊本へ乗り入れ」という記事にて、その肥薩おれんじ鉄道の列車がJR線区間内にある鹿児島中央と熊本両駅にまで直通乗り入れ出来る見通しであることをお伝えしましたが、状況が更に進みまして、来年3月のダイヤ改正で乗り入れが実現する運びとなってきました。

 

 

 以下は鹿児島の地方紙・南日本新聞Web版に去る7月18日付で掲載された記事・・・・・・

 

おれんじ鉄道 鹿中央駅乗り入れ、月内に覚書 ~ JR九州と/熊本駅にも

 第3セクター肥薩おれんじ鉄道(川内-八代)は、来年3月からJR鹿児島中央駅と熊本駅に乗り入れることで、JR九州と近く覚書を結ぶことが17日分かった。7月中に正式発表する。
 土日祝日の朝夕2往復、川内-鹿児島中央、八代-熊本のJR線区におれんじ鉄道側が一方的に乗り出す方式となる。関係者によると始発は出水駅。快速列車で各駅には止まらない。停車駅は今後調整するという。2年間の試行という形で実施する。
 乗り入れ実現には運転士確保や経費面などの課題があったが、JR線区内はJRの運転士が運転し、おれんじ鉄道側がJRに人件費を支払うことで協議がほぼ整った。
 鹿児島中央駅までの乗り入れは、2004年にJRからおれんじ鉄道に移行後、鹿児島市への直行便がなくなった沿線住民の要望が強かった。
 また、おれんじ鉄道の経営不振を踏まえ、鹿児島県の伊藤祐一郎知事は同日あった定例記者会見で、「どうしても守りたい鉄道」と表明、貨物輸送や年間170万人が利用する地域交通としての役割を強調した。9年間は経営が成り立つとしていた、鹿児島、熊本両県による開業前の経営見通しについて「計画自体が過大だった」との認識を示した。

 

 そして一昨日(7月24日)、JR九州は記者会見を開きまして、肥薩おれんじ鉄道の熊本・鹿児島中央両駅への来春からの直通乗り入れを発表しました。

 以下はその記者会見の模様を伝えた『NIKKEI NET』に掲載の記事《記者会見の翌日(7月25日)の日付で掲載》・・・

 

JR九州、肥薩おれんじ鉄道の乗り入れ受け入れへ

 九州旅客鉄道(JR九州)の石原進社長は24日の定例記者会見で、熊本、鹿児島両県が設立母体である第3セクター、肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)が来春からJR鹿児島線の熊本駅、鹿児島中央駅まで乗り入れることを明らかにした。7月中に両社間で正式に決定する。
 おれんじ鉄道は、八代市と鹿児島県薩摩川内市を結ぶ。計画では、来春から土日・祝日のみ、おれんじ鉄道が、出水駅(鹿児島県出水市)とJR熊本、鹿児島中央の両駅間に快速列車を1日2往復ずつ運行する。
 おれんじ鉄道は、2004年の九州新幹線部分開業で切り離されたJRの並行在来線(八代―川内、116.9キロ)を引き継いだ路線。開業以来不振が続き、同社や出資母体の2県は、乗客増が見込める熊本市、鹿児島市への乗り入れを求めていた。
 おれんじ鉄道の増収が費用負担に見合うか、JR側がどれだけコスト増になるかが焦点だったが、協議の末、JR区間ではJRの運転士が乗務し、人件費をおれんじ鉄道が負担。線路の修繕費はJRが負担するなどの案で合意した。

 

 朝日新聞Web版でも以下のように伝えています《以下の記事;記者会見当日(24日)の日付で掲載の記事》。

 

肥薩おれんじ鉄道 熊本駅、鹿児島中央駅へ乗り入れへ

 肥薩おれんじ鉄道(八代―川内)の列車が来春から、JR九州の熊本、鹿児島中央の両駅まで乗り入れることが固まった。JRの石原進社長が24日の定例会見で、基本的に合意したと述べた。出水駅から熊本、鹿児島中央にそれぞれ、土日、祝日の朝夕に快速を各1往復、直通運転することになる見通しだ。停車駅は来年3月にも見込まれるダイヤ改定の作業の中で詰める方針。
 JRによると、乗り入れ時の運転士の人件費などを基本的におれんじ鉄道側が負担することで大筋合意。7月中に協定を正式に結ぶという。石原社長は「ダイヤに余裕があるため、おれんじ鉄道からの乗り入れ分は(熊本―八代と川内―鹿児島中央の)増発にできると思う」と話した。

 

 今回発表された直通乗り入れですが、来年3月に予定されるであろうJRグループ統一ダイヤ改正の中で実現する運びとなっています。

 

 

 ところで、鹿児島市内にある地元デパートの山形屋が、この度の肥薩おれんじ鉄道の鹿児島中央駅までの乗り入れ実現に向け、同鉄道の利用を呼びかける物産展を開催するとともに、来年の5月中旬まで山形屋の側面広告を施したラッピング列車を走らせる等の取り組みを行っています。

 以下は肥薩おれんじ鉄道利用促進のための物産展開催を伝える読売新聞Web版「九州発」と西日本新聞Web版にそれぞれ掲載された記事2本《掲載日付は何れも7月1日付》・・・

 

沿線の名物一堂に、肥薩おれんじ鉄道利用呼びかける物産展

 薩摩川内市と熊本県八代市を結ぶ第3セクター「肥薩おれんじ鉄道」の利用促進を図る物産展「沿線うまかもん市」などのPRイベントが30日、鹿児島市の山形屋前で始まった。2日まで。
 物産展には、ハモを使った八代市の「日奈久ちくわ」(3本、500円)や阿久根市の「きびなご一夜干し」(150グラム、315円)などが並び、買い物客らが列をつくった。嶋津忠裕社長や沿線の市職員ら約30人も参加、イベント情報などが書かれたチラシを配った。
 同鉄道は経営難が表面化しているが、来年3月にもJR鹿児島中央駅(鹿児島市)と熊本駅(熊本市)への乗り入れが実現する見通しで、利用促進の切り札になると期待されている。嶋津社長は「乗り入れで鹿児島市内からの利用者も増えるはず。海岸沿いの変化に富んだ車窓風景をぜひ楽しんでほしい」と話した。
 これまで2回しか同鉄道を利用したことがないという同市原良町の主婦丸田成子(しげこ)さん(62)は「鹿児島中央駅まで来ればもっと使いやすくなる。夕日が好きな孫を連れて行こうかしら」と関心を寄せていた。

沿線に「うまいもの」あり 県肥薩おれんじ鉄道利用促進協など 鹿児島市でPRと物産展

 県肥薩おれんじ鉄道利用促進協議会などによる同鉄道のPR活動と沿線の特産品販売が30日、鹿児島市の山形屋イベント広場で始まった。厳しい経営状況が続く同鉄道の利用促進を図ろうと開催。PRは1日まで、特産品販売は2日まで。
 同協議会関係者や沿線地域の物販業者らが参加したほか、同鉄道の嶋津忠裕社長も友の会への入会案内や日帰りグルメ切符の案内チラシを配布し、利用を呼び掛けた。
 特産品販売では、八代駅(熊本県八代市)の「鮎屋三代」など沿線の名物駅弁や海産物、農産物などが並び、同市の特定非営利活動法人「ネット八代」はミカンの花茶、オレンジ入りのロールパンや菓子などを売った。
 熊本県側は穏やかな不知火海、鹿児島県側は雄大な東シナ海と、両県の異なった風景が車窓から楽しめる同鉄道。嶋津社長は「沿線にはおいしいものも多い。鉄道を利用して旅をもっと楽しんでほしい」と話していた。

 

 山形屋ではこのほか、2010年度中(2011年春)に予定されている九州新幹線全線開業に向けての取り組みにも着手しており(→「のりば増設の新大阪駅、地元デパート増床の鹿児島・・・・・・2011年春予定の九州新幹線全通に向けて」)、鹿児島県に於ける経済の牽引役としての役割が今後期待されるところですネ。

 

 

 その一方で、肥薩おれんじ鉄道は1億円を超える赤字に苦しんでいる現実があり、沿線自治体から経営立て直しのための様々な提言が次々と出される一方で(→「吉と出るか凶と出るか・・・肥薩おれんじ鉄道鹿児島・熊本へ乗り入れ」)、同鉄道は沿線自治体に対して公的支援を盛り込んだ経営改善計画案を沿線自治体などに示す等の動きを見せています。

 以下は肥薩おれんじ鉄道が沿線自治体等に対して経営改善計画案を示したことを伝える西日本新聞Web版掲載記事《2007年06月29付》。

 

沿線自治体に支援要請 肥薩おれんじ鉄道 経営改善へ計画案

 熊本県八代市と鹿児島県薩摩川内市を結ぶ第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」の株主総会が28日、八代市内のホテルであった。総会後の取締役会で同社は、出資する熊本、鹿児島両県と沿線七自治体に公的支援を求める経営改善計画案を報告した。
 同社によると、計画案は、開業2年目の2005年度から赤字経営が続く状況を受け、両県を交えた経営検討委員会で策定した。(1)両県に運転資金の貸し付けや鉄道基盤設備維持費などの補助(2)沿線自治体に固定資産税の減免(3)国に税制優遇措置‐を求めている。
 06年度決算の赤字額は約1億8000万円。公的支援がなければ、赤字は11年度に3億円前後まで膨らむ見通しという。
 取締役会では「支援負担は開業時に経営計画を策定した両県が負うべきだ」(八代市)という声も上がったが、鹿児島県は「鉄道存続のため」と協力を求めた。
 会見した鹿児島県の担当者は「収支見通しは極めて厳しく、公的支援の検討が必要」と説明し、熊本県も同意。嶋津忠裕社長は「自力での黒字転換は難しい」と述べた。同社は9月末までに計画案を基に経営改善策をまとめ、あらためて沿線自治体に協力を求める。

 

 この”沿線自治体”の中には本ブログの記事「吉と出るか凶と出るか・・・肥薩おれんじ鉄道鹿児島・熊本へ乗り入れ」の後半のところで紹介した市場併設型食堂「ぶえんかん」を擁する阿久根市も入っているわけですが、7月に入ってからのこと、テレビ朝日の報道で、その阿久根市の市議会議員もご多分に漏れず(!?)不適正な支出を繰り返していたことが地元オンブズマンの調査から明らかになりました。

 詳しいことについては「阿久根市・政務調査費についての報道」というブログ内記事にて詳しく述べられていますが、それにしても地元阿久根市民、そして鹿児島県民がかわいそう・・・

 

 無駄遣い出来るお金があるんだったら、赤字で苦しむ地域の足の肥薩おれんじ鉄道の支援なり、地域福祉の充実なり・・・・・・市政のため使うべきところは山ほどあることを自覚していないのだろうか、阿久根市議会議員たちは《本来は阿久根市民が言うべき言葉なのですが》。

 とても悲しい限りデス。

 

 

 それはさておいて、来年春に実現の運びとなった肥薩おれんじ鉄道の熊本・鹿児島中央両駅への直通乗り入れですが、同鉄道の経営の好転に繋がるとともに沿線自治体の活性化にも繋がるのか、そのためにも同鉄道と沿線自治体、そして沿線地域が一体となった取り組みが今後とも求められることになるでしょう。

 

 そして私個人の意見としては、この直通乗り入れから更に進んで、これは伊勢鉄道や北越急行等のような「通過連絡運輸」協定の締結が前提jになると思いますが、「福岡~鹿児島」の高速バス夜行便に対抗する意味でも、せめて夜行快速1往復のみでもいいから肥薩おれんじ鉄道線区間を含むかつての鹿児島本線全線を走る直通列車をJR車両で復活させ、そのことで使用料等の形で少しでもおれんじ鉄道に収入が転がり込むようにできればどうかな、と考えています《これって妄想?》。

 

 

 とりあえずは来年の春が楽しみですネ。

 

 

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