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規制緩和等で苦しむ地方ローカル線への救いの手となるか・・・・・・地域公共交通活性化再生法

 旧国鉄から引き継いだ第3セクター鉄道の廃止の話がここのところよく聞かれるようになってきていますね。

 

 北海道の旧国鉄池北線から引き継いで営業継続していた北海道ちほく高原鉄道が2006年4月21日限りで廃止されたのを皮切りに、高山本線から分岐していた神岡鉄道くりはら高原鉄道・・・と相次いで姿を消し、部分廃線にしても、のと鉄道の和倉温泉~穴水間を除く全線が2005年4月1日までに廃止された他、高千穂鉄道の延岡~槇峰間の廃止届が提出される(2006年9月5日)等・・・・・・

 

 日本の地方ローカル線(もう少し拡張して”地方の足”)は今や暗澹たる有様ですね、まったく。

 

 

 昨日(8日)付で産経新聞Webに掲載された以下の解説記事・・・

 

相次ぐローカル線廃止 規制緩和で急増、地域崩壊も

 ローカル鉄道の廃止が相次いでいる。直接のきっかけは、規制緩和によって市場原理が鉄道事業にも持ち込まれ、地元が反対しても容易に廃止できるようになったためだが、一方で地方の過疎を加速させている。政府は歯止めをかけるため、赤字ローカル線の生き残り策などを支援する地域公共交通活性化再生法を制定、10月から施行される。(地方部 佐渡勝美)
 
 今年廃止されたローカル線は、宮城県のくりはら田園鉄道線など3本あり、9月には宮崎県の高千穂線(一部区間29.1キロ)が廃止される。さらに来春までに、長崎県の島原鉄道線(一部区間35.3キロ)と兵庫県の三木線(6.6キロ)も廃止される予定だ。
 鉄道事業では従来、需給調整の名の下に厳しい参入規制が行われ、国はもうかる路線での独占運行を事業者に認めて超過利潤を生ませ、その見返りに赤字路線の維持も半ば義務づけていた。しかし、平成12年3月施行の改正鉄道事業法によって参入・退出(廃止)規制が大幅に緩和され、廃止予定日の1年前までに廃止届を出せば、自動的に廃止できるようになった。
 このため、赤字ローカル線の廃止が急増し、同法施行後にすでに21路線(貨物線は除く)が廃止されている。
 問題なのは、ローカル線が廃止されると、やがてその地域が公共交通機関の空白地になるケースが多いということだ。廃止後は代替交通機関としてバスが運行されるが、バスは鉄道に比べて運賃が割高なこともあり、廃止直後でもバスの利用者数は鉄道の50%前後にとどまることが多く、さらに年々減っていくのが通例だ。バス路線も廃止になれば、車の運転ができない高齢者などにとって、そこは居住できない土地になってしまう。
 4月にくりはら田園鉄道線が廃止された宮城県栗原市では、代替バスの利用者が月平均約6000人で推移している(鉄道時代は月約1万4000人)。市は委託しているバス運行会社の赤字を市の予算で補填(ほてん)(年間約4000万円を想定)していくが、「沿線の高校の統廃合などでバスの利用者が減れば、5年後の状況はわからない」(市企画課)という。…

 

 ふと思ったのですが、廃止された鉄道の代替交通手段等として走っている路線バスにも似たような動きが見られたような・・・

 

 鉄道の場合は上記記事にあるような「鉄道事業法」改正による規制緩和なのですが、路線バスの場合にはこの「鉄道事業法」改正の2年後(2002年)に改正・施行された「道路運送法」によって同じく規制緩和が進み、僻地を含めた地方のバス路線が次々と廃止の憂き目に遭っているようなことが、テレビのニュース等で報じられたりしています。

 そのため、せっかく鉄道路線の廃止に伴って代替の路線バスが用意されたとしても、上記の記事にあるように、鉄道運行時代と比べて運賃が割高となる傾向があって利用率が鉄道時代の半分程度にとどまるということになると、今度は2002年改正の「道路運送法」を根拠にしてさっさとその路線バスをも廃止にしてしまう・・・これは十分考えられることですし、実際起きています《川俣線(1972年5月14日廃止→2005年4月1日代替バス廃止)・幌内線(1987年7月13日廃止→2005年12月1日代替バス廃止)とか》。

 

 以前、テレビ朝日の日曜朝の番組『サンデー・プロジェクト』にて地域交通機関の現状をまとめたドキュメントが放映されたことがあり、私自身ビデオで録画したものを手元に残しているのですが、新幹線という巨大インフラの整備推進の陰で切り捨てられようとしている路線バス等の”地域の足”の現実、そして山間部等交通手段に恵まれない地域で暮らす高齢者たちのサポートのため活動しているNPO団体に降りかかる”法の網”・・・。

 取り上げられていたのは長崎新幹線(九州新幹線長崎ルート)を巡って揺れている長崎県(佐賀県も少しだけ)と、高齢化率全国6位(放映当時)にもかかわらず山間部のため路線バス等の”地域の足”さえ恵まれない高知県長岡郡大豊町(それと高知市もちょっとだけ)の2カ所。
 長崎については長崎県と国が中心になって長崎新幹線を推し進める一方で長崎県内各所を走る路線バス(放送で取り上げられたのは長崎県交通局のバスでしたが)の廃止が次々と打ち出されて地元の人たちが困惑している様子が映し出され、一方高知県の大豊町については、鉄道や主要道路からかなり山を上ったところに点在する集落で暮らす高齢者たちのため善意で病院等に送迎していた男性が道交法違反(白タク行為)で逮捕されるわ《地元タクシー業者による密告か?》、その後この大豊町や高知市で高齢者たちへの援助のため立ち上げたNPO法人による病院等への有償送迎サービス(”有償”といっても恐らく実費程度しか徴収していないと思われるが…)でさえも危うくなっている現状が映し出されていました。

 そしてこれら2つの地域に見られる事象にはある共通点があり、それは何かといえば、先に記した2002年の「道路運送法」改正。
 この改正で路線バス事業者には廃止・撤退が容易になる一方で、高齢者援助の目的でNPO法人が有償の送迎サービスを行おうとするならば、たとえ実費程度しか徴収しない場合であっても、事実上、各自治体やタクシー業界等から「許可」を得なければならない(実際は「登録制」だが、登録しようとするならばタクシー業界や自治体等の同意を得なければならない)という、変な話”企業を助けて非営利のNPO団体を締め付ける”ととられても仕方のない法改正になっていることが番組の中にて紹介されていましたネ。

 

 ちょっと話がそれた感がありますが、路線バスやローカル鉄道という”地域の足”が規制緩和の影響でドンドン切り捨てられている現実がハッキリ映し出されている、というわけです。

 

 

 ただ、この「”地域の足”の切り捨て」という現状は国の政策(規制緩和)というものが大いに関わっているため《なにしろ法律を改正していますからね》、事業者や地元自治体に訴える等したところで埒があかないというのも事実。

 

 とはいえ、この「”地域の足”の切り捨て」が進んだ影響で、一部の地域が荒廃している等の指摘に国も重く受け止めているようで、ひとつの「歯止め策」を用意するに至りました。

 

 先に紹介した産経新聞Web掲載記事「相次ぐローカル線廃止 規制緩和で急増、地域崩壊も」の続き・・・

 


 急激な地方の荒廃に直面し、国交省と総務省が中心となって成立したのが、地域公共交通活性化再生法だ。同法の柱は、(1)市町村や交通事業者、住民たちで協議会を設けて「地域公共交通総合連携計画」を策定できる(2)同計画の中で、超低床車両の新型路面電車(LRT)の導入などの特定事業には国が財政支援し、適宜、規制も緩和する(3)鉄道の廃止届が出されても、事業者と自治体・住民が公式協議の場を持ち、路線維持のための自治体の支援額などで合意すれば、廃止を延期できる-など。
 要は、事業者任せにせず、住民も参加して地域全体で交通システムを積極的に支え、条件が合えば国も支援するというものだ。
 同法の実効性について慶応大学の中条潮教授(交通・公共経済学)は「地域によっては有効だろうが、中山間地ではこの法による再生は難しい。ローカル線が廃止になるような所ではすでに地域の崩壊が始まっているケースも多く、集落の移転など、自治体は次の局面の手を打つ必要がある」と話している。

 

 地域公共交通活性化再生法(正式名称「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」)・・・去る5月25日に公布されたこの法律は、早い話、地域住民にも存廃議論への参加の余地を与えるというものなのですが、この公布日の2日前(5月23日)の日付で岡山の地元紙・山陽新聞Web版に掲載された社説では、事業者に任せっきりにせず地域ぐるみで参画することの重要性を訴えると共に、経営形態の見直しや、高齢化の進展や深刻化する環境問題への対応のため車への過度の依存を抑制する取り組みを急ぐようにも訴えています。

 

公共交通法成立 地域の足充実へ活用せよ
《山陽新聞Web・5月23日付掲載記事(社説)》

 超低床車両を使った次世代型路面電車(LRT)の導入や赤字ローカル鉄道の生き残り策などを支援する「地域公共交通活性化再生法」が成立した。十一月までに施行される。
 日本の公共交通は、公的な関与が強い欧州などとは異なり、独立採算を原則におおむね交通事業者任せだったが、地域全体で支える仕組みに変えるのが狙いだ。
 そのために市町村や交通事業者、住民らで協議会を設けて、「地域公共交通総合連携計画」を策定できるとした。これまで交通機関ごとに取り組みがばらばらで交通政策に一貫性を欠いてきただけに、総合的に行うことの意義は大きい。
 計画に入った事業については、国から関係予算の重点配分や規制緩和などの措置を受けられる。自治体によるLRT整備やバスの高度化などへの助成には、地方債を利用できるようにもなる。
 法を活用して地域の足を確保し、より便利にしていくためには、まず地域が一体となって計画づくりに取り組み、しっかりとした交通体系を描くことが必要だ。
 計画に盛り込む事業としては、LRTの導入に関して第三セクターなどがレールを敷設、保有し、運行は別会社が行う「上下分離方式」が認められた。鉄道では導入されている手法だが、路面電車ではこれまでレール敷設や運行を同一企業が行わなければならなかった。
 都市交通の新たな切り札として世界的にLRTの導入が進んでいるが、日本では岡山市など約六十の都市で路線の新設や延長を求める動きがあるものの、資金負担などがネックとなり実際の整備は遅れている。「公設民営」的な手法を取り入れることで、事業が行いやすくなるだろう。
 赤字ローカル鉄道については、事業者が国に路線廃止を届ければ一年後に廃線となるルールに例外を設け、事業者と自治体や住民が路線維持策を探る猶予が確保された。
 バスの専用レーンや優先信号の設置といったシステムの導入や、鉄道とバスの乗り継ぎを改善する取り組みなども支援の対象となる。
 地方ではモータリゼーションの進展や過疎化などで、鉄道やバスの路線廃止が相次ぎ、地域公共交通は危機的状況でもある。だが、高齢化の進展や環境問題が深刻化する中、車に過度に依存しない地域づくりは急務だ。積極的な対応が求められる。
 法には五年後の見直し規定が設けられた。実際に運用しながら問題点を洗い出し、地域の足を充実できるよう改善していく必要もあろう。

 

 ところで、この法律の柱の一つにもなっている”地域ぐるみで参画”に繋がりそうな例として、2つの例を見つけましたので、ここで紹介しておきますと・・・

 

 まずは「「第4セクター鉄道」誕生なるか」というブログ内記事から知るところとなった茨城県の茨城交通湊線の存廃問題。

 このブログ内記事の中で紹介している『NIKKEI NET』掲載記事で、地域住民も経営に参画するという「第4セクター」による存続の検討に入っていることが報じられています。
 以下はその『NIKKEI NET』掲載記事・・・

 

湊鉄道線存続へ住民出資の「第4セクター化」検討
《『NIKKEI NET』8月1日付掲載記事》

 茨城県ひたちなか市を走る湊鉄道線の存続策として、市や県と事業者の茨城交通(水戸市)が市民からも出資を募る「第4セクター」化を検討していることが31日、明らかになった。存続を目指す官民の対策協議会で同日、市が報告した。経営再建中の茨交の債権者である金融機関の同意を得たうえで8月中にも大枠を固める考えだ。
 市などは赤字鉄道会社の設備投資を補助する国の制度の適用を目指している。湊線の場合、様々なリストラ策で全事業では黒字を確保しているとみられる茨交本体からの分社化が必要。しかし、同社は100%子会社とする案は拒み、行政側も単独での出資には消極的な姿勢を示していた。
 住民の出資や経営への参加、運営面での協力を広く求める4セクは利用促進や経費削減などの相乗効果も見込め、期待は大きい。市内の企業OBらでつくる特定非営利活動法人(NPO法人)、なかなかワークも同方式を提言するなど、市民も前向きな姿勢を示している。

 

 そして、同じ日付で産経新聞Webに掲載された以下の記事では、存続を目指している対策協議会自体の過去の取り組み状況の報告をも交えた形で報じられています。

 

ひたちなか市 湊鉄道へ出資検討 市民参画の動きも
《産経新聞Web版・8月1日付掲載記事》

 ひたちなか市の勝田-阿字ケ浦駅間を結ぶ茨城交通湊線の存続問題で、茨城交通による単独経営が困難なため、市が同鉄道への出資の検討を始めたことが31日、市内で開かれた「第8回湊鉄道対策協議会」(会長・本間源基同市長)で明らかになった。また、NPO法人(特定非営利活動法人)が行政・民間企業・市民の三者連携による「第4セクター」の設置を提言するなど、新たな動きも出てきた。
 茨城交通との協議について対策協事務局は「債権者は存続しても収入増につながらないといった厳しい意見がほとんどであり、同交通による100%出資の子会社化は困難。市も出資する方向で検討せざるを得ない」としている。本間市長も「市が出資すれば第3セクターになるが、十分検討すべきだ」との意向を示している。
 この日の協議会では、前回(5月10日)以降の協議会の取り組み状況について、那珂湊駅近くに設置した定期券購入者が対象の無料駐車場(パーク・アンド・ライド)の利用者は6人▽レンタサイクルの利用状況は1日1件-などを報告。
 輸送人員は昨年度で前年比2.5%減と減少傾向が続いていたが、利用促進運動が本格始動した今年4月からの輸送人員をみると、4月が5万2988人(前年比2.2%増)▽5月が6万7499人(同2.1%増)▽6月が6万4553人(同0.2%増)-となり、事務局では「初めてプラスに転じてきている」と分析。微増ではあるものの、利用促進策の効果が表れていることを強調した。
 また、NPO法人「なかなかネットワーク」(市毛修代表理事)が、鉄道事業の運営に行政や民間企業のほかに市民が主体的に経営に参画する「第4セクター」の設置を提言。ひたちなか市内にいる鉄道補修技術などを持つ鉄道関連企業OBの力も借りて、湊鉄道を再生、運用することを提案した。

 

 

 ところで、私も以上の茨城鉄道の話題の中で「第4セクター」という言葉に初めて出会ったわけですが、この言葉を思いめぐらしているうちに、一つ、関西でもその「第4セクター」という言葉に当てはまりそうな実例があるような気がしてきました。

 

 その実例とは、南海貴志川線から転換された「和歌山電鐵貴志川線」。

 以前ニュースで、この和歌山電鐵貴志川線が地元住民までもが運営に参画している様子が幾度か報じられていたことを何となく記憶しているのですが、「和歌山電鐵「おもちゃ電車」7月デビュー。」というブログ内記事の後半(終わり近く)にて、この和歌山電鐵貴志川線の取り組みを「第4セクター」によるものとハッキリと紹介しています《余談ながらこのブログ内記事のメイン題材として紹介されている”おもちゃ電車”でありますが、その後実際に運行を始めており、その模様は「「おもちゃ電車」発車!」にて伝えられています。勿論、あの名物”ネコ駅長”の顔付きで…》。

 

 

 飛び入りで1つ紹介してしまいましたので、当初「2つ」と予定していた紹介事例が「3つ」となってしまいましたが、話を戻して、もう一つの事例を紹介したいと思います。

 

 それは岩手県のリアス式海岸沿いを走る第3セクター鉄道「三陸鉄道」。

 当時”特定地方交通線”に指定された三陸海岸沿いの旧国鉄盛・宮古・久慈各線と建設中の区間2カ所とを一括して引き受ける形で1984年4月1日に開業した、特定地方交通線の第三セクター化第1号となった路線で、間にJR山田線・宮古~釜石間を挟む形で北リアス線(久慈~宮古)南リアス線(釜石~盛)の2路線からなっています。

 既存の第3セクター鉄道の中では比較的積極的に動いているところの一つで、「青春18きっぷ」ホルダー(所持者向け)きっぷである「三鉄1日とく割フリーパス」(北リアス線用と南リアス線用)等の三陸鉄道独自の企画乗車券を販売したるする一方で、様々なイベント列車を走らせたり、夏には三陸海岸沿いのいわゆる”三陸縦貫線”全線を走破する臨時快速列車「リアスシーライナー」を運行させたりする等、利用促進のための様々な取り組みを行ってきています。

 それでも岩手の地元紙・岩手日報Web版に掲載の「三鉄"再出発宣言"へ 来月キャラバン」という記事(以下列挙している2記事のうちの2本目)が伝えるところでは、三陸鉄道の現在の利用者数は1984年の開業当時の半分以下に落ち込み、ここ13年間連続して赤字計上するという厳しい状況にあるとのこと。

 そして、以下列挙の『岩手日報』の記事によれば、三陸鉄道を初めとする岩手県内の地元公共交通機関全体もまた人口減少等による利用者数低迷で苦しんでいたようで、この現状を打破すべく、岩手県内の交通機関への利用促進を目的とした協議会を立ち上げ、8月(つまり今月)くらいから岩手県内各所で地元の公共交通機関への利用を呼びかけるためのキャラバン活動を実施すると共に、三陸鉄道でも2005年から展開している”マイレール意識”涵養のための運動を更に強化するための取り組みを始めようとしています。

 

「公共交通推進協」が発足 官民で具体策議論
《『岩手日報』7月11日付掲載記事》

 人口減少や利用客低迷で厳しい状況下にある鉄道、バスなど公共交通機関の利用促進を目指す県公共交通利用推進協議会は10日設立され、県庁で初会合を開いた。市民団体、交通事業者などと行政機関が連携し、地域の公共交通確保と地球温暖化対策などの観点から、利用促進策について議論を始めた。今後展開される県民運動の進展が注目される。
 協議会には21機関(オブザーバー含む)が参加。10日の初会合には交通、環境、まちづくりに携わる特定非営利活動法人(NPO法人)や公共交通機関、行政、学識経験者ら19団体から実務者らが出席した。
 藤尾善一県地域振興部長が「今後の高齢化社会において、公共交通の確保は極めて重要。一人一人が自分の問題としてとらえることが大切だ」などとあいさつ。会長に達増知事を選出した。
 事務局が協議会の本年度の事業計画について提案。8月ごろから「公共交通利用推進宣言」への参加企業・団体の募集を始める。キャラバン活動を実施し、企業、自治会、学校、市町村など各種団体に広く呼び掛ける形で県民運動を展開する。キャッチフレーズを選定するほか、11月にはシンポジウムを開く。
 協議会の参加者からは「啓発だけで終わるのではなく、具体的な施策に反映させる協議会にしたい」「利用者にとってメリットがあるような促進策を」「買い物先でもらう公共交通のサービス券があってもいい」などの意見が出された。
 県内の2005年の乗り合いバス利用者は1985年より56・5%も減少。三陸鉄道も開業した84年より60・7%減少するなど、公共交通を取り巻く状況は厳しい。
 協議会は今月下旬に第2回会合を開き、公共交通利用推進宣言の詳細を検討する予定。年度内に5回の協議を行い、具体策を探る。

  ↓ ↓ ↓
三鉄"再出発宣言"へ 来月キャラバン
《『岩手日報』7月31日付掲載記事》

 県三陸鉄道強化促進協議会(会長・達増知事)は8月19日、赤字が続く三陸鉄道を立て直そうと沿線住民のマイレール意識を喚起する「三陸鉄道再出発宣言」を行う。本年度から県と沿線市町村による新たな財政支援が始まるのを機に「第二の開業」と位置付ける。三陸鉄道は13年連続で経常赤字が続くなど、存続の危機に立つだけに、県は「開業の原点を呼び起こしたい」と瀬戸際の意識で臨む。
 三陸鉄道再出発宣言は、釜石市のシープラザ遊で沿線市町村長が宣言する。宣言とともに、関係団体で構成するキャラバンが県や沿線市町村を巡回。各市町村は事業所や住民に利用を呼び掛け、マイレール意識の浸透を図る。
 県と沿線12市町村は本年度から新たな財政支援をスタート。三陸鉄道の赤字を補てんしてきた基金が本年度中に枯渇する見通しとなったためで、2007、08年度の2年間で計3億6600万円を支援する。
 負担割合は県、沿線市町村が50%ずつだが、県の支援金には、沿線以外の住民からの税金も含まれる。今回の再出発宣言には、沿線住民に、もっと危機意識を持ってほしい―との狙いも込められている。
 三陸鉄道は1984年、沿線住民の強い要望を受けて旧国鉄の廃止対象路線を第三セクター鉄道として存続させる形で開業した。当初は観光や地域の足として親しまれたが、マイカー利用者の増加と沿線人口の減少などで利用者が減少。
 開業時は約268万人あった利用者は、06年度には約104万人と開業時の約4割まで落ち込んだ。
 同協議会は05年から、沿線に住む30万人が1年に1回今よりも多く利用すれば黒字転換できる―と呼び掛ける「マイレール三鉄・沿線地域30万人運動」を展開。「こたつ列車」などの企画列車や趣向を凝らした観光ガイドでアピールしているが、利用回復には至っていない。
 全国的にも第三セクター鉄道は厳しい経営が続く。第三セクター鉄道等協議会によると06年度は、加盟36社のうち32社が赤字を計上。くりはら田園鉄道(宮城県)は、利用者減少に歯止めがかからず、今年3月末で廃止された。
 県地域企画室の菅原和彦交通政策参事は「住民の意識が変わらないと三陸鉄道は守れない。何とかマイレール意識を呼び起こしたい」とし、沿線住民の利用を強く働き掛ける考えだ。
 久慈市の特定非営利活動法人(NPO法人)やませデザイン会議は、普代駅で朝市を開くなど三陸鉄道の利用増と地域・観光振興に取り組む。川代明寛同会議事務局長は「三鉄は通勤、通学、高齢者の通院手段として地域になくてはならない存在。車窓からの眺めは素晴らしく、観光面での価値も大きい。より多くの人にその魅力に触れてもらうよう呼び掛けや仕掛けをしていく」と話す。

 

 現場でも、三陸鉄道や地元NPO等が、将来にわたっての”乗客(ファン)の育成”や魅力ある駅作りを通じて乗客を呼び込む等、”マイレール”意識を高めるための取り組みをスタートさせています。

 

マイレール意識育てよう 三陸鉄道
《『岩手日報』7月10日付掲載記事》

 三陸鉄道(山口和彦社長)と県三陸鉄道強化促進協議会(会長・達増知事)は、沿線12市町村の小学生を対象に、三陸鉄道が1日乗り放題になる「三鉄パスポート」を15日から販売する。
 同事業は、次世代を担う子どもたちのマイレール意識を育て、利用促進を図る三陸鉄道キッズトレイン事業の一環。
 パスポートは500円。1500枚限定で有効期限は8月26日。三陸鉄道無人駅以外の12駅で発売し、購入引換券が必要。引換券は各市町村教委を通して、対象の小学生全員に配布している。
 小学生5人が利用する場合は、付き添いの大人1人もパスポートを購入し利用できる。
 無人駅以外の12駅にあるスタンプを2個集めて応募し抽選で景品が当たる「三陸まるごとスタンプラリー」も実施する。

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朝市で三鉄に活気を 普代駅でスタート
《『岩手日報』7月16日付掲載記事》

 普代村の三陸鉄道普代駅で15日、やませ朝市がスタートした。減少の一途をたどる三鉄の利用客を増やそうと、地元の特定非営利活動法人(NPO法人)やませデザイン会議(貫牛利一議長)が企画し、11月まで毎月第三日曜の利用促進デーに合わせて開催。マイレール意識向上へ沿線住民に「乗ってらっしゃい」と呼び掛ける。
 駅の軒下スペースには野菜や魚介類、焼き鳥、籐(とう)製品などを販売する11店が並んだ。うち7店はデザイン会議のメンバーの出店だ。売り物がないメンバーは知り合いから野菜をかき集めて店を構えた。
 会議の呼び掛けに地元の業者4店も参加。手作りの草もちなどを持ち寄った堀内机生活研究グループの会員は「観光バスがトイレに立ち寄るだけの駅だった。これをきっかけににぎやかになっていけば」と期待を込める。
 乗客限定のとっておきのプレゼントも用意した。この日は生ウニを抽選で2人に贈呈。当選した中野雪乃さん(久慈小6年)の母親由美子さん(34)は「久しぶりに三鉄に乗った。今後も、たまには利用していきたい」と笑顔を見せた。
 やませデザイン会議は昨年から県三鉄強化促進協議会(会長・達増知事)の委託を受け、マイレール運動を支援している。これまでは久慈地方のイベント会場にPRののぼりを立て、ティッシュを配ったりしてきた。
 「ただ、乗ってくださいのお願いでは限界がある」と新たに打開策として考えたのが朝市。地域の顔である駅の魅力をアップして、そこに三鉄の利用客を集めようという発想だ。
 北リアス線の中間で宮古、久慈両方面からの集客が見込め、観光客の乗降が多い普代駅に場所を選び、所有する村も無償でスペースを貸与。今後も出店者を募集し、徐々に地元業者主体の運営にしていく。
 「地元の出店者の利益や駅前のにぎわいにつながれば一石二鳥」と貫牛議長。「朝市にはできるだけ三鉄に乗って来てほしい」と付け加える。
 出店希望者は同会議(0194・61・3229)へ。

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撮るぞ三鉄の挑戦 鈴木さんら映画制作へ
《『岩手日報』8月7日付掲載記事》

 川崎市の専門学校・日本映画学校映像科の3年生4人が、卒業制作として三陸鉄道(山口和彦社長)をテーマにドキュメンタリービデオ映画を作る。山田町出身で企画した鈴木宏子さん(20)らで、来月の撮影開始前に10日まで三鉄沿線を事前取材している。4人は「いい出会いをし手応えある映画を作りたい」と構想を膨らませる。
 メンバーはインタビュアー兼務の鈴木さんのほか、内田圭さん(33)=東京都出身、鶴若菜さん(21)=佐賀県出身、西信好真さん(26)=愛媛県出身=の3人が撮影や録音を担当する。
 映画の仮題は「赤字列車がゆく」。40―50分の見込みで、来年2月上旬に完成予定。
 テーマの「三陸鉄道」は、「卒業制作はふるさとで撮りたい」と題材を探していた鈴木さんが6月に帰郷した際、知人との会話から思いついた。三鉄にはほとんど乗車したことがなく、興味がわいたという。
 鈴木さんは「経営が苦しいローカル線という暗めのテーマだが、これまで出会った人たちはみな生き生きしていた。個性あふれる人間模様を盛り込み、軽妙で温かいタッチで地方鉄道再建の問題を描く」と意欲満々だ。
 内田さんは「岩手は初めてやってきた。笑顔のすてきな人が多いと感じている。調べているうち、三鉄の問題は人口減少など地域の暮らしの問題と直結することが分かってきた。三陸全体の風土や人となりも浮き彫りにしたい」と語る。山口社長は「新しい感性で三陸鉄道を見つめてくれるものと期待している。撮影を通じ職員の士気も高まるのではないか。全面協力したい」とエールを送る。

 

 それにしても、私自身、一番インパクトに感じるのは何といっても映画(銀幕)を通じて三陸鉄道のありのままの姿を伝えるという試みでしょう。

 映画を通じて自分ところの鉄道の運営に参画するというのは他の鉄道には見られないことなだけに注目されるべきところですが、この三陸鉄道に於いても地元住民が何らかの形で経営等に関わることで存亡の危機を乗り切ろうとする「第4セクター」の考え方を実践していることが言えるわけですネ。

 

 

 利用者の減少等で経営に苦しむ地方のローカル鉄道(それと路線バス)、その再生のため、ただ事業者任せにするのではなく、関係する自治体、そして沿線地域の人たちの経営等への参画を促すこと等を狙いとしている「地域公共交通活性化再生法」・・・今年10月以降の本格施行によって、赤字経営等に苦しむ地方のローカル鉄道は活性化出来るのか、また整備新幹線等の大型インフラに押される等して切り捨てられる運命にある”地域の足”の復活&発展へとつなげることが出来るのか、その真価が問われます。

 

 

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