「ギネス級!?」のアマチュア・オーケストラ、横浜交響楽団による「第九」~その1
こちら大阪では「1万人の第九」の本番に向けてのレッスンがクラス単位で順次始まってきており、レッスン・クラスによっては2回目のレッスンに入っているところも出てきています。
残暑厳しい昨今ですが、大阪の年の暮れの風物詩に向けての準備は、既に始まっています。
さて、今回はベートーヴェン「第九」の演奏例(動画及び音声)の紹介をしていきたいと思いますが、前回紹介分からアマチュア・オーケストラによる「第九」演奏音源の紹介を始めており、今回はその2回目として進めていきたいと思います。
今回ご紹介するのは、文字通り横浜市内を本拠とする「横浜交響楽団」の演奏による「第九」です。
この横浜交響楽団、定期演奏会を中心に現在のところ年に6回程度をこなすという、アマチュア・オーケストラとしては高い演奏頻度を誇っているのですが、それだけでなく、楽団創立が1932(昭和7)年という、実に75年の歴史を刻み続けている由緒あるアマチュア・オーケストラなのです。
去る7月29日には記念すべき600回目の定期演奏会が開かれ、まさに”ギネス級”と以下列挙の新聞記事が報じています。
「横浜交響楽団:定演600回達成 ギネスも「素晴らしい」」
《毎日新聞(MSN毎日インタラクティブ)・2007年8月20日付け掲載記事》
日本で有数の歴史を誇るアマチュアオーケストラ、横浜交響楽団が先月、定期演奏会600回を達成した。アマ楽団の定演回数としてはギネスブック級の“記録”。「ヨコキョウ」の愛称で横浜市民に親しまれており、27年間指揮者を務める甲賀一宏さん(70)は次回9月19日の演奏会に向け、「800回、1000回と続いていければ」と意気盛んだ。 600回目となった7月29日の定演。神奈川県立音楽堂(横浜市西区)は約1000人の聴衆が訪れる大盛況だった。「横浜市歌」などの演奏に拍手は鳴りやまず、何度もアンコールに応えた。 同楽団は1932(昭和7)年設立で、日本アマチュアオーケストラ連盟によると歴史のあるアマ楽団の一つ。定期演奏会の開催回数では群を抜いているという。設立者で作曲家の故・小船幸次郎氏は「常に市民に開かれていなくては」と精力的に定演を開いてきた。現在の定演は年8回。今春ギネスブックに申請した際は「地域的な色合いが強い」として認定は見送られたが「素晴らしい記録」と回答があった。 登録団員は合唱団と合わせ男女約300人。大半が会社員で、うち60~70人が週2回、約3時間の練習をしている。 タクトを振るのが小船氏の弟子をしていた高校の音楽教師の甲賀さん。ボランティアで、04年に胃がんと肺炎を患いドクターストップがかかったが、休んだのは1度きり。「貴重な文化遺産を途絶えさせちゃいけない」という使命感からだった。「オーケストラの数は増えたが、『常に市民に開かれている』という考えは理解されてきた。いつまでも市民に愛される活動をしていきたい」と話している。【池田知広】 |
「アマオーケストラ「横浜交響楽団」が600回目の定期演奏会」
《神奈川新聞Web版(カナロコ)・2007/07/30付け掲載記事》
国内でも有数の歴史を誇るアマチュアオーケストラ「横浜交響楽団」(小磯智功理事長)が二十九日の定期演奏会で六百回を迎えた。関係者は「世界的にも例がなく、ギネスブック級の記録」と感激している。 同市西区紅葉坂の県立音楽堂で開かれた第六百回定期演奏会は満員の約千人の観客を集めた。音楽監督で常任指揮者の甲賀一宏さんが市民に支えられた歴史を踏まえ「皆さんに感謝するコンサートにしたい」とあいさつすると、満場の拍手に包まれた。 南能衛作曲、横浜交響楽団創立者の小船幸次郎編曲による「横浜市歌」、シベリウスの交響詩「フィンランディア」が横響合唱団の歌声とともに披露された。 続いてソリストとして箏演奏者の外山香さんが白いドレス姿で出演。琴と管弦楽の意外な組み合わせが来場者の心をとらえ、アンコールで箏独奏も行われた。また、後半はドボルザーク作曲「交響曲第9番ホ短調『新世界より』」の演奏が行われた。 横浜交響楽団は一九三二(昭和七)年に発足。五三(昭和二十八)年に横浜文化賞受賞。現在の団員は合唱団も含めて約二百七十人。「市民のオルガン」を合言葉に、年間八回の定期演奏会(青少年のための音楽会)を開催している。 |
先ほど「年に6回程度」とお話ししましたが、年に8回の定期演奏会・・・・・・これはもうアマ・オケの域を超えていると言えますネ。
そして、上記新聞記事でも報じていますように、定期演奏会の回数について実際にギネスへも記録登載の申請を行ったとのことですが、「すばらしい記録」とのお褒めの言葉があったものの、「ローカル性が強すぎる」との理由で記録登載が見送りとなった由・・・ウィキペディア解説「ギネス・ワールド・レコーズ」によると、記録に登載される基準というのがあり、幾つかの基準や登載されない「欠格事項」も定められているのですが、そのウィキペディア解説を見る限りでは、「地域的な色合い(ローカル性)」を理由に登載落ちとなり得るものなのか、或いはその程度によって登載の可否が分かれてくるものなのか、わからないですネ《失礼を承知で申しますが、欠格事項の一つとされる「申請者以外の人が、その記録に挑戦するに値しないと判断されるもの」に触れるとギネス側が判断したからと考えられなくもないところなのですが、「(アマチュア・オーケストラによる)定期演奏会の回数」については他のアマ・オケ団体からも挑んでくる可能性も十分あるわけですし、この憶測は違うかもしれません》。
もし横響の定期演奏会の数が「ローカル性が強すぎる」理由でギネス登載見送りとなったのであれば、「盛岡さんさ踊り」に於ける”和太鼓の演奏数世界一”がギネスで認定されたのは何故だろうか、正直首をひねってしまった私《断っておきますが、「盛岡さんさ踊り」のことを悪く言っているわけでは決してありません》。
「ギネスブック」の発行会社〔ギネス・ワールド・レコード社→ヒット・エンタティンメント(HIT Entertainment)社の一部門〕がアイルランドのビール醸造会社・ギネス社の関連会社だそうで、変な話、”会社の方針”で登載されなかったのだろうか《そうでないことを祈りますが;「ギネスブックの認定基準」というブログ内記事の後半のところでギネス記録登載の現実について記されている文章があります》・・・
話が逸れてしまいましたが、その歴史あるアマチュア・オーケストラ、横浜交響楽団の演奏による「第九」でありますが、ネット上では今でも複数回分の演奏が公開されています。
そこで今回から、現在もなおネット上にて公開されている「第九」演奏音源について順次紹介していきたいと思います。
今回紹介するのは去る2004年に行われた「第九」演奏会で、この2004年の暮れには定期演奏会も含めて都合3回の「第九」を擁するプログラムによる公演が行われていました。
その中から「第九」演奏分のみ以下にて紹介いたします《「第九」以外の演奏についてはこちらのページからお聴き下さい(以下列挙の「第九」音源も掲載されています)》。
◎ 第579回定期演奏会(2004.12.19.)
第1楽章(Allegro ma non troppo, un poco maestoso)
第2楽章(Molto vivace)
第3楽章(Adagio molto e cantabile)
第4楽章(Presto ~)
◎ 第九特別演奏会(2004.12.22.)
第1楽章(Allegro ma non troppo, un poco maestoso)
第2楽章(Molto vivace)
第3楽章(Adagio molto e cantabile)
第4楽章(Presto ~)
◎ 座間で第九を(2004.12.25.)
第4楽章(Presto ~)
ちなみに、上記3公演とも横響の指揮者を27年間務めている甲賀一宏がタクトを執っており、各公演毎の出演ソリスト及び合唱団は・・・
◎ 第579回定期演奏会(2004.12.19.)
● 会場:神奈川県民ホール
● 独唱
◆ソプラノ:瀬尾美智子
◆ アルト:坂上賀奈子
◆ テノール:布施雅也
◆ バリトン:多田康芳
● 合唱:横響と「第九」を歌う会合唱団
横響合唱団
◎ 第九特別演奏会(2004.12.22.)
● 会場:神奈川県立音楽堂
● 独唱
◆ソプラノ:北村さおり
◆ アルト:菅原章代
◆ テノール:志田雄啓
◆ バリトン:今尾滋
● 合唱:横響合唱団
《音楽堂開館50周年を記念して開催》
◎ 座間で第九を(2004.12.25.)
● 会場:ハーモニーホール座間
● 独唱
◆ソプラノ:竹内宏佳
◆ アルト:長ヶ部陽子
◆ テノール:伊藤俊三
◆ バリトン:小林秀史
● 合唱:座間で「第九」を歌う会
《「Xmas Charity Concert」と銘打って開催》
となっています。
単一年の暮れにひとつのアマチュア・オケが複数回「第九」公演を行うのは極めて珍しいことであり、また凄いことでもあるわけで、それだけの実力を横響は備えていると解釈してもよろしいでしょう。
【おことわり】
紹介しております音源については、今後、音源掲載元サイトの管理人の都合等により削除される可能性がありますことを、予めご承知おき下さい。
また、横浜交響楽団公式サイトから音源掲載元ページへはアクセス出来ませんので、ご注意下さい。
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