東京都内から自転車を乗せて秩父、そして南会津まで・・・西武&東武が「サイクルトレイン」を運行
過去、日本中のJR線を乗りまくっていた時期に、時折デッキに大きな青い袋に入った自転車を見かけることがありました。
到着すると駅前で自転車を組み立ててサイクリングして回り、逆に駅に着くと自転車をバラして大きな袋に収納し、手回り品きっぷを買ってその大きな袋にくくりつけ、列車内に持ち込んで次の目的地へ・・・こんな感じで”チャリダー”は日本各地を旅して回るんでしょうね《輪行;勿論、全員がこの形で旅するとは限りませんが…》。
ちなみに私自身も、そうして旅して回る(輪行して回る)”チャリダー^の足元にも到底及びませんが、自宅から約1時間かけて大阪の中心部(梅田、谷四等)に自転車で出かけることはありました《今はなかなか機会が・・・》。
それはともかくとして、以前、本ブログの「一昨日投稿分の”残り物”(神岡鉄道)、ついでに岐阜県内を走る残り2つの”3セク”鉄道(長良川・明知)の話も…」という記事の中で、岐阜県内を走る第3セクター鉄道「長良川鉄道」で、自転車愛好家サークルの発起による「サイクルトレイン」運行の話題について触れました。
地方の第3セクターは殆どのところが赤字経営で、こうした取り組みも積極的に行わなくては生き残れないだろう、と幾つかの記事を通じてお話ししたところでありますが、こと「サイクルトレイン」の類に関して、実は大都市の鉄道でも見かけることがあるんですね。
しかも首都圏の大手私鉄の路線で・・・
「観光振興に自転車列車 畳まず積める臨時便」
《『産経イザ!』2007年9月20日付け掲載記事》
西武鉄道は、埼玉県秩父市などと共同で、都心から秩父市内に電車で自転車を運びサイクリングを楽しんでもらうイベント「秩父サイクルトレイン」を11月18日に開催する。西武鉄道と秩父市によるこうしたイベントは初めてで、秩父地方の自然と歴史を感じてもらい、観光の活性化につなげる。 西武池袋線池袋駅から西武秩父駅まで、自転車を折りたたまずに乗車できる臨時電車「サイクルスポーツ号」を往復運転する。往路は池袋駅・午前7時41分発、復路は西武秩父駅・午後4時12分発。参加者は池袋駅、練馬高野台駅、秋津駅から乗車できる。 参加者は、自分の自転車を使って秩父市内を回る5コースから1コースを選んでサイクリングを楽しめる。 初級者向けの「いやし里山コース」は、秩父の中心街にある番場通り、イチョウ並みが美しい秩父ミューズパークなどを巡る約33キロメートルのコースとなっているなど、初級者から上級者までレベルに合ったコースを選べる。 参加は事前予約制で、「サイクルスポーツ号」を利用する200人と、サイクリングのみに参加する50人の計250人を募集する。サイクルスポーツへの乗車は池袋駅のほか、練馬高野台駅、秋津駅からの乗車も可能。参加費は昼食や保険料などを含め4000円(電車運賃を除く)。 参加申し込みはインターネットかはがきで、詳細は「秩父観光なび」(http://navi.city.chichibu.lg.jp/walk/cycletrain/)。問い合わせは秩父市観光振興課秩父サイクルトレイン実行委員会(TEL0494・25・5209)。 |
西武といえば、西武球団に於いては今年3月に裏金問題が、そして西武鉄道でも3年前(2004年)に有価証券報告書への虚偽記載が、それぞれ発覚する等、穏やかならざる雰囲気の漂うところでありますが・・・
ま、それはともかくとして、地域振興の意味合い等から、地方のローカル私鉄に於いて”サイクルトレイン”と称する等して指定された列車に自転車積み込みを認めるという話はここのところしばしば見聞きするところでありますが、人口が密集する大都市圏、それも首都圏を走る大手私鉄ではまさしく異例中の異例。
で、ネット上でいろいろ調べてみると、観光経済新聞社Webサイトに掲載の「サイクルトレインを運行 秩父市と西武鉄道など」という記事が掲載されており、見ると、秩父市の地元自治体や商工会議所等で組織する「秩父サイクルトレイン実行委員会」が主催する『秩父サイクルトレイン』を開催、このイヴェントへの東京都内からの参加の便宜(送客)を図るべく、秩父に縁の深い大手民鉄である西武鉄道がこの秩父での催しに参加する自転車の搭載のための特別列車『CYCLE SPORTS(サイクルスポーツ)号』を仕立てる格好となっています《秩父市内の観光活性化と公共交通機関利用促進が狙い、と観光経済新聞社では説明されているようですが…》。
ここまでちょっと勢い余って記してしまった感がありますが、秩父への観光誘致の観点から報じている上記『イザ!』の記事に対し、同じくこの秩父のイヴェントを報じている毎日新聞Web版では”環境保護”の観点から報じている模様。
「西武鉄道:自転車そのまま乗れちゃうトレイン発車」
《毎日新聞(MSN毎日インタラクティブ)・2007年9月18日付け掲載記事》
自転車をたたまずそのまま乗れる臨時電車を11月18日に走らせると、西武鉄道(埼玉県所沢市)が18日、発表した。「環境にやさしい鉄道」をPRする狙い。 電車は西武池袋線の池袋駅と西武秩父駅を往復する「サイクルスポーツ号」。普通の通勤用電車を使い、座席にビニールシートをかぶせて汚れないようにする。秩父駅到着後、乗客に自然や里山を楽しむ五つの自転車散策コース(33~50キロ)を走ってもらう。 同県秩父市などとの共催で予約制(乗車定員200人)。池袋駅を午前7時41分に出発。練馬高野台と秋津に停車し、西武秩父駅に同9時32分着。帰りは秩父駅午後4時12分発で池袋駅に同6時4分に着く。同社は「好評なら季節ごとに運行していきたい」と話している。参加費4000円(昼食代、保険料込み)と運賃が必要。10月19日締め切り。問い合わせは実行委員会(0494・25・5209)。 環境省自然ふれあい推進室は「電車と自転車を乗り継ぐエコツーリズムは先進的な試み。自転車が加われば、自然散策の行動範囲は一層広がる。休日には公共交通機関で自然を楽しむことが定着してほしい」と期待している。 |
国のほうでも今回の秩父の取り組みについては高く評価しているみたいですネ。
で、秩父市による初の試みとなる今回のこの『秩父サイクルトレイン』というイヴェントについてはネット上にも様々な声が寄せられているようです。
ヘルメットや服装にこだわっているという話(→「秩父サイクルトレイン」)や、秩父への帰省に利用したいとの話(→「秩父サイクルトレイン」)等が聞かれる一方で、運営者サイドからは地元秩父の市役所からの”申し込み&問い合わせ殺到”の知らせに嬉しい悲鳴も(→「秩父サイクルトレイン好評受付中」)・・・・・・
さて、東京都内から”サイクルトレイン”を走らせるのはこの「秩父市&西武」の取り組みが初めてのケースかと思いこんでいましたが、更に調べていくうちに『南会津情報Web』というWebサイトにて、なんと東武浅草から会津地方に向けて”サイクルトレイン”を走らせている話に遭遇。
読んでみると、この”サイクルトレイン”は南会津サポートクラブ・サイクルトレイン連絡協議会が主催する『東京・南会津サイクルトレイン』という催しに伴って運行されている特別列車(団体専用列車)なのでありますが、催し自体はといいますと、2002年に第1回を開催してから概ね年2回のペースで行われてきており(2006年のみ1回)、出発地を東武業平橋駅地上ホーム(2003年3月19日廃止)と定め、直通乗り入れ先である会津鉄道の会津田島まで列車で移動(輪行)、現地でサイクリングを楽しむというものであり、こちらの催しが”(東京都内から自転車を列車に積み込んで目的地に向かう)史上初のケース”とのことです《なお業平橋駅地上ホーム廃止以降開催分については東武の起点駅である浅草及びJR常磐線との乗換駅でもある北千住の両駅からの乗車に変更されています》。
で、去る9月8・9両日にこの催しの最新版である『第10回東京・南会津サイクルトレイン』が開かれ、その模様がこちらのページで公表されているほか、このイヴェント開催に伴って運行された団体臨時列車の模様も『と~ぶふぁんどっとねっと』(東武鉄道ファンサイト)内に掲載の「第10回「東京・南会津サイクルトレイン」(往路・復路)」にて公開されています《6050系電車4両編成(2×2)で運転》。
以上2つのイヴェントについて紹介してきましたが、先に「首都圏を走る大手私鉄ではまさしく異例中の異例」と言ってみたものの、幾つかのWebページを読んでいく等しているうちに、何れのイヴェントとも目的地に当たる地域(秩父市と南会津地域)の振興というものを狙いにしていることがわかってきました。
まあ、首都圏内の駅から自転車を積み込んでいける列車の運行自体は”異例中の異例”かも知れませんが、結局のところは地方ローカル鉄道が狙いとしているところとさほど変わらないという印象を受けるところとなったわけですネ、ハイ。
ところで、今回紹介した2つの”サイクルトレイン”の運行会社である東武鉄道と西武鉄道。
この両社には一つ共通点があります。
それは「自転車も無料手回り品の一つ」として扱われていること。
「ルポ■自転車持ち込み列車」によると、1999年にJR旅客6社と東武・西武に於いて自転車に係る手回り品料金を無料化したとのことです。
勿論「サイクリングやスポーツ大会等に使用する自転車で、解体して専用の袋に収納したもの、或いは折りたたみ式自転車で折りたたんで専用の袋に収納したもの」である必要があるわけですが《競輪選手が使用する競輪用自転車(解体して専用の袋に収納)については現在でも有料》・・・
このWebページでは自転車の鉄道利用についていろいろ言及されており、列車に自転車を積み込んで目的地で下ろして野山を自転車で駆けめぐるというケースや、市内中心部に自転車で買い物に出かける途上で自転車ごと列車に載せて中心部の駅で降りてそのまま商店街・スーパー等へ走らせるという買い物利用のケースが紹介され、地球温暖化防止が声高に叫ばれる中、自転車に対する評価が高まって国も態度を軟化させたこと等が記されています。
環境に優しい旅行のカタチが、ここにあります。
P.S.
今回、首都圏に於ける”サイクルトレイン”の実例を紹介してきましたが、私の住む関西圏でも”サイクルトレイン”の実例はないものかとネット上で見ましたら、「サイクルトレインって魅力的、そして旧友に会う」というブログ内記事に於いて、近江鉄道・近鉄養老線・信楽高原鉄道・水間鉄道等にて運行されていることが紹介されているのを発見!
ただ、これらの中の近鉄養老線については、来月から近鉄の完全子会社(100%出資)である「養老鉄道」に承継されるため、以後も”サイクルトレイン”の運行があるかどうかは今のところ不明です。
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