”軍民共用化”途上の「茨城空港」、そして羽田とセントレアの間に建設中の「静岡空港」の抱える現実・・・
以前、本ブログの「茨城交通湊線、新会社転換で存続か・・・・・・ひたちなか市と茨城県」という記事で、茨城県ひたちなか市内を走るローカル私鉄、茨城交通湊線の存廃問題について取り上げましたが、この本文中にて紹介した、茨城県議会でこの存廃問題に関して議題に挙がったことを報じた新聞記事の終わり近くで、茨城空港整備費等を盛り込んだ茨城県の来年度予算案も上程されたことも伝えていました。
茨城空港・・・元々航空自衛隊の基地として建設された軍用の”百里飛行場”を民間の航空機も離着陸可能な「軍民共用空港」とした上で造成が進められているものだとか。
ちなみにこの”百里飛行場”、航空ファンの間ではつとに有名な存在だそうで、航空自衛隊の観閲式の会場としても知られているとか・・・
その、百里飛行場の軍民共用化で誕生しようとしている茨城空港ですが、羽田や成田の両空港とそれほど離れていないこともあってか、様々な話が聞かれます。
軍民共用化される百里飛行場の新たな名称について茨城県が昨年夏に公募、その結果が・・・
「「水戸」多かったのに…「茨城空港」に決定 百里飛行場の愛称公募」
《『産経イザ!』2007年1月20日付け掲載記事》
【掲載元サイトに於いて掲載期間終了・削除済】
国と茨城県が2009年の開港を目指す民間共用の百里(ひゃくり)飛行場の愛称が、「茨城空港」に決まった。茨城県の空港ということが誰にでもわかり、利用促進が期待できるとして選ばれた。 昨年夏に公募し、全国から8265件(作品総数4096)の応募があった。「水戸空港」「百里空港」が数の上で「茨城空港」を上回ったが、使われた名称では「茨城」が1位だった。空港関係者からなる百里飛行場利用促進懇話会が絞り込みを行い、最終的には県が「簡潔で分かりやすい」「使用しやすい」「茨城ブランドのアピールを進める必要がある」などの理由もあって決定した。 「茨城空港」応募者の中から抽選で、茨城県築西市の新井晴香さんに5万円の図書カードが贈られる。 「茨城空港整備」の総事業費は約250億円で、県が80億円程度拠出し残りを国が負担する。ジャンボ機も利用できる2700メートル滑走路など滑走路地区と、1300台収容の駐車場、公園などのターミナル地区をそれぞれ整備する。ターミナルビル自体は国交省が民間事業者を選定して行う。完成に合わせて東関東自動車道が茨城町ICまで開通する予定だ。 |
また、「茨城空港 馬鹿みたいな平仮名じゃなくてまだ良かった 」というブログ内記事の中でも名称決定に絡む産経新聞の記事が紹介されており、この中で、茨城県知事のコメントとして「水戸空港、つくば空港では所在地ではないために誤解を与える。百里空港では地域が極めて限定されて全国にアピールできず、それらを組み合わせる方法もあるけれども、それでは英語表記が長過ぎる」等と紹介しています。
結局の所「茨城空港」と決まったわけでありますが、私は”茨城百里空港”のほうが、名称から位置等が特定できるという観点で、望ましかったんじゃないかな、なんて思ったりもします。
まあ、正式名称を「茨城空港」とした上で別に”茨城百里空港”を愛称名として使うのも有りですし…
それはともかくとして、この茨城空港、羽田・成田両空港にほど近いということもあってか、「茨城空港 馬鹿みたいな平仮名じゃなくてまだ良かった 」では、開港すれば赤字必至、と述べていますし、「『茨城空港』よりは『百里空港』の方がよっぽど“全国区”なんだけど」は、管理費用は自衛隊でも出すからお得感はあるだろうが、採算ベースに乗せられるものなのか心配、と指摘、更に「茨城空港」というブログ内記事でも、この空港が水戸市民などを北海道や大阪に運ぶのにどこまで役立つか、実際の利用者はどうなのか、甚だ疑問だ。特急「ひたち(スーパーひたち)」で上野-水戸間ノンストップのものを増やす等の策が先ではないか、と批判した上で、箱物行政の次は飛行機行政でしょうか、と冷ややかな反応を見せています。
そして、茨城県の内陸部を走る東北本線の沿線市町村の一つ、古河市の住民によるブログ『新生・古河市の街づくりと発展を考える一市民のブログ』に掲載の「茨城空港-閑古鳥が乗り入れなければ良いが」という記事は、一古河市民の立場から、古河はもとより、在来線や新幹線が利用出来る宇都宮、小山、高崎、前橋、足利、佐野、太田、伊勢崎といったところから航空機を利用するなら電車で羽田空港に行く方が時間的には近いので茨城空港は使わないでしょう、と述べた上で、茨城県の言う「鹿嶋などに大阪と関係の深い企業が多いことも有利に働くだろう」というのは、これまた余りにも甘い需要予測ではないでしょうか、と、ここのところ日本各地で建設の進む大型インフラ(整備新幹線や空港とか)に対する地元自治体による大風呂敷的になりがちな需要予測を批判しています。
更にはこんな、ちょっと恐ろしいことまでも・・・
「返済、減価償却費も充当 茨城空港」
《朝日新聞Web版・2007年9月19日付け掲載記事》
09年度末に開港予定の茨城空港ターミナルビルについて、県は県開発公社に建設費用として貸す27億円の返済見通しを明らかにした。開港11年目から毎年1億円余りの返済を受ける。ただ、公社は返済に減価償却費などを充てるため、耐用年数を迎えた施設の更新には、新たな財政負担が生じかねない。 18日の県議会総務企画委員会で県空港対策室は公社の収入として、航空会社のカウンターなどの賃料約2億円▽公共部門が借り上げるスペースの賃料が7千万円▽テナント料400万円▽広告料2500万円など毎年3億2千万円を見込む。 一方、支出は返済が始まる11年目で、人件費など管理費が約1億円▽維持費約6300万円▽国への借地料640万円▽減価償却費約1億円など計3億円。 公社は単年度黒字や減価償却費などを積み上げた累積資金から毎年約1億2千万円を借入金の返済に回す。累積資金は11年目までに約11億8千万円に達し、返済で徐々に減少。30年で償還を終えるが、30年目の累積資金は、約3千万円しか残らない計算になっている。 公社に貸し付けながら、実態は県が27億円のハコモノを建設する形になることから、県議からは疑問の声も上がった。 県空港対策室は取材に「公共性が高いが、公社に大きな収益は見込めない。そもそもビルの収益で、将来の施設更新などは想定していない」と話した。 航空行政に詳しい慶応大商学部の中条潮教授(公共経済学)は「減価償却費を借金返済に充てれば、建物などの耐用年数を迎える将来、どうするのかという問題は残り、不透明だ」と指摘する。 |
茨城県は一度造った空港ターミナル等の維持・管理についてさほど考えていないじゃないか、という印象を抱いてしまいますネ。
にも関わらず、国は今年度と来年度と茨城空港整備のための予算を認めているようで・・・
「茨城空港、07年度事業費46億円・県「09年度開港ほぼ確実」」
《『NIKKEI NET』2007/03/31付け掲載記事》
茨城県が2009年度の開港を目指す茨城空港(小美玉市)について、国土交通省は07年度の整備予算として06年度当初比で約4割増となる46億4000万円を計上した。今後、滑走路など空港の中核部分の工事に入る。 県は「09年度開港が大きく近づき、ほぼ確実になった」とみている。 空港整備の費用負担は国が3分の2、県が3分の1の割合。県は国の計上額を最大54億円ほどと想定し、既に県分の負担金は07年度予算に18億円を盛り込んでいる。「県の予算が足りなくなる事態を避けるため、多めに見積もった」(県空港対策室)と説明。国が実際に計上した46億円については「十分な水準」(同)と評価している。 茨城空港の全体事業費は約250億円の見込み。このうち80億円ほどが06年度までに予算化。07年度分を含めると、ほぼ半分に達する。競争入札などコストダウンを徹底することで事業費を圧縮できるとの見込みもあり、予算上は09年度の開港を実現できる可能性が高まった。 |
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「静岡空港など427億円 国交省概算要求 当初比10億円増」
《静岡新聞Web版(ShizuokaOnline)・2007/08/29付け掲載記事》
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国土交通省は29日、2008年度予算の概算要求に、09年3月の開港を予定する静岡空港など一般空港の新設や滑走路の延長などの整備費として、本年度当初予算比10億円増の427億円を盛り込んだ。 継続事業の6空港のうち、新設事業は静岡空港と茨城県の百里空港の2カ所。徳島など3カ所は滑走路延長で、昨年2月に開港した神戸は用地取得に要する事業費のみ。このほか、基本施設や航空保安施設の更新や改良などを行う。空港予算全体で見ると、大都市圏拠点空港の整備などに重点を置き、5769億円を盛り込んでいる。 県空港部は「開港に向けて08年度は最終年度。現在の事業を着実に進ちょくさせるなど所要額の確保への努力を続けたい」と話している。 |
どうやら国策の一つとして茨城空港の整備というモノが位置づけられているというわけですネ。
ただ、一方で貨物取扱で特化する道があるという声も聞かれるようで、先に紹介したブログサイト『新生・古河市の街づくりと発展を考える一市民のブログ』に同じく掲載されている「茨城空港(続き)-貨物空港に特化すべきではないか」によると、特に国際貨物取扱で成田空港がパンク寸前とまで言われているそうだから、貨物取扱に特化するのも一つの道ではないか、と指摘しています。
貨物取扱に特化、といえば、こちら大阪の地元にある関西国際空港も、近頃競争が激化している世界の国際空港間競争で生き残りを図るべく、貨物取扱の強化を打ち出していることが報じられているところですが(→「更なる競争激化か、仁川国際空港とその周辺国の空港・・・・・・あの関空も貨物で”参戦”!?【韓国SBS報道】」)、果たして成田の貨物面でのサポート役として果たせるのか、或いは茨城県民の支持を得られるのか、羽田・成田両空港からさほど離れていない場所にある自衛隊基地の軍民共用化によって2009年度中に開港予定の茨城空港の動向が注目されています。
◎ ついでに静岡空港の話も…
日本の地方自治体って、そんなに空港が欲しいんだろうか、と思ってしまうくらい、全国各地にこれでもかというくらいに空港が造られてきています。
関西圏でも、阪神間にある3つの大きな空港の他にも、例えば和歌山県南部の白浜町にも南紀白浜空港というのがあるのですが、現在この空港を発着している定期便は1日2便の東京(羽田)便のみという寂しさ…鉄道だったらかつて北海道を走っていた深名線よりひどい超ローカル線ということになるわけですネ。
そんな中、先の茨城空港と同じく、東京からさほど離れていない静岡県の金谷付近に静岡空港が目下建設中です。
東海道新幹線と東名高速道路という2本のメインラインが通る静岡県内にあり、しかも東京の羽田空港と愛知県常滑にある中部国際空港(セントレア)を両端に控える場所に造られている静岡空港に対しては、テレビ朝日による報道(サンデープロジェクト)で、開港前から大赤字必至と囁かれているが国や県が強く推進、と伝えていること等もあり、県の内外から非難の声が相次いでいることは『空港はいらない静岡県民の会』や『静岡空港・建設中止の会』の両Webサイト等を通じて知られるところとなっています《(追記)左記に加え、静岡空港問題も含めた静岡県自体の闇の部分を暴き出す動きも見られます;例えば『静岡県庁の光と闇』とか》。
2年半以上前に朝日新聞Web版に掲載された以下の記事では、地元の大学に通う学生の半数以上が静岡空港建設に反対していたことが報じられています。
「64%が静岡空港建設反対/学生に調査」
《朝日新聞Web版・2005年01月08日付け掲載記事》
完成なら利用54% 6割強が建設反対――。静岡英和学院大学(静岡市池田)の新聞部が、未買収用地の取得問題で揺れる静岡空港建設の賛否について、学生にアンケートしたところ、こんな結果が出た。新聞部は「空港は必要がないと学生も考えている」と話している。 11月下旬から学内を回り、短期大学部(330人)を含む全学生1254人に聞き、853人から回答があった。 空港建設の賛否では、賛成が36%、反対が64%だった。 反対の理由は「必要がないから」(24%)が最も多く、次いで「騒音問題」(17%)、「近県に空港がある」(16%)、「経営面への不安」(15%)――の順だった。 賛成の理由は「交通、時間の面で便利」(58%)がトップで、「静岡の活性化につながる」(13%)、「他県に行かなくてすむ」(12%)、「今さら反対しても税金の無駄」(7%)と続いた。 「空港に関する問題点で一番関心のあるもの」(択一式)を尋ねたところ、「環境破壊」(26%)と「経営の赤字」(24%)が多かった。このほか、「騒音」(17%)、「県財政の悪化」(13%)、「反対地権者からの用地買収」(10%)なども。 一方、「空港ができたら利用したいか」には、「利用する」が54%、「利用しない」が46%と、建設の賛否とは異なる結果になった。 代表の人間社会学部3年、鈴木明哲さん(21)はアンケートの意図について、「地域の社会問題に関心がない、といわれる学生も、高い問題意識を持っている。それを知ってほしかった」と説明した。 |
いざ空港が出来てしまった後利用するか否かの回答結果とのズレが見られるのはやや気になるところではあるのですが、やはり環境を破壊すること、赤字になることを懸念材料として挙げているあたり、学生たちでさえ他人事とは捉えていない現れといえるかもしれませんネ。
更にこの静岡空港については、『Kojii.net』に掲載されている「井上孝司の Transportation Column ~静岡空港不要論」が、静岡空港を「数ある事業の中でもとりわけふざけている公共事業」とバッサリ斬り捨てた上で、静岡という新幹線や高速道路が整備されている「交通先進地帯」に今更空港を造ったところでフライトが少なすぎて廃墟と化すのは明白、さっさと計画を撤回すべきだ、と批判している他、「即刻中止するのが静岡空港の生きる道」という記事も、進むも地獄、中止するも地獄。それが2009年3月開港予定の静岡空港の実情。静岡空港はこれまでに1650億円を投入しているが、今後、毎年毎年、未来永劫赤字を垂れ流すなら、1650億円は捨て金に、森に返すのが一番の良作、と批判すると共に、毎年の赤字補填は県民の税金から補填されるわけで、その補填分でどこが削られるかといえば、本当に必要な福祉などが犠牲になったりする、と結局は県民にツケが回ることを指摘しています。
これに対して静岡県は建設推進一本槍の様子で・・・
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「静岡空港:県が需要掘り起こしへPR エスパルスVSヴァンフォーレ戦で /静岡」
《毎日新聞(MSN毎日インタラクティブ)・2007年9月14日付け掲載記事》
◇「山梨県民も静岡空港利用して!!」 県は15日に静岡市清水区の日本平スタジアムで行われるサッカーJリーグ「FUJIYAMAダービー 清水エスパルス・ヴァンフォーレ甲府戦」で静岡空港(09年3月開港)をPRする。当初は国内線就航を目指している福岡のチームを念頭に置いていたが、アビスパ福岡が今季からJ2に降格。このため、空港誘客の有力資源である「富士山」を共有する静岡、山梨両県民に空港利用をPRすることになった。 県は、就航先に対して静岡県の認知度を高める一方、地元では空港の利用増に向けたPR活動を行っている。「静岡県民だけでなく、空港のない山梨県民にも静岡空港を使ってもらえば安定した便数確保につながり、利便性が高まる」(空港部利用推進室)として、山梨県側の需要掘り起こしも狙っている。 当日は試合開始前やハーフタイムのショーでエスパルスのマスコット「パルちゃん」と県のマスコット「ふじっぴー」が共演▽パンフレットやシールの配布▽入場口から観客席までの通路に完成予想図などのパネル展示--などを行う。PRを行うために清水エスパルス側と250万円(税抜き)の契約を結んだ。当日入場者は1万人を見込んでいる。【鈴木直】 |
静岡県内で開かれるサッカーJリーグの試合会場で静岡空港のPR活動を展開する一方、かつての成田空港建設時を思わせるような行動にも出ているそうで・・・
「静岡空港:西側立ち木伐採問題 地権者128人に戒告 木の移転義務果たさず /静岡」
《毎日新聞(ヤフーニュース経由)・2007年9月14日付け掲載記事》
◇県「木の移転義務果たさず」 静岡空港建設工事で県が空中使用権を取得した空港予定地西側の地権者が、立ち木伐採を求められている問題で、県は13日、木の移転義務が果たされていないとして、地権者128人に行政代執行法に基づき戒告した。10月8日までの伐採を求めているが、地権者は従わない方針。代執行命令は避けられそうにない。 県は1月の収用委裁決で空港西側の土地約5・1ヘクタールのうち約3・3ヘクタールを収用し、約1・8ヘクタールを使用地とした。さらに飛行機着陸の邪魔になることから、使用地の立ち木約2600本などの伐採を求めている。3月に代執行を請求する前に補償はすべて終えたという。 地権者側は「伐採する木の特定も測量もされておらず、このまま代執行すればおかしなことになる」として従わない考えを示している。【稲生陽】 |
「県、伐採求め戒告書」
《朝日新聞Web版・2007年9月14日付け掲載記事》
◆静岡空港用地の立ち木問題 静岡空港の滑走路部分の西側にある用地のうち、県が使用権を取得した土地にある立ち木などの伐採・移転を元権利者に求めている問題で、県は13日、改めて自主伐採を求める「戒告書」の配布を始めたと発表した。伐採期限は10月8日。今回から行政代執行法に基づく手続きになり、伐採されなければ、県は代わりに伐採する行政代執行という「強制手段」をとる。 対象となるのは、県が土地収用法に基づいて使用権を取得した、約1・8ヘクタールの土地にある立ち木約2600本と、竹林約3300平方メートル。収用委員会の裁決により、県が所有権や使用権などを得た空港予定地では、最後まで残った部分。県職員が13、14両日、元権利者128人に対し、戒告書を手渡しするという。 西側用地については、3月に県が権利を取得してから、元権利者らと交渉を進めてきたが、自主伐採は実現していない。 戒告期限を過ぎても自主伐採がなされない場合、行政代執行の期日や工事費用の見積額を知らせる「代執行令書」が送付され、代執行が行われることになる。県公共用地室は「できるだけ自主撤去してもらえるよう、交渉を続けていきたい」と話す。 県空港部によると、航空法に基づいて定められた静岡空港の工事完成予定期日は来年11月1日。県は、期日までに空港建設を完了させようと、建設を進めている。 |
地方空港の建設現場にて、あの”成田闘争”の二の舞を演じようとしている・・・何だかそんな印象デス。
この建設中の静岡空港だけでなく、例えば既に運用されている東北南部の福島空港では利用者数の減少で次々と運航便が切られていって危機的状態にあると聞きますし、私の住む関西圏内でも、阪神・淡路大震災にもかかわらず建設が強行され、昨年オープンした神戸空港にしても、「切羽詰る神戸空港」は、神戸空港の破綻は目に見えている。まもなく建設資金への市税投入が成されるであろう。けれども政治家たちも市の官僚も誰も責任をとらず、空港はそのまま運営される、と失望感をあらわにしています。
このように自治体が何が何でも空港を、という動きに対しては、先に紹介した『Kojii.net』に同じく掲載されている「Opinion : 公共事業論議に見る「改革」の本質 (2001/10/15)」が、地方自治体の首長等に「新幹線・高速道路・空港」という「三種の神器」を欲しがる風潮があり、地元選出の国会議員がそれを利用して、事業そのもの、さらにはそれに付随する国の補助金などを地元にばら撒こうとしているという、完璧に構造的な問題が背景にあるのではないか、と指摘した上で、どうして公共事業の乱発が止まないのか、という本質的構造問題にメスを入れない限り、根本的な問題解決はあり得ない、と日本の政治・社会構造の根本からの立て直しを訴えている他、「地方空港からの撤退」も、「地方の自治体は、空港を造るまでは非常に熱心だが、後の面倒はあまりみない。かつては運輸省の需給調整があって空港を造るだけで、飛行機もきた。」という1999年6月に掲載された四国新聞記事からの引用を紹介した上で、空港ができれば自然と飛行機が飛んでくるという時代は既に終っている。今も空港を作ろうとする自治体の考え方は少しも変わっていない、と嘆き調のコメントを寄せています。
よそ者の分際ながら、正直に言わせてもらうならば、私自身もこの静岡空港に関してはちょっと理解のし難いところがあるかな、と感じます。
静岡(静岡駅)からだったら1時間あたり3本程度(うち「ひかり」が毎時1本程度停車)停車する新幹線を使って東京や名古屋に行けますし、羽田やセントレア(中部国際)からだったら幾らでも空の便は出ていますので、距離的にも中途半端な位置にわざわざ空港を造る必要があるのかな、と首をかしげると共に、先に記した「サンデープロジェクト」で静岡空港が開港前から大赤字必至だと伝えている件でも、それによって静岡県民や静岡県民を含む日本国民全体にツケが最終的に回ってくるわけですから、たまったものではないわけですネ。
まあ、何れにしても、空港というハコモノに依然として頼っている地方自治体の現実というものを改めて目の当たりにした思いがしました。
もっと予算を振り向けるべきところはたくさんあるはずですけれどもね・・・
P.S.(追記)
静岡空港建設を巡り、本文中でも示しましたが、建設を推進する県側と建設に反対する地元住民等とが激しく対立する中で、「静岡空港建設予定地を訪問して~羽田とセントレアの中間に有る空港の存在意義」は、7割方空港建設が進んでいる現状を踏まえ、ただただ反対ばかりするのではなく現状を受け入れつつも県等との間で”建設的に”ぶつかり合うという「建設的反対運動」に転換すべき、と提唱した上で、例えば静岡県内に2つある自衛隊の基地のうちの一つ(訓練部隊の駐屯する基地のほう)を静岡空港内に移転させることにより、県が考えている防災拠点としての静岡空港の活用にも大きく寄与できるのみならず、移転していった基地跡地の有効利用等の二次的な効果をも引き出せるメリットも考えられる等、造ってしまったものを無駄に終わらせない工夫も必要だ、と説いています。
まぁ、確かにある程度出来てしまっている状態に於いてただ「反対、反対」と叫んだところで、また取り壊し等となるとそれはそれでまた多額の税金をつぎ込む格好となるわけですから、「反対」を基本としながらも、せっかく造ってしまった静岡空港を構成するであろう構造物を無駄にはせず、有効に活用する道というものを圏等との討論の中で探ることが、現状では税金投入を最小限に食い止められる有効な策ではないか、こう考えている私であります《だからといって私自身、静岡空港建設に賛同しているわけではありませんので、念のため…》。
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