若桜鉄道と蒸気機関車(SL)その4・・・SL「C12 167」誘致以外の利用促進への取り組み
少し間が開いてしまいました。どうもスミマセン!!
鳥取県の第3セクター鉄道・若桜鉄道(旧国鉄若桜線)に蒸気機関車「C12 167」が約60年ぶりに”里帰り”したのは先月(10月)の21日のこと。
あれからもう半月以上経つんですね・・・
そして、これまでの記事で伝えてきていますように、若桜駅構内に残る転車台、給水塔等、蒸気機関車時代を連想させるような諸設備が、ひとりのJR貨物社員(のちに退社して若桜鉄道に入社)の手によって復元され、更にそこへ、約60年前に旧若桜線を走行していた蒸気機関車「C12 167」が、かつて旧鍛冶屋線が通っていた兵庫県多可郡多可町内に静態保存されていることが判明、一悶着があったものの、結局譲り受けることとなって若桜駅構内への”里帰り”を果たし、点検・修復等を経て、去る10月21日の若桜鉄道開業20周年の記念イヴェントに於いて、駅構内に特設された線路上のみではあるものの、動くSL「C12 167」の姿を居合わせた鉄道ファンらの前で披露したわけです。
この日、若桜町内に於いては大いに盛り上がったことでしょうネ。
でも、実は若桜鉄道、これまでメインで取り上げてきました蒸気機関車「C12 167」の動態保存以外にも利用促進のための施策を幾つかとってきていることが最近になって判明してきていますので、今回はそれらについて紹介していきたいと思います。
なお、当初の予定では、この後引き続いて若桜鉄道が生き残るための方策等をお話しすることにしていましたが、かなりの分量となってしまっていますので(でも自分の話の部分はさほど無かったりして…)、次回以降に回させて頂きます。
重ね重ねどうもスミマセン!!
◎ ディーゼルカー(気動車)体験運転
この若桜鉄道の第1回記事の前半のところで紹介した毎日新聞掲載記事『若桜鉄道:20周年祝う 里帰りSL、力強く 60年ぶり走行にファン拍手 /鳥取』という記事の中では、里帰りした蒸気機関車「C12 167」の話題と共に、若桜鉄道で活躍中のディーゼルカーの運転体験も行っているとの話にも触れています《尤も記事に於いては、これ自体、若桜鉄道開業20周年の記念イヴェントに於ける一アトラクションとして報じているわけですが…》。
この「ディーゼルカーの体験運転」、実は若桜鉄道では、やはり開業20周年記念を兼ねる形で、去る8月にも独立した一イヴェントとして催されており、その模様が共同通信社を通じて地方紙等に配信されています。
その中から、『NIKKEI NET』で報じられている以下の記事を・・・
「ディーゼル機関車を運転 鳥取・若桜鉄道でイベント」 《『NIKKEI NET』2007年8月18日付け掲載記事》 |
鳥取県東部を走る若桜鉄道で18日、本物のディーゼル機関車を体験運転するイベントが開かれ、広島県から来た鉄道ファンの男性や、鳥取県内の中学生など9人が参加した。 開業20周年を記念して開催。ここ数年、業績不振が続いて廃線が懸念される中、利用客を増やすきっかけになればと企画された。 参加者は、現役運転士から操作手順を教わりながら、同県若桜町の若桜駅構内にある予備の線路を運転。片道70メートルを時速約10キロで二往復した。青い帽子をかぶり、真剣な顔つきで指さし確認するなど、運転士気分を味わった。 鳥取市立東中学1年の土井稔真君(13)は「ブレーキをかけるタイミングが難しかった。将来は車掌さんになりたい」と笑顔。広島市安佐北区の会社員沖田正良さん(65)は記念写真を手渡され、「緊張した顔しとるわ」とうれしそうに話した。 11月まで毎月1、2回の開催を予定。参加費は5000円で、修了証や自分の名前が入ったバッジがもらえる。問い合わせは若桜鉄道、0858(82)0919まで。 |
更に鳥取県の地元紙、日本海新聞では2段構えで・・・
「1日運転士体験 若桜鉄道20年記念イベント」 《日本海新聞Web版・2007年7月9日付け掲載記事》 |
若桜鉄道の車両を運転してみませんか-。鳥取県の第三セクターの若桜鉄道は開業二十周年を記念して、気動車の体験運転イベントを計画している。若桜駅構内を実際に運転するユニークな取り組みで、中学生以上を対象に実施する。 若桜鉄道のPRと身近な鉄道として親しんでもらおう、と初めて企画。八月十八日午前九時から、若桜駅構内の3番線で若桜線を走る気動車のワンマンカーを運転する。当日は、運転の仕方や車両の構造などについての講習、主任運転士による見本運転の後、教官がついて構内を二往復(約二百八十メートル)する実車運転を体験する。 対象は中学生以上で中学生は親権者の同伴、高校生は親権者の同意書が必要。七月十三日必着。定員は十人で、超えた場合は抽選する。参加費は五千円(保険料込み)。 申し込みははがきに住所、氏名、年齢、電話番号を明記し、〒680-0701、若桜町若桜三四五-二、若桜鉄道「車両運転体験」係まで。電子メールも可。問い合わせは電話0858(82)0919、同係へ。電子メールのアドレスは次の通り。wakatetu@infosakyu.ne.jp |
「ドキドキ気動車運転 若桜鉄道で体験イベント」 《日本海新聞Web版・2007年10月24日付け掲載記事》 |
若桜鉄道(社長・小林昌司若桜町長)の開業二十周年を記念した車両運転体験イベントが十八日、鳥取県若桜町の若桜駅で行われた。中学生から六十五歳まで、県内外の熱心な鉄道ファンが九人が参加。プロの運転士の指導を受けながら、同駅構内の側線で、汽笛を鳴らして気動車を走らせたり、停車させるなどして貴重な体験を楽しんだ。 同イベントは同鉄道の利用促進とPRを目的に初めて企画。同鉄道の運転士が資料で計器の見方やブレーキ、アクセルの操作方法、機能などについて説明した後、3000系気動車に乗り込み、順番に運転を体験した。 青色の制帽をかぶり、運転席に着いた参加者は指をさして安全を確認。真剣な表情でブレーキやアクセルレバーを操作し、二往復二百八十メートルの運転に挑戦した。中には緊張のためか、停車位置にうまく止められないケースも見られたが、初めての体験に目を輝かせていた。 広島県福山市の北川丹さん(58)は「ローカル線に興味があって、若桜町には何回か訪れている。ブレーキ操作は緊張したが、機会があればまた参加したい」。鳥取市滝山の土井稔真君(鳥取東中一年)は「ゲームでやったことがあるが、本物はかっこいい。ブレーキをかけるタイミングが難しかった」と話していた。 体験後は参加者全員に同鉄道から車両体験運転終了証が贈られた。次回は九月十五日に計画されている。 |
日経の記事にもありましたが、ちゃんと終わった後には「修了証」がもらえて、また一つ思い出が増えること請け合い、といったところでしょうネ。
で、「若桜鉄道の運転体験イベント」がツッコミ一発入れていますが、以上紹介した新聞記事3本のうち、最初に紹介した日経の記事(共同通信社配信記事)のタイトルと本文を見ると、ツッコミの通り、「ディーゼル機関車を(体験)運転」の文字が躍っているのが見えますね。
少し冷静に考えてみれば、若桜鉄道にディーゼル機関車が走った話なんて聞いたことありませんし、日経記事に掲載されている写真、どう見てもあれは若桜鉄道のディーゼルカー(気動車)のように思えるのですが・・・
あとの日本海新聞掲載記事2本ではちゃんと「気動車」と記されているあたり、この点に於いては共同通信社より日本海新聞のほうが教養があるということになるのだろうか《言い過ぎ!?》・・・
ま、それはともかくとして、このように実際の車両類を使った体験運転の取り組みが行われているところは、国内では他に・・・
碓氷峠鉄道文化むら(群馬県)
「《カテゴリ》体験運転〔1・2(10~)〕」
「《カテゴリ》体験運転」
「タコの部屋(Webサイト・ブログサイト)」
「EF63形電気機関車 運転体験記」
その他多数あり
三笠鉄道村(三笠鉄道記念館)〔北海道〕
「三笠鉄道村(訪問・体験運転)」 他
関東鉄道(茨城県)
「関東鉄道 気動車体験運転に挑戦!」
「オトナの電車ごっこ~気動車体験運転~」
「関東鉄道気動車体験運転」 他
等で見られる他、私も今まで知らなかったのですが、なんと海外にまで体験運転のため行く人もいるようです《以下列挙のサイト》。
「鉄っちゃんLIFE」《中国》
「Footplate Experience -蒸気機関車体験運転の世界-」《中国・イギリス・ポーランド》
なお、先月の「鉄道の日」(10月14日)にオープンしたばかりの鉄道博物館(さいたま市)や交通科学博物館(大阪市)等、一部の鉄道保存展示施設では実際の車両の運転台を使ったシミュレーターによる運転体験が出来るようになっています。
◎ コンサート列車!?
寡聞にしてこのイヴェント列車「コンサート列車」の存在を今まで全然知りませんでした。
音楽好きでもある私としてはとても気になる存在ですね・・・・・・これは。
このイヴェント列車の存在を知ったのは「地方鉄道を維持するための施策一覧」というブログ内記事で、「イベント列車の運行」の中の一つとして列挙されているのを発見、知るところとなりました。
で、検索サイトを使って調べてみたところ、鳥取県のWebサイトに「若桜鉄道ふれあいミニコンサート&ファゴット、ピアノ、チェロの名手によるさわやかコンサート」というPDF形式パンフレットがアップされているのを発見、記載されている日付と曜日等から調べていくうちに、この催しが昨年(2006年)の11月23日(木・祝)に行われていたことが判明、音楽好きの私を唸らせました。
「若桜鉄道ふれあいミニコンサート(於:若桜鉄道貸切車両内・若桜中学校さくらホール)」でもこの「コンサート列車」のことが説明されているのですが、それによると・・・
【列車名(イヴェント名称)】
若桜鉄道ふれあいミニコンサート
【運転日】
2006年11月23日(木・祝)
【運転区間・時刻】
◆ 往路
鳥取駅発11:36→郡家駅発11:53
→若桜駅着12:23
◆ 復路
若桜駅発15:16→郡家駅着15:47
→鳥取駅着16:11
【定員】
55名(先着順)
普通乗車券・回数乗車券限定
(定期乗車券による利用不可)
【参加費(入場料)】
無料(普通運賃のみ)
【備考】
コンサート施行は若桜鉄道線内のみ
(郡家~若桜間のみ;なお列車自体は鳥取迄直通)
となっていました。そしてこの”若桜鉄道ふれあいミニコンサート”と銘打たれていた「コンサート列車」、同じ日に終点の若桜駅から南(南南東)に向けて少し歩いたところにある若桜中学校さくらホール(左図参照)で行われた「ファゴット、チェロ、ピアノの名手によるさわやかコンサート」とのセットという形で行われたみたいですネ《ちなみにこの若桜中学校で開かれたコンサートは有料の催し物のとして開かれ(500円)、「コンサート列車」の運転時刻に合わせる形で行われていました》。
鳥取の地元紙、日本海新聞による告知記事・・・
「走れ♪音楽列車 若桜鉄道23日に車内コンサート」 《日本海新聞Web版・2006年11月7日付け掲載記事》 |
若桜鉄道に乗って音楽三昧(ざんまい)の一日を-。「若桜鉄道利用促進実行委員会」(会長・小林昌司若桜町長)は二十三日、若桜鉄道の車両内と若桜中学校さくらホール(若桜町浅井)の二カ所での室内楽コンサートを計画している。 コンサートは「若桜鉄道ふれあいミニコンサート&ファゴット・チェロ・ピアノの名手によるさわやかコンサート」。東京芸術大学卒業生の中田小弥香さん(ファゴット、八頭町出身)、羽賀美歩さん(ピアノ)、武沢修平さん(チェロ)の三人によるアンサンブルの演奏を、貸し切りにした若桜鉄道の車両内と若桜駅から徒歩で移動できる距離にあるさくらホールで行う。 「ふれあいミニコンサート」(定員五十五人、参加費は鉄道の乗車賃のみ)は、鳥取駅を午前十一時三十六分発の若桜行き列車内で開催。演奏は郡家-若桜駅間の運行中に行う。若桜駅に到着した後、カリヤ通りや蔵通りを散策しつつ、若桜中学校へ移動。引き続き、「さわやかコンサート」(参加費五百円)を午後一時半から午後二時半まで行う。 曲目は▽日本の四季メドレー▽ロッシーニ「オペラ・セビリアの理髪師」▽モーツアルト「ファゴットとチェロのための二重奏」▽ショパン「ノクターン第二番」▽プッチーニ「オペラ・トゥーランドットより『誰も寝てはならぬ』」-など。 「ふれあいミニコンサート」は電話、ファクス、電子メールのいずれかで事前に委員会事務局へ申し込むこと。「さわやかコンサート」のチケットは若桜町役場、若桜鉄道若桜駅、八頭町役場、鳥取市都市政策課で販売。 問い合わせ・申し込みは電話0858(82)2231、ファクス0858(82)0134、電子メールで若桜町役場自立政策課内委員会事務局へ。 |
上記記事に出てくる「カリヤ通り」や「蔵通り」については若桜町Webサイトに掲載されている「観光便利マップ」にて解説されていますので、そちらに内容を譲るとして、この小項の初めのほうで紹介したとっとり楽友協会Webサイトに掲載のパンフレットによると、当日の演奏曲目は以下の通りとなっていました。
◆ 若桜鉄道ふれあいミニコンサート
【演奏曲目】
日本の童謡・唱歌
もみじ、小さい秋見つけた、
ふるさと 他
◆ さわやかコンサート(若桜中学校)
【演奏曲目】
モーツァルト
『ファゴットとチェロのための二重奏』
日本の童謡・唱歌より
クラシック名曲集
ロンドンデリーの歌 等
オペラ曲抜粋
モーツァルト
『フィガロの結婚』より
「もう飛ぶまいぞこの蝶々」 他
若桜鉄道線内往復計1時間、そして若桜中学校内にあるさくらホールで1時間・・・これらを合わせてちょうど標準的な演奏会の所要時間くらいとなるという、変な話、若桜鉄道と若桜町のタイアップ企画とも言える「ふれあいミニコンサート(コンサート列車)」と「さわやかコンサート」、「公共交通トピックス 2006.10~12」及び「若桜鉄道ふれあいミニコンサート&ファゴット、チェロ、ピアノの名手によるさわやかコンサート」によると、「若桜鉄道ふれあいミニコンサート(コンサート列車)」は親子連れ等でほぼ満員の盛況、そして若桜中学校さくらホールで開かれた「さわやかコンサート」には若桜町民等約120人が来場していたそうで、盛会のうちに幕を下ろしたようですネ。
それで、ふと思ったにですが、鳥取から運転されたこの「コンサート列車」、JR線(因美線)区間走行中にはいったい何をしていたのだろうか。例えばアーティストたちとのトークで楽しんでいたとか・・・
まさか若桜鉄道線が分岐する郡家到着まではただ何もせずボーッと車内で過ごしていた、ということはないでしょうね《まあそんなことは無かったのでしょうが》・・・・・・
それはともかくとして、この「コンサート列車」、今年は開催の話がネット上にてついに聞かれず、どうやら昨年限りの単発物で終わったような感じですネ。
同じくイヴェント列車に分類されるであろう、岐阜県を走る第3セクター鉄道・明知鉄道が行っている「グルメ列車」の取り組み(「「寒天列車」に乗って大正村へ~繊維はキャベツ6個分、カロリーは茶碗2杯分!」とか)のように、例えば年ごとに演奏曲目やアーティストを入れ替えてみたり(アーティストについては毎年入れ替える必要はないと思いますが…)、或いは車内でコンサートを聴きながら地元の特産品をちょっと味わってみる等の趣向を採り入れたり等してでも、毎年継続して行うようなことは出来なかったものなのか、危機的経営状態に陥っているとはいえ、ちょっと寂しい気がしないでもないところですね。
なお、この「コンサート列車」については、他地域では滋賀県を走る第3セクター・信楽高原鉄道が純邦楽(尺八・琴)の「七夕コンサート」を、タイトルの通り、七夕時期前後(7月初旬くらい)に開いている他(今年の開催実例→「鉄道記事 7月3日その1」)、長野県を走る上田電鉄別所線に於いても「別所線貸切コンサート列車」が行われたりしています《今年の開催実例→「別所線貸切コンサート列車「サパトス」」》。
◎ 若桜駅に売店…
これについては先に鳥取の地元紙・日本海新聞に掲載の以下の記事に語ってもらうこととしましょう。
「若桜駅に売店登場 木工品や地酒など特産品PRへ」 《日本海新聞Web版(NetNihonkai)・2007年7月6日付け掲載記事》 |
若桜鉄道若桜駅(鳥取県若桜町)の待合室などに、町内で作られた木工品や地酒などを販売する特産品販売コーナーがオープンした。売店が開設されたのは旧国鉄時代を含め初めてで、町特産品のPR、利用者増につながる積極的な取り組みとして注目を集めている。 旧国鉄若桜線は一九三〇年に全線開業。その後八七年から第三セクターで運営され、今年で二十周年を迎える。 近年、列車利用者をはじめ、増加している都市部からのツアー客から「駅に何にもなくて寂しい」「殺風景」などと改善を求める声が相次いで寄せられるようになった。このため、職員で話し合った結果、かつて観光センターが入居していた約十二平方メートルのスペースと待合室の一部を活用して売店を設けることになった。 売店には「若桜鉄道オリジナル商品特産品販売店」の看板を掲げ、杉で作った壁飾りや地酒、もち、なた豆茶など町の特産物をはじめ、レールで作った文鎮などを販売。商品を陳列するワゴンや木製の台は、いずれも職員手作りで、素朴さが受けている。 列車が到着するたび、職員が法被姿で「ようこそ若桜町へ」と声を掛けて歓迎。特産品のPRに力を入れている。名古屋から訪れたツアー客の女性は「素朴な雰囲気がいい。温かく声を掛けていただきうれしかった」と笑顔。町内の男性は「売店ができたことで駅舎に活気と潤いが出てきた。定着してほしい」と期待を寄せている。 |
上記記事で報じられている若桜駅の売店の店開き、なんと旧国鉄時代をも含めて今回が初めてのことだとはちょっと意外な感じがするところでありますが、若桜町の特産品や若桜鉄道に纏わる品物を陳列、併せて、かつての横軽(碓氷峠)越えのスタート地点だった横川駅に於ける「峠の釜めし」の売り子よろしく、列車到着の度毎になされる「ようこそ」の声かけに、観光客の間でも好評だとか。
そして更に、この若桜駅近くの、国道29号線沿いには売店等を備えたドライバー向けの「道の駅」が整備されることになっているそうですが(今は建設中?)、そのことに関して報じている朝日新聞の記事・・・
「「道の駅銀座」に6つ目」 《朝日新聞Web版(asahi.com)・2007年09月11日付け掲載記事》 【注/記事掲載元サイト、掲載期間終了・削除済】 |
◆来春、若桜の国道29号 若桜町中心部の国道29号沿いに来年春、「道の駅」がオープンする。地元産農林産物が並ぶ売店や、郷土料理を出す食堂が整備される計画だ。交流人口が増えることや地元経済への期待も大きいが、同国道はさながら「道の駅銀座」の様相で競争は厳しい。ドライバーに認知され、定着していくためには他にはない独自の戦略が求められそうだ。(北村有樹子) ◆競争激化 求められる特色 新たに道の駅が整備されるのは、若桜鉄道若桜駅近くの国道29号沿い。05年にオープンした町農林産物加工施設「若桜味工房」に隣接する約4600平方メートルの用地。町の事業計画では、メーン施設は平屋で約410平方メートル。明治時代にできた「蔵通り」の白壁の土蔵を模した外観にする。 道の駅として国土交通省へ申請して登録されれば、同省にトイレなどを建設してもらえる予定。売店や食堂などは地元自治体が建設する計画で、町の負担は約1億2千万円の試算。町は単独での建設費の調達は難しいとして8月末、農村活性化事業に充てることができる交付金を農林水産省に申請した。 町は用地買収の交渉をほぼ終えており、10月にも土地造成と建物の建設に着手し、来年2月には国交省に道の駅の登録を申請する計画。オープンは来年5月を見込んでいる。 事業計画によると、町が整備するのは売店と食堂部分計約247平方メートルの木造施設。ダイコンやブロッコリーなど地元で栽培された農産物や工芸品を売り、食堂では野菜やネマガリダケ、フキなどの山菜を使った郷土料理を食べることができる。町自立政策課は「町の高齢者が農産物などを持ち寄り、収入を得る一助にしたい」と話す。 しかし、同国道沿いには鳥取市から中国自動車道・山崎インターチェンジまでの約80キロの区間に、すでに5カ所の道の駅がある。いずれも売店や食堂などを備え、基本的に内容は変わらない。若桜町の計画地から約6キロほどの地点にも、週末などににぎわいをみせる道の駅「はっとう」(八頭町徳丸)がある。 道の駅の整備は93年に始まり、同年4月には全国に103カ所(このうち中国・近畿地方24カ所)あった。96年4月時点で285カ所(同68カ所)、99年8月時点で551カ所(同126カ所)、07年8月時点では868カ所(同174カ所)にまで増えた。国道29号沿いも地域振興の核にしようと各自治体がこぞって整備したという。 国交省の担当者は「道の駅が乱立していけば、地域の特性を生かしていない所は生き残れないだろう」と話す。 さらに、鳥取と岡山を結ぶ国道53号と一部で並走する鳥取自動車道の開通も懸念材料だ。09年度に大半が開通すれば、「山を越えて兵庫県方面に抜ける国道29号の交通量は減るのではないか」とみる地元住民もいる。 小林昌司・若桜町長は「鉄道の駅と隣接するのでドライバー以外の観光客も取り込める。田舎らしさを特色に多くの人を呼び込みたい」と期待を込める。 |
既に隣接する八頭町内にも道の駅「はっとう」が造られているにもかかわらず整備されている若桜町内の道の駅でありますが、若桜駅との位置関係から、若桜町は鉄道で訪れた人の利用をも見込んでいる模様。
これに対して国土交通省は、「道の駅」が乱立する中で、その「道の駅」ならではの、或いはその「道の駅」にしかないといえる特徴が出てこない限り生き残れない、とクギを刺しているわけですね。
まあ言うまでもないことでありますが、ただ単に「田舎らしさ」だけではなく、若桜町の「道の駅」にしか無い何かを前面に押し出せるような工夫が繰り出せるかどうかが生き残りへのカギとなってくるでしょう。
そして、そういった取り組みが、「道の駅」と鉄道の駅とが互いに隣接するという若桜町の場合、ドライバーのみならず、鉄道利用の観光客の呼び込みにもつながっていくわけでありますが、ここで鉄道の駅・若桜駅に置かれた売店を巡り、面白い記事を一つ見つけましたのでそれをご紹介しましょう。
「若桜鉄道売店に【おばあちゃんの味噌にぎり】を!」というブログ内記事がそれで、若桜駅の売店に地元の人が握った握り飯を売店に置くよう要望していること等が書かれているのですが、なんでもこのブログ内記事の記者自身、昔、東北のとある駅の売店で遭遇した、家庭用電気ジャーを売店内に持ち込んで握ったというアルミホイルで包まれた味噌握りが今でも忘れられない様子で、もし若桜駅の売店に握り飯を置くのならばコンビニなどで見られるようなお握りではなく『おばあちゃんの味噌にぎり』を置いて、と求めています。
早速若桜町の特産品について調べてみたところ、ありました、『サンショ味噌』が・・・これを使って握れば若桜町ならではの握り飯が作れそうですネ!
以上、ここまで若桜駅への蒸気機関車「C12 167」の誘致・動態保存以外の若桜鉄道の利用促進への取り組みについて見てきました。
初めのほうでもお話ししましたが、当初この後引き続きお話しする予定でした若桜鉄道の生き残り策に関しては、次回以降、改めて一記事として起こすこととさせて頂きますので、今暫くお待ち下さい。
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