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トスカニーニ指揮の「第九」・・・2度開かれた鳴門「第九」の話も

 こちら大阪は、本日、晴天に恵まれました。

 夏だったら「暑いぃ~」となるところでしょうが、11月に入り、秋深まる昨今は「暖かいぃ~」感じとなってきているかな。

 まあ今更言うまでもないことかもしれませんけどね・・・

 

 

 さて、昨日の記事の最初のところで、先月徳島県に於いて行われた国民文化祭の一環行事として鳴門市で「第九」演奏会が催されたことをお話ししましたが、同時に東京の「5000人の第九」に関する新たな情報ももたらされていたため、昨日は「5000人の第九」の関連情報をお伝えしました。

 今日は昨日のうちにお伝えする予定だった鳴門「第九」の話題を扱うと共に、その後で、昨日に続き、最近動画共有サイトに寄せられてきた「第九」演奏動画の紹介を行っていきたいと思います。

 

 

◎ 2度開かれた今年の鳴門「第九」

 ベートーヴェン作曲の『交響曲第9番”合唱付”』(いわゆる「第九」)の日本初演の地、徳島県鳴門市では、今年、毎年6月1日の「第九の日」のすぐ後の日曜日に開かれている恒例の”ベートーベン「第九」交響曲演奏会”の26回目となる公演(と簡単な式典!?)が去る6月3日に開かれた他、今年は徳島県全域で開かれた「国民文化祭・とくしま2007」の一環行事という形で、先月(10月)の28日にも”「第九」フェスティバル”と銘打たれた「第九」演奏会も併せて開かれました。

 徳島県の地元紙・徳島新聞ではこれら2回の「第九」公演について、公演前後にわたり、以下のようにそれぞれ伝えてきています。

 

6月3日、鳴門で「第九」演奏会 47団体582人が出演
《徳島新聞Web版・2007/05/29-15:02付け掲載記事》
 鳴門市の第二十六回ベートーベン「第九」交響曲演奏会が六月三日、撫養町南浜の市文化会館で開かれる。映画「バルトの楽園」の上映による浸透効果もあり、全国から過去最高の四十六団体がステージに上がる。
 
 演奏会には、四十六団体の四百二人と県内から一団体・百八十人の計五百八十二人が参加する予定。他県からの団体数は過去最高の昨年(三十三団体)を上回った。中学生の参加者数も過去最高で瀬戸、大麻、鳴門第一の三中学校から計二十人が舞台に立つ。
 指揮者は大分県別府市出身で鳴門教育大准教授の山田啓明(ひろあき)さん。ソリストは徳島市出身の井上ゆかりさん(ソプラノ)、山田さんの妻・小川明子さん(アルト)、香川大教授の若井健司さん(テノール)、黒木純さん(バス)が務める。演奏は徳島交響楽団。
 NPO法人鳴門「第九」を歌う会は昨年十二月以降、月四回、合同練習を重ねた。六月二日に最後のリハーサルをする。同会の浅野司郎事務局長は「演奏回数は四半世紀を超える。映画効果もあり鳴門が『第九』国内初演の地という事実が広まってきた。立派な演奏会にしたい」と意気込む。
 演奏会は午後二時開演。全席自由席で一般二千五百円(前売り二千円)、学生千二百円(同千円)。問い合わせは市文化会館〈電088(685)7088〉。
↓ ↓ ↓
歓喜の歌 渦巻く感動 鳴門で「第九」演奏会、580人出演
《徳島新聞Web版・2007/06/04-10:30付け掲載記事》
 第二十六回ベートーベン「第九」交響曲演奏会(NPO法人鳴門「第九」を歌う会、鳴門市主催)が三日、同市撫養町南浜の市文化会館であった。県外から参加した過去最多の四十六団体と鳴門市「第九」を歌う会のメンバー約五百八十人が、第九初演の地に歓喜の歌声を響かせた。
 
 鳴門教育大准教授の山田啓明さんの指揮、徳島交響楽団の演奏で幕開け。ワーグナー作曲の歌劇「ローエングリン」第三幕への前奏曲に続いて、「第九」交響曲が第一楽章から奏でられた。
 「第九」のクライマックスの第四楽章に入り、ソリストの黒木純さん(バス)が「オーフロインデ」(おお友よ)と呼び掛けると、合唱団が一斉に立ち上がり、高らかに斉唱。歌声はホールを包み、約千百人の聴衆を魅了した。
 ソリストは黒木さんのほか、徳島市出身の井上ゆかりさん(ソプラノ)と小川明子さん(アルト)、香川大教授の若井健司さん(テノール)が務め、コンサートをもり立てた。
↓ ↓ ↓
清新な歌声復活 鳴門の「第九」、地元中学生16人出演
《徳島新聞Web版・2007/06/04-10:29付け掲載記事》
 鳴門市撫養町南浜の市文化会館で開かれた第二十六回「第九」交響曲演奏会。最近十年間では最も多い十六人の中学生がステージに立った。かつては百人以上が出演したこともあったが、鳴門の「第九」が知られるにつれ、県外の参加希望者が増加。中学生には狭き門となっていた。清新な歌声の復活を関係者や聴衆は歓迎。初めて参加した生徒たちは「全国の人たちと、心一つに歌うことができた」と感激に浸っていた。
 
 舞台に上がったのは、いずれも女子生徒で瀬戸中の三年生十人と大麻中の二年生六人。ほとんどがひな壇の最上段で「アルト」を担当した。昨秋から練習を続けてきたという瀬戸中の鎌田早希さん(14)は「一生の思い出になった」と大喜び。「壇上からは全体が見渡せ、交響楽団の迫力を実感した」。大麻中の漆原晴香さん(14)は話す。
 鳴門「第九」を歌う会によると、初回から第十三回までは中学生百人以上が参加した。しかし第十四回から八年間は県外の一般参加者を優先したため“中学生枠”がなくなった。第二十四回は十六人が参加したものの立ち位置は両そでで完全な脇役。昨年、ようやく五人が壇上に並んだ。
 鳴門の第九も年数を重ね、県内からの一般の参加希望者は減っているという。世代交代や後継者の育成が歌う会の課題だった。それだけに「中学生の復活はありがたい」と、浅野司郎事務局長は強調する。
 「中学生は緊張せず、よく歌っていた。今後の第九のためにも、若い人の登場はうれしい」。観客席から双眼鏡で見守っていた徳島市沖浜町の会社役員太田誠介さん(66)は目を細めていた。

 

音程や発音チェック 三好市で「第九」合唱練習
《徳島新聞Web版・2007/8/27-12:05付け掲載記事》
 国民文化祭とくしま2007の行事の一つで、鳴門市で行われる「第九フェスティバル」の初の合唱練習が二十六日、三好市池田町の市中央公民館で開かれた。
 
 三好市民第九合唱団のメンバーら県西部の約八十人が参加。鳴門教育大の豊成哲准教授の指導で、音程の取り方や発音などをチェック。この後、参加者はソプラノ、アルト、テノール、バスの各パートに分かれ、声の強弱や歌い始めのタイミングを確認しあった。
 合唱練習は、九月四日に阿南市、五日に鳴門市でも始まり、計六回ずつ実施。十月二十一日に総勢約二百八十人による合同練習を行い、二十八日に鳴門市文化会館で開かれる本番に備える。
↓ ↓ ↓
460人「第九」高らかに 鳴門、1400人の聴衆魅了
《徳島新聞Web版・2007/10/29-11:23付け掲載記事》
 第二十二回国民文化祭・とくしま2007(おどる国文祭)二日目の二十八日、「第九」フェスティバルが、鳴門市文化会館で開かれた。県内外の合唱団二十二団体とドイツ・リューネブルク市から参加した聖ヨハンニス教会合唱団などの四百六十人が、ベートーベンの「第九交響曲」日本初演の地で歓喜の歌声を響かせ、約千四百人の聴衆を魅了した。
 
 岡山県のくらしき作陽大学教授の渡邉康雄さんの指揮、徳島交響楽団の演奏で開演。シベリウス作曲の交響詩「フィンランディア」に続いて、「第九」交響曲が第一楽章から奏でられた。
 ソリストの鳴門市出身の米澤傑(すぐる)さん(テノール)と徳島市出身の井上ゆかりさん(ソプラノ)ら四人も登場。クライマックスの第四楽章では合唱団員が一斉に立ち上がり高らかに斉唱した。
 
 「第九」交響曲に先立ち、吉田忠志鳴門市長が「『第九』日本初演の地で、私たちの宝物を堪能してほしい」とあいさつ。映画「バルトの楽園(がくえん)」のダイジェスト版も上映された。

 

 そして、両公演に於ける出演者は以下の通り。

 

 ◇ 6月3日(日)…第26回「第九」演奏会
  ◆ ソリスト
   ソプラノ:井上ゆかり
   アルト:小川明子
   テノール:若井健司
   バリトン:黒木純
  ◆ 合唱:鳴門「第九」を歌う会
       全日本「第九を歌う会」連合会
  ◆ 管弦楽:徳島交響楽団
  ◆ 指揮:山田啓明(鳴門教育大准教授)
 ◇ 10月28日(日)…「第九」フェスティバル
  ◆ ソリスト
   ソプラノ:井上ゆかり
   アルト:小川明子
   テノール:米澤傑
   バリトン:蓮井求道
  ◆ 合唱:総勢約460名で編成
       国内(徳島県内・県外):22団体、
       海外:1団体(聖ヨハンニス教会合唱団)
  ◆ 管弦楽:徳島交響楽団
  ◆ 指揮:渡邉康雄(くらしき作陽大学教授)

 

 ちなみに上記で出てくる「聖ヨハンニス教会合唱団」はドイツのニーダーザクセン州リューネブルク市から来た合唱団だそうで、「第九」フェスティバルの2日前(つまり「国民文化祭・とくしま2007」開幕前日)に徳島県庁を表敬訪問していた模様・・・

 

県庁を表敬訪問 独の合唱団・カンボジアのマーチングバンド
《徳島新聞Web版・2007/10/27-12:33付け掲載記事》
 おどる国文祭に招かれたドイツ・ニーダーザクセン州リューネブルク市の聖ヨハンニス教会合唱団の団員ら十九人が二十六日、徳島県庁に飯泉嘉門知事を表敬訪問した。
 同州は県と友好提携関係にあり、リューネ市は鳴門市の姉妹都市。
 飯泉知事が「リューネと鳴門、ニーダーザクセンと徳島、そしてドイツと日本の懸け橋になってほしい」と歓迎。ヨアムヒ・フォーゲルゼンガー音楽監督は「ここまで二十七時間かかり遠さを感じたが、音楽は距離をなくしてくれる。今後、ますます交流が深まるよう期待している」と応じ、団員らが「夕焼け小焼け」を日本語で披露した。合唱団は二十八日に鳴門市内である「第九フェスティバル」に出演する。
…《以下省略》

 

 徳島県、そして鳴門市と縁のある海外都市からの来日、ということですネ。

 

 ところで、上記表示の演奏者データのうちの6月3日の「第九」公演の指揮者について、この「第九」公演を主催したNPO法人『鳴門「第九」を歌う会』の自身が開設しているWebサイトでは指揮者を「飯森範親」と発表、また10月28日に開かれた「第九」フェスティバルでは、事前に国民文化祭とくしま2007・鳴門市実行委員会が作成した『「第九」フェスティバル』ページにて、合唱団の団員内訳について、以下の通り発表しています。、

   県外:16団体、県内:6団体、
   海外:1団体(ドイツ連邦共和国)、
   個人参加:20人
   計550人

 しかし、第22回国民文化祭・とくしま2007の本家Webサイトに同じく掲載されている『「第九」フェスティバル』の案内ページの中で発表された合唱団員の数・内訳はといいますと・・・

 【県外出演団体】15団体
  習志野第九合唱団(千葉)
  可児市民第九合唱団(岐阜)
  静岡県立大学コーラス部(静岡)
  牧之原市フロイデ合唱団(静岡)
  アンデ・フロイデ・ナゴヤ(愛知)
  春日井フロイデ合唱団(愛知)
  なにわ第九を歌う会(大阪)
  鳥取県民による第九公演実行委員会(鳥取)
  岡山第九を歌う有志の会(岡山)
  第九を歌う会「アン ディ フロイデ」(山口)
  香川第九合唱団(香川)
  東かがわ市第九を歌う会(香川)
  伊予三島グリークラブ(愛媛)
  かごしま第九を歌う会(鹿児島)
  名護第九合唱団(沖縄)
 【県内出演団体】8団体
  徳島混声合唱団
  徳島文理大学
  阿南第九の会
  三好市民第九合唱団
  NPO法人鳴門「第九」を歌う会
  鳴門市第一中学校合唱部
  鳴門市瀬戸中学校
  鳴門市大麻中学校音楽部
 【海外出演団体】1団体
  聖ヨハンニス教会合唱団(ドイツ連邦共和国)
 【個人参加】20名

  《以上の合唱団員数総合計の記載無し》

 あれ、鳴門市実行委員会が発表している数と食い違っているし、公演の模様を報じている徳島新聞記事に記載の団体数とも合わないし・・・

 

 パニックに陥ってしまった私・・・いったい何故なんだろう。

 まあ、気にしたところでどうしようもありませんしね・・・

 

 で、10月28日開催の「第九」フェスティバルに於ける合唱団の団員数が公演前と後で異なっていることについては、これは容易に想像がつくところなのですが、公演開催前の公式発表後、実際に本番を迎えるまでの間に脱落者の発生等により人数が減少したことが考えられますね。
 その一方で、6月3日に開かれた第26回ベートーヴェン「第九」演奏会の指揮者については、10月下旬開催の「第九」フェスティバル等を包含する国民文化祭・とくしま2007の「開会式・オープニングフェスティバル」(10月27日開催)の中で飯森も出演することが発表されている他、3年前(2004年)の5月には徳島の地元アマチュア・オーケストラである徳島交響楽団のスキルアップのための指導に当時東京交響楽団の指揮者だった飯森(現在は同楽団正指揮者)が、首席奏者帯同の上、徳島入りしていたこと等もあって、鳴門「第九」を歌う会サイドが誤って発表してしまった可能性が否定出来ないところですね《違うかも知れないけれど…》。

 

 さて、今年鳴門市内で開かれた2つの「第九」公演のうち、6月3日開催の『第26回ベートーベン「第九」交響曲演奏会』については『徒然日記「2007年4~6月・楽屋ニュース!」』にて、そして10月28日開催の『「第九」フェスティバル』については「聖地巡礼」というブログ内記事にて、それぞれ公演の報告、評論等が記されています。

 このうち、6月3日の『第26回ベートーベン「第九」交響曲演奏会』については、「第九」演奏について、第2楽章は軽やかな感じだった一方で終楽章では”2重フーガ”等の箇所で本番直前に行われたゲネプロの時より速めのテンポとなっていたとのこと。

 また、10月28日開催の『「第九」フェスティバル』については、医学博士というテノール・ソロにまずまずの評価を与えていることを除けば今一つとの印象を抱いている模様ですが、そんな中、記事を読んでいて私自身も気になったのが、指揮者が第3楽章を終了したところでたっぷり休憩を取ったこと。
 実は10月の「第九」フェスティバルの指揮を務めた渡邉康雄について、本ブログサイトにて以前紹介しました「第17回津山第九演奏会」でもその渡邉がタクトを執っており、私自身もこの演奏を幾度と無く繰り返し聴いているのですが、オーケストラが違うため単純比較は出来ないものの、どっしりした感じの演奏で曲の運びもしっかりしている印象ですが、やはり第4楽章に入る前は一旦タクトを下ろしてしまっている感じに見て取れます。

 私自身、佐渡裕等がやっているような、第3楽章が終わってもタクトを下ろしてしまわずにそのまますぐ終楽章に突入するという曲の運び方をすることで「第九」という楽曲全体が備えている意図に沿った曲作りが可能となるのではないか、と考えています。
 第3楽章の備えている、深い祈りを捧げているが如くの、そして清純なメロディーを打ち消す役割を終楽章の冒頭部分が担っていて、それ以降のやりとりの中からあの「歓喜の主題」が登場するわけですから・・・

 

 なお、鳴門市の『ベートーヴェン「第九」演奏会』の来年(2008年)開催分については鳴門市Webサイト内に掲載の広報紙『広報なると』Web版にて告知されているのですが、来年はベートーヴェン「第九」の日本初演90周年という節目の年を迎えるとのことで、2回公演となる模様です《→「ワインガルトナー指揮の「第九」レコードコンサート!?・・・「第九ひろしま」&鳴門市「第九」最新情報も」》。

 

 

◎ トスカニーニ指揮の「第九」(テレビから!?)

 前回に引き続き、動画共有サイトに寄せられているベートーヴェン「第九」の演奏動画からひとつを紹介したいと思います。

 今回も『YouTube』に最近寄せられたものです。

 

 今回ご紹介するのは1948年4月3日にアメリカ・ニューヨーク市のNBCスタジオにて行われたアルトゥーロ・トスカニーニが指揮するところのNBC交響楽団による「第九」演奏を収録した動画で、久しぶりに「第九」全楽章が収まっている動画です。

 当時のアメリカNBCテレビが放映していたもののようですが、今回キャプチャされている動画はそのNBCテレビが放映したものそのものではなく、字幕の出具合から、どうやら台湾のテレビ局で再放送されたもののキャプチャであると考えられます《ちなみに動画投稿者はイタリア人》。

 

 動画自体は以下のように7分割されていますが、動画に添付されている公開データに合唱団名及びソリストの名前の記載はありませんでした。

 


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (1/7)


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (2/7)


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (3/7)


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (4/7)


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (5/7)


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (6/7)


Toscanini - Beethoven Symphony No.9 (7/7)

 

 曲の出だしのみをちょろっと耳にしたのみでありますが、何だか速いテンポで推移してそうな印象ですネ。

 とはいえ、私自身、トスカニーニが指揮している姿を以上列挙の映像たちによって初めて本格的に拝むことが出来ることは、貴重な体験であり、幸せに感じています。

 

 

【おことわり】
 『Google Video』や『YouTube』等の動画投稿サイトにて公開されている動画については、今後、投稿者或いは運営サイドの判断等により削除される可能性があります。その場合、お楽しみいただけなくなりますことを予めご承知おき下さい。

 

 

P.S.
 10月28日に開かれた『「第九」フェスティバル』に参加するため来日していた聖ヨハンニス教会合唱団の本拠としているドイツのニーダーザクセン州リューネブルク市について、徳島県、そして鳴門市と縁のある海外都市、と紹介しましたが、そのリューネブルク市(ちなみに鳴門市の姉妹都市)に於いて、6年前、ベートーヴェン「第九」そして現在の鳴門市内にあった板東俘虜収容所に収容されていた捕虜たちの故郷であるドイツへの里帰りの意味を込めた”里帰り公演”が行われましたが、その”里帰り公演”を主催した実行委員会のリーダーを務めていたのが、現在もNPO法人「鳴門第九を歌う会」の事務局長を務めている浅野司郎氏でした。

 

ドイツでの「第九」里帰り公演の実行委員長 ~浅野 司郎(あさの・しろう)さん
《徳島新聞Web版・2001/1/1-19:20付け掲載記事》
 「第九交響曲を作曲したベートーベン、そして鳴門市大麻町にあった板東俘(ふ)虜収容所にいた捕虜たちの故郷、ドイツ。そこで第九を歌う夢がついにかなう。わくわくしている」。二月の里帰り公演を主催する実行委員会の委員長として、また第九に魅了された一人として、今の気持ちを素直に表現する。
 
 里帰り公演は二月九日夜、鳴門の姉妹都市リューネブルク市の市立劇場で行われる。当時の捕虜の子孫と、その家族も招待する。「ドイツの人は『一に友情、二に音楽』が信条らしい。私もそう。捕虜と地域の人との温かい結びつきの中で第九は演奏された。今回の公演で、交流の輪をさらに広げたい」
 里帰り公演の合唱団は募集の結果、約百人(うち県内から八十人)に膨れ上がった。二十万円を超える旅費はすべて自己負担。「六十人くらいが参加してくれれば、と思っていた。うれしいやら、びっくりするやら。本当にみんな第九が好きなんだと思った」
 
 日本での第九初演は一九一八(大正七)年六月一日、板東俘虜収容所のドイツ兵捕虜たちの演奏会とされる。この歴史を記念し、鳴門市では八二年から毎年、第九の定期演奏会が開かれ、今年、二十回目を迎える。
 県内の小・中学校で三十八年間、音楽を専門に教師をし、第九演奏会には第一回からかかわる。九回目までは裏方だったが、「世話役ばかりではつまらない」と十回目から舞台に上がった。以後、毎年全国の第九仲間と歌声交流している。
 「合唱団とオーケストラで四百人を超す人が一生懸命、一つの曲をつくりあげ、完成したときの喜びは何物にも変えがたい」「同じ第九でも指揮者によっていろんな表情がある。山本直純さんは歌う喜び、小松一彦さんは第九の王道、小林研一郎さんはプロ意識を教えてくれた。ほかの指揮者も思い出深く、毎回が新鮮」。第九の魅力を語る舌は滑らかだ。
 第一回演奏会から歌っている妻里江さん(67)も今回の里帰り公演に参加する。鳴門市撫養町黒崎の自宅で、里江さんと息子家族の七人暮らし。六十六歳。

 

 「第九」日本初演の地に於ける「第九」合唱活動のリーダーは、「第九」を愛し、「第九」を通じた交流の輪の拡大に邁進していたことが窺えます《現在もその姿勢は変わっていないでしょうが…》。

 

 そのリーダーである浅野氏の本来の顔は、38年間務めてきた徳島県内の小・中学校の教員であり、次に紹介する毎日新聞記事にもありますように、2004年以降務めている鳴門市の教育委員でもあります。

 その教育委員としての浅野氏、ついに・・・

 

鳴門市教委:教育委員長に浅野氏を選出 /徳島
《毎日新聞Web版(毎日jp)・2007年10月27日付け掲載記事》
 鳴門市教育委員会は26日、任期満了に伴う新しい教育委員長に同市教育委員の浅野司郎氏(73)を選出した、と発表した。任期は08年10月まで。浅野氏は鳴門市第一小教頭、林崎小校長などを経て04年から現職。
 また同日、新教育委員長職務代理に同市教育委員の北野美紀氏(42)を選んだことも、あわせて発表した。【向畑泰司】

 

 鳴門「第九」を歌う会の運営のみならず、鳴門市の教育行政をも任されることとなった浅野氏、今後益々の活躍を期待したいところですネ。

 

 

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