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大阪厚生年金会館、存廃の危機(6)・・・総括として〔ホール存続のための私なりの意見(!?)も添えて〕

 第5回記事(北海道厚生年金会館編)から間が開いてしまいました・・・

 にもかかわらず、本ブログでもちょくちょく反応を頂戴しておりまして、申し訳ない限りデス。

 

 

 それで、今回は厚生年金会館に関する総括的なことをお話ししていきたいと思います。

 

 

◎ 愛知厚生年金会館関連記事から…

全国のホール併設型厚生年金会館を巡る存続運動の一覧《愛知厚生年金会館を除く;画像出典→読売新聞Web版(YOMIURI ONLINE)「中部発」・2006年4月12日付け掲載記事『(愛知)愛知厚生年金会館』》

 左に示す画像は読売新聞に掲載された『(愛知)愛知厚生年金会館』という記事本文内に掲載されている、当該記事でメイン素材として扱われている愛知厚生年金会館を除く全国のホール併設型厚生年金会館に於ける存続を巡った動きを示す一覧表となっていますが、このうち本ブログにて既に扱いました北海道・大阪・広島・九州の各厚生年金会館を除いた残り2施設、東京・石川の両厚生年金会館についてこの項にて簡単に紹介したいと思います。

 

● 東京厚生年金会館(東京・新宿区)

 先に示しました一覧表では、東京厚生年金会館の存続を願う動きについて・・・

 

 昨年(2005年)6月、『存続を願う会』発足。存続要望書と約25,000人分の署名を新宿区議会に提出、10月に全会一致で採択、同区議会から国へ要望書を提出した

 

とあり、実際ネット上でも新宿区議会に提出された『東京厚生年金会館が公共性の高い施設として存続するための意見書の採択を求める陳情』や、これを受けて審議した同区議会にて採択され、国に提出された『東京厚生年金会館を公共性の高い施設として存続することを求める意見書』が確認出来るわけですが、正直感じるのは、人口1,000万超を抱える首都・東京にあって、存続を願って集まった署名の数約25,000人というのはインパクトに欠けるということ《ちなみに広島厚生年金会館存続を願って集まった署名の数の3分の1程度》。 
 結局新宿区議会で採り上げてもらえて存続を要望する意見書の国への提出と相成ったわけですが、新宿区内には座席数2062席のこの東京厚生年金会館の他にも座席数1802席の新宿文化センター(こちらはNHKホールと同じくパイプオルガンを装備)が所在し、更に、当方が把握している範囲に於いて、東京都心に所在する座席数にして2,000規模以上の文化会館の類(クラシック音楽特化型も含む)としては・・・

 

 NHKホール(3,746席)
 東京芸術劇場(大ホール1,999席)
 東京文化会館(大ホール2,303席)
 オーチャードホール(最大2,150席)
 サントリーホール(大ホール2,006席)
 東京国際フォーラム(ホールA5,012席)
 渋谷公会堂(現「渋谷C.C.Lemonホール」;2,084席)
 日比谷公会堂(2,085席)
 ゆうぽうとホール(1,803席)
 文京シビックホール(響きの森文京公会堂;大1,802席)
 すみだトリフォニーホール(大ホール1,801席)
 新国立劇場〔オペラ劇場(大ホール)1,814席〕

 

と、首都・東京だけあって結構な数に上っているわけですが、首都が故に公演の数も他の都市と比べて桁違いに多く、上記列挙の文化会館の類にしても平均して最低でも5割以上の稼働率をたたき出している模様であり、東京厚生年金会館自体も年間平均で5割程度の稼働率となっている模様なので、仮にこの東京厚生年金会館が完全に消滅した場合、一回り小さい座席数1,500程度規模のホール(メルパルクTokyo東京オペラシティ等)も含めて、他の文化会館に完全吸収出来るかというと、出来ないことはないにしてもちょっと微妙かな・・・といった印象です。

 

● 石川厚生年金会館(石川県金沢市)

 失礼承知で申し上げるならば、全国に7つあるホール併設型厚生年金会館の中で存続運動が一番盛り上がっていないように感じるのはこの石川厚生年金会館と思ったりします。

 先に紹介した厚生年金会館存続運動一覧を見ても、他のホール併設型厚生年金会館が”「存続を求める解」を結成して署名活動を云々…”というふうに活動状況を具体的に記されているのに対し、石川厚生年金会館だけは「『存続を願う会』の設立を目指し運動中」とあるだけで、ネット上を眺める限りでは、現時点でもホール内外に於いて署名活動等の存続を願う運動の類を確認することが出来ません。

 実際、以下に紹介する朝日新聞掲載記事でも、石川県内、とりわけ金沢市内に於いて文化会館が余剰になっているようなことが記されているみたいで・・・

 

【金子健樹】会館と劇場
《朝日新聞Web版・2007年02月14日付け掲載記事》
◆帯に短したすきに長し◆
 名は体をあらわすというが、違っていた金沢市観光会館が改名するという。市文化施設名称検討委員会(へぇ! そんな会があったのか)が「金沢歌劇座」と決めたそうだ。
 「あら、金沢にも少女歌劇団ができるがけ」とか、「まん、観光会館より、ましやろ」という者。「なんやら、けつな(変な)名前やザ」とちゃかす人。「ヒマなこっちゃ、大のおとなが集まって」などと、口さがない金沢雀(すずめ)たちの賛否両論プラスαの声が聞こえるが……。まぁ、殺伐とした事件や事故のニュースが相次ぐなか、ほっとする話題かもしれない。
 
 私は、名前よりも中身の方に興味がある。
 「箱ものづくり」が得意の行政(県や市町村)は、市内県内の各地に似たような大きく多目的の会館を造ってきた。金沢市内では、石川県教育自治会館(通称「文教会館」)、県女性センター、県青少年総合研修センター(青年会館)、金沢市文化ホール、金沢市アートホール、専用の県立音楽堂や邦楽会館と自治体以外の県教育会館や厚生年金会館も加えて、ホール間の競争も激しいようだ。稼働率はあまり高くないから、収支勘定も厳しい。しかも、どの会館も使い勝手がよくないし、使用料が安くない。ばかに大きくて、個性も特徴もない。多目的に造られたホールは、自主公演よりも貸館で使われることが主流である。歌謡ショーや民謡大会などの大型の催し専用といってもいいだろう。――私たちが欲しい、見たい、使いたい小劇場は、ほとんどない。
 県内の市町村でも同様だ。小さい町や村に、年間に何回満員になるか知らないが、800人、千人以上の客席がある、ばかでかい立派な会館を造った。町村合併により、今や一つの市や町にいくつもの大型ホールをかかえて、あまり活用していない。「ひまあり座」や「雅覧堂(がらんどう)」とでも改名したらいい所も……。
 
 さて、いかにも名が体をあらわして、好ましい劇場を考えてみる。
 歌舞伎座は別格として、新橋演舞場も悪くない。外観も内部もお芝居を楽しめる雰囲気だ。お弁当つき、幕あいの休憩に食事をいただくのも最高だった。京都の歌舞練場も祇園に隣接した場所にあり、華やかで優雅である。兵庫県尼崎市のピッコロシアター。地方都市でも、こんなに使い勝手のいい小劇場があるのだ。300~400人のこぢんまりした客席と、ほぼ同じ広さの舞台と両袖があり、舞台が身近に感じられる。こんなところで芝居がやれたらいい、やってみたいと思う。さすが、近松門左衛門ゆかりの町だ。名古屋にもいいのが出来たらしい。
 県内では、能登演劇堂だ。旧中島町が、仲代達矢の無名塾との長い交流から生み出したものだ。舞台背後(ホリゾント)が開けられて裏山の自然とつながるのが、すごい。七尾市と合併した今も、その存在は光っている。
 金沢市内では、尾山倶楽部や立花座が思い出されるが、今は夢だ。しいて言えば、手ごろな大きさの文教会館だ。親しまれた通称を生かして「文興快館」とでも改名しますか。欲をいえば、まわり舞台や花道をつけたい。外観も少し和風にすれば、「梅鉢劇場」とか「鏡花座」とか……。しかし、県立だから、ダメだろうな。(「おあしす」代表)

 

 上記記事等から、金沢市内にある文化会館の類(一般的なホール仕様となっているもの)としては・・・

 石川厚生年金会館(1,707席)
 石川県文教会館(590席)
 金沢市文化ホール(899席)
 金沢市アートホール(308席)
 石川県立音楽堂(コンサートH1560席)
 金沢歌劇座(旧「金沢市観光会館」;1919席)

が挙げられるところですが、一劇団の代表が綴ったエッセイ風となっている上記記事によると、ホールがひしめいている割には各々の稼働率は何処もイマイチ、しかもホール間競争も激しい・・・とのこと。

 まあ、上記朝日新聞記事は劇団代表の視点で書かれているわけで、例えば音楽プロモーターの視点から記事を書かせた場合どのような文章になるのやら気になるところでありますが、それはともかくとして、稼働率の面で言うならば、石川厚生年金会館では、付きによりばらつきはあるものの、年間通しでは5割程度とみられていますが、ホールによっては催し物予定表に”すきま風”が吹いているようなところが見受けられますネ。

 

 

◎ ホールの無い厚生年金会館でも…

 本ブログでは全国に点在するホール併設型厚生年金会館7箇所を重点的に取り扱ってきましたが、それ以外の、つまりホールが併設されていない厚生年金会館に於いても存続運動は起こっていて、そのひとつ、鳥取市内にある鳥取厚生年金会館の存続を訴える運動を報じている以下の鳥取の地方紙・日本海新聞への掲載記事から・・・

 

「存続願う会」設立 鳥取厚生年金会館
《日本海新聞Web版・2005年6月24日付け掲載記事》
 社会保険庁所管の年金福祉施設の売却・廃止を進める独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」の設立(十月)を前に、整理対象となる鳥取厚生年金会館(ウェルシティ鳥取、鳥取市扇町)の利用者らが二十四日、「ウェルシティ鳥取の存続を願う会(仮称)」を立ち上げる。現在と同様の公的施設としての存続を目指し、署名活動などを展開する。
 
 同機構は、公的年金などを財源に整備され、保険料の無駄遣いとの指摘も出ている施設の整理を目的に発足。整理機構法案は今国会で成立、五年間で約三百施設の廃止や売却を進める。
 県内では、同会館、社会保険とっとり健康管理センター(鳥取市)、国民年金保養センターいなばじ(同)、とっとり社会保険センター(同)、ホールサムインかいけ(米子市)、ペアーレ米子(同)の六施設が対象となる。
 原則、売却は一般競争入札で行われる。▽売却に当たっては地元自治体とも事前に相談すること▽施設従事者の雇用に十分配慮すること-などの付帯決議もあるが用途は限定されておらず、公的性格が維持されるかどうかや、施設自体の存続も不安視されている。
 
 宿泊、集会など四事業を展開し年間約十二万人が利用する鳥取厚生年金会館は、取引業者百九社(うち県内業者八十二社)、従業員九十六人を抱える。今回の整理合理化が地元経済や雇用、各種全国大会の誘致などに与える影響は大きいとみられ、取引業者には「死活問題につながる」との懸念もあるという。
 このため、同会館利用者や取引業者ら有志が「願う会」発足の準備を進めてきた。役員二十人をはじめとする約百人でスタート。署名運動などに取り組み、機構発足前の九月ごろ、国に市民の声を届ける。
 設立総会は、竹内功鳥取市長ら県東部の首長らも出席し二十四日午後五時半から同会館で開催。発起人の一人、県物産協会の小谷寛会長は「雇用問題が大きいし、全国規模のコンベンション誘致のためには宿泊施設が足りないのが現状。存続できるよう全市民的な活動にしたい」としている。
 同会館は一九八八年三月にオープン。昨年度の経常利益は約三千三百万円となっている。

 

 年間利用者数は大阪厚生年金会館(全体で100万人超)の10分の1強に対して従業員96人に取引業者数109社(このうち県内業者82社)・・・上記日本海新聞の記事から、この鳥取厚生年金会館の場合は雇用問題や地元経済に与える影響を絡める形で存続運動を展開させているということが言えそうですね。

 ここで、私も今まで意識していなかったのですが、サミットAPEC首脳会議等に代表される各種国際会議や学会、そして国内の各種会議や展示会等の「コンベンション」の誘致を巡って、今、日本国内でも熾烈な競争状態となっているそうで、鳥取の場合は県内の主要都市も含めて国土交通省による国際会議観光都市」の認定を何処も受けておらず、自治体等が自分たちで誘致等しなければならない状況(例えば「コンベンションサポート」で示されているような取り組みとか)の中で、遠方から鳥取を訪れる会議出席者や展示関係者等を受け入れる宿泊施設の一つともなっている鳥取厚生年金会館が、今回の一連の年金福祉施設の一律廃止・売却の煽りを受けて、消滅の危機に晒されていることに自治体関係者等が焦りを感じているみたいですネ。

 で、この鳥取厚生年金会館についてネットを使って調べてみると、無料駐車場60台完備で宿泊施設部分の部屋数「全38室(定員55名)」《ちなみに私の地元に建つ大阪厚生年金会館の宿泊施設部分の部屋数は「全78室(定員116名)」》・・・

 部屋数だけで見た場合、鳥取市内には同類の宿泊施設が少なくとも4箇所存在し、残念ながら存在意義は薄いと言ってしまいそうなところでありますが、ただ上記日本海新聞記事の中で、大阪厚生年金会館の約10分の1にあたる数(約12万人)とはいえ、今年10月1日現在の鳥取県推計人口(599,830人)の約5分の1に相当する数の人の利用があったと報じられていることから《今年10月1日現在の鳥取県推計人口は朝日新聞の報道による》、宿泊以外の需要もそこそこあったとも推測出来るところですネ。

 ホール併設型厚生年金会館と比べて地元の人に対する直接的影響は小さいと思われる鳥取厚生年金会館のようなホール無しの厚生年金会館の動向についても、ある意味に於いて、注目すべきところでしょうし、雇用問題が絡んでいるということになれば全国7箇所に点在するホール併設型厚生年金会館も例外では無いわけだから、文化施設としての機能の今後と併せて、冷静に見守ることとしましょうか・・・

 

 

◎ 文化的な生活・・・

 この厚生年金会館に関する特集記事の初回記事の中で紹介した『「残さなあかん」声結集を』という新聞記事の本文中にて・・・

…民間に売却された場合、固定資産税の減免措置を受けられず、ホールなどを現状のままで運営することは困難。周辺地域はマンション建設ラッシュで、建て替えられる可能性も少なくない…

との懸念の意を示すと共に、

 マンションに変われば人の流れや街の活気が失われる。会館は大勢の客でにぎわっており、十把一からげに税金の無駄遣いと切り捨てられるのは理解できない。

との「大阪厚生年金会館の存続を願う会」副代表の言葉も紹介しています。

 このことに関して、興味深い資料をネット上で見つけることが出来ました。

 学芸出版社Webサイト内にアップされている『阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワークアーカイブス』の中に『まちづくりと民間文化施設』というコンテンツが掲載されているのですが、一通り目を通していますと、『和田ホール』から『新しいパトロン』にかけてのページのところで、フォーラムに出席していた不動産会社社長が口にした以下の言葉・・・

 マンションづくりを仕事にしてきましたが、 マンションは単に箱を作る時期から住むという時期を経て、 今は住人がその建物でどのように一生を過ごすかという時期に入ってきたと思っています。 それを考えておかないと、 これからのマンションは売れないでしょう。…
→『新しいパトロン』より

 これには私も感銘を受けました。
 ただマンションを造って売っておしまいというのではなく、その先のことをも見据えることも必要、とも強調しているためです。

 この言葉を口にしたのは12年前の阪神・淡路大震災で大きな被害を被った神戸市内を主な営業地域としている不動産会社の社長でありますが、新開地にコミュニティ・サロンの入ったマンションを造ったかと思えば、神戸市長田区に建設したマンションでは、自然を取り戻そうと、井戸を掘ってその井戸水を循環させてビオトープを1階に造成するということをやってのけ、果ては6年前(2001年、平成13年)に阪神深江駅前に完成したマンションでは、容積率の割増しに見合う公開空地として設定されたマンション1階部分の通り抜け通路を使って、屋内式の路地と共になんとミニホールも造られ、竣工の際、このマンション施工主である、今回紹介しているフォーラムに出席していた不動産会社がこの深江駅前のマンションの管理組合に、このミニホールへの常設用として、グランドピアノを寄贈したのだそうです《竣工式典の際、そのピアノでミニコンサートを開いたとか…》。

 今も折に触れてそのミニホールにてコンサートの類が開かれているかどうかは定かではありませんが、ただマンションを造るだけで終わりとするのではなく、地域ごとの事情等に合わせた街作りにも貢献したいこの不動産会社の意気込みというものを感じさせてくれる良い実例と言えそうですね。

 

 また『まちづくりと民間文化施設』フォーラムでは、文化施設を運営する側が「何をしたいのか」等をポリシーとして明確にしておかなければ単なる貸しホールとなってしまい、知らないうちにヤクザの集会に使われてしまうといったことにもなりかねない、とも指摘しています。

 九州厚生年金会館でも既にやってしまっていますしね《尤もホールではありませんでしたが→『九州厚生年金会館:公的施設で組長の還暦祝い 北九州市』》・・・

 

 大阪厚生年金会館の周辺を見渡しますと、既に賃貸のマンションを中心に何棟も建っているわけですが、各々のマンションの案内を見ますと、駅からの近さと共に「厚生年金会館まで何分」というふうに大阪厚生年金会館に近いことをも売りにしていたりもします。
 もし大阪厚生年金会館が不動産業者の手に渡り、マンションにされてしまおうなら、これまでのような”厚生年金会館に近い”ことを売りにすることが当然出来なくなり、そのことによってバリューも半減しかねないところでしょうネ。

 

 

◎ 私なりの考えとして(意見!?)・・・

 前回までの5回にわたって私の地元(大阪府)に建つ大阪厚生年金会館から始まって北海道・愛知・広島・九州の各厚生年金会館を一つ一つ紹介し、今回の記事では残る2施設、東京・石川両厚生年金会館についても触れてきました。

 これら7施設については来年(2008年)の9月に廃止・売却される運命にあるわけですが、「厚労省:年金福祉施設/6年以内に廃止または売却ヘ」というブログ内記事の記者は同記事のコメント欄に以下に示すことを綴っています。

…年金問題は、少なくても90年代前半に大改革が必要だったものです。
 年金福祉施設も、10年前には廃止の方向が明確になっていなくてはいけなかったことだと思います。
 それを怠った政府には責任があります。
 でも、ここで行われなかったら、もっと重い責任を後世の人たちに負わせることになります。
 廃止を速やかに決断し、断行するべきです。
 ただし、繰り返し申し述べます。働いている人に責任はありません。
 しっかりとした今後の道筋も考えなくてはなりません。

 要するにもっと早いうちに年金制度改革を行うべきであったと述べると共に、ただ廃止・売却で終わりではなく、その先のこともしっかり見据えるという態度をも求めているというわけですね。
 そのあたりは、地元自治体や住民、場合によっては財界をも巻き込む形で、これまで根付いてきた文化的街作りをどう継承していくのか、”自らの頭で考えて行動する”という姿勢が求められている、とも受け取れないこともないわけですね。

 で、現実はといいますと、昨今の国並びに各地方自治体の財政はとみに厳しくなっているとマスコミ等を通じて知るところとなっており(特に大阪市・大阪府・北九州市とか)、現状のままでは来年秋にも廃止・売却となってしまう全国7箇所のホール併設型厚生年金会館を各自治体が受け皿として買い取ることは困難とみられています《というか不可能か…》。

 しかも、「永田音響設計News 99-9号(カザルスホール自主公演中止に思う)」によると、ホールの運営が黒字となることはない。基本的にホールの運営は、自治体による援助や寄付金など、何らかの財政的な援助が無くては成り立っていかないものだ、とキッパリ述べると共に、ホールを運営するということは文化の育成を意味し、それはすなわち文化を育てるために必要な資金の問題。お金が余ったから文化に回すのか、文化を育てるためにお金を使うのか、この点に関するはっきりした意志が無ければホールの運営は立ち行かない、と継続的に文化会館を運営するために明確なポリシーを持つことの必要性を強調しています。

 そのため、仮に売却後も買収先によってホールとしての機能を維持していけることとなった場合でも、何もかもその買収先1箇所に負担が集中してしまわぬよう工夫が必要・・・なんて思ったりします。

 

 そこで考えつく方法として、北海道厚生年金会館について記した記事に於いて紹介した、地元の学識経験者が纏めた『北海道厚生年金会館存続にPPPが活用できないか』という資料の中で、東京・中野区にある中野サンプラザ等で見られるような、施設自体の取得は地元自治体或いは地元自治体・企業等が出資する第3セクターが行い、実際の運営は別の民間団体或いは企業にあたらせるというPPP(Public Private Partnership:官民パートナーシップ)の手法(鉄道等の公共交通機関の世界でよく聞かれるところの「上下分離方式」と似た感じのもの)を導入するというのが、負担の分散という観点から、有効ではないか、と考えます。
 買収(取得)者が地元自治体の場合は最近よく聞かれる「指定管理者制度」を活用する手が考えられるところですね。

 更にそこから、広島県立文化芸術ホール(旧広島郵便貯金会館)等が行っているようなネーミングライツ(命名権)を制度として導入したり、もしホール運営にあたるのが公益法人や公共法人、或いは民間のNPO法人の場合には、例えば岡山シンフォニーホールを運営している(財)岡山シンフォニーホールのように、「特定公益増進法人」〔NPO法人の場合は「認定特定非営利活動法人」(国税庁による”認定NPO法人”説明書きはこちら)〕としての認証を受けてもらうことで民間からの寄附金を受けやすくする(勿論寄附者に対する特典は魅力的なものとすべきなのは言うまでもありませんが…)等、財政面での負担を極力分散させるべき、と考えています。

 その上で、東京・墨田区にある「すみだトリフォニーホール」(→GRIPSレポート)等で見られるように、ホールの運営に際して何らかの明確なポリシーを打ち出し、それに沿って確実に運営していくと共に(決して漫然とならないようにする)、付随する宿泊施設等とも密に連携する形で運営を行い、効率よく収益を上げていけるカタチを作り上げて実行に移すことも重要になってくるのではないかとも思います。

 何れにせよ、社会的貢献を真に進めていこうとする意志を備えた企業或いは団体の手に渡るようにすると共に、負担を分散させるようなことを考えるべきところでしょう。

 

 

 一定のペースではありませんでしたが、とりあえずこの辺りで大阪厚生年金会館を起点とする全国7箇所に点在するホール併設型厚生年金会館の現状と存続への道についてみてきましたが、日本国憲法に盛り込まれている「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」ことの達成のためにも、病気を治療する病院(厚生年金病院)と共に文化活動の拠点としての文化会館(厚生年金会館)の両輪は揃っている必要があると考えている私自身でありマス。

 

 

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【関連記事(大阪厚生年金会館、存廃の危機)】
(1)文化発信拠点の売却、その背景とは、そしてそこに集う人々の想いは・・・
(2)他地域のホール併設型厚生年金会館も危機に~愛知厚生年金会館編
(3)他地域のホール併設型厚生年金会館も危機に~広島厚生年金会館編
(4)他地域のホール併設型厚生年金会館も危機に~九州厚生年金会館編
大阪厚生年金会館、存廃の危機(5)・・・他地域のホール併設型厚生年金会館も危機に~北海道厚生年金会館編
〔余録〕フェスティバルホールと大阪国際会議場(グランキューブ大阪)のこと

 

【関連記事(その他”厚生年金会館”のこと)
全国の厚生年金会館(ホール併設型)のいま・・・ひとまず安泰の石川・大阪・九州と、風前の灯火の愛知

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コメント

私も今年てっきり無くなってしまうものと思っていたのですが、ご指摘のとおり、2000人規模のホールが全くなくなるのはまずいだろうということで、今年の3月に大阪厚生年金会館の閉鎖は延期になったとのことです。
フェスティバルホールが完成するまでのつなぎということなのでしょう。

というか個人的にはフェスティバルホールが元のすばらしい音のまま新築できるのかがとても不安だったりします。


とりあえず元記事を張っておきます。

--------------------------------------------------

大阪厚生年金会館、閉館延期 13年春まで維持を検討
(2008年03月18日 asahi.com)


国の年金福祉施設の整理合理化計画に伴い、今年9月末で運営を停止する予定だった大阪厚生年金会館(大阪市西区)について、所有する年金・健康保険福祉施設整理機構(水島藤一郎理事長)は18日、閉館を10年3月末まで1年半延期することを決め、大阪市の平松邦夫市長に通知した。平松市長は今年3月7日、水島理事長に閉館延期を要望していた。
同機構によると、2400席の大ホールを含めて会館全体の運営期限を原則として延長する。ただ、10年9月末までに施設を入札・売却する方針は変わらない。ホール運営・維持には赤字が見こまれるため、落札者が運営を継続できるよう市に支援策を求めていく。
今年秋にフェスティバルホール(同市北区)が建て替えのため一時閉鎖されると、府内に2千席を超す音楽ホールは同会館だけになる。市は、落札者に対し、13年春まで同会館のホールを維持するよう求める予定だ。
市は05年から会館の存続を要望。存続を求める署名も15万人分以上が市に寄せられている。

 kumanomixさん、こんにちは。
 情報のご提供をありがとうございます!

 それにしても、申し訳ない限りです。
 本ブログでも、一時期、ホールが併設されている厚生年金会館について集中的に取り上げたことがあったのですが、その後の追跡というものをしないまま今日に至ってしまいました。
 この間、会館によっては新たな動きがあったとみられ(今回ご指摘の大阪厚生年金会館もおっしゃるような動きが確かにありました)、近々そのことについてこのブログにて記すことにしています。
 ご期待頂ければ幸いです・・・

 あと、フェスティバルホールについてですが、今年5月13日に出された朝日新聞を通じてのリリースの中で、5年後を目途に完成予定の新フェスティバルホールでは基本的に現在のフェスが持つ音響特性を継承させる、としているのですが、まぁ確かに実際出来上がってみないことには、音の響き方など、何とも言えないですよね。
 今はそれを期待しつつ約5年間待つしかないかなぁ、なんて思ったりします《ちょっともどかしいところですが…》。

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