フランス、そしてドイツで鉄道労働者等による大規模スト・・・冷や水差される「ユーロスター」と困惑する一般国民ら
去る11月14日、英仏間高速列車「ユーロスター(Eurostar)」の運転区間のうちのイギリス側区間、つまり英仏海峡トンネル(チャネル・トンネル、Channel Tunnel)のイギリス側坑口と「ユーロスター」イギリス側ターミナルでもあるセント・パンクラス(St. Pancras)駅とを結ぶ高速新線CTRL(High Speed 1、HS1)が全線開業となり、それまでウォータールー(ワーテルロー)国際駅をターミナルとしていた「ユーロスター」はこの日からセント・パンクラス駅発着に変更となったことは昨日掲載の「イギリスの高速新線CTRL(HS1)、全線開業・・・・・・「ユーロスター」運転全区間高速新線走行へ」の中で触れた通りであります。
イギリスの威信をかけて建設が進められてきた高速新線HS1、そして新ターミナルとなったセント・パンクラス駅の駅舎全面改修及び増築・・・セント・パンクラス駅のリニューアル・オープンに臨席していたエリザベス女王もご満悦の様子でしたね。
そんなイギリス国内のお祝いムードの一方で、「ユーロスター」の基となった高速列車TGV発祥の地・フランスではただならぬ事態が起きていました・・・
前回掲載記事の中で紹介した、「ユーロスター」営業運転開始(1994年11月14日)以来約13年間、イギリス側のターミナル駅としての役割を果たしてきたウォータールー国際駅に、去る11月13日の夕方(イギリス時間)、パリから最後の「ユーロスター」が入線してきたことを報じている『ロンドンのウォータールー駅にユーロスター最終列車が到着』という記事の終わりのほうで、現地時間で去る11月13日夜からフランス国内にてフランス国鉄(SNCF)の職員による無期限ストライキに入っていることが報じられていましたね。
実はイギリス・ウォータールー国際駅の営業最終日となっていた去る11月13日の夜、ドーバー海峡を挟んで反対側に位置するフランスに於いて、サルコジ政権による改革を巡り、フランス国鉄(SNCF)の職員らが抗議の意を示すための無期限ストライキに突入していたのです。
このストライキは約10日間続き、世論の支持を背景にして、サルコジ仏大統領はストに対する断固たる姿勢を見せる一方で代替となる妥協案も労組側に提示、しかし同時に収拾の2日前(11月21日)からはフランス国鉄やパリ市交通公団が政府代表と労使を交えた協議を開始、この協議は12月中旬まで続く見通しであり、その行方を見極めようとしてストを収拾させたとの見方も存在します。
表面的には、かつて旧国鉄等の労働組合(公労協)が昭和50年(1975年)の11月26日から8日間・192時間にわたって打って出た「スト権奪還スト」(スト権スト)を思わせるような感じでしたが(ストの期間も今回のフランスの無期限ストのほうが2日間長い)、国鉄等によるスト権ストが終戦後のGHQ指令で「社会的影響が大きい」として剥奪された官公労働者のストライキ権を取り返すため打たれたものであるのに対し、今回フランスで打たれた無期限ストはサルコジ政権による年金改革に対する反抗が主目的となっていたということで、性格的には互いに全く異なるものだったわけですネ。
ところで今回起きたフランスの鉄道労働者等による無期限ストライキ、実はその端緒と思われる動きが約1ヶ月前に同じく鉄道現場で起きており、それが芸術の現場にも飛び火していった格好となったわけですが、今回の記事ではその端緒と思われる動きから今月起きた無期限ストライキとその収拾までを、それぞれ関連する新聞記事たちを交えながら、追ってみることにしました。
◎ スト1発目(無期限ストの端緒)~10月18日
無期限ストライキの約1ヶ月前にあたる先月(10月)の17日夜、サルコジ仏政権による年金制度改革に反対してフランス国鉄(SNCF)やパリ地下鉄等がストライキを決行、翌日(18日)にはフランス国内の公共交通機関がほぼマヒ状態に陥っていたそうです。
「仏で大規模交通スト サルコジ政権の年金改革に反対」 《朝日新聞Web版・2007年10月18日付け掲載記事》 【注/記事掲載元サイト、掲載期間終了・削除済】 |
サルコジ仏政権の年金制度改革に反対するストが17日夜から始まり、18日は国鉄など仏全土の公共交通機関がほぼまひ状態に陥った。「もっと働き、もっと稼ごう」をスローガンにサルコジ氏が大統領に就任して5カ月。だが、移民規制策への批判やセシリア夫人との離婚騒動も重なり、支持率も下降気味。「痛みを伴う改革」は初の正念場を迎えた。 ストは18日、国鉄がほぼ全面運休。新幹線TGVは700本のうち46本だけ。パリでは地下鉄も本数が大幅に削減された。教師不在で一部の授業を取りやめた小学校もあった。国立オペラ座は職員のストで公演をとりやめた。 焦点の年金改革は、国鉄や電力公社などの公共サービス部門について勤続37.5年を受給資格としている現行制度を、2012年までに民間並みの勤続40年にする内容。「大きい政府」の象徴だとして、サルコジ氏はメスを入れる構えだ。 95年にもシラク前政権が改革を試みたが、仏全土が3週間ものストでまひし、97年の総選挙の与党敗北につながった。以降、シラク政権は構造改革に消極的になったとされる。 優遇制度を疑問視する世論に配慮して、労働界には当初ストに慎重な声もあった。だが国鉄関連労組の呼びかけに、他の公共部門の労組が次々に参加を表明した。 労働総同盟(CGT)のチボー事務局長は「政府を再交渉のテーブルに引きずり出す」と述べ、再ストも示唆。パリの地下鉄の一部では19日もスト継続が決まるなど、長期化の可能性もある。 大規模ストが実現した背景には、企業への優遇税制などで労働者の超過勤務を容易にするなど、仏伝統の「働き方」の概念を強引に変えようとするサルコジ政権への懸念の高まりがある。なるべく早く一線を退き、年金生活に入るのを待ちこがれる人も少なくないだけに、改革は国民全般の反発に火をつけかねない。 今回のストは、サルコジ政権発足以来の「ご祝儀期間が終わった」(社会党議員)ことも象徴する。移民の呼び寄せ家族がDNA検査で血縁関係を証明できる制度の導入をめぐっては、政府や与党内からも異論が噴出。腹心だったフィヨン首相との不仲説やセシリア夫人との離婚騒ぎなども響き、支持率が6割を切る世論調査も出始めた。 |
「年金改革反対で本格スト フランス全土、対立長期化か」 《共同通信社『47NEWS』・2007/10/18付け掲載記事》 |
【パリ18日共同】フランスの鉄道や電力など公共企業の「特別年金制度」をめぐり、政府の改革方針に反対するストライキが18日、全土で行われ、鉄道や地下鉄など公共交通機関の多くが運休した。5月に就任したサルコジ大統領が初めて直面する本格ストとなったが、政府は改革断行の決意を鮮明にしており、対立は長期化しそうだ。 フランス国鉄は12年ぶりに8つの主要労組が足並みをそろえ、一足早く17日夜からスト入りした。高速鉄道TGVが通常の1割未満しか運行しない見通しのほか、在来線も運休が相次いだ。パリでは地下鉄、バスが間引き運転となり、首都圏高速鉄道RERの一部路線や路面電車が止まった。 鉄道の一部労組は無期限ストを呼び掛けているが、多くは18日夜から19日朝までにいったん収拾し、政府の反応を見極める方針。 |
「仏大規模交通ストが2日目に突入、国民の過半数は大統領を支持」 《『AFPBB News』2007年10月19日付け掲載記事》 |
【10月19日 AFP】仏政府の特別年金制度改革に反対する公共交通職員らによる大規模ストライキは19日、2日目に突入した。最大規模の労働総同盟(CGT)は延長に反対しているものの、2労組が24時間のスト延長を決定した。主要労組幹部らは22日に会合を開いて今後の対応を協議する。 仏国鉄(SNCF)は「19日も終日ダイヤが大幅に乱れる」として利用客に注意を呼び掛けている。 政府側はストに屈服せず、改革を続行する姿勢だ。 ■通勤の足大きく乱れ、レンタル自転車が大活躍 18日の仏各地では、公共交通機関がほぼストップし、通勤客や観光客らに大きな影響が出た。出勤をあきらめる人が多い中、徒歩や自転車で職場に向かう人々の姿が見られ、今年サービスを開始したセルフサービスのレンタル自転車「ベリブ(Velib)」のレンタル回数は18日だけで過去最高の13万5000件を記録した。 警察発表によると、仏全土でデモ参加者は15万人に上った。労組側は、パリ1都市のみで2万5000人が参加したとしている。 ■美術館休館、演奏会も中止、大統領邸宅は電力供給がストップ オルセー美術館(Musee d'Orsay)やルーブル美術館(Louvre)などいくつかの美術館が休館になったほか、オペラ座やコメディ・フランセーズ(Comedie Francaise)では夜の演目が中止された。 ストには電力会社職員も参加し、サルコジ大統領が使用するベルサイユ(Versailles)宮殿敷地内の政府所有の邸宅「ランテルヌ(La Lanterne)」への電力供給が止まった。 ■社会党は政府を攻撃 大規模ストライキについて、4月の仏大統領選挙でサルコジ大統領に破れた社会党(PS)のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏は、大統領の選挙公約である「成長と信頼」が「不信と横暴」に変わったことを意味すると述べた。 また、社会党関係者らは、サルコジ大統領がデモ当日にセシリア(Cecilia Sarkozy)夫人との離婚を発表したのは、報道の影響を弱める意図によるものだとの見方を示している。 ■世論はサルコジ大統領を支持 ただ、19日に発表されたフィガロ(Le Figaro)紙と報道専門TV局LCIの世論調査では、仏国民の67%がサルコジ大統領の提唱する特別年金制度改革に賛成しており、反対は30%にとどまっている。 この世論調査は17日から18日にかけて、大人916人を対象に行われたもの。ストの期間については40%が「あと数日は続く」と考えており、32%が「長期間におよぶ」、27%が「すぐに終結する」と考えているという。 |
フランスでは、今回のサルコジ政権に限らず、改革を行うたびに長期間のストライキが起きている・・・今の日本ではちょっと考えられない事象ですね、これは《尤も日本人だって、庶民を中心に、内心では怒っていることでしょうが…》。
また世論の動向はといいますと、サルコジ政権が打ち出した年金制度改革に対しては7割近くが支持していると報じられていますが、その反面、サルコジ政権自体に対する支持率となりますと、腹心の部下との不仲説や大統領夫人の離婚騒ぎ等が災いし、6割を割り込む世論調査の結果も出始めているとも報じられていて、なかなか一筋縄にはいかない様子。
そして日本共産党の機関紙『赤旗』も・・・
「年金対決 長期化へ ~政府の強硬姿勢に反発・労組「制度守れ」」 《『しんぶん赤旗』2007年10月22日(月)付け掲載記事》 |
【パリ=山田芳進】フランス政府提案の特別年金制度改革に反対する公共交通機関労働者などが行った十八日の全国ストは、高いスト参加率で「大成功」(労働総同盟=CGT)となりましたが、フィヨン首相は「改革は成功へと導かれるだろう」と発言。双方ともに対決の構えで、たたかいは長期化する可能性が強まっています。 フィヨン首相は十九日、改革の柱である年金保険料納付期間の四十年への延長は「交渉の余地はない」と断言。改革案が「不安を引き起こし、なかなか理解されないことは分かる」が、納付期間を民間部門と調和させることは「すべての国民の平等が要請し、高齢化が課すものだ」と正当化しました。 この議論に対しCGTは、改革案反対運動の呼びかけで、「平等であろうとして画一化する必要はなく、また低い基準に合わせることは最悪の解決方法だ」と述べています。そのうえで、特別制度を守るたたかいは、一部の職種の特権を守ることではなく、すべての労働者に共通する年金の権利を守ることだと強調しています。 十八日のストは、国鉄の八労組が共同で呼びかけましたが、改革案への考え方については、納付期間延長の是非や速度をめぐって労組間に違いがあります。CGTは、すべての労働者に六十歳定年を保障するために、企業への新たな保険料負担を提案しています。 また運動方針についても温度差があり、CGTは十八日限りの二十四時間ストを掲げていましたが、一部の組合は要求貫徹までの無期限ストを継続し、交通の一部はまひした状態が続いています。 週明けにベルトラン労働相は組合の代表を集めた「対話」を計画しています。その結果次第で、組合側は新たな対応を決断することになります。 |
この時のストライキの火種となったサルコジ政権による年金改革というのが「国鉄や電力公社などの公共サービス部門について、勤続37.5年を受給資格としている現行制度を2012年までに民間並みの勤続40年」とすることのようですが、これに反対するフランスの労働総同盟(CGT)の説明「平等であろうとして画一化する必要はなく、また低い基準に合わせることは最悪の解決方法だ。特別制度を守るたたかいは、一部の職種の特権を守ることではなく、全ての労働者に共通する年金の権利を守ることだ」・・・しかしこれでは鉄道を利用する側である多くの一般民の納得を得ることは難しいでしょう。
もっと具体的な説明が欲しかったところですネ。
ところで、この10月17日夜から突入した1発目のストライキに関し、福岡の地元紙・西日本新聞に、スト収拾の2日後(10月21日)の日付で、突入の翌朝(18日朝)のフランス特派員の手記とも思える興味深い記事が掲載されているのを見つけました。
「暗黒の木曜日」 《西日本新聞Web版・2007/10/21付け掲載記事》 |
待ちに待った、じゃなくて「暗黒の木曜日」(地元新聞)と評されたフランス公共交通機関の一斉ストライキ。大規模なストを日本で体験したことがないので、18日は興味津々で出勤した。 自宅からパリ支局までは国鉄と地下鉄を乗り継いで35分。普段より一時間早く出発し国鉄駅に寄ったが、まったくの無人。近くのトラム(路面電車)の駅には、予告された「間引き運行」に期待する通勤客が集合していたが、「当分、運行予定はありません」と非情なアナウンス。みんなため息をつきながら散っていった。 バスも見えない。気合を入れて地下鉄を目指し、セーヌ川沿いを歩いた。隣の幹線道路は渋滞でノロノロ運転。小一時間ほど歩いたところで、近くに止まった車の運転手が「乗る?」と窓越しに誘ってくれた。地下鉄の駅は近くだったが、お礼を言って車に乗った。 支局に無事到着し「何とかなるもんだ」とたかをくくっていたら、夜は暗転。バスに乗ってルートを3分の1ほど走ると、運転手が突然「降りろ」と言うではないか。結局、帰宅に2時間半もかかってしまった。 ストに寛容と聞いていたフランスだったが、直前の世論調査で国民の55%が「ストは正当化できない」と答えたのは意外だった。ただ、車に乗せてくれた男性の思いやりに、フランスならではの市民の連帯意識を感じた1日でもあった。(パリ・高木昭彦) |
思わぬところで「自由・平等・博愛」の精神が生きていることを実感させられた出来事なのか!?
◎ スト2発目(パリのオペラハウスにて)~10月26日
サルコジ仏政権による年金制度改革に反対する一連のストライキでありますが、前記の1発目ストライキの突入から9日後、今度はパリ市内にあるオペラハウスにて2発目のストライキが勃発しました。
「パリのオペラ座も年金制度改革反対でストライキ、6公演が中止」 《『AFPBB News』2007年10月30日付け掲載記事》 |
【10月30日 AFP】年金改革に対するストライキを続行中のパリ国立劇場オペラ座(Opera National de Paris)で、29日に新たに2つの舞台がキャンセルされた。26日以降ストライキのため上演中止となった舞台は、これで計6回となった。 ストライキは31日まで続く可能性もあるとみられ、これ以上ストライキが続く場合、その損失は220万ユーロ(約3億6400万円)にのぼる恐れもある。 29日にキャンセルされたのは、旧オペラ座のガルニエ宮(Palais Garnier)で行われる予定だった振付師Briton Wayne McGregorによるバレエ公演「Genus」と、Angelin Preljocajによる「Medea's Dream」、さらにバスティーユ劇場(Opera Bastille)で行われる予定だったオペラ公演の「トスカ(Tosca)」。28日のMcGregorによる「Genus」のワールドプレミアのみは予定通り開催された。 ストライキの原因となっているのは、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が提唱している公務員の年金優遇の廃止だ。 パリ国立オペラの1680人の常勤職員に適用されている年金制度は、ルイ14世が1698年に同オペラの前身であるRoyal Academy of Musicのために設けたフランスでも最も古い年金制度のひとつ。これによれば、154人のダンサーは、10年間の納入期間を満たせば、最も若くて40歳で引退でき、長くても42歳までには引退しなければならない。合唱団の102人には、50歳の定年が設定されている。 この年金制度は、オペラの仕事に携わる人たちの体力的な負担を考慮して設置されたものだが、同時にアーティストたちの回転率を高めていた。 現在、この年金制度の加入者からの納入金が不足していることから、これを補うため国家が毎年1000万ユーロ(約16億5000万円)を支出している。 また、フランスの特別年金制度により不足する資金を国が補填する金額は、年間50億ユーロ(約8300億円)にのぼるという。 |
「パリのオペラ座、スト突入 公演キャンセル相次ぐ」 《朝日新聞Web版(asahi.com)・2007年10月31日付け掲載記事》 |
パリのオペラ座のスタッフが仏サルコジ政権の年金改革への反発からストに突入し、公演が相次いでキャンセルされている。オペラ座職員が17世紀から享受してきた手厚い年金制度が危機に直面している、との理由からだ。ただ、日本などから訪れたファンらはがっかりしているようだ。 パリジャン紙によると、パリにあるガルニエ、バスチーユの二つのオペラ座の職員は、1698年にルイ14世によって創設されたといわれる年金制度に守られてきた。バレエ団のダンサーは40歳、合唱団は50歳、技術職のスタッフは55歳での定年を認められる。ただ、現政権の年金改革で特例が廃止されると考えた音響係、照明係らが26日にストに突入。日曜日の28日を除き、公演への参加を拒否した。 オーケストラのメンバーは投票でスト不参加を決めたものの、音楽だけでは舞台にならない。30日も、ガルニエで予定されたベルディのオペラ「椿姫」、バスチーユで予定されたプッチーニのオペラ「トスカ」が中止になった。入場券払戻窓口は観光客で長蛇の列に。中には職員に詰め寄る人もいるという。 ストはとりあえず31日までで、11月1日には公演が再開される見通しだが、労組側は「改革を撤回するまで今後もストはやめない」との方針を明らかにしている。 |
「仏オペラ座スト続く 優遇年金改革に反対 上演中止損失3億円超」 《西日本新聞Web版・2007/10/31付け掲載記事》 |
【パリ31日高木昭彦】パリの国立劇場オペラ座で、サルコジ大統領の年金制度改革に反対する職員のストライキに伴う上演中止が続いている。ストは31日まで通告されており、オペラ座の損失額は220万ユーロ(約3億6400万円)に上る見込み。 ストは26日から、オペラ座ガルニエ宮とバスティーユ劇場で始まり、道具係や照明係の職員らが参加。出演者は加わっていないが、ベルディの「椿姫」とプッチーニの「トスカ」がキャンセルされるなど、30日までに8つの舞台が上演中止に追い込まれた。 オペラ座1680人の常勤職員に適用されている年金制度は、ルイ14世が1698年に創設した最も古い年金制度のひとつ。保険料納付期間が短く、バレエダンサーは40歳、合唱団員は50歳、舞台技術者は55歳でそれぞれ年金受給資格を得られるよう優遇されている。 上演中止に伴うオペラ座のイメージ低下を心配する声も内部から出始めているが、組合幹部は新たなスト通告をほのめかすなど、打開の糸口は見えていない。スト参加者は「年金問題の交渉に応じない政府を動かしたい」と話している。 |
2発目のストライキは5日間続いたとのことですが、たまたまこの時期にフランスを訪れた外国人観光客たちはさぞかし不運だったでしょうネ・・・
◎ スト3発目(いよいよ無期限スト)~11月13日
そして今回の記事のメインとなります、去る11月13日の夜に突入した、フランス国鉄(SNCF)の労働者等による無期限ストライキへと進展するわけですなぁ。
「仏、再び国鉄ストへ ~年金改革反対 他の公的部門も呼応」 《『しんぶん赤旗』2007年11月2日(金)付け掲載記事》 |
【パリ=山田芳進】フランス国鉄(SNCF)の六組合は十月三十一日、政府が目指す特別年金制度(公共企業体労働者が対象)の改革に反対して、十三日の夜から改めてストを行うことを決定しました。各組合は十月十八日のストの後、政府から満足のいく回答がなければ新たなストについて三十一日に決定するとしていました。 これに対しSNCFのギヨーム・ペピ最高経営責任者は同日、ストの呼び掛けは「理解できない」と発言。経営陣は、五十五歳を超えて働く労働者の賃金見直し、私企業にあってSNCFにない補助年金制度の創設について、すべての組合がテーブルについて話し合うことを提案しています。 十月十八日のストに合流した仏電気・ガス公社(EDF・GDF)の多数派組合は、SNCFのストに合流することを決定。同様にパリ市交通公団(RATP)の組合も、八組合のうち七組合が同日、政府が年金改革案を見直さなければ新たなストを開始すると警告し、来週冒頭まで政府の明確な回答を待つとしています。 |
いわゆる無期限ストライキへの突入指令、ということですわな《昭和50年(1975年)の「スト権スト」を前に出された公労協による「スト権スト」突入指令を思わせますね》。
そして、その無期限ストライキに突入して以降の顛末を、関連の新聞記事たちを使って、以下のように掲載日付(可能な限り時刻も)順に並べていくことで追ってみますと・・・
「仏鉄道で無期限スト突入、大統領は決意再表明」 《『AFPBB News』2007年11月14日=09:12付け掲載記事》 |
【11月14日 AFP】仏鉄道会社の労働者らは13日、無期限のストライキに突入した。ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が公約する改革を巡り、組合と大統領の対決が始まった。 現地時間午後8時(日本時間14日午前4時)にストに突入したフランス国鉄(SNCF)を皮切りに、今後はパリ市内の地下鉄やフランスガス公社(GDF)、フランス電力公社(EDF)へと広がる見通し。 パリ市交通公団(RATP)やSNCFの経営陣によると、通常700本の高速鉄道TGVの運行が、現在は90本のみ。パリ市の公共交通機関は混乱しており、地下鉄はほぼ全面運休となっているという。 ■サルコジ大統領は決意を再表明 スト開始数時間前にはサルコジ大統領が、自身には改革制定の権限があるとして、経済改革を「最後まで」実行すると改めて決意表明している。 大統領報道官によると、サルコジ大統領はSNCF、RATP、EDF、GDFの代表を集めて話し合い、「今後の状況と見通しについて判断」したという。 労組側は無期限のストライキを呼び掛けており、来週には公務員や教師なども抗議活動に参加する見通しで、経営陣らは大規模な混乱に陥ると予測している。 ■争点は年金問題、大学改革で学生らもデモ開催 争点は現在の年金制度で一部公務員に認められている50歳からの退職についてだ。現在、給付金が不足していることにより、国から年間50億ユーロ(約8110億円)が特別年金基金に注入されている。 政府は1995年にも特別年金改革を実行しようとしたが、3週間に及ぶストとデモにより、ジャック・シラク(Jacques Chirac)前大統領は断念を余儀なくされた。 世論調査によると、サルコジ大統領が提唱する改革には多くが賛成しているという。 また、国内85校のうち約20校でも、大学改革に反対する大学生らが学校を封鎖している。パリ第10大学(Paris X University)では、フランス警察当局が警棒や催涙ガスを使用して学生デモの解散を試みた。 |
「フランス国鉄、年金問題でスト突入」 《『CNN.co.jp』2007.11.14=11:33 (JST) 付け掲載記事》 |
パリ──フランスでは13日午後8時、国鉄職員らが政府の特別年金制度改革に反対し、無期限ストに突入した。パリ市内の公共交通機関の職員らも12時間後に合流する見通しで、サルコジ大統領がどのように対応するか注目される。 フィヨン首相は民放TF1に対して譲歩する可能性を否定。その一方、職員らと敵対する意思がないことを強調し、ストの早期終結を呼びかけた。 国民の大半はストを支持していない。左派系朝刊紙リベラシオンの世論調査では、政府を支持するとの回答が59%を占め、職員側を支持するとの意見は35%にとどまっている。ただ、パリ市内の地下鉄や郊外の住宅地を結ぶ鉄道路線の運行が大幅削減されるため、通勤客への打撃は必至だ。 フランスの法律では、公共交通機関の運行がストで完全停止することはない。通常1日700本の高速列車は90本に削減され、通勤列車の本数も普段の10分の1となる。 フランスでは先月にも、鉄道やバスや電力・ガス会社の職員、公務員の一部がストを決行した。今回のストには学生団体も参加し、鉄道駅周辺の道路を封鎖する。 |
「仏労組が無期限スト突入 「サルコジ改革」正念場」 《中日新聞Web版・2007年11月14日付け掲載記事》 |
【パリ=牧真一郎】16日に就任半年を迎えるフランスのサルコジ大統領の改革路線が、正念場を迎えている。一部公務員を優遇する「特別年金制度」の撤廃を目指す方針に労働団体が反発し、13日夜から公共交通機関などで無期限ストライキに突入。国立大学でも大学当局の自治権拡大政策に対する抗議運動が激しさを増し、「ストがあろうがデモがあろうが改革は断行する」と突っぱねる大統領を揺さぶっている。 特別年金は国鉄の運転士など、過酷とされる職種の退職年齢を引き下げる制度。パリ・オペラ座の優遇制度は17世紀にスタートし、ダンサーは早ければ40歳で退職年金を取得できる。 過去にも右派政権がメスを入れようとしたが、労組側の反発で失敗に終わった経緯がある。1995年に当時のジュペ内閣が抜本的な年金制度改革を目指した際には、3週間にわたるゼネストを招き、2年後の解散、総選挙につながった。 サルコジ氏は今春の大統領選で制度の撤廃を公約。漁師と炭鉱作業員を除いて廃止する方針を決めたフィヨン内閣と労組側が交渉してきたが、不調に終わった。サルコジ氏は「私は難しいことをするために国民から選ばれた」と一歩も引かない構えだが、労組側は「交渉姿勢は見せかけだけ。労組のイメージを悪くするためにわざとストを誘発した」と不信感を募らせている。 また、今夏に成立した大学自治法の撤廃を求める学生運動も活発化。大学の民営化や序列化につながるとして、全国約40の国立大学のうち13の学生組合がストライキを決め、キャンパスの一部は閉鎖されている。 13日付の仏紙リベラシオンによると、サルコジ氏の支持率は54%で、1カ月前に比べて7ポイント下がった。改革そのものは依然として国民の約6割が支持しているが、石油製品などの物価高騰で購買力が落ちる中、サルコジ人気に陰りも見え始めている。 |
「仏国鉄で無期限スト突入 サルコジ氏、譲歩せず」 《共同通信社『47NEWS』2007年11月14日付け掲載記事》 |
「仏国鉄が無期限スト突入、地下鉄なども計画」 《『NIKKEI NET』2007年11月14日付け掲載記事》 |
「仏国鉄、無期限ストに突入」 《『産経イザ!』2007年11月14日付け掲載記事》 |
フランスの鉄道や電力など公共企業の「特別年金制度」をめぐり、政府の改革方針の変更を求めるフランス国鉄の労組は13日夜(日本時間14日未明)、他の公共交通機関に先駆けて無期限ストに突入した。 14日には他の交通機関の労組もストに加わり、市民生活に大きな影響が出るのは必至の情勢。サルコジ大統領は13日、「改革は最後までやり遂げる」と述べ、ストには屈しない姿勢をあらためて鮮明にした。 20日には人員削減に反対する公務員らのストが、29日には裁判所の統廃合に反対する司法職員のストが予定されている。大学改革に反対する学生らによる大学封鎖の動きもあり、サルコジ政権は試練を迎えている。 13日にスト入りしたのは国鉄の主要8労組のうち7つの組織。14、15両日の国鉄の運行は通常の20-25%に落ち込む見通しだ。国鉄当局は「16-18日も運行に支障が出る可能性が極めて高い」とし、利用者に旅行計画の見直しを呼び掛けている。 年金改革をめぐる政府と労組側との13日の協議で、労組側が政府に歩み寄る兆しも見られ、今後の展開は予断を許さない状況だ。 14日にはパリなど大都市の地下鉄やバス、路面電車などの交通機関や電力、ガスの労組がストに入る。 |
※ 青字=『NIKKEI NET』及び『産経イザ!』各掲載記事のみに見られる段落 ※ 赤紫字=『産経イザ!』掲載記事のみに見られる段落 ※ 『NIKKEI NET』掲載記事は、元記事である『47NEWS』掲載記事と比べ、段落単位での記述順序の変更等が見られる |
「フランス国鉄の無期限ストに他の労組も合流」 《『AFPBB News』2007年11月14日=15:22付け掲載記事》 |
【11月14日 AFP】フランスでは仏国鉄(SNCF)職員による13日夜からの全国無期限ストを皮切りに、パリ市交通公団(RATP)、フランス電力公社(EDF)なども14日からスト実施を予定している。ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領が掲げる年金改革案に反対する各組合によるストが今後も相次ぐとみられる。 以下は、各団体のストの動き。 ■フランス国鉄(SNCF) 8つの労働組合中、7組合が、現地時間の13日20時に無期限ストに突入。一方、鉄道運転手の3割が加入するFGAAC労組は前月、SNCF側との交渉が妥結しており今回のストには参加していない。 通常一日700本が運行する高速列車TGVも運行本数が一日90本と大幅に減る。ロンドン-パリ間を結ぶ高速列車ユーロスター(Eurostar)については、通常通り運行される見込み。 ■パリ市交通公団(地下鉄、バス) 8つの労働組合中、5組合が、現地時間の14日、無期限ストに突入。このほか、野党社会党系のフランス民主労働総連合(CFDT)およびフランス・キリスト教労働者同盟(CFTC)は24時間ストライキを計画。一方、管理職の全国組合、幹部総同盟(CFE-CGC)は参加していない。 14日に運行する地下鉄は通常の1割となる見込み。 ■フランス電力公社(EDF) 7つの労働組合中、無期限ストに参加するのは4組合のみ。組合側は、複数の都市で電力供給を停止する可能性もあると警告。 ■オペラハウス(Opera House) オペラ業界に従事する労働者が所属する労組では、14日などにストライキを決行する予定。仏国立劇団コメディ・フランセーズ(Comedie Francaise)の職員らも無期限ストを計画。 前月のストでは10演目がキャンセルされた。 ■教員組合 人員削減に抗議する5つの労働組合が20日からストを決行する予定。フランス学生連合(UNEF)ほか学生連合2団体がストを支持。 ■学生組合 仏全土85大学中、10大学が学生らによる政府抗議活動で閉鎖。学生組合のリーダーらは13日、仏全土の国鉄駅でバリケードを築くよう呼び掛けた。 ■郵便・通信組合 仏郵便局、フランステレコム(France Telecom)の従業員らが所属する5つの労働組合が、労働条件の改善を求めて、20日からストを予定。 ■公務員組合 8つの労働組合が、人員削減と賃上げを要求する24時間ストライキを、20日に決行予定。 ■気象局職員組合 フランス気象局(Meteo France)職員が所属する5つの労働組合が、人員削減などに抗議する波状ストを20日から決行するとの共同声明を発表。 ■司法関係者組合 予審判事および裁判所職員らが、ラシダ・ダチ(Rachida Dati)法相の司法改革案に反対する一日間のストおよび抗議デモを29日に実施する予定。 |
「仏サルコジ政権下で2度目の交通スト 長期化の可能性も」 《朝日新聞Web版(asahi.com)・2007年11月14日=20時35分付け掲載記事》 |
フランスのサルコジ政権が進める年金改革に反対する交通機関のストが13日夜、始まった。同政権下での大規模な交通ストは2回目だが、今回は大学改革に反対する学生らの抗議行動が同時進行中。サルコジ改革に抵抗するすそ野が広がっており、ストが長期化する可能性もある。 ストは国鉄から始まり、新幹線TGVは8本に1本程度の運行に制限。14日はパリ交通公団が加わってピークを迎え、地下鉄の運行は大幅に削減されている。 焦点の年金改革は、国鉄などの公共サービス部門で受給資格を得るための勤続期間を民間並みに延長する内容。労組側は現状維持を主張している。並行して熱を帯びているのが、大学改革に反対する学生たち。「民間資本導入に道を開き、企業の言いなりになりかねない」と反発。各地で大学構内を占拠し、13日には催涙ガスを使った警察との衝突などもあった。 |
「フランス:国鉄が無期限スト 地下鉄、電力労組も--年金改革反対し」 《毎日新聞Web版(毎日jp)・2007年11月15日付け掲載記事》 |
【パリ福井聡】フランス国鉄の労組は13日夜、年金改革に反対して無期限ストに突入した。パリの地下鉄や仏電力公社の労組も14日朝からストに合流した。サルコジ大統領は「私には有権者の支持がある」とストに屈しない姿勢を示すが、労組の抵抗は強く、16日で就任半年を迎えるサルコジ政権は最大の正念場を迎えている。 仏国鉄の遠距離高速路線は9割弱、都市周辺の郊外電車やパリ地下鉄などもほぼ運休し、14日の通勤は大混乱となった。仏電力公社や仏ガス公社のストでも一部で供給に支障が出た。 政府の掲げる年金改革は、勤続37・5年で年金受給資格を得る公共企業職員の特別年金制度を、一般企業並みの勤続40年に繰り延べるもの。同制度は年間50億ユーロ(約8148億円)もの赤字を続けているが、労組側は「現制度下での年金受給のため長年働いてきた」と反発している。 同ストは先月18日にも「1日限定」で行われ数日間混乱したが、今回は無期限で、少なくとも1週間の混乱が見込まれている。今月20日からは公務員労組も「人員削減反対」でストを計画。大学自治を巡り先週からストに入っている学生たちと共に、混乱が予想される。 仏政府は95年にも年金改革を進めようとしたが、公共機関が3週間以上まひした後に断念した。調査機関が13日発表したサルコジ大統領の支持率は58%だが、10月に比べ5ポイント下がった。 |
「仏全土で交通スト突入、反サルコジ勢力足並み・年金改革に反対」 《『NIKKEI NET』2007年11月15日付け掲載記事》 |
フランス国鉄や交通営団などは14日、政府の年金制度改革に反対して仏全土で交通ストライキに入った。大学改革に反発する学生団体もストを支援し、一部の大学を封鎖した。20日には公務員労組が合流する見込みで、サルコジ政権の経済改革に反対する勢力が足並みをそろえる。ストが長期化すれば国民の不満は高まり、仏政権にとって正念場となる。 大規模交通ストは10月18日に続き2度目。パリでは郊外から都心に向かう通勤通学列車や地下鉄、路線バス、路面電車が大幅に間引き運転され、徒歩や自転車で職場などに向かう市民が目立った。仏国鉄の高速鉄道TGVも減便しており、ターミナル駅では旅行者らが足止めされている。労組は無期限ストを呼び掛けている。 政府による年金改革案は、国鉄や電力職員らに適用される特別年金制度の廃止が柱。公共企業では保険料支払いの満期は37年半だが、他業種並みの40年に延長する方針だ。(00:24) |
「動かぬ足 じっと見つめ 仏・公共交通スト」 《東京新聞(東京中日)Web版・2007年11月15日付け掲載記事》 |
【パリ=牧真一郎】一部公務員らを優遇する特別年金制度の撤廃を目指すフランス政府の方針に抗議し、公共交通機関の労組などが十三日夜から無期限ストライキを開始した。十月十八日の全国一斉ストに続く第二波。十四日はストの長期化を避けようと、政府と労組側が交渉を続けた。国鉄は十三日夜からストに突入。十四日はパリ首都圏の地下鉄やバスなどの労組が加わり、パリの地下鉄では平均で通常の五分の一しか走らない間引き運転となり、ホームに乗客があふれた。全く運行のない路線もあった。 幹線道路は自家用車で勤務先などに向かう人たちが集中、同日朝には全国で三百五十キロを超える交通渋滞が発生した。 サルコジ大統領は市場原理を導入した社会改革を目指し、労組側も政府の攻勢を警戒しており、互いに弱腰になれない状況だ。 |
「仏交通スト、パリ市内は渋滞」 《『CNN.co.jp』2007.11.15=10:59 (JST) 付け掲載記事》 |
(CNN)フランス国鉄をはじめとする交通機関などの労働組合7団体は13日夜から、特別年金制度改革に反対する無期限ストライキに入っており、パリ市内の道路は渋滞している。サルコジ大統領は改革断行の姿勢にあり、労組側と真っ向から対立している。 パリ市内では地下鉄が15本中1本の割合で減便され、バスの運行も通常の約15%。都心と郊外を結ぶ通勤列車の運行が停止した結果、市内に乗り入れる車が増え、交通渋滞を招いている。 年金改革案には、50歳を定年とする内容が盛り込まれている。国内交通機関の職員を中心に50万人近くが対象となる一方、国内労働者の大多数(2700万人)には影響が及ばない。 高速列車ユーロスターの運営母体はスト実施中、英国側の職員らに依存しながら減便運行する。ユーロスターは14日、英ロンドン市内に新設されたセントパンクラス駅からの運行を開始したばかり。 |
「仏スト3日目、20日まで続く可能性も」 《『AFPBB News』2007年11月17日付け掲載記事》 |
【11月17日 AFP】フランスでは16日、国鉄(SNCF)やパリ市交通公団(RATP)などのストが3日目に突入した。ストはニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領が掲げる年金制度改革に抗議して開始されたが、労組側はストを中止し交渉の席に着くようにとの政府の呼びかけに応じていない。 SNCFのスト参加者の割合は、14日の61.5%から32%に減少したが、国鉄およびパリ(Paris)市内の鉄道網は、まひ状態が続いた。 複数の労組の地方支部が、週末にかけての抗議行動の継続を決定したため、ストは少なくとも20日まで続く可能性が浮上。20日には、公務員による別の抗議デモも予定されている。 仏の最大労組、労働総同盟(CGT)が年金改革に関する協議の再開に合意し、またグザビエ・ベルトラン(Xavier Bertrand)労相が合意期限を1か月後に延期したことから、早期のスト解決が期待されていたが、鉄道系労組がストを続けることから、その可能性は小さくなった。 政府側は、ストが中止されれば交渉を開始すると主張しているが、労組幹部より組合員の多くが強硬姿勢を貫いていると見られている。 一方、バレリー・ペクレス(Valerie Pecresse)高等教育・研究担当相によると、全国の大学85校中32校でも、成立したばかりの大学改革に反対する学生らが抗議デモを行っており、7校が休校、2校で学生による校内立てこもりが起きている。 |
「フランス 交通機関に続き公共サービスもストへ」 《産経新聞Web版(MSN産経ニュース)・2007.11.19=19:32付け掲載記事》 |
「フランス、交通機関に続き公共サービスもストへ」 《『産経イザ!』2007.11.19=21:43更新付け掲載記事》 |
【パリ=山口昌子】フランスのサルコジ政権が進める年金制度改革に反対する公共交通機関のストが19日で7日目を迎え、通勤・通学客などへの影響が続くなか、今度は公務員組合や教員組合、郵便・通信の組合などが、賃上げ要求と人員削減に反対して、20日からストライキに加わる。交通機関のストは収束するとみられていたが、他の公共サービスへとストが拡大することで、フランス経済への悪影響を懸念する声があがり始めている。 新たにストライキを予定しているのは、主要8労組に所属する国家公務員、地方公務員、公立病院の医師らが加盟する各労組団体。公立病院、郵便局、フランステレコム(電話電信)、税関の業務も含まれ、公立小学校は半数が閉鎖される。空港の管制塔職員もスト参加を予定しており、その場合は、エールフランスも欠航する。 サルコジ大統領は就業人口の約20%を占める公務員の削減を公約しており、2008年に定年を迎える公務員2万2700人を補充しない方針を示している。うち約半数が教育部門とあって、教職員は特に怒りを募らせている。 また、私企業からの大学への資金流入を容易にする大学改革に反対する学生らは、大学の自治が侵害されるなどとして新法に反対しており、教職員ストに連動して大学閉鎖などを行う予定だ。 ただ、賃上げ要求に関しては、労組は年金改革反対の公共交通網ストより、国民の理解が得られるとみている。サルコジ大統領が公約した購買力を高めるとした政策が、成果を上げておらず、国民に閉塞(へいそく)感が広がっているからだ。 しかし、仏国鉄(SNCF)によると、10月の年金改革反対のストでは5000万ユーロ(約81億円)の損失となり、経済学者らは、今回のストによって「国家経済に持続的影響を与える」と警告している。 |
「フランス交通機関スト、7日目に突入」 《『CNN.co.jp』2007.11.19=21:00 (JST) 付け掲載記事》 |
パリ──フランス国鉄など交通機関の労働組合が年金制度の改革に反対するストライキは19日、7日目に突入した。政府側と労組はストが始まった13日以来、何度か協議を行っているが、解決のめどは立っていない。 ストに伴う公共機関のストップで、パリ市内では19日も、各地で渋滞が発生。フランス国鉄は同日、通常なら700本ある高速鉄道TGVの本数を、約300本に減らして走らせる見込みだ。地下鉄も、通常の5分の1程度しか走っておらず、市民の足を直撃している。 一方、サルコジ大統領は、労組との話し合いには応じる姿勢を見せているものの、年金制度改革に向けた政策に変更はないとの主張を崩さず、早期解決は難しい情勢だ。 |
「フランス公務員がスト突入 交通機関に続き」 《『産経イザ!』2007.11.20=22:45 付け掲載記事》 |
公共交通機関のストライキが続くフランスで20日、国と地方の多くの公務員が賃上げと人員削減反対を掲げて24時間ストに突入した。相次ぐストによる経済への影響を懸念する声が出ている。 公務員ストには教員や公立病院の医師を含む職員のほか郵便局や税関、フランステレコム(電話電信)などの職員が参加。公立小学校の約半数が閉鎖された。 サルコジ大統領は今春の大統領選挙で、就業人口の約20%を占める公務員の削減を公約。10月には、2008年に教育部門などで多数の部署を削減すると発表している。(パリ 山口昌子) |
この11月13日夜に突入した無期限ストでは、フランス国内の公共交通機関に留まらず、ライフラインの一つである電力、教育機関、医療機関、オペラハウス等の文化施設等にも飛び火し、果ては税関や司法機関までもがストに加わるという有様・・・
これはサルコジ政権が、年金制度改革にとどまらず、公務員の大規模なリストラ(施設統廃合や人員削減)にも着手していることによるものと思われるところですが、にもかかわらずサルコジ政権の態度は頑ななようであり、長期化の様相を呈していたことでしょうネ、この時には。
それにしても裁判所等の司法機関までストを起こすとは、ちょっと日本国内では考えられませんね。
◎ ドイツ鉄道(DB)でも・・・
フランスで大規模な無期限ストに突入していた頃、最近フランスの高速列車TGVの乗り入れ先の一つにもなったドイツでも、ほぼ時を同じくして、ドイツ鉄道(DB)の鉄道労働者によるストライキが勃発していました。
ただ、以下列挙する新聞記事たちを眺めていますと、どうやらフランスの無期限ストが鉄道線路を伝ってドイツ国内に飛び火して起きたのでは無さそうで(そりゃそうだけど)・・・
「仏国鉄、年金改革反対でスト・交通の混乱長期化も」 《『NIKKEI NET』2007年11月14日付け掲載記事》 |
【パリ=古谷茂久】仏独両国で大規模な交通ストライキが始まった。フランスでは国鉄が職員らへの優遇を廃止する政府の年金制度改革に反対して13日夜から全土で無期限のストに突入。14日はパリ市交通営団なども追随する予定で、仏全土で公共交通の混乱が長期化する恐れがある。ドイツでは、賃上げ交渉が難航するドイツ鉄道(DB)で労組が近く貨物や旅客を含めたすべての列車の運行を停止する。 仏での大規模な交通ストは10月18日に続き2度目。交通機関だけでなく電力やガス、オペラ座など一部の劇場の組合も加わる見通しだが、サルコジ大統領は年金改革断行の姿勢を崩していない。(11:01) |
上記日経記事はフランスに於いて突入した無期限ストライキを報じている短い記事なのですが、同時にDBが全面ストライキにこれから入ることも短く伝えています。
そのDB、上記日経記事掲載の6日前には既に貨物列車に限定してのストライキに突入していたみたいで・・・
「ドイツ鉄道でスト――労使交渉が決裂、自動車輸出に影響も」 《『NIKKEI NET』2007年11月09日付け掲載記事(2007/11/11=23:55 更新)》 |
【ベルリン=赤川省吾】独政府が全株式を保有するドイツ鉄道(DB)で賃上げを巡る労使交渉が決裂し、労働組合は8日、貨物列車のストライキに突入した。欧州では物流を鉄道輸送に頼る企業も多いため、ドイツを含めた中欧地域の商品移送が滞るのは確実。自動車や工作機械など主要産業の輸出にも大きな影響が及びそうだ。 今回のストは10日午前6時(現地時間)までの42時間の予定で、労組は最大で31%の賃金引き上げを求めている。だが、人件費の大幅増を回避したい経営側が歩み寄りの姿勢を見せておらず、労組は旅客列車のストもちらつかせている。 |
そして、DB経営陣の態度に不服だったのか、警告通りに旅客列車も含めた全面ストへと発展してしまったわけですネ《以下列挙の記事たち》。
「ドイツ:「国内史上最大」の鉄道スト突入」 《毎日新聞Web版(毎日jp)・2007年11月15日=11時42分付け掲載記事》 |
【ベルリン小谷守彦】ドイツで14日、鉄道運転士らを中心とする職域労組が62時間の時限ストに突入した。ドイツ鉄道によると、国内史上最大規模という。労組側は運転士給与の31%上乗せなどを強硬に求めており、妥協の糸口は見えていない。労使間の折り合いがつかない場合、労組側は無期限ストに入ると予告しており、影響の一層の拡大が懸念されている。 ストを主導しているのは運転士の7割以上を組織する「機関士労組(GDL)」。鉄道職員の大半が加盟する別の労組「トランスネット」は既に会社側との賃金交渉で妥結している。会社側はGDLとの交渉で強気の姿勢を崩しておらず、15日付有力紙の全面広告で「シェル氏(GDL委員長)よ、狂気のさたはやめなさい」とスト入りを非難した。 時限ストは17日午前2時までの予定。14日昼から貨物が運休し、15日未明から一部の特急などを除く乗客輸送が全国的に運休した。GDLは旧東独地域に組合員が多く、ベルリン周辺では9割の運行が停止するとみられている。 |
「欧州の交通網混乱、ドイツ鉄道も再びスト」 《『NIKKEI NET』2007年11月15日付け掲載記事(2007/11/17=23:55 更新)》 |
【ベルリン=赤川省吾】賃上げを巡る労使交渉が暗礁に乗り上げたドイツ鉄道(DB)の労働組合は14日、ストライキに突入した。輸出用の自動車輸送などを担う貨物列車が停止、今後は旅客列車の運行も大幅に減る見通し。フランスでも同日から大規模ストが実施され、アルプスの山間部では積雪で道路の閉鎖が相次いでいる。交通網の混乱で観光客らにも大きな影響が出そうだ。 DBの労組は最大31%の賃金引き上げを求めて11月上旬にストをしたばかりだが、経営側が歩み寄りの姿勢を見せていないため、再び列車の運行を取りやめる。独司法当局は「法的に問題はない」としており、労使交渉が進展しなければストが長引く公算がある。 |
「ドイツ国鉄がスト、最大62時間 31%の昇給要求」 《『CNN.co.jp』2007.11.15=18:17 (JST) 付け掲載記事》 |
ベルリン――ドイツ国鉄の旅客列車運転士労組は15日未明、昇給を要求し42時間のストライキに突入した。貨物列車運転士労組は既に14日日中から62時間ストに踏み切っている。 最大31%の昇給を求めているもので、一部民営化を控えコスト削減に取り組んでいる国鉄は要求を拒否している。 国鉄によると、ストの影響で同国東部などでの運行は10便のうち1便のみが動く状態となっている。全国の各都市を結ぶ高速鉄道は三分の一が止まっている。国鉄はバスなどの振り替え輸送に追われている。 ストの影響は自動車製造などの業界に及び、一部工場では午前勤務が停滞する混乱が出ている。 隣国のフランスでも年金改革に反対する地下鉄労組などのストが続行している。 |
「ドイツ国鉄で全国規模のスト=過去最大、物流などに懸念」 《時事通信社(gooニュース経由)・2007年11月16日(金)=00:15付け掲載記事》 |
【フランクフルト15日時事】ドイツ機関士労組(GDL)は15日未明、国鉄ドイツ鉄道(DB)での全国規模のストライキに入った。期限は17日午前2時までで、ドイツ国鉄では過去最大規模とされる。 GDLは31%の大幅な賃上げを求める一方、DBはこれを拒否、交渉は暗礁に乗り上げた。「DBが大幅に引き上げた提案を行う場合のみ、交渉のテーブルに着く」(GDL)、「たとえ強硬なストを続けても、GDLの要求には応じない」(DB監査役会)と双方に歩み寄りの気配はない。 |
「ドイツ鉄道スト突入、同社史上最大規模」 《『AFPBB News』2007年11月16日=01:13付け掲載記事》 |
【11月16日 AFP】フランス全土で大規模なストライキが行われるなか、隣国ドイツでも14日、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn、DB)の労働組合GDL(ドイツ機関士労働組合)が、同国内の鉄道において史上最大規模のストに突入した。旅客鉄道や貨物列車は運行を停止しており、欧州一の経済大国に大打撃を与えている。 ドイツ鉄道によると、現在の運行状況は、高速鉄道が中心となる主要路線が3分の2のみで、ローカル線は西部で50%、東部で15%のみ運行している。 経済的大打撃を懸念する政府は、ドイツ鉄道およびGDLの双方に対し、交渉再開を呼び掛けている。 GDLのHans-Joachim Kernchen氏は、19日までにドイツ鉄道側が賃金引上げ要求に応じる姿勢を示さなかった場合は、ストをクリスマスまで続けると警告している。国民の不満が高まる中、ドイツ鉄道側はこの要求に応じない構えを示している。 ドイツ鉄道取締役のNorbert Bensel氏によると、今回のストは同社史上最大規模で、1日当たり5000万ユーロ(約81億円)の損失が出る計算だという。 |
「《労使》旅客鉄道でもスト開始[運輸]」 《『NNA.EU』2007年11月16日付け掲載記事》 |
ドイツ鉄道の運転士労組GDLは15日未明、ストの対象を旅客鉄道に広げた。貨物鉄道では既に14日正午から実力行使を開始しており、いずれも17日午前2時まで続く予定だ。 旅客の長距離路線は15日昼過ぎの時点でドイツ版新幹線ICEを中心に3分の2程度の運行を確保。近距離路線は旧西独地域で5~8割が動いているものの、東部では15%程度にとどまっている。一方、移動手段を自動車に切り替えた人も多く、主要都市を結ぶ高速道路などで激しい渋滞が起きている。 こうした中、ティーフェンゼー運輸建設相は事態の収拾に乗り出す意向を初めて表明。労使による協議再開を目指す考えを示した。またドイツ鉄道の監査役会もGDLに対し、再び話し合いの席に着くよう呼び掛けている。 会社側は10月、労働時間の延長を条件に2008年から賃金を最大10%引き上げるほか、2,000ユーロの一時金を支払う案を提示。だが他の2労組とは異なる独自の条件獲得を目指すGDLは「何ら目新しい内容はない」とし、はねつけた。今後に新たな昇給案が示されない場合、無期限ストに突入する可能性も示唆している。 |
正確には、14日にまず貨物列車からスト突入し、翌日(15日)からは旅客列車にも拡大、というわけですが、全面ストップというのではなく、一部旅客列車が運行している状態との話ですが、それでも高速道路等で大渋滞が発生する等、一般民に対する影響は小さいものではなかったようですネ。
一方、経営側も負けじと、逆に労働組合を訴えるという攻勢に出ました。
「労組ストに8億円賠償請求 労組ストに8億円賠償請求 ドイツ鉄道、道路は大渋滞」 《共同通信社『47NEWS』・2007/11/16=09:34付け掲載記事》 |
【ベルリン16日共同】ドイツ鉄道は15日、大規模なストライキを展開している運転士労組(GDL)に対し、500万ユーロ(約8億1000万円)の損害賠償を求める訴えをフランクフルトの裁判所に起こしたことを明らかにした。地元メディアが伝えた。 31%の賃上げなどを求めて7月以降、散発的にストを実施してきたGDLは、14日からは62時間の「史上最長」のストに突入。大都市の近郊列車に大幅な運休や遅れが出たほか、その影響で各地の高速道路が大渋滞している。 会社側の約10%の賃上げ提案などを拒否したGDLは、19日に誠意ある回答がなければ無期限ストも辞さないとしている。 訴えは7月10日に行われたストが対象。専門家は貨物部門のストで1日当たり5000万ユーロの経済的被害が出たと指摘する。 |
訴えの対象となったのは今回のストではなくて7月に起こったストライキとの話ですが、訴訟を起こした時期が時期なだけに、ものすごいタイムリーに受け止めてしまいましたネ。
そして・・・
「《労使》戦後最長の鉄道スト終了[運輸]」 《『NNA.EU』2007年11月19日付け掲載記事》 |
ドイツ鉄道の運転士労組GDLは17日未明、貨物と旅客の両方を対象としたストを終了した。合わせて62時間に及び、鉄道では戦後最長を記録した。きょう19日中に会社側から新たな昇給案が示されなければ、再び実力行使を検討する意向だ。 今回のストが国内経済に与えた損失は旅客鉄道で500万~1,000万ユーロ、貨物鉄道では5,400万~8,000万ユーロに上るとみられる。またドイツ鉄道のゲオルク・ブルンフーバー監査役は貨物輸送の契約を打ち切る顧客が現れたことに触れ、「GDLが雇用を脅かしている」と非難した。 会社側は10月、労働時間の延長を条件に2008年から賃金を最大10%引き上げるほか、2,000ユーロの一時金を支払う案を提示。だがGDLは「何ら目新しい内容はない」とし、はねつけている。 17日付週刊誌シュピーゲル電子版は会社側がGDLに対する新たな提案を用意していると報じた。同労組が求めている他の2労組とは異なる条件での協定締結を容認する方向という。ただドイツ鉄道の広報担当者はこれについてコメントを控えている。 |
ストは終結してもDB経営陣の出方によってはストも含めた実力行使に出ると警告したGDL。
一触即発の状況にあったわけですネ。
そしてその後の労使(DBとGDL)間のやりとりの過程を追ってみますと・・・
「《労使》ドイツ鉄道の労使交渉再開へ[運輸]」 《『NNA.EU』2007年10月20日付け掲載記事》 |
ドイツ鉄道の労使交渉がようやく再開にこぎ着けそうだ。運転士労組GDLのマンフレート・シェル委員長は19日、きょう20日にハルトムート・メードルン最高経営責任者と話し合いの場を持つことで合意したと発表した。具体的な時間や場所、内容は明らかにされていないが、クリスマス前の交渉妥結を目指す。 会社側は10月、労働時間の延長を条件に2008年から賃金を最大10%引き上げるほか、2,000ユーロの一時金を支払う案を提示した。だが他の2労組とは異なる独自の条件獲得を目指すGDLは「何ら目新しい内容はない」とし、これをはねつけている。 ドイツ鉄道のマーグレット・ズッカーレ取締役は18日夕、テレビのトークショーでシェル委員長に先月の提案を土台とした新たな交渉を提案。これに対し、同委員長は「16%のベアなら受け入れられる」と話していた。 |
「《労使》ドイツ鉄道、運転士労組に新たな昇給案提示[運輸]」 《『NNA.EU』2007年11月22日付け掲載記事》 |
ドイツ鉄道は21日、運転士労組GDLに新たな昇給案を提示したと発表した。具体的な内容は明らかにしていないものの、「(従来より)大幅に上乗せした条件」と説明している。 GDLはまず今回の提案を精査する意向。週明けまでかかるとし、その間はストを控えるという。 会社側は10月、労働時間の延長を条件に2008年から賃金を最大10%引き上げるほか、2,000ユーロの一時金を支払う案を提示した。だが他の2労組とは異なる独自の条件獲得を目指すGDLは「何ら目新しい内容はない」としてはねつけ、実力行使をエスカレートさせてきた。 GDLのマンフレート・シェル委員長は19日になってドイツ鉄道のハルトムート・メードルン最高経営責任者と話し合いの場を持つことで合意。場所などの詳細は非公表とされたが、20日にフランクフルト南郊のエーゲルスバハ(Egelsbach)で協議に臨んだとみられる。 |
「ドイツ鉄道、運転士労組に最大13%のベア提示」 《『NNA.EU』2007年11月26日付け掲載記事》 【注/記事掲載元サイト、掲載期間終了・削除済】 |
ドイツ鉄道のハルトムート・メードルン最高経営責任者(CEO)は24日、先に運転士労組GDLに示した新たな昇給案の内容を明らかにした。8~13%のベアを提案したとし、「最終的な詳細は今後の話し合いで詰める必要がある」と語った。GDLは現在、提示された条件を検討しており、26日に受け入れるかどうかを発表する見通しだ。 |
「《労使》鉄道運転士、来週までスト見合わせ[運輸]」 《『NNA.EU』2007年11月27日付け掲載記事》 |
ドイツ鉄道の運転士労組GDLは26日、12月3日に再び会社側と交渉の場を持つとし、それまではストを控えると発表した。 ただ先に示された昇給案については「まやかし」と批判。ドイツ鉄道のハルトムート・メードルン最高経営責任者(CEO)は最大13%のベアを提示したと明らかにしたものの、これは労働時間の延長を前提としているという。 なお同CEOはこの日、GDLへの提案を「単一の賃金制度内での独自の協定」と説明した。あくまで他の2労組との差別化を否定した24日の発言をやや軌道修正した格好だ。独自の条件獲得を目指すGDLのマンフレート・シェル委員長は次の協議で真意をただす考え。この点で合意できれば、今回の昇給案を元に話し合いを進めるという。 |
とりあえずは12月初頭にかけてはストは回避される模様なのですが、このDBを舞台にしたGDLによるストライキに関して、コンサルタント会社・FBC Business Consulting による以下の記事では、GDL側の態度はむしろ軟化していると指摘する一方で、GDL側の要求をのんでしまうとドイツ鉄道の他の労働組合に対しても同様のことをしなければならず、ともすればDBの経営自体にも深刻な影響を及ぼす可能性がある、との指摘も出されています。
「ドイツ鉄道スト終了も、労使交渉再開に向けトップ会談中」 《FBC Business Consulting ドイツ経済ニュース・2007年11月21日付け掲載記事》 【注/上記リンクは『ドイツ経済ニュースヘッドライン』ページへのアクセスとなります】 |
ドイツ鉄道(DB)で8月から続く機関士労組GDLのストライキが終了する可能性が出てきた。労使のトップは19日、ティーフェンゼー連邦交通相と会談し、交渉再開に向けた協議を再開することで合意。20日午前からこれまでに3度の協議を行った。話し合いの内容は公表しないことで合意しているが、労使の関係筋からは先行きへの楽観的な見方も出ている。協議ではGDLが強く求める独自の労使協定を締結するかどうかと、ベア水準がどの程度になるかの2点が焦点となる。 19日に開かれたティーフェンゼー交通相、DBのメードーン社長、GDLのシェル委員長の3者会談は驚きを持って受け止められた。労使交渉に政治が介入しないという労働法上の重要な原則(Tarifautonomie)に抵触する可能性があり、政府もこれまで仲介を拒否してきたためだ。ここにきて政府が態度を変えた背景には、労使の立場の隔たりが大きく、打開の糸口が見えてこなかったことがある。ストの長期化はドイツ経済に悪影響をもたらすため、重い腰を上げざるを得なかったとみられる。 GDLもストの幕引きを図りたいもようで、シェル委員長はベア要求をこれまでの31%から「10~15%」に引き下げた。独自協定の締結方針は堅持している。 DBとGDLは交渉再開に向けた協議をさしあたり22日まで行うもようだ。態度を軟化させたGDLに対し、DBがどの程度、歩み寄るかがカギを握る。 ただ、DBはGDLに妥協しにくいという事情を抱えている。 DBは7月上旬、鉄道業界の2大労組であるトランスネット、GDBAとの間で労使協定を締結した。賃金を来年1月から4.5%引き上げるほか、一時金600ユーロを支給するという内容だ。GDLの要求水準はこれを大きく上回る。 2大労組との協定を上回るベアをGDLに回答した場合、DBはトランスネットとGDBAにもGDLと同水準のベアを認めねばならなくなる。2大組合は組合員数が計13万4,000人とGDLの1万5,500人を大幅に上回るため、GDLへの大幅ベア回答はDBの財務を強く圧迫し、株式公開計画にも影を落としそうだ。 ストは泥沼化の一歩手前に GDLは8月に無期限ストを決議した。その後、有力政治家に依頼した調停で経営陣との合意が実現するとみられたが、交渉は決裂。10月からストを再開していた。 ストは当初、近距離旅客部門に限られていた。DBがスト禁止の仮処分申請をケムニッツ労働裁判所に提出し、同労裁が遠距離旅客と貨物の2部門でのストを禁止したためだ。 だが、この決定は11月2日、ザクセン州労働裁判所により取り消され、GDLはストを遠距離旅客と貨物部門にも拡大。8~10日に42時間、14~17日にも62時間の長期ストを実施した。DBが「交渉するに値する労使協定案」を提示しなければ、次は事前に期限を通告しないままストに突入する構えのため、政財界では景気への影響を懸念する声が高まっていた。 アウディ工場でシフト削減 今月に行われた2つの貨物ストでは経済への影響が比較的小さかった。ストが長期化することを夏の時点で予想し、事前に準備してきた企業が多いためだ。 自動車メーカーで生産に大きな支障が出たのはアウディのベルギー・ブリュッセル工場にとどまる。同工場ではスロバキアのブラチスラバ工場から調達している部品の納入が遅れたため、15日午前と夕方、16日午前の計3シフトで操業を停止した。同工場では1シフトにつきアウディ「A3」を70台、フォルクスワーゲン「ポロ」を150台、生産している。 一方、ダイムラーやフォードでは通常通りの操業が行われた。鉄道貨物への依存度が高い化学、鉄鋼業界でも影響は出ていない。 |
ドイツ産業界に対する影響は、一部企業を除き、これまでのところ見られないとの話ですが、GDLとの交渉結果如何によっては、長い目で見た場合、一般国民の生活等に対する影響が懸念されるところでしょうネ。
なお、これまで紹介した新聞記事等から、GDLによるストライキは夏頃(7~8月頃)から散発的に続いてきている模様ですが、10月末頃に起こしたストライキについては、DBの他の労働組合との単なる権力争いではないか、との指摘も挙がっており(→「ドイツ時間10月29日18時までのDBストライキ情報」)こちらも一筋縄にはいかないようで・・・
◎ フランスの無期限スト、終結へ・・・
13日から突入したフランスの公共交通機関を中心とした大規模な無期限ストライキは、去る11月21日から政府と労使間による協議の再開を受けて沈静化の方向に向かい、その2日後の23日、約10日間続いた大規模なストライキは終結しました。
「仏交通機関スト、沈静化の兆し」 《『AFPBB News』2007年11月22日付け掲載記事》 |
【11月22日 AFP】鉄道ストが続き交通機関がまひしているフランスで21日、事態打開に向けた政府、労組間の交渉が再開し、事態は徐々に沈静化に向かっている。一方で同日、仏高速鉄道「TGV」の路線上で妨害行為が発生するなど一部では緊張が続いている。 仏国鉄(SNCF)はスト開始から9日目となる22日には、ストの影響は依然として残るとしながらも、交通機関の運行本数については「大きく増加する」との見通しを示した。 一方でSNCFは、TGV線路上の複数か所でケーブルが放火されるなどの妨害行為が行われたことも明らかにした。この行為に対しては労使ともに激しく非難している。 ■交通機関が一部再開 いくつかの部分では労働者の職場復帰に向けて明るい兆しがみえてきた。地方ではスト中止を求める声が高まり、SNCF労組傘下の2つの労組もスト中止を求める意向を示している。 ストによる運休は着実に減少しており、21日の段階でSNCFで23%、パリ市交通公団で16%となっている。 ■政府側の姿勢にも変化 政府側は、最大の争点となっている特別年金の納入期間延長については譲歩しない姿勢を示している。50万人とされる特別年金の受給者に対し、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は「社会的公正の観点から」納入期間を他の公共企業や一般企業と同じ40年に延長する方針を打ち出していた。 政府は一方で、昇給と年金制度の追加を提案し、反発を和らげようとしている。また、SNCF経営陣も、ストが中止されれば9000万ユーロ(約145億円)の融資パッケージが利用できるとしてメリットを強調している。 ■世論調査では政府支持が多数占める パリ(Paris)ではストの影響で通勤・通学に2、3時間かかる事態となっており、人々が不満を口にしている。仏フィガロ(Le Figaro)紙が行った世論調査では、ストを「正しくない」とみる意見が68%、政府が「労組に譲歩することに反対」する意見が69%となっており、政府側を支持する意見が多数を占めた。 |
「仏スト収束、鉄道運行も正常化へ」 《『AFPBB News』2007年11月24日付け掲載記事》 |
【11月24日 AFP】フランスで23日、9日間に及び全国的に行われていた交通機関のストライキが収束へ向かい、鉄道の運行状況が正常化し始めた。一方、ストの収束がニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領が掲げる特別年金制度改革の勝利となるかについては賛否両論だ。 大半のパリ(Paris)市民は、前週のスト開始以来初めて平穏に通勤した。フランス国鉄(SNCF)によると、全国的にも週末までに運行が完全に回復する見通しだという。 1995年以来最長となったストが収束に向かう一方、フランス政府は特別年金制度改革の中心となる、他業種に沿った鉄道会社従業員の定年引上げについては譲歩しないと主張。サルコジ大統領も「わたしは改革を公約し、公約を守った」と述べた。 サルコジ大統領の社会問題担当顧問、Raymond Soubie氏によると、労組、経営側、および政府の代表者による協議の結果をふまえ、1か月以内に年金制度改革法案が起草されるという。 サルコジ大統領の支持者らは、今回のストの結果を同大統領の完全勝利とみなしている。 |
「《労使》交通スト、ようやく終息[運輸]」 《『NNA.EU』2007年11月26日付け掲載記事》 |
フランスで23日、9日間に及んだ公共交通機関のストが終息した。労組の大半が話し合いの継続に応じたためで、サルコジ大統領はひとまず試練を乗り越えたといえそうだ。 仏版新幹線TGVはほぼ全面復旧。パリでは地下鉄やバスが通常運行に戻っている。フランス国鉄(SNCF)やパリ交通公団(RATP)はストの影響を受けた乗客に対し、運賃の払い戻しを行う方針だ。 通常の公務員や民間部門の従業員は年金を満額受け取るのに社会保険料を40年にわたり納める必要があるが、肉体的に負担が大きい一部の分野は37.5年で済む。こうした特例措置を廃止する政府の方針を受け、関連労組は13日夜からストに入っていた。 政労使間の交渉は12月半ばまで続けられる見込み。今回の労使紛争がフランス経済に与えた損失は1日当たり約4億ユーロに上るとみられている。なお同国は12年前に3週間半にわたるゼネストに見舞われ、当時のジュペ政権が年金改革の棚上げを余儀なくされた。 |
スト終結の直前に高速鉄道TGVの関連施設を狙った放火事件等が発生しているようで、恐らくは長期間にわたる今回の大規模なストライキに対する一般のフランス国民の怒りが露わになった証ともとれそうですね《かつて日本国内で34年前に発生した「首都圏国電暴動」を彷彿とさせるような感じがする・・・尤もこちらのほうがひどそうだが》。
そして日本のメディアも・・・
「フランスの交通スト、終結へ サルコジ氏、圧力に屈せず」 《『47NEWS』2007/11/23付け掲載記事》 |
【パリ23日共同】フランス政府が目指す公共企業の特別年金制度改革に反対する交通ストライキは23日、終結に向かった。市民の支持を背景にサルコジ大統領がストの圧力をひとまずはね返した形だ。 フィヨン首相は22日「職場復帰を呼び掛けた主要労組指導者の責任ある態度に満足している」と述べた。 フランス国鉄やパリ市交通公団では21日、労使と政府代表による年金改革に関する3者協議の初会合が開催された。協議は12月中旬まで続く見通しで、組合員の多くはいったんストに区切りをつけ、協議の行方を見守る考えに傾いた。 国鉄当局によると、列車運行は23日、徐々に正常化に向かい、週末にはほぼ平常通りとなる見通し。パリの地下鉄、バスはいずれも23日朝の段階で、通常の80%の運行水準に回復した。 |
「フランスの交通スト収拾、労組が年金改革案を受け入れ」 《読売新聞(YOMIURI ONLINE)・2007年11月23日付け掲載記事》 |
【パリ=林路郎】フランス国鉄とパリ市営交通の労組は22日、交通関係の公営企業労働者を優遇している年金の「特別制度」を撤廃するサルコジ政権の改革案に応じる方針を固め、13日夜から続けていた交通ストの収拾を決めた。 政府、労組、公営企業の3者が26日から具体的な協議に入る。大統領は一連の改革の最初の障害を越えた。一方、世論の大勢が改革を支持する中、労組のストによる抵抗戦術は限界も露呈した。 10日間のストの間、大統領と労組の対決の構図は明快だった。 フランスの民間労働者と大半の国家公務員は、財政悪化を受けた1993年の年金改革で、年金の払込期間が従来の37年半から40年に延長され、60歳前後の定年まで働いて初めて年金を受け取ることになった。これに対し、交通関係の公営企業職員の払込期間は37年半のまま。政府は過去、何度か、優遇措置の見直しを試みたが、労組の大反対に遭い、いずれも頓挫した。交通部門では今でも、50歳代前半での退職が認められている。 優遇措置の起源は第2次大戦後の復興期にさかのぼる。ドゴール大統領は、交通機関やエネルギー部門を経済再建の要諦(ようてい)とみなし、機関車や炭鉱など劣悪な環境で働く労働者たちの早期退職を認めた。「特別制度」と呼ばれるこの優遇措置を当時の国民も支持した。 だが今、例えば、高速鉄道TGVの運転士は平均月給が6000ユーロ(約99万円)もあり、多くの労働者の羨望(せんぼう)の的。このため、今回のストは、大半の国民の目に「特権維持のため」と映った。多くの世論調査で、「ストは正当性を欠く」と答える国民が7割に達した。パリで18日、一般市民約6000人が「スト反対」を掲げて行ったデモでは、「時代は変わった。ストで市民が被る損失を鉄道員は補償するのか」と連呼する人々の姿が目立った。 サルコジ大統領はこうした世論の流れに乗り、「一歩も引かない」とのポーズを取りつつ、舞台裏では特別制度廃止の代わりに労働者の退職前給与を引き上げる案を労組側に持ちかけ、ストを収拾に持ち込んだ。改革の矛先を公立校や医療機関、司法機関などの一般公務員の削減に向ける大統領が、対労組で優位に立ったことは間違いない。 |
更に『サルコジ氏、圧力に屈せず 仏交通スト終結へ』という記事によると、フランスのラガルド経済・財政・雇用相は、去る13日から始まった今回のフランス大規模ストによる損失は1日当たり3億~4億ユーロ(480億~640億円)に達するとしている一方で、一部の労働組合は、去る21日から始まった政府と労使間による3者協議の結果如何では、来月(12月)中・下旬に再びストを打つ意向を明らかにしている等、一触即発の状態は当分続きそうですネ。
◎ 韓国メディアから見たフランス無期限スト
韓国の旧国鉄、今のKORAIL(韓国鉄道公社)にフランスの技術協力を得て電気機関車を製造したり、2004年4月1日に営業運転を開始した韓国高速鉄道KTXにフランスの高速列車TGVの技術を採り入れる等、フランスとの縁の深い韓国・・・その韓国のメディアは今回起こったフランス大規模ストをどう捉えているのか。
「「欧州復活」、フランスも流れに乗れるか」 《『東亜日報』日本語版Web・2007年11月16日付け掲載記事》 |
欧州が長い低迷から抜け出し、国際社会の新たな強豪に浮上するため総力を傾けている。 改革と国家競争力の強化を掲げたフランスのサルコジ政権は16日で発足6ヵ月を迎える。折りしも13日から改革に反対するフランス国有鉄道(SNCF)とパリ交通公社(RATP)がストライキーに突入し、社会にあらゆる面で影響を及ぼしている。今回のストライキーの推移によって、「労働市場の柔軟化と市場重視」を柱とする英国及びドイツの改革の流れにフランスが成功裏に乗ることができるかどうかがはっきりするとみられる。 1995年、シラク前大統領も改革を掲げ、前任のミッテラン元大統領の「福祉と国営化拡大」路線にメスを入れたが、就任初年に起きた3週間にわたる労働組合のストライキーに屈し、改革の意志を失った。それから12年、フランスの改革時計はとまっていた。 しかし今、フランス社会の雰囲気はすっかり変わった。大学構内ではストライキーに反対する学生団体である「大学間全国連盟(UNI)」が貼りだした「ストをやめろ」のポスターが壁を覆っている。市内でも「ストを中止しよう」と書かれたステッカーがあちこちで目に付く。 フランスが対立を乗り越えて成功裏に改革の流れに乗れば、一足先に改革に踏み切った英国とドイツに次ぎ欧州復興の三本柱の一つになると予想される。一時「イギリス病」と呼ばれる深刻な低成長と失業問題を抱えていた英国は、ここ14年間続いた最長景気拡大でいまや1人当たり国内総生産(GDP)が、ドイツやフランスを大きく上回る。 「欧州の病人」、「ユーロ経済不安の主犯」と指摘されてきたドイツは03年、シュレーダー前首相時代に策定した計画政策「アジェンダ2010」を転機に、再起の足場を築いた。大胆に新自由主義路線を採択して福祉コストを削減したことで財政負担を減らし、企業に配慮する法規を設けた。その結果、ドイツは欧州一の経済大国にのぼりつめ、今年には約40年ぶりに財政黒字を達成する見通しだ。 |
「[社説]「老けた欧州」の再起を導くリーダーシップ」 《『東亜日報』日本語版Web・2007年11月17日付け掲載記事》 |
12年ぶりの最大規模というフランスの運送労組と学生、教師、法曹人のゼネストに対するニコラ・サルコジ大統領の対応態度を見ながら、改めて指導者のリーダーシップを考えるようになる。 サルコジ大統領は労働総連盟(CGT)の年金および教育改革の中断要求について「政府が退けばフランスが退くこと」と述べ、妥協をしなかった。しかし、企業労組政府の3者協議案を用意し、労組の退路を開く一方、鉄道の労組員たちに直接会い「通りに出れば未来がない」と説得した。 原則を立てるが妥協を恐れず、世論を重視するが機会主義的ポピュリズム(大衆迎合主義)に陥らないリーダーシップの大切さを示したのだ。 すると、国民が動き始めた。ストに反対する国民が、先週55%からスト当日の14日には69%に増えた。国営鉄道(SNCF)のスト参加率も、初日64%から2日目の15日には46%に減った。 英国とドイツの再起ができるようにしたのも正にこのようなリーダーシップだ。一時「欧州の病人」とからかわれた英国は、15年目、史上最長の好況を謳歌している。「ユーロ圏の経済不安の主犯」とされたドイツは、統一の後遺症を払拭し、再跳躍の基礎を構築した。ドイツは昨年、1年の輸出が13.7%増加しており、今年は失業者が12年ぶりに350万人未満に落ちた。 「老けた欧州」を回生させた力は、公共部門の改革と小さな政府、労働市場の柔軟化と市場の重視による国家競争力の強化から出た。英国のトニー・ブレア前首相とゴードン・ブラウン現首相、ドイツのゲアハルト・シュレーダー前首相とアンゲラ・メルケル現首相は、「実用的な思考と果敢な行動」のリーダーシップでこれを可能にした。 韓国は今、どうだろうか。これら3カ国よりもっと早く「早老症」に陥ったにもかかわらず、公共部門は依然として「定年保障」で、労働市場は不法ストの援護のもとに絶えず企業競争力をむしばんでいる。次期政府5年の選択が迫ったこの時点にも、大統領選の候補らのリーダーシップ競争は見いだせず、政界の関心はただ「法を犯した金ギョンジュンの口」にばかり集中している。 21世紀大韓民国の新成長動力として評価される韓米自由貿易協定(FTA)批准案と後続法案は、大統領選挙を控えた与野党の得票戦略に押され、自動廃棄される危機に瀕している。 欧州の回生を見ながら私たちは今どこに向かっているのか自問せざるを得ない。 |
サルコジ政権に関する悪い噂は幾つか聞かれるところなのですが、上記の記事に於いては、今度のフランス大規模ストに対して発揮したというサルコジ自身のリーダーシップに対しては高い評価を与え、更にこういった「実用的な思考と果敢な行動」のリーダーシップは過去にも英国やドイツを救っているとも評価、これらを引き合いに出しながら、一方で自分ところの国(つまり上記記事でば韓国)の現状に対して自己批判をしている格好ですね。
日本はというと、小泉政権の際に「小さな政府」を目指して改革路線を走り、その結果確かに経済指標の上では景気回復となっている模様ですが、やり方が中途半端だったのか、中央と地方との経済格差や貧富の差が大きな社会問題としてクローズアップされるようになってしまい〔韓国でも同様の状況(両極化)が見られるようですが…〕、日本もどうやらサルコジら欧州首脳陣のリーダーシップと対比しながらの自己批判が必要となっているのかも・・・・・・
ま、何れにしても、今度のフランスの鉄道労働者が中心となった大規模ストライキ、そしてこれとほぼ時期を同じくして起こったドイツ鉄道(DB)の労働者による62時間にわたるストライキ・・・特にフランスのストライキの場合は去る11月14日に英仏間高速列車「ユーロスター」の英国側高速新線CTRL(HS1)の全線開業によるせっかくのお祭りムードが一気に吹き飛んだことかと思います。
フランスのストライキは明らかに政治絡みであるのに対してドイツのストライキは純粋に賃金引き上げを求めたものということで互いに性格を異にしているものの、現在の世界情勢とを照らし合わせてみた時、既得権益の問題、現場の鉄道員の生活等、私自身よくはわからないものの、それなりに色々考えさせられる思いがしました。
とりあえずは、今後、ヨーロッパ方面に旅立たれる方々は(特にフランス・ドイツ方面)、インターネット等を通じて十分な情報収集を行うよう心がける等、現地の交通事情等にはくれぐれも用心しておいたほうがいいのかも知れませんネ。
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