京阪中之島線(中之島新線)トンネル貫通・・・次は線路敷設、駅など諸設備工事へ
阪神西大阪線延伸(阪神なんば線)、地下鉄四つ橋線延伸(北ヤード新線)、そしてなにわ筋線構想・・・ここのところ大阪市中心部とその周辺では鉄道建設で熱くなっている感があります。
本ブログでも阪神なんば線や地下鉄四つ橋線延伸について触れてきましたが、また一つ、大阪市内中心部に於ける鉄道建設で動きが見られたようですね。
既に各種メディアでも報じられていますが、京阪電鉄の天満橋駅から少し北のほうに分岐して中之島あたりを通っていくルートで建設が進められていた京阪中之島線(中之島新線)が、全区間のトンネル掘削を終了し、このほど貫通式が執り行われました。
そのときの模様を伝える新聞記事・・・まずは『産経イザ!』から。
「全区間のトンネル貫通セレモニー 20年度開業の京阪中之島線」 《『産経イザ!』2007年10月31日付け掲載記事》 |
平成20年度の開業に向けて工事が進む京阪電気鉄道の中之島線(天満橋~中之島、約2・9キロ)で31日、全区間のトンネルが貫通し、記念式典が行われた。 中之島線は全線が地下で、4つの新駅をつくる。昨年10月から駅間ごとに地下を掘り進める工事を始め、この日は最後の区間となっていた、なにわ橋(大阪市北区)-大江橋(同)の両駅間がつながった。大江橋駅付近で行われたセレモニーでは同社関係者がトンネル内に張られた幕を下ろし、貫通を祝った。 15年度に着工した中之島線は、天満橋駅から中之島の大阪国際会議場前の中之島駅まで結ばれる。鉄道の空白地域だった中之島に新線ができることで、利便性向上が期待されている。 今後は、レール敷設や新駅の設置工事が行われる。 |
ちなみに、ウィキペディア解説「京阪中之島線」によると、貫通式が行われた大江橋駅は今回建設されている京阪中之島線の中間地点にあたる駅となっています。
次に読売新聞・・・
「大阪・中之島線トンネル貫通で式典、08年度開業へ」 《読売新聞Web版(YOMIURI ONLINE)・2007年10月31日付け掲載記事》 |
大阪市都心部の天満橋―中之島間2・9キロを地下で結ぶ鉄道新線・中之島線のトンネルが全線貫通し、31日、建設中の大江橋駅(北区中之島2)で記念式典が行われた。 同市などが出資する第3セクター、中之島高速鉄道が2003年5月に着工。完成後は京阪電鉄が施設を借りて運行する予定で、今後レールや電気関係、駅の内装などの工事を行い、08年度中の開業を目指す。 記念式典には工事関係者ら約30人が出席し、貫通地点のトンネルにかけられた白い幕を取り除き、拍手で祝った。京阪電鉄関係者は、「東西を結ぶ鉄道がない地域だったので飛躍的に便利になります」と早くもアピールしていた。 |
同じく建設中の阪神なんば線と同様、上下分離方式による運行、ということなんですね。
そういえば、阪神なんば線の施設保有者は「西大阪高速鉄道」、JR東西線の施設保有者は「関西高速鉄道」・・・昔、大阪市営地下鉄の正式名称が「大阪市営高速鉄道」だった名残からなのかどうかは知りませんが、今回の京阪中之島線(中之島高速鉄道)も含めて、これら地下路線の施設保有者はみな「××高速鉄道」と名乗っていますネ《あ、阪急・阪神・神鉄・山陽の4私鉄に挟まれた、線路と駅等諸施設だけ保有して車両を一切持たない”トンネル会社”も「神戸高速鉄道」と呼んでいたなぁ…》。
で、何故か以下のスポーツ紙(日刊スポーツ)掲載記事が一番詳しく報じていたりします。
「京阪中之島線トンネル全線貫通、来年開業」 《日刊スポーツWeb版・2007年10月31日付け掲載記事》 |
京阪電鉄の天満橋駅(大阪市中央区)と大阪国際会議場(同市北区)を新たに地下で結ぶ中之島線のトンネル工事が終わり全線が貫通、京阪電鉄と建設主体の中之島高速鉄道が31日、除幕式をした。 03年5月に着工し6割の工事が完成。来年度の開業を目指し、今後もレールの敷設や電気関係の工事、駅の整備などが続く。 除幕式には、京阪電鉄の久ノ坪宏司中之島新線建設部長や、中之島高速鉄道の中野道夫計画部長らが出席。大江橋駅付近は地下約25メートル。中野部長は「川に挟まれ地下水が豊富なため、水漏れしないように慎重に掘り進んだ」と説明した。 中之島線は複線で、営業距離は約2・9キロ。トンネル部分の工事は昨年10月30日に着工し、最後まで残っていた工区が完成した。 |
お終いに、建設業界の専門誌・日刊建設新聞では、貫通式が行われてから3日後の今月2日の日付で、工事順序等も含めて詳細に報じています。
「中之島線建設工事、シールドトンネルが貫通~除幕セレモニー開催~」 《日刊建設新聞Web版(Nikken Times)・2007年11月02日付け掲載記事》 |
~2008年度開業へ弾み~ 中之島高速鉄道(株)が、2008年度の開業を目指して工事を進めている中之島線建設工事でこのほど、最終シールドトンネルが貫通し、31日に貫通セレモニーが開催された。シールド工事は昨年10月から四つの工区で実施され、先月中旬に最後のシールドが到達していた。これにより同線は全区間がつながった。セレモニーには工事関係者ら約70人が出席し貫通点の除幕が行われた。 貫通を記念する除幕は、最終シールドの到達点となった大江橋駅工区の西行き坑口前で、午前10時から行われた。初めに中之島鉄道の中野道夫・計画部長による事業概要の説明に続き、京阪電鉄中之島新線建設部の久ノ坪宏司部長が工事経過報告を行い、「中之島鉄道と京阪が一体となり、細心の注意を払いながら安全に工事を進めていく」と決意を語った。 この後、中野部長と久ノ坪部長、施工を担当している鹿島JVの山本亨所長の3氏による除幕が行われ、合図とともにスイッチが押されるとトンネルを覆っていた幕が取り払われ、見守っていた出席者から拍手が沸き起こった。 中之島線は、大阪国際会議場前から京阪天満橋駅までの約2.9㎞の区間で、中野島駅・渡辺橋駅・大江橋駅・なにわ橋駅の四駅を設置。中之島高速鉄道が施設を建設・保有し、列車運行を京阪電鉄が行う。工事は全七工区に分け、2003年5月に着工した。このうちトンネル工事は、第2工区(中之島から渡辺橋・291m)、第3工区(渡辺橋から大江橋・315m)、第4工区(大江橋からなにわ橋・438m)、第6工区(なにわ橋から天満橋・605m、536m)の4つの工区で実施された。 トンネルは、単線並列トンネルの内空径6.2mで、泥土圧式シールド工法で実施。シールド工事は、2006年10月30日に第2工区の東行きからスタート(貫通2007年1月12日)。次いで今年に入り、2月11日に第4工区(同4月28日)、2月28日に第3工区(同5月15日)3月12日に、それぞれ東行きが掘進を開始した。なお第6工区のみ、シールド機2台によるなにわ橋側から掘進。西行きは3月12日(貫通6月26日)、東行きが4月9日(同7月20日)に発進した。 折返しとなる西行きは第2工区で2月22日に再発進し、4月10日に貫通、第3工区が6月18日で8月21日に貫通。今回、貫通した第四工区は6月8日に再発進し、10月11日に大江橋立坑に到達、シールド機の解体が行われていたもの。 工事は今後、各駅部でのプラットホームや出入口、換気口、軌道部でのレール敷設、電気設備や内装工事などが実施されるが、全区間が貫通したことにより、開業に向けて工事に弾みがつくこととなる。10月末の進捗率は60%強となっている。 なお、シールド工事は、第2工区が錢高・三井住友・淺沼JV、第3工区は大成・戸田・鉄建・熊谷JV、第4工区が鹿島・間・不動テトラ・飛島JV、第6工区は西松・大豊・森本・白石JVが担当している。 |
単線並列のシールドで掘っていったとのこと・・・となると、現在進められている阪神西大阪線延伸(阪神なんば線)工事ではどういう堀り方をしているのだろう《やはりシールド式だろうか…》。
で、上記『Nikken Times』掲載記事の終わりに記されている、工区毎の受け持ち建設会社(ゼネコン)の中で、第4工区受け持ち会社のうちの鹿島とハザマ(間組)については、これまた各種メディアでさんざん報じられていますが、名古屋市営地下鉄桜通線延伸工事を巡る談合事件で賠償責任を負うこととなった5社の中の2社にあたっており、このうち鹿島については国土交通省の各地方整備局から一定期間の指名停止処分を受けていたようですが《今は終わっているかな》・・・
ま、この工事に関しては処分を受ける前から進められてきているので関係なかったんでしょうネ《わからんけど…》。
今後は駅や電気設備、レール敷設等の工事が本格化するとのことですが、果たしてどんな形の駅や諸設備が出来上がるのか、今から楽しみデス。
P.S.(追記)
今回貫通した京阪中之島線、そして同じく建設が進められている阪神なんば線については何れも上下分離方式により運行される予定であることは既に伝えられている通りですが、「運輸政策審議会第19号答申を読む(3)」というページに行き当たり、目を通しているうちに、これら上下分離方式の採用は国・自治体からの補助金交付の上で有利に働くことを知りました。
言い換えると、鉄道事業者にしてみたらその分負担が軽くなり、結果利用客への加算運賃等による転嫁が小さくて済むことにつながるわけですネ《今回の京阪中之島線を例にとった補助金等の算出例が示されています→「京阪中之島新線の建設スキーム」》。
あと、京阪中之島線は2008年度末(つまり2009年春?)の開業を予定しているとのことですが、これに合わせて投入される京阪の新型車両の概要が去る4月に発表されています。
「中之島線開業に向けて新型車両を投入します」という文書がそれにあたりますが、掲載されている新型車両イメージ図を見ると、これまでの京阪の車両には見られない、どこかメタリックな感じの外観となっているのですが、前面窓がやけに大きくて型崩れしているような感じがする・・・
京阪では、今後、車体の塗装等詳細事項について詰めていくことにしていることにしているそうですが、私としてはメタリック(無塗装)のままで行っちゃえばインパクトもあっていいんじゃないかなぁ、なんて思ったりもしますが、果たしてどうなることやら。
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