井原鉄道、乗客数累計1,000万人突破・・・岡山県と広島県を跨る第3セクター鉄道《”+α”的な話題も》
伯備線の清音(総社)駅から福塩線の神辺駅までを結び、山陽本線の北側をほぼ並行する形で走っている第3セクター鉄道・井原鉄道井原線。
左に示す『JR時刻表』に掲載の路線図を見る限り、井原線と、伯備線を挟んで反対側を走るJR吉備線は、お互いに方向転換すること無しにそのまま直通運転出来るような印象を受けます《「岡山→総社→神辺→福山」、またその逆のルートも》。
ですから、「岡山発吉備・井原線回り福山行」やその逆も理屈上は十分可能ですし、また「福山発井原・伯備線経由新見行」というのも可能かと思ったりします《但し需要面等は別にして・・・》。
実際の列車として設定してみれば面白いところですが・・・まあ「机上の空論」と言われても仕方ないところですけれどもネ。
ま、それはともかくとして、その清音~神辺を結ぶ井原鉄道線が、去る16日に、目出度く開業以来の利用者数を1,000万人にまで伸ばしたみたいですね。
全国紙系による報道から見ていきますと・・・
「ユニーク企画好評 三セク「井原鉄道」1000万人突破」 《『産経イザ!』2007/12/16付け掲載記事》 |
「井原鉄道の利用者が1000万人」 《産経新聞Web板(MSN産経ニュース)・2007.12.17付け掲載記事》 |
岡山、広島両県などが出資の第三セクター「井原鉄道」(岡山県井原市)の利用者が16日、1000万人を突破した。 1000万人目は、総社市美袋の小学4年、陶山碧さん(10)で、家族で井原市の親戚宅を訪れるため、同鉄道を利用したという。 井原駅で行われた記念セレモニーで、陶山さんは、同社の会長、石井正弘・岡山県知事や社長の瀧本豊文・井原市長らから認定証や同市特産品セットなどがプレゼントされた。 同鉄道(井原線)は、JR伯備線総社駅-福塩線神辺駅を結ぶ路線で、平成11年に開業。井原市特産のジーンズ製品PRのため、車内にジーパンなどをあしらった「ジーンズ列車」をはじめ、「ホタルの光列車」や「スズムシ列車」の運行など、ユニークな企画イベントが評判。18~24日には、車内にクリスマスの電飾を施した「イルミネーション列車」を走らせる。 |
◆ 赤紫字の部分は12月16日付『産経イザ!』掲載記事のみに見られる記述 |
「井原鉄道:開業から9年、乗客1000万人達成 井原駅で記念式 /岡山」 《毎日新聞Web板(毎日jp)・2007年12月17日付け掲載記事》 |
総社市-広島県福山市間の第三セクター「井原鉄道」(社長、滝本豊文・井原市長)井原線が16日、99年1月11日の開業以来、利用者が1000万人を超えた。同線井原駅(同市)でこの日、1000万人達成の記念式典があった。【松井豊】 1000万人目の乗客となったのは、総社市立昭和小5年、陶山碧(すやまみどり)さん(10)。祖父の正志さん(67)、弟で同小2年の岳大君(8)と一緒に、曽祖母の見舞いのため、総社市の清音駅から乗車して井原駅で降りた。 碧さんには同社会長の石井正弘知事から記念品として、カレンダー、マグカップなど井原鉄道グッズと美星ヨーグルトなど井原市の特産品などが贈られた。 碧さんは「式のことは知らなかったので驚いた。井原鉄道には4、5回乗ったことがあり、高架線から見る周りの山の景色が好き」とはにかんでいた。 |
「ジーンズ列車」、「ホタルの光列車」、「スズムシ列車」・・・井原市がジーンズを特産品としていることは今まで知りませんでしたが、他の地方第3セクター鉄道等と同様、この井原鉄道線でも様々なイベント列車を走らせてることで何とか井原線を守り続けているという感じですね。
ちなみに今度のクリスマスイブ(12月24日)にかけて走らせている「イルミネーション列車」についてですが、『「夢 やすらぎ」号 クリスマス・イルミネーション』によると、井原鉄道の所有する特別仕様車・ITR355形200番台「夢やすらぎ」号を使用して行うとのことで、21日(金)までは夕方以降の上下合わせて4本、土日祝(人によっては3連休)となる22日(土)から24日(月)の3日間は夕方までの上下合わせて8本の各列車について実施するとのことです。
なお、ITR355形200番台「夢やすらぎ」号そのものについては、新製当時のこと等が井原鉄道Webサイト内の『”夢 やすらぎ”号 出発式』にて記されている他、『井原鉄道の観光列車“夢 やすらぎ”号に乗ってみた』、『夢やすらぎ号に乗って』、『井原鉄道・特別企画車両”夢 やすらぎ”号(清音駅にて)』あたりが詳しいです《車内外の紹介の他、車両諸元の紹介も見られます》。
さて、一方、地元紙のうち、岡山の地元紙・山陽新聞では井原鉄道利用者数1,000万人目達成の模様を以下のように報じています。
「井原線利用者 1000万人突破 陶山さんに記念品」 《山陽新聞Web板・2007年12月17日付け掲載記事》 |
井原線の利用者が16日、1000万人を突破した。1999年1月の開業以来、8年11カ月での達成。運営する第三セクター・井原鉄道は、井原駅(井原市七日市町)で記念品などを贈り節目を祝った。 1000万人目となったのは、総社市立昭和小5年陶山碧(みどり)さん(10)。井原市に住む曾祖母の見舞いのため、祖父正志さん(67)、弟の同小2年岳大君(8つ)と清音駅から井原駅まで乗車、同駅で同社社長の滝本豊文井原市長から認定証、同社会長の石井正弘岡山県知事から記念品を受け取った。 碧さんは「突然のことでびっくりしたけど、うれしい。井原線は高架を走るので景色がよく見えて楽しいです」と笑顔。石井知事は「沿線地域の皆さんがイベントなどで活性化に取り組んでいただいているが、県も積極的にPRし利用促進につなげたい」と話した。 |
また、広島の地元紙・中国新聞では以下の2段組で伝えていますが、どうやらこの「1,000万人目」の達成日を予想してもらい、見事当てた人(と思うけど)の中から抽選で井原線沿線に因むモノをプレゼントするという企画があったみたいで・・・
「井原線1000万人を当てよう」 《中国新聞Web板・2007/12/9付け掲載記事》 |
井原線まちおこしネットは、井原線の乗客1000万人達成日を当てるクイズを実施している。福山市神辺町と総社市を結ぶ鉄道として1999年1月11日に開業した井原線は、年内にも1000万人に到達する見通し。解答は電子メールで受け付ける。達成予想日やメールアドレスなどを記入し、同ネット事務局(okada999@ibara.ne.jp)に送る。3人に「井原線沿線うまいもん詰め合わせ」を贈る。 |
「井原線利用客1000万人超す」 《中国新聞Web板・2007/12/17付け掲載記事》 |
福山市神辺町と総社市とを結ぶ第三セクター鉄道、井原線の利用客数が16日、1000万人を超えた。1966年の着工後、国鉄改革で凍結。地元要望で工事再開した、99年1月の開業以来、8年340日目で大台を達成した。1000万人目となったのは、井原駅で下車した総社市、陶山碧(みどり)さん(10)。同線の利用客はこの数年、年間110万人台で横ばい。2007年度上半期(4―9月)は、前年同期比0.1%減の57万3674人。 |
以上の新聞記事たちで伝えられていますように、「1,000万人目」達成日は12月16日・・・あ、広島で「第九ひろしま2007」が行われていた日なんだ。
ま、それはともかくとして、1999年1月開業から9年足らずで1,000万人突破、というわけですね。
ちなみにその1999年1月開業当時にこの井原鉄道線に乗ったという人のレポート『井原鉄道【1999年1月】』が公開されているのですが、開業初日、井原線区間のみならず、このブログ内記者を乗せた井原線列車の走ったJR線区間でも手を振ったりカメラのレンズを向ける人の姿があったそうです《使われたのが真新しい井原鉄道の車両だったからなんでしょうね》。
このブログ内記事の中でも記されていることですが、井原鉄道線内はローカル線にしては高規格に造られているようで、この当時でも、なんと井原線内の一部区間で110km/hに達していたとのこと。
今でも、まあ全線とは言わないまでも、一部区間でそのような高速で走っているんだろうか・・・
だが、その一方で、喜んでばかりもいられない事情も井原鉄道線は抱えているみたいで・・・
「井原鉄道乗客数は0.1%減」 《中国新聞Web板・2007/11/30付け掲載記事》 |
福山市神辺町と総社市を結ぶ第三セクター井原鉄道(井原市)は29日、本年度上半期(4―9月)の営業成績を発表した。乗客数は57万3674人で前年同期比0.1%減。通期では、車両検査費の増加などにより、経常損失が40.2%拡大する見通しとなった。内訳は、通学が高校生の減少で3.7%減。通勤は午前7時台の1便増便や企業への戸別訪問の効果により7.8%増。経常損失は4900万円膨らみ、1億7200万円の見通し。 |
通勤客こそ増えているものの、やはりここのところの少子高齢化等が足を引っ張っているという印象ですね。
そんな中、年末ならではと言いますか、井原線でこんなことを始めています・・・
「やめよう飲酒運転/井原鉄道」 《朝日新聞Web板(asahi.com)「マイタウン岡山」・2007年12月14日付け掲載記事》 |
「井原鉄道、「やめよう飲酒運転」のヘッドマーク」 《朝日新聞Web板(asahi.com)「コミミ口コミ」・2007年12月16日付け掲載記事》 |
総社―神辺間を走る井原鉄道の車両に、飲酒運転防止を訴えるヘッドマークがお目見えし、列車に取り付けられた。昨年に続いての登場だ。 大きさは、横91センチ、縦70センチ。黄色と赤色で目立つように「やめよう!飲酒運転」と書かれ、ドライバーとビールグラスのイラストが描かれている。また、「忘年会シーズンは井原線をご利用ください」と書き添えてあり、しっかりPRも。 井原駅で列車待ちしていた乗客は「カラフルで結構、目立つ」と話していた。ヘッドマークをつけて28日まで運行する。 |
◆ 12月16日「コミミ口コミ」掲載分の記事では「岡山県の総社―神辺間を走る」で始まっているが、神辺駅は広島県内にあるため、”総社(岡山県)―神辺(広島県)間を走る”や”岡山県の総社と広島県の神辺とを結ぶ”といった書き出しのほうがいいと思う |
昨今、大きくクローズアップされている飲酒運転の問題を井原鉄道線利用促進にちゃっかり結びつけるというもののようですが、果たして効果のほどはいかに・・・
終わりに、井原鉄道線に実際に乗車した人たちによるレポートのうち、私自身目を引いたものを以下に挙げてみました。
「岡山5時間の記――井原鉄道と内田百閒展」
「中・四・九 夏の海(その1)」
「井原鉄道と吉備線を完乗」
これら3つのWebサイトを見る限り、何れの著者とも井原鉄道線では転換クロスタイプのIRT355形100番台に乗れたものとみられますが、景色もさることながら、乗車券購入を巡る行動も見ものかと《恐らくJR線と井原線相互の連絡運輸の絡みによる行動でしょうが;気分を害するようであればスミマセン!》・・・
参考までに、JR線と井原鉄道線相互の連絡運輸については井原鉄道線Webサイト内に掲載の『連絡運輸について』にて説明されている他、ウィキペディア解説「井原鉄道→”運賃”」や『井原鉄道横断』・『井原鉄道連絡券の接続駅について』・『井原鉄道連絡運輸・吉備線』でも解説されていますが、これらのページを眺める限りでは、少なくとも乗車券に関してJR・井原鉄道の双方が定めた適用範囲内の駅であれば、JR線に於いても井原線に於いても、両路線を跨る乗車券を購入可能のようです。
ただ、先に挙げた井原線乗車記関連3サイトの内容から、近辺のJR駅(福山駅とか)であっても自動券売機では対応していないところがあるようで、その場合は窓口対応ということになりそうですネ。
また、上に示す動画は、この動画に添付されているデータから、恐らく先月(11月)の11日に岡山県の矢掛町で開かれていた「第32回 矢掛の宿場まつり大名行列」開催に伴って設定された臨時列車と思われますが、2両編成の先頭を走るのは、外観から、どうやらITR355形200番台「夢やすらぎ」号車両のようですね。
これからも井原鉄道には、岡山県南西地域(井原市等)そして広島県南東地域に於ける地域の足として、今後益々発展していってほしいところです。
P.S.
井原市といえば、JRの駅にも「井原市」というのがあるのですが、こちらは”いばらいち”と読み、岡山県ではなく広島市安佐北区にある芸備線の駅となっています。
どうかご用心を・・・
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