一音寺室内合奏団(京都市、アマチュア・オーケストラ)の演奏によるベートーヴェン『交響曲第7番イ長調作品92』
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、ご存じのように、その生涯に9曲の交響曲を残しています。
今回取り上げる『交響曲第7番イ長調作品92』は1811年から1812年にかけて(つまりベートーヴェン41歳から42歳にかけての頃に)作曲された作品で、1813年12月8日にウィーンに於いて、ベートーヴェン自身の指揮により初演されています。
このベートーヴェンの第7交響曲については、私の手許にも、ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮NHK交響楽団のCDやレナード・バーンスタイン指揮ボストン交響楽団のCD等を所有したりしているのですが〔尤も”積ん読(聴き)”状態ですが…〕、今回ご紹介しますのは、京都市内の寺院を活動の拠点としているアマチュア・オーケストラの演奏による『交響曲第7番イ長調』の演奏になります。
そのオーケストラの名前は「一音寺室内合奏団」・・・・・・このオーケストラ名称からもわかりますように、京都市内にある一音寺(宗教法人 一音寺)を活動の拠点とするアマチュア・オーケストラで、年1回のペースで定期演奏会を開いてきています。
その一音寺室内合奏団では自らWebサイトを立ち上げており、自ら開く演奏会案内等の他、過去に開いた演奏会の中から選び出された演奏音源のWebサイト上での公開も行ってきています。
今回、その一音寺室内合奏団が去る2005年7月10日(日)に京都コンサートホール・大ホールで行った第9回定期演奏会の中で取り上げられた、ベートーヴェンの第7交響曲を聴いてみました。
第1楽章:Poco sostenuto - Vivace
第2楽章:Allegretto
第3楽章:Presto
第4楽章:Allegro con brio
《音楽監督:双紙正哉》
《上記音源の掲載元ページはこちら(試聴室)》
このベートーヴェン第7交響曲の演奏でありますが、アマチュア・オーケストラによる演奏にもかかわらず、曲の全体にわたって弦楽器がよく鳴っているような印象を受けました。
聴いた感じでは、恐らくは比較的少人数規模の管弦楽によって演奏されているものと思われますが、シャキシャキとした歯切れの良い音でメロディーラインを歌い上げており、また弦楽器がよく鳴っているため、弦楽器と管・打楽器相互の強弱バランスが程よい具合になっている感じがしますね。
ウィキペディア解説「交響曲第7番(ベートーヴェン)」によると、このベートーヴェン第7交響曲に対する評価として、ベートーヴェンに感化されて音楽家の道を歩んだと言われるワーグナーは、各楽章に於けるリズム動機(モチーフ)の活用具合を指して、この曲を「舞踏の聖化」と賞賛していますが、これに対し、やはりワーグナーに影響を与えた作曲家と言われているウェーバーは「ベートーヴェンは今や精神病院行きだ」と批判、更に名指揮者ワインガルトナーは「他のいかなる曲よりも精神的疲労を生じさせる」と苦言を呈しています。
私自身、このベートーヴェン第7交響曲を聴いた感じでは、第1・3・4各楽章のリズミカルな感じの響きに対してマイナー基調である第2楽章のどこか重々しい雰囲気という、この両者のあまりの落差にベートーヴェン自身の抱いていたであろう心のブレの大きさというものを感じる一方で、そのあまりの落差が却って第7交響曲という楽曲全体を引き立たせているのではないかと思ったりもします。
こう感じる私自身も精神病院行きなのか・・・
ま、それはともかくとして、今回とりあげた京都のアマチュアオーケストラ、一音寺室内合奏団によるベートーヴェン演奏は、シャキシャキとした響きになっている一方で、華美になり過ぎず、楽章毎にきちんと歌い分けられている・・・・・・アマチュアオケにしては高いレヴェルの演奏に仕上がっていると言うことが出来るでしょう。
プロオーケストラと遜色の無い位の質の高い演奏、そう言ってもおかしくはないと思いますね。
ちなみに私自身はこの京都・一音寺室内合奏団によるベートーヴェン第7交響曲演奏をお気に入りの一つとしていて、折に触れて何度も繰り返して聴いています。
堅実に歌い上げているように感じているから・・・
P.S.(080609追記)
先日、一音寺室内合奏団から直々のメールが入ってきまして、本文中で紹介しているベートーヴェンの『交響曲第7番』各楽章毎の音源へのリンク・アドレスを変更したとのことですので、当方ではこれに合わせて本記事にて設定している各楽章毎の音源URLの書き換えを行いました。
一音寺室内合奏団の皆様方には心から御礼申し上げます。
【関連記事〔ベートーヴェン感想(批評)〕】
「カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニーによるベートーヴェン「第九」ライヴ in 東京・普門館 (1979年)」
「ハインツ・ワルベルク指揮NHK交響楽団によるベートーヴェン『交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」』(1998年6月)」
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