尾高忠明指揮NHK交響楽団によるブルックナー『交響曲第8番ハ短調』(第3・4楽章のみ;2007年6月)
今回は、過去にカセットテープによるエアチェックから聴いた演奏ではなく、最近HDDビデオレコーダで録画した音楽番組で放映されている演奏を聴いての文章となります。
それはNHK教育テレビで毎週日曜日・夜21時から放映されている『N響アワー』の、昨年(2007年)の初夏(6月か7月)頃に放映されたアントン・ブルックナー作曲の『交響曲第8番ハ短調WAB.108』からの抜粋《第3・4両楽章のみ》。
『N響アワー』という番組自体が1時間番組であるのに対し、このブルックナー『交響曲第8番ハ短調』は標準的な演奏所要時間で80~90分程度を要する大曲。
そのため、このブルックナーの8番の演奏が放映された一昨年の『N響アワー』では後半の2つの楽章、第3・4両楽章のみが紹介されていました。
とはいえ、先月くらいから自宅のパソコンに取り込んだこの『N響アワー』番組枠内でのブルックナー『交響曲第8番』演奏を繰り返し聴くようになり、後半2楽章のみ抜粋の形とはいえ、すっかりお気に入りの一つとなってしまいました。
なお、当該『N響アワー』で放映されていたブルックナー『交響曲第8番』は昨年(2007年)の6月2日に東京・渋谷のNHKホール(NHK放送センター構内)で行われたNHK交響楽団・第1595回定期演奏会に於けるもので、指揮を務めたのは神奈川県鎌倉市出身の齊藤秀雄門下の指揮者で、現在札幌交響楽団音楽監督や東京藝術大学音楽学部指揮科非常勤客員教授等を務めている尾高忠明。
ところで、このブルックナー『交響曲第8番』を、『N響アワー』で放映された後半の2楽章だけとはいえ、お気に入りの1曲と数えるようになったのは、私のもう一つ趣味としている鉄道に絡んだ事象からでした。
以前にもこのブログでお話ししたことですが、正直言うと私自身、少なくとも2~3年前までは「鉄道ファンに女性はいない」という認識を頑なに持っていました。
それが、鉄道の旅を扱ったアニメの登場と某トラベルライターらがとった行動によって女性の鉄道ファンが次第にその数を増やしていき(或いは「次々と発掘され」)、ついには男顔負けの鉄道マニアの女性有名人(「鉄道アイドル」等と形容)までも出現、大いなる衝撃を受けました《断っておきますが、このこと自体、私にとってはとても嬉しいことですよ。男女を問わず鉄道ファンの輪が広がるわけですからね…》。
加えて私自身、正式な診断をもらっているわけではありませんが、内的(精神的)に問題を抱えているところがあり、そのためかどうかは定かではありませんが、正直、その女性有名人たちに目を奪われてしまうようなところがあり、このままでは自らが滅びかねない、という危機感さえ抱くようになってきました。
そのため、自己整理を図るべく、私自身のこれまで辿ってきた道や自らのこれまでの趣味歴に向き合う等していく中で、今回紹介する『N響アワー』の中のブルックナーの第8交響曲の演奏に出会いました。
私自身ブルックナーの音楽に対しては、最も有名とされている『交響曲第4番変ホ長調WAB.104「ロマンティック」』を中心に幾度か聴いてはいるものの、正直言って、取っ付きにくい印象を抱いていました。
けれども、この尾高忠明指揮によるブルックナーの8番は、何度も繰り返し聴いているうちに、神々しさというのもあるかもしれませんが、ブルックナー特有の音列と和声の使い方、そしてそれらを音楽として輝かさせるようなオーケストラ・サウンド・・・・・・この第8交響曲に関して大した知識を持ち合わせていないにもかかわらず(不謹慎…)、何だか引き込まれるような感じがしました。
このブルックナーが書いた『交響曲第8番』は1884年から1887年にかけて作曲されたものの、彼が敬愛するドイツの指揮者ヘルマン・レヴィにこの作品を見せたところ「演奏不可能」と言われたことから、1889年から1890年にかけて作品の改訂を行い、改訂が終わってから2年が経過した1892年12月18日、ハンス・リヒター指揮によるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会に於いて初演されました。
この『交響曲第8番』は以下に示す4楽章で構成されています。
第1楽章 Allegro moderato 《ハ短調・2/2拍子・3つの主題を持つソナタ形式》 第2楽章 Scherzo. Allegro moderato 《ハ短調・3/4拍子・複合三部形式》 第3楽章 Adagio. Feierlich langsam, doch nicht schleppend 《変ニ長調・4/4拍子・5部形式》 第4楽章 Finale. Feierlich, nicht schnell 《ハ短調・2/2拍子・ソナタ形式》 |
ウィキペディア解説によると、全体で約80~90分を要する演奏所要時間のうち、後半2楽章(第3・4両楽章)で合わせて50分前後を費やすとのことで、今回紹介する『N響アワー』放映部分はいわば所要時間の長い後半2楽章のほうを流していることになるわけですね。
で、尾高忠明指揮によるブルックナーの第8交響曲の演奏でありますが、実は一昨年(2006年)の7月にも行われています。
この時の相手は群馬交響楽団で、その時の模様が『群馬交響楽団第429回定期演奏会』というレポートとなって公表されているわけですが、当時の尾高自身の体調が必ずしも万全ではなかったのか、或いはオーケストラのほうが不調だったのか、全体として冷めた見方をしている模様。
それに対し、今回耳にしたN響によるブルックナーの第8交響曲の演奏ではハース版が使われていたとのことですが、表面的にはピンと張りつめているといった雰囲気が感じられないように見えるものの、全体として統制がとれていて、音自体もよく響き、各楽章毎に描き出されている一連のストーリーをしっかりと再現させていた、といった印象ですね。
第3楽章では変幻自在な響きが見事に展開され、時にほのかな温もりを感じさせたり、時には天空に輝く星のきらめきをイメージさせたり、また時には火山の如く弾けたり・・・響かせ方も綺麗で、聴いていてシビレるほどでした。
コサックの進軍をイメージさせるような序奏で始まる第4楽章では低音域のパートが他のパートをしっかりとサポートしていて、第3楽章の時もそうでしたが、各パートが奏でる音の一つ一つを丁寧に歌わせていたとでもいいましょうか、明快にかつ雄弁に語らせていた・・・そんな印象ですね。
このブルックナーの『交響曲第8番ハ短調』、また機会を作って、今度は全楽章通しで聴いてみたいと考えています。
慣れるまで時間はかかるかも知れませんが、このブルックナーの第8交響曲を本格的に味わいたいと思っています。
« 寝台急行「銀河」の寝台券を取りに行きました・・・第24回「5000人の第九」絡みで《キャンセル待ちも》 | トップページ | 「青色照明(LED)で自殺防止」(大阪)&「勝手に自家製踏切、73歳無職男逮捕」(広島)・・・踏切に関する話題2つ »
この記事へのコメントは終了しました。
« 寝台急行「銀河」の寝台券を取りに行きました・・・第24回「5000人の第九」絡みで《キャンセル待ちも》 | トップページ | 「青色照明(LED)で自殺防止」(大阪)&「勝手に自家製踏切、73歳無職男逮捕」(広島)・・・踏切に関する話題2つ »
コメント