ゲルト・アルブレヒト指揮NHK交響楽団によるベートーヴェン『交響曲第7番イ長調作品92』(1982年2月)
2~3日前位だったか、こちら大阪の自宅のテレビで深夜番組をチラッと見ていた時に(ハッキリ覚えていないのですが、朝日放送で放送された番組だったような…)、その番組では女性タレント1人と男性タレント1~2人が司会進行を受け持ち、オピニオン役として6人程度の芸人(お笑い系だったか…;こちらは全員男だったように記憶)たちが居合わせていたように覚えているのですが、おすすめイヴェント情報のコーナーに入り、そこでいきなり「BBCフィルハーモニック」の文字が目に入り、えぇ~っ、という驚きの気持ちで覗き込みました。
一通りその公演の案内が済んだ後、スタジオ内に設置のモニター画面は「ベートーヴェン 交響曲第7番」(だったかな…)の文字テロップ表示に切り替わり、何やらベートーヴェンの7番のウンチクを女性タレントが語り始めていたように何となく記憶していますが、この曲名を目にした私は、ふと、もしや「のだめ」絡みか、と勘付き、早速ネットで確認したところ、まさしくそのとおりでした。
2006年10月16日から12月25日にかけて都合11回フジテレビ系列で放映されていたテレビドラマ『のだめカンタービレ』はクラシック音楽界に一石を投じた等といわれたことのあるドラマなのですが、このドラマの主題歌としてベートーヴェンの第7交響曲・第1楽章が抜粋の形で用いられていました。
で、件の女性タレントは居合わせたオピニオン役の芸人たちとやりとりをしながらそのベートーヴェンの7番の話をしていたみたいですが、やがてヴァイオリン片手に譜面台がセッティングされた中央部分に出て、その手持ちのヴァイオリンを顎と肩で挟んで演奏の体形をとると、ピアノ伴奏に乗ってベートーヴェンの7番の第1楽章の前半のメロディーを16小節程度演奏して見せていました。
うん、よく弾けているし、音も悪くない・・・思わず感心の私自身、心の中で唸ってしまいました。
なお、この深夜番組のおすすめイヴェント情報コーナーで紹介された「BBCフィルハーモニック」でありますが、JRグループ定例ダイヤ改正の当日にあたる3月15日(土)に大阪市北区・中之島にあるフェスティバルホールにて行われ、先に挙げたベートーヴェンの『交響曲第7番イ長調』の他、シベリウスの『ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47』他が演奏されることになっています。
で、前置きが少し長くなりましたが、今回はその「のだめ」の主題歌の素材にもなりましたベートーヴェン『交響曲第7番イ長調作品92』を聴いてみたことについて書いてみようと思います。
ベートーヴェンの『交響曲第7番』と言えば、以前に京都のアマチュアオーケストラ・一音寺室内合奏団による演奏を聴いたことについて書いていますが〔→『一音寺室内合奏団(京都市、アマチュア・オーケストラ)の演奏によるベートーヴェン『交響曲第7番イ長調作品92』』〕今回はプロのオーケストラによる演奏を聴いてみました。
ところで、その京都のアマオケ・一音寺室内合奏団によるベートーヴェンの7番についての記事では、曲に関する簡単なことを書いたのみで、楽章のこと等についてはまだ触れていませんでした《尤も音源へのリンクとして楽章毎の速度指示表記だけは記していましたが…》
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第1楽章 Poco sostenuto - Vivace 《イ長調・序奏付ソナタ形式・ 4/4 - 6/8拍子》 第2楽章 Allegretto 《イ短調・複合三部形式・2/4拍子》 第3楽章 Presto 《ヘ長調・スケルツォ・3/4拍子》 第4楽章 Allegro con brio 《イ長調・ソナタ形式・2/4拍子》 |
8分の6拍子のリズムによるシチリアーナのリズムが支配する第1楽章に始まり、複合三部形式の主部が変奏曲形式となっている第2楽章、スケルツォとトリオが交互に現れる第3楽章、そしてアイルランドの民謡「ノラ・クレイナ」の旋律からとられたとされる第1主題を擁する熱狂的なフィナーレ楽章である第4楽章・・・と続いていくこのベートーヴェンの第7交響曲でありますが、1813年12月の初演時、聴衆の支持が最も強かったのは第2楽章だったといわれ、この楽章のアンコール演奏を求められるほどだったそうです。
今回聴いたのは、今から26年前の1982年2月5日に東京・渋谷にあるNHKホールで行われたゲルト・アルブレヒト指揮NHK交響楽団によるコンサートに於けるベートーヴェンの『交響曲第7番イ長調作品92』の演奏です。
これは2006年にNHK教育テレビで放映された『N響アワー』の中で紹介されていたもので、それを自宅のHDDレコーダで録画してPCに取り込んだものを聴きました《この『N響アワー』の放映日についてはこれまでわからなかったのですが、『ベートーヴェン交響曲第7番/ゲルト・アルブレヒト&NHK交響楽団(1982.2公演)』というブログ内記事から、どうやら2006年1月15日(日)に放映されたもののようです》。
ゲルト・アルブレヒトといえば、今日では読売日本交響楽団とコンビを組んでの演奏でよく知られるようになってきているみたいですが、N響をも振っていたんですね《私自身、今まで知りませんでした》。
この演奏を紹介している『N響アワー』に於いて、当該番組で解説役を務めている作曲家の池辺晋一郎によると、アルブレヒトのN響デビューはこの演奏が行われた1982年で(初来日でもあったそうです)、しかもN響定期公演への出演はこのデビュー時ただ1度のみだったそうで、N響にしてみればアルブレヒトはレアな指揮者ということになるかもしれませんね。
この15年後の1997年12月には同じく日本の読売日本交響楽団を初めて指揮、翌年(1998年)から2007年までの10年間にわたって読売日響の第7代常任指揮者を務めることとなったわけですから(現在は読売日響の桂冠指揮者)、彼にしてみればN響よりも読売日響のほうが合っていたのかも・・・
で、アルブレヒトは1957年に開催されたフランスのブザンソン国際指揮者コンクールで優勝しているわけですが、実はこの2年後(1959年)に開かれたこのコンクールで小澤征爾が日本人として初めて優勝したことはよく知られているところであり、以後この指揮者コンクールに於いて日本人では松尾葉子(1982年)、佐渡裕(1989年)、沼尻竜典(1990年)、阪哲朗(1995年)、下野竜也(2001年)が優勝を勝ち取っています。
そのアルブレヒトのN響デビュー時のものと思われるベートーヴェンの第7交響曲の演奏ですが、全般的な印象として、古典派作品にふさわしい堅実的な(というか真っ当な)仕上がりとでもいいましょうか、変な言い方では「可もなく不可もなし」といった感じですね。
アルブレヒトの指揮動作を見ていると、ただ勢いに乗って腕を激しく動かしているだけ、という印象を持ってしまいがちですが、オーケストラの側を見れば各パート間の音のバランスは見事なまでにとれていましたし、テンポの取り方もまずまず、リズム面でも、第4楽章の出だし等で見られる「ウンタタタッ」のところで若干の上滑り感が感じられるものの、ものの見事に粒が揃っている感じでしたので、本番に樽までの段階(リハーサル等)に於いて指揮者アルブレヒトとオーケストラ(N響)との間でうまいこと醸成されていった、ということが出来るでしょう《それでこそ名指揮者と言われる所以なのかもしれませんけれどね(まぁ言うまでもないことだろうけれども)…》。
演奏当時の楽器配置を見ると、弦楽器セクションでは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの順になっていて、ヴィオラの後ろあたりにコントラバスが6本控えている格好となっている他、弦楽器セクションの後ろには2列のブラス(木管とトランペットを除く金管)・セクションが控えており、その後ろには中央にトランペット奏者2人のみが控え、更にその後ろにティンパニが控える・・・という格好となっているのですが、第2楽章の2度目の主部の後半あたりで出てくるトランペットのサウンドがあたかも天からの啓示をイメージさせるような効果をもたらしていたような感じがしますね。
ちなみに、ブラス・セクションの内部をよく見ると、金管のホルンがステージに向かって右側に配置されているのが見えましたが、私の知る限りでは、ちょっと珍しいかなぁ、という印象でした《恐らくホルンのサウンドがヴァイオリンの発する高音域にかき消されないよう考えた末の配置とみられますね》。
言うまでもないことかも知れませんが、コンサート本番で見せる指揮動作はあくまで表象的(象徴的)なものであり、そこまでに至る過程(リハーサル等)を通じて指揮者とオーケストラの間に信頼感が生まれ、それが音楽の醸成につながり、そしてコンサートという場に於いて結実する、ということを改めて思い知らされる、そんなベートーヴェン演奏だったように感じました。
今後、生のオーケストラ演奏を聴く際の参考になりそうな感じがする・・・
<(_ _)> お読み下さってありがとうございます <(_ _)>

【関連記事〔ベートーヴェン感想(批評)〕】
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