「青色照明(LED)で自殺防止」(大阪)&「勝手に自家製踏切、73歳無職男逮捕」(広島)・・・踏切に関する話題2つ
◎ 青色LEDが踏切事故を予防!?
踏切に設置の夜間照明に青色発光ダイオード(青色LED)を試験的に導入してみたら踏切事故は起こらなかった・・・ここのところ都市部を中心に人身事故や踏切事故が頻繁に発生している中で、これはなかなかの朗報といえそうですね。
で、試験的に導入されたのは大阪府内を走るJR大和路線(関西本線)の新今宮~柏原間とJR阪和線の杉本町~日根野間の2つの区間内に設置されている計32箇所(うち大和路線10箇所、阪和線22箇所)の踏切で、これらの踏切では過去4年間で年間4~9件の死亡事故が発生していたとのこと。
JR西日本大阪支社がその計32箇所の踏切に、一昨年(2006年)の12月、青色LEDを試験的に導入したところ、踏切事故は発生しなくなったそうです。
専門家は「青色には鎮静作用があり、心が平穏になって本能的な衝動が抑える効能があることは学術的に証明されている」と指摘した上で、JR西日本による今回の取り組みに対しては「自殺防止の観点からみても非常にユニーク」と高く評価しています。
JR西日本では「一定の成果が出れば、他の踏切を含めた本格的な導入も検討したい」としていますが、それにしてもうまいことに気付いたものですね。
この青色照明、2000年に英国北部の都市・グラスゴーで景観改善のため導入したところ、犯罪件数の激減につながったとのことで、日本では防犯対策の街路灯として2005年に奈良県で初めて導入したのを皮切りに全国に広まり、現在では広島、静岡、石川等全国の自治体に普及、中でも埼玉県比企郡滑川町月輪(東武東上線沿線)の、関越自動車道北側(東武東上線から見ても北側)に位置する西荒井地区では同地区内を走る町道に、昨年10月下旬、地元住民らによって青色防犯灯16灯(恐らくLEDではないでしょう…)を含めた計32灯の防犯灯が設置され、「夜中でも明るい」と評判が良く、見学に訪れる人もいるほどだとか。
心を穏やかにさせてくれる効き目がある上に光量的にもそこそこありそうな青色照明でありますが、そうなってくると、単純にも次の疑問がわき上がってきます。
駅の照明に使えないか?
《特にプラットホーム上》
首都圏を中心にホーム上からの転落事故等が後を絶たない中で、いっそのことプラットホームや駅舎等を全てひっくるめた駅全体を青色LEDによる照明1本にしてしまえば事故は防げるのではないか、と考えてしまうところなのですが、そんなことをすれば駅全体がまるで「お化け屋敷」の様相を呈してしまい、人が寄りつかなくなって、まぁ究極の事故防止策にはなり得るかも知れませんが、たちまち利用客が激減して最後は廃業・・・なんていうことにもなりかねませんね《ちょっとオーバーかな…》。
ですから、駅への設置を考えた場合、まず挙げられるのはプラットホーム上の屋根のない部分、次いでプラットホーム上の屋根のある部分のうちの先端(列車が来る側)から3~4mの範囲内で照らせる箇所・・・ということになってきそうですね。
今回のJR西日本による青色照明に纏わる取り組みの今後に注目していきたいと思います。
◎ 自家製踏切!?・・・73歳男が逮捕
私自身、記録に残していない分も含めて、これまでにJR線の大半(というか殆ど、いや全部!?)を乗ってきているわけですが、地方のローカル線を走る列車に乗っていますと、時折、自宅前や畑の前等に「踏切もどき」を見ることがあります。
普段の生活のために作ったものでしょうけれども、勿論鉄道事業者側ではこの「踏切もどき」を認めるはずはなく、「危険ですから使わないで」との表示の入った看板を建植したりする等、正規の踏切を利用するよう呼びかけているわけですが、そんな鉄道事業者にとって、最も忌み嫌うべき事象がついに起きてしまいました。
こちらは『産経イザ!』のみならず新聞各紙で一斉に報じられていることなのですが、広島市安佐北区白木町井原にあるJR芸備線の線路上にアスファルトのような舗装材で幅約1メートル、長さ約3メートルの「踏切」を勝手に設置したとして、去る2月7日、奈良県橿原市に住む73歳無職の男が威力業務妨害容疑で逮捕されました。
調べによるとこの男は自分の実家の目の前を走る芸備線の線路に、昨年(2007年)の8月15日から12月18日迄の間、線路をまたぐ形で幅約1メートル、長さ約3メートルにわたってアスファルトのようなもので舗装、保守点検作業業務を妨害した疑いがもたれています。
昨年(2007年)の12月18日に行ったJR西日本による点検で勝手に舗装されているのを発見、撤去を求めて男と話し合いをするも物別れに終わったことから、今年1月11日、安佐北署に被害届を出したとのことで、取り調べに対し、「歩きにくいので自分で作ろうと思った」と勝手に舗装したことは認めているものの、肝心の逮捕容疑については「点検は妨害していない」と否認しています。
ところで、一部報道によると、今回の現場となった場所は1915年の芸備線開通前から地元住民が利用してきた生活道で、容疑者の男は1999年頃からJRに対して踏切を設置するよう要望、地元の町内会も陳情したこともあったそうですが、これに対してJR西日本は「約60m先(一部報道で100m南)にある」と拒否、町内会等に於いて「自分でつくろうと思う」と話していたそうな。
ちなみにこの男、土木工事の現場監督の経験があるそうで、昨年末には地元住民に対し「JRのじゃまにならない程度に通りやすくした」と話していたのだそうです。
JR西日本では今月7日までに“私設踏切”のそばに「付近の踏切を御利用下さい」と書いた看板を立てて注意を呼び掛けると共に、「線路内に工作物を設置する行為は、鉄道の安全に重大な支障を及ぼしかねないので、絶対にやめてほしい」とのJR西日本広島支社によるコメントを発表しています。
まぁ、鉄道敷設以前から存在していた地元民の生活の道が線路敷設によって分断され、かつ踏切も設置されなかったあたり、心情としてはわからないこともないところでありますが、だからといって勝手に作ったというのはちょっとやりすぎじゃないのかな、とも思いますね。
◎ 参照記事
『踏切に青色照明、自殺防止に一役 JR西日本』
『踏切おじさん「歩きにくい」と勝手に作成』
『自家製踏切:勝手にアスファルト舗装 73歳逮捕 広島』
『勝手に踏切設置、73歳じいさん逮捕』
『実家前に勝手に「踏切」73歳男逮捕』
『勝手に「踏切」つくり逮捕 容疑の男「歩きにくい」』
<(_ _)> お読み下さってありがとうございます <(_ _)>
【関連記事(踏切に関する話題)】
「「勝手踏切」でついに衝突事故発生・・・・・・但し和歌山市内・南海電鉄加太線に於ける話ですが」
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青色照明一辺倒になると、ほんと、お化け屋敷みたいになりますね~。
ちなみに自殺の名所たる東京の中央線では、荻窪駅に鏡が備え付けられているそうです。
ダイブの前に、もう一度だけ我に返るきっかけになれば、というJR東日本の切ない気持ちが伝わる話ですが、さすが元公務員。設置後の効果測定は特にしていないとのことなので、せっかくの施策もその有益性は不明なままとなっています。
踏み切り作った話は、笑っちゃいましたね。
確かに、気持ちは分かる。が、やっぱ他人の敷地になる訳だし、いかんだろ~とは思います。
おじいさんは、おそらく起訴猶予か、起訴されても執行猶予で釈放となると思いますが、くれぐれも事故には合わないでほしいと思いますね(笑)。
投稿: MOLTA | 2008年2月11日 (月) 23時42分
MOLTAさん、こんばんは。
コメントをありがとうございます!
それにしても、自殺防止のための一施策(例えば、仰っている荻窪駅の「鏡」とか)を打ちながら、そうすることによる効果の検証が抜けているようでは何にもならないように私も思いますね。
当然の事ながら、会社の経費で施策を打つわけですから、費用対効果を見極める意味からも、一定期間きちんとデータを取り、施策前後の比較等から効果を確認し、その後どうするかというところまでをきっちりしてもらいたいところですね。
あと、踏切を勝手に作った話についてですが、今回現場となったところはどうも歴史的な経緯も背景にありそうな感じで、もしかすると今回の容疑者に限らず付近の住民も欠かせない存在と考えている可能性も否定出来ないところですので、JR側も、せめて最も簡易な第4種(踏切警標だけの踏切)でもいいから置いてあげてもいいのでは、と思ったりもしますね《そう単純にはいかないでしょうけれども…》。
とはいえ、今回のおじいさんのとった行動はやはり「やり過ぎ」のように思いますネ。
投稿: 南八尾電車区 | 2008年2月12日 (火) 01時36分