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歌舞伎座「第九」公演、終演…

 70年ぶりの東京・東銀座の歌舞伎座に於ける、中央区第九の会によるベートーヴェン「第九」公演が、昨日、無事終了しました。

 

 

 ひょんなことから1階席最前列での鑑賞が実現したわけですが、聴いてみての印象として・・・

 音響面については、開演直後にステージ上にオケの楽団員たちが姿を現わした際に客席から聞こえてきた拍手の響き具合からして、やはり芝居向きのデッドなものだなぁ・・・と直感しました。

 このあたり、逆に歌舞伎のような芝居物をザ・シンフォニーホールやサントリーホール等のような残響時間の長い(よく響く)コンサートホールでやると、台詞が聞き取りにくくなり、その上バックグラウンドで流れる音楽(歌舞伎では“お囃子”になるかな…)が、長い残響時間のために、尾を引くような格好で聞こえてしまい、これらの結果として芝居全体が締まりの無いものに聞こえてしまいかねないわけで、今回の歌舞伎座のような芝居物に特化している施設の場合には、変な話、音響を出来るだけ抑えたつくりになっているのかもしれませんね。

 

 演奏面についてですが、前座で演奏された斎藤秀雄編曲によるバッハの『シャコンヌ』は、うん…お見事。

 出だしから音が見事なまでに揃っていて、しかもメロディーラインもしっかり歌えていたかな…そんな印象でした。

 

 で、20分間の休憩(現地では歌舞伎調に“幕間”と称していました)を挟んでメインの「第九」となったわけでありますが、3箇所ほどヒヤッとさせられたところがあったものの、すぐ軌道修正する等して、音楽を決して途切れさせない、前をしっかり向いて行こう・・・そんな前向きな気持ちで音楽づくりが進んでいったような印象でしたね。

 というわけで、オケは全般的にはよく演奏出来ていた感じでしたが、コーラスが素晴らしかったのは印象的でした。

 音程のとり方が素晴らしかったし(高音域であってもピッチが次第に落ちるということが無かった)、粒も揃っていて、メロディーラインもしっかり歌えていた・・・

 新ベーレンライター版の楽譜を使ったとみられる今回の歌舞伎座に於けるベートーヴェン「第九」演奏会、アマチュア・オーケストラと合唱団が行ったものとしては素晴らしい出来であったといえるでしょう。

 

 なお、この70年ぶりの歌舞伎座「第九」公演では、後半の「第九」演奏に於いて、演奏前に合唱団がステージ上に整列した姿を、拍子木の合図付きで、あの歌舞伎の舞台でお馴染みの縦引き幕(??)を使って披露したこと〔その後にオケ楽団員たちがステージ上に姿を現しました〕、また終楽章の中の2度目の“打ち消し”ファンファーレの後に続く最初のバリトン独唱は花道上にて行われたこと、そして演奏終了後のカーテン・コールでは4人のソリストがなんと花道方向から姿を現して“おひねり”(??)を客席に向けて撒き、続いて合唱指揮者が同じく花道方向から姿を現して同様のことをする等、歌舞伎の要素が幾つか組み込まれていたことも特筆すべきところでしょう。

 

 

P.S.(Special Thanks!)
 今回の歌舞伎座「第九」演奏会について、以下は何れも私が関西在住ということで反応された故のことと思いますが、最初のところで「1階席最前列での鑑賞が実現した」と記しましたが、これは朝早くから私と共に早くから並ばれた地元の方々のご支援がなければまず実現出来なかったことと思っていますし、更に公演指揮者の石毛保彦氏もチケットのことで気にかけて下さっていたようで、直々のメールを通じてのお声掛けに、私自身、正直言って、驚いていました。

 

 これら数々のご配慮に対して、痛み入る思いであると共に、深く御礼申し上げる次第です。

 本当にありがとうございました!

 

 なお、私と共に早くから並ばれた地元の方々の話では、当日券として販売されたものの中には、いわゆる「一幕見席」(天井桟敷;正確には3階席後方の区切られた4〜5列分の座席)の他、1階席等も若干数入っていたそうで、その方々も首尾よく1階席後方の席を確保されたとのことでしたので、付記しておきます。

 

 

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コメント

チケット購入のためご一緒に並ばせていただいた
ものです。いろいろなお話を聞かせていただいたので
3時間もあっという間でした。息子がバスパートの
最後尾で歌っていたので1階の席が取れてよかったです。これからも色々なご趣味をいかしてがんばってください。

合唱のソプラノパートに参加したものです。
練習につぐ練習をがんばったかいがありました。指導してくださった先生から、高音域のピッチを下げてはいけないことをずっとずっと言われ続けてきたので、そのことを気付いてくださって、コメントしてくださったことは、大変嬉しく思いました。

 4月28日・19時06分付けでコメントされた方へ・・・

 その節は色々とお世話になりました。
 また、興味深いお話を色々聞かせて頂き、こちらも発売までの約3時間を退屈無く過ごさせて貰いました。
 感謝に堪えません。

 そして、お陰様で、お互い1階席で聴くことが出来て、何よりです(息子さんもご参加されたとのコーラスも素晴らしかったですよ)。

 今後ともお身体に気をつけて、毎日をお過ごし下さい。
 ありがとうございました。

 4月28日・22時36分付けでコメントされた方へ・・・

 この度はソプラノ・パートでのご出演、おめでとうございます!

 私自身も、専ら個人参加ではありますが、「5000人の第九」(東京)や「1万人の第九」(大阪)等に合唱参加させて貰っているところですが、この「ピッチ」の問題は合唱参加する者にとっての大きな課題の一つのように思えてくるのです。
 過去に幾つかの「第九」公演に聴きに出かけてきているのですが、プロ・オーケストラ主催の「第九」公演であっても、コーラスのほうで高音域のピッチが下がってきて正直聞き苦しく感じたことは幾度かあります。
 それだけに、今度の歌舞伎座に於ける70年ぶりの「第九」公演では、芝居向きのデッドな音響環境の中で、久しぶりに素晴らしいものを聴かせてくれた、と思っています。

 今後益々のご活躍を祈念いたします!

南八尾電車区さん、歌舞伎座での第九が聴けてよかったですね。レポートを楽しく読ませていただきました。いろいろな場所で仲間を増やしておられるのが、うらやましいです。
 私は、その日は東京国際フォーラムで会議に出ていましたが、5月2日からはじまる「ラ・フォル・ジュルネ」のパンフをみて、大阪でもやって欲しいなあと思いました。
 歌舞伎を意識した演出というのはおもしろいですね。幕をさっと引いて舞台をみせるのは、「浅葱幕」というそうです。歌舞伎座にもまた行きたくなりました。
 

 noriさん、おはようございます。
 今回の歌舞伎座「第九」公演では、地元の方々の支えがあってからこそ鑑賞出来た、と確信しています。
 感謝あるのみです・・・

 あと、幕についてお教え頂き、ありがとうございます。
 失礼承知で、教えて頂いた言葉を検索エンジンを使って確認してみたところ、どうやら「第九」演奏前に舞台にかかっていた縦引きの幕は「定式幕」と呼ばれるもののようで、下記Webサイトによると、現在2通りの「定式幕」が存在するのだそうです。

◎ 『歌舞伎舞台の幕類』《『緞帳・舞台幕小事典』より》
http://www005.upp.so-net.ne.jp/soma-kobo/sab3kabuki.htm

● 『生きている幕・定式幕』
http://www005.upp.so-net.ne.jp/soma-kobo/sab3-2.html


 ところで、東京国際フォーラムに於ける「ラ・フォル・ジュルネ」、私自身まだ一度も行ったことがありません。
 今年は東京の他、石川県金沢市でも”ベートーヴェンと仲間たち”というテーマで行われるみたいで・・・東京まで行く場合と比べて交通費負担は軽く済むみたいですが(「大阪~東京」JR片道運賃8,510円、「大阪~金沢」JR片道運賃4,620円)、それでも大阪在住の人間にとっては気軽に行けるような距離では無さそうですね。

◎ 『ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2008』公式サイト
http://www.lfjk.jp/

南八尾電車区さん、歌舞伎の幕について解説したWebサイトを教えていただきありがとうございました。「振り落とし」といって一気に幕を落とすようなものと勘違いして、それに使われる「浅葱幕」かと思ったのですが、そんな演出は凝りすぎですね。
「ラ・フォル・ジュルネ」が金沢でできるなら、大阪でもやって欲しいものです。

 noriさん、こんにちは!

 「振り落とし」ですか・・・なるほど、その演出手法、何処かでチラッと見たような気がします《勿論、生ではなく、テレビか何かで・・・ですが》。

◎ 『振り落とし…歩いて退場する幕』《『緞帳・舞台幕小事典』より》
http://www005.upp.so-net.ne.jp/soma-kobo/huriotosi.htm

 このWeb頁を読んでみる限りでは、まず「定式幕」が開くと淡い色の「浅葱幕」が次に現れ、それが拍子木の合図で一瞬のうちに切って落とされると新たなる場面がそこに現れる・・・そんな感じで使われるみたいですね《間違っていればスミマセン!》。

 この演出手法で「第九」演奏に入ってもよかったかなぁ・・・そう思ってしまいました《ただちょっと大袈裟かな、これは・・・それに、人手もその分要するでしょうし》。


 あと、「ラ・フォル・ジュルネ」についてですが、以下列挙のWebサイトの類を見ていますと、大阪でも一昨年・昨年と「大阪クラシック」と呼ばれる、それと似たような感じのクラシック音楽関連の催し物が開かれていたみたいで、これを発展させて「ラ・フォル・ジュルネ」とすることも出来ないことでは無さそうに思うところですが・・・

◎ 『大植英次プロデュース 大阪クラシック』《『クラシック音楽を楽しもう』より》
http://www.eonet.ne.jp/~musik/osakaclassic/osakaclassic2007.htm
◎ 『大阪クラシック』《『神戸阪神地域芸術文化情報』2007年08月03日付け掲載記事》
http://tetsuwanco.exblog.jp/7236745/
◎ 『大阪クラシック、9月2日(日)からスタート!』《『着物でおでかけ♪』2007年8月30日付け掲載記事》
http://ai.cocolog-nifty.com/kimonode/2007/08/post_0257.html

 私自身としても、出来ることならば大阪でも「ラ・フォル・ジュルネ」が開ければ嬉しいな、と思っています。

南八尾電車区さん、こんにちは!
コメントのほうで失礼いたします。

歌舞伎座の第九、レポートありがとうございました。
通常とは違う環境になるため、どんな感じなのかなーと思っていたのですが、南八尾電車区さんのレポートとメールを拝見しまして、「なるほどな~」と思いました。

やはり演奏会用の場所ではないため、いろいろご苦労があったようですね。

でも、歌舞伎座ならではの演出もあったりということで、その趣向を楽しむ演奏会であったのかも・・?

これからも、ご活躍&レポートを期待しております♪

 さますのさん、こんにちは。
 お返事ありがとうございます!

 私も、歌舞伎座という箱物の中でオーケストラや合唱がどう聞こえてくるのか、興味を抱いていました。
 それだけに、今回実際に公演を聴いてみることで、色んなことがわかり、有意義な一時を過ごさせて貰いました。

 あと、仰るように、歌舞伎の趣向を採り入れることで、ひと味もふた味も違った演奏会になったということも言えますね。

 とことんデッドな音響環境の中、大した技術的破綻も見せずに最後まで演奏しきった出演者の皆さんに拍手を送りたい気分です。

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