”カラヤンのサーカス小屋”から火の手・・・ベルリン・フィル本拠地「フィルハーモニー」で火災
その独特の外観から、人によっては”カラヤンのサーカス小屋”呼ばわりされることもあるという、世界トップ・クラスのオーケストラの一つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団がホームグラウンドとしているドイツ=ベルリンにある「ベルリン・フィルハーモニー(ホール)」が大変なことになっているのを、昨日、Webサイト『これがカラヤン&ベルリン・フィルハーモニーだ!』を通じて知るところとなりました。
折しも今年はベルリン・フィルと長らくコンビを組み続けてきた往年の名指揮者、ヘルベルト・フォン・カラヤンの生誕100年(ついでに言うならば、今年は日本指揮界の巨匠だった朝比奈隆の生誕100年…カラヤンの約3ヶ月後に誕生)にあたる年なだけに、天国にいるカラヤンは一体どういう心境になっているのやら・・・
火災が発生したのは現地時間で去る5月20日の昼14時頃(日本時間で同日夜21時頃)のこと・・・この時、「フィルハーモニー」ではホールのロビーに於いて無料の室内楽コンサートが行われていました《終了間際だったとの報道有り》。
「煙が見える」との通報を受けて20~30台ほどの消防車と150人ほどの消防隊が現場に駆けつけて消火活動にあたったものの、屋根部分を中心に約1600平方メートルを焼失、出火から半日以上経過した翌日(21日)朝になってようやく鎮火した模様。
幸い、ケガ人は出ておらず、ホール(大ホール)本体にも目立った損傷は見られない模様で、「フィルハーモニー」で保管されている貴重な楽器類も全て無事とのこと。 ホール運営主体であるベルリン・フィル財団は今回の火災発生を受けて大ホール閉鎖(当面の間)を発表、23日に予定されていたクラウディオ・アバド指揮による公演がキャンセルとなる等、以後の公演日程に影響が出ていますが、その一方で、ベルリンの文化当局の担当者は、ごく早い時期に再開出来そうだ、との見解を明らかにしています。
出火当時、「フィルハーモニー」では改修工事の真っ最中で、大ホールの屋根裏部分では溶接作業が行われていたとのことで、この時飛び散ったであろう溶接の火花が燃え移ったことが火災に繋がったとみられ、ベルリンの文化当局の担当者も「屋根で行われていた修復工事」を出火原因として挙げています。
ところで、その「フィルハーモニー」の運営主体を務めるベルリン・フィル財団について、去る2005年にベルリン市議会が、「年間120回のコンサートをベルリン市内と遠征地で開催すること」と「ベルリンに関する記念行事等に協力すること」の引き換えに、年間1,447万ユーロ(現在の為替レート換算で「約23億5,687万円」)の補助金を2010年までの間拠出するという契約を立案していたみたいで(尤も実行に移したとの話はネット上では聞かれませんが…)、ベルリン・フィル自体もコンサートやレコーディング等でたんまりと稼ぎ出していることでしょうから、恐らくは、ベルリンの文化当局の担当者の言葉通り、比較的短期間のうちに「フィルハーモニー」は復旧出来ることでしょう。
”カラヤンのサーカス小屋”の再開を、今は見守るのみですね。
『ベルリン・フィルハーモニー:火災で大ホール閉鎖』
『ベルリン・フィル本拠地で火災、聴衆・楽団員ら千人が避難』
『ベルリン・フィルの本拠地で火災 演奏予定に影響か』
『ベルリン・フィルで火災…貴重な楽器水浸しの恐れ』
『ベルリン・フィルの本拠地で火災』
『ベルリン・フィル本拠地の火災、被害は軽度』
『ベルリン・フィル本拠地で火災 楽団員らとともに楽器も救出』
『Fire stops music at Philharmonic』
『ドイツ発『劇場訪問記』~もっとオペラを楽しもう~・第91号(2005.10.30.発行メルマガ;まぐまぐ版/メルマ!版)』
【関連記事(ベルリン「フィルハーモニー」に於ける公演関連)】
「バレンボイム弾き振りによる『合唱幻想曲作品80』・・・『YouTube』投稿動画から」
「ダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・フィル(BPO)によるシューマン『交響曲第2番ハ長調』(1997年9月)」
「クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルによる「第九」(2000年5月開催の「ヨーロッパ・コンサート」にて)」
【関連記事(その他ベルリン・フィル関連)】
「ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の「第九」・・・『YouTube』より」
「カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニーによるベートーヴェン「第九」ライヴ in 東京・普門館 (1979年)」
「ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(サイモン・ラトル指揮)、11月に来日決定・・・「”ブラームス・チクルス”+α」にて」
「H.v.カラヤン=BPO(BPh)によるブラームス『交響曲第1番ハ短調作品68』・・・1981年、東京文化会館にて」
「ヘルベルト・フォン・カラヤン、1950年代後半の頃の来日公演映像から・・・ブラームス(VPO)とワーグナー(BPO)」
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» ベルリン・フィルハーモニーが燃えている [クラシック音楽を楽しむアマデウスレコード]
クラシック音楽ファン、衝撃の災害。コンサート中に起こった火災ですが、観客は無事だったことは幸いです。でも、63年に開館してもマエストロ・カラヤンが首を縦に振ることができなくて、10年かけて音響を整備、よく知られている天井の反響板は、デザイン的にも美しく、野暮ったさがありません。
以降のコンサート・ホールの手本となったベルリン・フィルハーモニー。被害のほどが心配です。
サイクロンの被害、地震の被害、台風と、各地で大変なことはニュースで知りながらも、人災もなかった建物に心配するなんて、身勝... [続きを読む]
» アバドとポリーニのコンサートはヴァルトビューネで土曜日開演 [クラシック音楽を楽しむアマデウスレコード]
ベルリンフィルハーモニーの火災は、屋根部分の被害に留まって良かったですね。
観客の避難、オーケストラの楽器も避難できました。最悪劇場が使えなくても、楽器がなければ、コンサートの続行自体が難しくなります。
大ホールでのコンサートは、6月2日まで休止と発表されました。放水の水浸しで使えないと言うことです。でもマエストロ・カラヤンの創意の結晶が大丈夫か心配です。演奏曲目に応じて、動かせると聞いたこともある気がしますので、取り替えることもできるのかもしれません。
この見... [続きを読む]
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はじめまして。日本ブログ村の新着記事一覧で知りお伺いしました。
アバドとポリーニのコンサートは土曜日に行われました。チェンバー・ホールでのコンサートは、予定通り行われ、次のコンサートは27日です。出荷は午後1時57分、8分後に最初の警報が鳴りました。
投稿: アマデウスレコード | 2008年5月25日 (日) 19時31分
アマデウスレコードさん、こちらこそ初めまして。
詳細な情報をありがとうございます。
出火時刻が13:57で、8分後に警報鳴動・・・う~ん、火災発生から警報鳴動まで11分かかっているあたり、ちょっと遅いかな、という印象を否めないところですね。
まぁ、ケガ人を出さなかったこと、そしてホール据え付けのパイプオルガンを除く楽器類が全て無事だったのは不幸中の幸いでしたが・・・それはさておき、パイプオルガンも無事だったかどうか、ちょっと心配ですね。
とはいえ、大ホールの再開時期が発表となり、とりあえず約1週間後(6月3日)に再開させるとのことで、私もホッとしていますよ。
それにしても、アバドとポリーニのコンビによる思わぬ形での野外(ヴァルトビューネ)コンサートの実現・・・その場に居合わせた聴衆らの心情を察するに、さぞ複雑な気持ちとなっていたんでしょうね《違うのかも知れないけど》。
投稿: 南八尾電車区 | 2008年5月26日 (月) 00時28分
ご訪問いただきありがとうございます。
差し出がましいコメントではなかったと、心配いたしておりました。
あらためまして、アマデウスレコードです。これを機会に熱心にお伺いさせていただかせて下さい。よろしくお願いします。
夏のコンサートもまもなくですので、ヴァルトビューネを例年以上に楽しめて、聴衆はうれしかったと思います。プログラムも適していたと思います。
ポリーニのピアノが野外でどう聴こえるのか、放映が見られるように期待しているところです。
投稿: アマデウスレコード | 2008年5月26日 (月) 01時27分
アマデウスレコードさん、おはようございます。再度のコメントをありがとうございます!
今回、BPO本拠地(ベルリン=フィルハーモニー)火災に伴って急遽代替会場として設定されたベルリンのヴァルトビューネにある野外音楽堂で「ポリーニ+アバド」による公演が行われたとのことで、聴衆らも満足していたとの由で、それはそれで私も一安心なのですが、少し気にかかるのは、仮にこの「ポリーニ+アバド」による公演がBPO定期の一つだった場合、本来会場として使われるべき「フィルハーモニー」があのような状態となってしまった中で急遽ヴァルトビューネで行うことを余儀なくされたあたり、公演自体に満足する一方で彼らにとってお馴染みの存在であろう「フィルハーモニー」のあの姿を考えるとそう単純には喜んでばかりではいられないのでは、ということなのです。
まぁ、その「フィルハーモニー」大ホールについて”6月2日まで閉鎖”という具体的な閉鎖期間が既に発表となっていることからヴァルトビューネに居合わせた聴衆たちも安心して「ポリーニ+アバド」のコンビによる公演を楽しむことが出来た、ということなんでしょうね。
投稿: 南八尾電車区 | 2008年5月27日 (火) 06時25分