山陰本線に於ける往年の名列車「山陰」・「さんべ」復活へ・・・山陰本線「安来~松江」間開業100周年記念事業
旧国鉄時代に山陰本線を駆け抜けていった寝台車連結の夜行普通列車「山陰」・・・残念なことに私自身はその存在を鉄道関連書籍で知るのみで実物を目にしたり乗ったりすることなく終わってしまったわけですが(「山陰」以外の寝台車付き普通列車であった「はやたま」や「からまつ」等も同様に体験無しデス)、その「山陰」と、やはり山陰本線の主に西側区間を駆け抜けていった急行「さんべ」が、この秋、復活します。
とはいっても「山陰」については往時の”普通”ではなく”急行”での復活となりますが・・・
実は昨日になって『鉄道コム』で紹介されていた鉄道関連新聞記事一覧を通じて知るところとなったことなのですが、山陰本線・島根県内区間のうちの「安来~松江」間が今年11月8日で開業から100年目を迎えるとのことで、地元では開業100周年を祝う各種記念行事が企画されている他〔→『山陰本線・安来~松江間、開業100周年記念事業について』〕、JR西日本米子支社でも、それに呼応する形で、かつて山陰本線を駆け抜けていた夜行普通列車「山陰」と急行「さんべ」のリバイバル列車の運転を打ち出しています。
このうち、JR西日本米子支社が打ち出している記念事業について、『「山陰本線・安来~松江間開業100周年」にあわせた記念列車の運転について』によると、記念事業の実施期間〔11月8日(土)~11月24日(月・祝)〕内に於いて、以下の記念臨時列車3本を運転することにしていますが、うち2列車についてはかつて山陰本線を走っていた名列車のリバイバルトレインとなっています。
◇ 急行「だんだん山陰」 ◆ 運転区間 … 京都~松江 ◆ 運転日(始発駅基準) 京都発11月7日、松江発11月9日 ◆ 編成 14系客車4両編成(全車普通車) ◆その他記事 全車普通車指定席《片道あたり定員256名》 DD51ディーゼル機関車により牽引 京都発下りは夜行、松江発上りは昼行 夜行普通列車「山陰」のリバイバル 《但し今回は急行列車として運転》 ◇ 急行「だんだんさんべ」 ◆ 運転区間 … 米子~大田市 ◆ 運転日(始発駅基準) … 11月15日・16日 ◆ 編成 国鉄色の「キハ28&58」2両編成 ◆ その他記事 往復とも昼行運転 全車普通車指定席《片道あたり定員160名》 急行「さんべ」のリバイバル ◇ 快速「だんだんお座敷」 ◆ 運転区間 … 米子~大田市 ◆ 運転日(始発駅基準) … 11月22日~24日 ◆ 編成 お座敷列車「ほのぼのSUN-IN」2両編成 ◆ その他記事 全車グリーン車指定席《片道あたり定員64名》 車内備え付けの冷蔵庫、カラオケ装置使用不可 |
先に紹介したJR西日本米子支社のリリース文章によると、今回の臨時列車運転の目的について「鉄道の発展と時の移ろいともに、昔乗った鉄道は姿を変えている。そんな昔の思い出を思い起こさせること」とした上で、開業100周年に感謝の意を込めるべく「だんだん」という冠名称を付けることにした、としています。
改めて言うほどのことではないかも知れませんが、感謝の意を込める、という意図もさることながら、やはり時代と共に変遷していった山陰本線の姿・・・つまり”時代と共にだんだん(段々)と変化していった山陰本線”というものを広く一般に訴求したかったことでしょうね。
ところで、JR西日本米子支社のリリース文章では記念臨時列車3本それぞれの運転時刻も合わせて発表されていますが、これによると、昼間走ることになっている急行「だんだんさんべ」と快速「だんだんお座敷」の2本は同一区間・同一ダイヤでの運転となっています。
これら2本列車について、下り列車(大田市行)として運行する際は大田市まで4時間以上かけて走り(米子08:55発→大田市13:18着)、途中の松江にて1時間近く停車することになっているのですが、島根県の県庁所在地に位置する駅ということで、何やらイヴェントの類を用意するつもりなのだろうか・・・
ちなみに上り(米子行)は3時間もかからない快速ぶりで(大田市13:47発→米子16:06着)、出雲市で7分停まる以外は松江を含めた途中停車駅に於ける停車時間「1分」。
祭りはさっさと終わらせたい、という意図なのだろうか(勿論違うでしょうけれども)・・・
一方、夜行普通列車「山陰」のリバイバルとして運転されることになっている急行「だんだん山陰」について、下り(松江行)は11時間32分(京都23:10発→松江10:42着)かけて、上り(京都行)は12時間19分(松江09:36発→京都21:55着)かけて、それぞれ走ることになっているわけですが、臨時列車とはいえ片道で半日前後かかるあたり、わざわざ料金別途徴収を伴う”急行”に格上げする必要はあったのか、かつての「山陰」と同じく普通列車(”快速”含む)として運転するほうがよかったのでは、と正直思うところがあります《”全車指定席”とすること自体は構いませんが…》。
そして、”急行”に格上げすることで本来の意味でのリバイバルトレインからはちょっと外れるような気もするのですが・・・
それはともかくとして、これは臨時列車ゆえの宿命とでもいいますか、下りの「鳥取~米子」間と上りの「鳥取~京都」間では相当な数(時間)の待避があるものと覚悟(?)する必要有りですね《上りの安来のように長時間停車(勿論客扱いを伴う停車)する分には、一旦車外に出て撮影したりすることが出来るので、構わないのですが…》。
あと、「だんだん山陰」で充当されることになる14系客車(座席車タイプ)4両、勿論波動輸送用としてでしょうが、よくぞ今まで残してくれていたなぁ、と感心する私自身ですが、同時に、これは「ムーンライト高知&松山」で普通車指定席車として貸し出されるあの14系客車か、とも一瞬思ったものでした。
しかし「ムーンライト高知&松山」は2本列車合計で3両の貸し出しだから、この4両編成ではないかもしれないなぁ・・・いったい何なんだろうか、これは。
以上、私自身思ったことなどを書き並べてみましたが、わたし的には、やはり山陰本線を走る久々の夜行列車ということで急行「だんだん山陰」(下り)が一番気になるところですね。
出来れば乗りたい気分なのですが、いつものぼやきで申し訳ないけれども、経済的事情が許してくれない…
ちょっともどかしいです。
ちなみに、京都から幡生に至る山陰本線の中で今年で「開業100周年」を迎える区間というのは、今回の島根県内に於ける「安来~松江」間の他、兵庫県内の「和田山~八鹿」間も該当していて、こちらは7月1日に開業100年目を迎えており、八鹿駅前等で記念のイヴェントが開かれていたそうです。
区間によっては道路整備が進んでマイカーとの競争に晒されたりもしてきている山陰本線、これまでは瀬戸内海側を走る東海道・山陽本線にどうしても取り残されがちでしたが、最近になって電車に引けを取らない性能を持つ新型気動車(キハ187系とか)の投入や高速化の着手(部分的ながら…)等、明るい材料もぽつぽつ見られるようになってきていることも事実であり、沿線地域に欠かせない足としてこれからも長く愛される存在であってほしいと願うところです。
『山陰線100周年 懐かしの列車11月に記念運行』
『JR山陰線:安来-松江開業100周年 懐かしの列車が帰ってくる--11月 /島根』
『さんべ号や山陰号再現 安来-松江間100周年記念』
『JR山陰線開業100周年で記念列車運行へ』
『懐かしの制服、プレート展示 JR和田山-八鹿100年』
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鈍行でこんなに長い距離の運行。 しかも一部寝台付。 時刻表見ながらユニークな列車だなあと子供心に思いました。あと似たよう列車で(ながさき)と いうのがあったような。 あと、さんべ3号の うるさいディーゼル音と汚い車両はインパクトあったなあ~。
投稿: きたじ~に | 2008年10月20日 (月) 10時55分
きたじ~にさん、おはようございます。
私自身、昔の旧国鉄時代を羨ましく思ってしまうことがあるのです。
仰っている「ながさき」(「http://www.dango.ne.jp/~tyajima/nagasak.html」にその「ながさき」号の寝台券画像の展示有り)の他、「はやたま」・「からまつ」…といった寝台車をつなげた夜行普通列車が活躍しているのを、子どもの頃、時刻表誌上でダイヤ情報として目にしたことはあるものの、全て乗らず終いとなってしまいました。
尤も「はやたま」に関しては、のちに区間短縮&片道運転・電車化された”新宮夜行”で何度かお世話になっていますが・・・早朝の新宮駅ホームで湯気を立てていたうどん・そばスタンドの光景が今でも目に浮かびます。
急行「さんべ」もやはり小中学生の時分に目にした鉄道関連書籍に掲載の写真などで知るのみです・・・
投稿: 南八尾電車区 | 2008年10月21日 (火) 08時55分
南八尾電車区さん こんにちは 私もこれらの優等?鈍行列車については、時刻表の中の夢物語であります。でも寝台車を引っ張りながらのろのろと一生懸命走る姿を想像するだけで、なんだかかわいらしいですね。夜行列車の早朝の風景 蕎麦やうどんの湯気なんて、実に風情があっていい。大垣夜行が早朝静岡駅に着いた時の駅弁売りのかけ声も、なんかホットしました。その発展版 ムーンライトながらも廃止されるとか? 旧国鉄の面影がまたひとつ消えていくと思うと、寂しいかぎりです。
投稿: きたじ~に | 2008年10月22日 (水) 00時08分
きたじ~にさん、こんにちは。
それにしてもムーンライトながらの廃止(正確には臨時列車への格下げ→「”ムーンライトながら”臨時化へ」と報じられている)には私も驚きましたね。
しかしながら、言うまでもないことですが、昨今の公共交通手段の多様化と宿泊施設の充実等により、料金の割に施設面で貧弱といわれる夜行列車が敬遠されているのも事実で、ここはユーザに選ばれる(受け入れて貰える)よう料金面・施設面などで改善を図っていくことが求められているように感じています。
「ムーンライトながら」を例にとると、「青春18きっぷ」シーズン外に於いて、トクトクきっぷの設定で個室寝台を中心に堅調に推移している寝台特急「北陸」に倣って、閑散期(ここでは指定席特急料金に於ける”閑散期”と同一で考える)限定で割安に「ながら」指定席などが利用出来るトクトクきっぷ(名古屋又は大阪と東京とを往復出来る割引切符とか)を設定する・・・といった具合ですね。
寂しい気持ちは私も同じですが、いつまでもノスタルジーに浸ってばかりではいられないのです。
投稿: 南八尾電車区 | 2008年10月22日 (水) 17時14分