「第26回1万人の第九」総合リハーサルの陰に隠れて・・・【1】福岡=嘉穂劇場の第九
去る12月7日に行われた「第26回サントリー1万人の第九(10000人の第9)」・・・その前日に行われた”総合リハーサル”(コーラス合わせ及びオケ合わせ)の陰に隠れてしまった数多くの「第九」イヴェント等のうち、私自身が特に気になった2つの出来事について、記したいと思います。
1回目となる今回は、昨年このブログでも紹介しました、福岡県飯塚市に所在する芝居小屋・嘉穂劇場に於ける「第九」イヴェント『嘉穂劇場第九 其の伍』です。
私自身もかつてNHKのテレビとラジオで知るところとなり、生の演奏を聴いたことがないくせに今でも動向気にしているところの筑豊交響楽団を立ち上げた村上英輔(トランペット奏者)にとっての音楽初体験の場ともいわれるこの嘉穂劇場に於ける「第九」演奏会も今年で5回目を数えるところとなりましたが、今年は4月下旬に同じく芝居小屋の一つで「歌舞伎の殿堂」ともいわれる東京の歌舞伎座に於いても「第九」演奏会が開かれたことから、正直無理してでも聴きに行こうとも考えていたのですが(本当はマズいことなのですが…)、経済的事情などにより、結局聴かず終いとなってしまいました。
で、ネット上で「嘉穂劇場第九 其の伍」関連レポートの類を捜していると、たまたま本ブログにそれに該当するブログ内記事からのTB1本が飛んできていることを確認、早速その記事をみてみると、このブログを管理されている方は嘉穂劇場「第九」への合唱参加経験があり、今年は都合により聴衆の一人として参加したのだそうですが、2階席から聴いていたほうが、コンサートホールのレヴェルとまではいかないものの、それなりに響きが聞こえてくること、そして1階席に座っていると、舞台真上のほうに舞台上で発した音が逃げていってしまっている一方で、2階左右にある客席(バルコニー?)に配置された合唱団からの声が”立体音響”となって伝わってきたのだそうで〔後記のメディア報道から、2階席正面にも合唱団の一部を配していたそうです〕、その状況について私自身も頭の中で想像してみたりしたものでしたが、舞台上を含めた四方に配された合唱団から客席を取り囲むかのように紡ぎ出される歌声が”立体音響”となって客席に届くというシチュエーションは、幻想的で、なかなか素晴らしいものがあるように感じました。
う~ん、これこそ「第九」という楽曲を通じてベートーヴェンが求めていた響きなのかも・・・・・・
去る4月下旬に約70年ぶりの「第九」公演を行った歌舞伎座にしても、同劇場のWebサイト内(座席表)を見る限り、上部階(2・3階)左右両サイドに客席を配しているみたいだから、もしあのとき、ステージ上だけでなく、上部階左右両サイドや最上階(3階)席正面後方(一幕見席あたり)にも合唱団の一部を配置させていたのならば、今回の嘉穂劇場「第九」公演でみられたような”立体音響”というものが実現出来ていたのかもしれませんね。
尤も、建物構造の違いなどから、嘉穂劇場で実現出来た”立体音響”がそのまま歌舞伎座でも実現出来るとは限らないところなのですが・・・
その歌舞伎座でありますが、再来年(2010年)、老朽化などによる建て替えのため一旦閉鎖されることになっているそうなので、日本に於ける年末「第九」フィーバー発祥の地として最後の足跡を残す意味でも、閉鎖前にせめてもう1度「第九」公演を開いてほしいところです。
その際には、是非とも四方を合唱団が取り囲む形でやってほしいと願っています。
話を戻しまして、この嘉穂劇場「第九」公演のことについては地元メディアでも取り上げられているのですが、それによると、今回の「嘉穂劇場第九 其の伍」に於いて集まった合唱団員の数は160人とのこと。
これは当初の募集人員(250人)の8割弱にあたる数字に過ぎず、11月頃に合唱団員の追加募集がかけられていたほどでした。
加えて、昨今のアメリカ発祥の金融危機の影響からか、今回の「嘉穂劇場第九 其の伍」に協賛したのは昨年比20減の44の個人・法人にとどまる等、開催自体が危ぶまれていましたが、公演関係者らの必死の努力により、ようやくにして開催に漕ぎ着けられたとのこと。
そして、これは私も初めて知ったことなのですが、今年4月下旬に嘉穂劇場の地元・飯塚市の中心部にある商店街で火災が発生して店舗と住宅あわせて29軒が焼けたことも、恐らく、マイナス要因の一つとして働いたことでしょう。
しかし、以上のマイナス要因をことごとく乗り越えて無事開催することが出来たあたり、ヨソ者の私がこんな事を言ったら怒られるかもしれませんが、これこそまさしくベートーヴェンが「第九」を通じて掲げた「苦悩を乗り越えて歓喜へ」という思想を体現させた一つの良い例ではないかと感じています。
ドイツ=ブレーメンに生まれ、九州北部の糸島半島(福岡県糸島郡志摩町)に生きる老指揮者、フォルカー・レニッケのタクトの下、約160人の合唱団員たちは厳しい中にも生きていける喜びというものを力強く歌っていたのではないか・・・そう私自身、幾つかの記事に目を通しつつ、想像しているところです。
私自身も合唱参加した大阪「1万人の第九」と共に、何だか大切なことを教えられたような気がします。
地元飯塚市、いや飯塚を含めた九州全体のためにも、来年以降も継続して開催していって欲しいと願うところです。
『@不況:金融危機で協賛金は減ったけれど… 今年も続く「第九」の歌声 飯塚・嘉穂劇場』
『嘉穂劇場で「第九」160人熱唱』
『不景気吹き飛ばせ、嘉穂劇場で「第九」熱唱』
『年の瀬に歓喜の歌声響く 嘉穂劇場(飯塚市)で「第九」』
『「火災、不景気 負けない」 福岡県飯塚市の商店街 「永昌会」始まる』
『福岡県飯塚市本町商店街の火災』《→動画再生》
<(_ _)> ありがとうございます <(_ _)>
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ベートーベン
歓喜の歌ドイツ語版(ショパン)
歓喜の歌~ベートーヴェン(混声)

南八尾電車区さま
当ブログへのコメントありがとうございます。
また、上の記事で御紹介いただき感謝!
記事にも書きましたが、合唱を声部ごとに四方に配置することで、(楽譜では知っていても)自分が舞台で歌っていては感じられない各声部の細かい動きが明瞭に判別できました。
かつ、それが分離してしまっているのではなく、ハーモニーとして、あの響きの悪い芝居小屋(嘉穂劇場)でさえも聴くことができました。
オペラシティなどで、四方に配置して演奏すれば凄いことになりそうです。
投稿: JUNSKY | 2008年12月12日 (金) 18時16分
JUNSKYさん、こんにちは。
先日はお邪魔しまして失礼いたしました。
合唱団をステージのみならずステージを含めた四辺に配置することでデッドな音響環境というハンディを克服しようとする嘉穂劇場「第九」の取り組みというのは理にかなっているような気がしますね。
音楽専用ホール(東京オペラシティ、サントリーホールなど)に於ける「第九」演奏会でも同様のアイディアを採り入れることで演出上の効果が期待出来るところですが、音響環境の良さが故、やり方を間違えると却って聞き苦しいものになってしまいそうな気がします。
それにしても、4月下旬に行われた東京・歌舞伎座に於ける「第九」演奏会でもこの嘉穂劇場「第九」で採り入れられているアイディアは使えたのかも・・・一時閉鎖前にせめて一度だけでも「第九」演奏会を開いてほしいところですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2008年12月16日 (火) 17時28分