シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ演奏による「第九」・・・1995年2月、ベネズエラ「エル・システマ」の一成果
今までは自分自身が気に入った特定の曲を繰り返し聴くことが多かったのですが〔最近の例としてはR.シュトラウスの『交響詩「死と変容」』やブルックナーの『交響曲第6番』等があります〕、ここ最近は曲単位ではなく演奏会単位とでもいいますか、過去にエアチェックしたクラシック音楽番組(その殆ど全てはNHK-FMで放送されたものですが…)の一つ一つ全て───正確には番組全体のうちのナレーション(トーク)の類を除いた音楽の部分のみの全てになりますが───を、何かをやり以てになりますが〔ながら聴き…ちょっと不謹慎かもしれないけど〕、聴くようになってきました。
そうしていく中で、これまで耳にすることの無かった曲や、おなじみの曲でありながらこれまで耳にすることの無かった演奏にも接することが出来るようになり、何だか一気に世界が広がったような気持ちがしてきますね。
これからもいろんな曲や演奏に気軽に接していきながら自らの世界を少しずつでも押し広げていきたいと思います。
さて、今回は最近各種動画共有サイトで見つけたベートーヴェン「第九(交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付”)」演奏動画をひとつ紹介しようと思います。
今回は久しぶりに中南米地区で演奏されたベートーヴェン「第九」演奏を取り上げますが、これは『YouTube』に寄せられている演奏動画で、1995年2月に南米ベネズエラ(ベネズエラ・ボリバル共和国)のテレサカレーニョ劇場(Teatro Teresa Carreño、TTC)で開かれたシモン・ボリバル・ユース・オーケストラによる公演に於けるベートーヴェン「第九」演奏を収めた映像のうち、終楽章の後半部分「Ihr stürzt nieder,~」(627小節目「Adagio ma non troppo, ma divoto」あたり)から曲の終わりまでの部分が収まっています。
シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ、といえばベネズエラ発祥の青少年音楽教育プロジェクト(というかシステム・・・う~ん、どちらかといえば”システム”かなぁ)で最近世界の音楽界の注目の的の一つとなっている「エル・システマ」を連想するところなのですが、実はこの公演、その「エル・システマ」が1975年にオルガン奏者にして経済学者のホセ・アントニオ・アブレウの提唱によって誕生してから20年目を迎えたことを記念して開かれたもので、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラは、いうまでもなく、この「エル・システマ」の中核を担う存在として知られています。
その「エル・システマ」の中核的存在であるシモン・ボリバル・ユース・オーケストラ、昨年(2008年)暮れにはKAJIMOTO(旧・梶本音楽事務所)の招聘により初めての来日公演を実現、更に今年4月下旬に朝日新聞紙上に掲載されたコラムの中でKAJIMOTOの顧問で日本・ベネズエラ音楽交流支援委員会事務局長の佐藤正治氏が「”エル・システマ”を日本にも導入すれば子どもたちの問題の解決に貢献出来るのではないか」と語るなど、「エル・システマ」が最近日本でも注目されるところとなってきています。
今回、そのシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの本拠地であるベネズエラで行われた「エル・システマ」20周年記念公演に於けるベートーヴェン「第九」演奏では、以下のソリスト陣及び指揮者により行われました《合唱については動画に添付のテキストデータ(スペイン語と思われる)ではハッキリとしたことが判らなかったので、ここでは省略します(文脈から一般公募で結成した合唱団か務めたとか・・・よくわからないけど)》。
ソプラノ:サラ・カタリーネ (Sara Catarine) メゾ・ソプラノ:イザベル・パラシオス (Isabel Palacios) テノール:アキレス・マチャード (Aquiles Machado) バス・バリトン:ウィリアム・アルヴァラド (William Alvarado) 指揮:グレゴリー・カレーニョ (Gregory Carreño) |
なお、シモン・ボリバル・ユース・オーケストラといえば、指揮者の名前として、「エル・システマ」で育ったエリート音楽家の一人とされる「グスターボ・ドゥダメル(Gustavo Dudamel)」が連想されるところなのですが、彼がこのオーケストラの音楽監督となったのは1999年のことで、今回の「第九」演奏が行われた1995年当時は生誕地であるベネズエラのバルキシメトで活動するユース弦楽合奏団でコンサートマスターを務めていて、この翌年(1996年)に同合奏団の音楽監督に就任したとされています。
では、1995年2月に行われたグレゴリー・カレーニョ指揮シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ他によるベートーヴェン「第九」演奏を収めた以下の動画───『YouTube』には以下の2本が寄せられていますが、どちらも同じ箇所(「Ihr stürzt nieder,~」から終わりまで)の収録となっています───をお楽しみ下さい。
私も一通り聴いてみましたが、割とゆったりとしたテンポで心底からメロディを歌わせているような感じで、響きもクリアな感じでした。
変な話、晩年のカラヤン指揮による「第九」演奏を少々荒削りにリメークしたような印象でした。
彼らの今後ますますの音楽的成長を期待すると同時に、彼らの母国であるベネズエラ自体が今後とも道を踏み外すことの無きよう祈るばかりです・・・
【おことわり】
動画共有サイト(『Google Video』、『YouTube』等)に投稿・公開されている動画については、今後、投稿者或いは運営サイドの判断等により削除される可能性がありますことを予めご承知おき下さい。
P.S.
ベネズエラで1975年にホセ・アントニオ・アブレウ(アブレオ)の提唱により始まった音楽教育システム「エル・システマ」に纏わるWebサイトたちを以下にてリンク列挙しておきます《この「エル・システマ」については、大抵のところでは”音楽教育システム”として捉えられていますが、一部”音楽教育プロジェクト”と解釈しているところも存在します。私としてはどちらかといえば”システム”という解釈を支持しちゃうかな…》。
『ドゥダメル指揮シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ 初来日公演 場外編』
《←『ドゥダメル指揮シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ 初来日公演 本番編』》
『ベネズエラに学ぶオーケストラの社会的役割』
『日本アマチュアオーケストラ連盟『JAO』第46号』
『クラシック・コンシェルジェ第37回グスターボ・ドゥダメル指揮シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ初来日公演』
『引用文:エル・システマ 著:山田真一 第三部~終章』
ちなみに「エル・システマ」提唱者のアブレウは、その後、1983年にベネズエラの文化大臣に就任、近年はユネスコ親善大使として音楽を通じての社会運動などに尽力しているとのことです。
<(_ _)> ありがとうございます。よろしくお願いします <(_ _)>
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