米国UCLA学内オケ&合唱団による「第九」…著名指揮者を輩出した名匠に師事した指揮者の下でストレートに力演
ふとしたことで、今、R.シュトラウスの『交響詩「死と変容」作品24』にちょっとハマリ気味です。
私の手元にあるモノでは、NHK交響楽団(N響)関係で下野竜也指揮(2007年12月)とイルジー・コウト指揮(1990年10月)、あと海外ネットラジオからのキャプチャ物で2つ・・・といったところです。
最初、下野指揮の演奏で初めてこの曲に接した私は、その後海外ネットラジオからのキャプチャ物の中に2つ『死と変容』の入っていることが判明、更に最近になってFM放送からのエアチェック物からコウト指揮の演奏を発見・・・という順番を辿り今日に至っているわけですが、音列進行(楽譜の横方向)とアンサンブル(楽譜の縦方向)の厚み
ハマリ気味となるきっかけとして、私の場合、もう一つ趣味としている鉄道が絡んだりしていて、この『死と変容』の場合も一応鉄道趣味の一端がきっかけとなっています。
ここでは敢えて説明しませんが・・・
そんなところで、本題へと入りましょうか。
今回も最近になって動画共有サイトに寄せられたベートーヴェン「第九」演奏動画を一つ・・・
今回紹介するのはアメリカ西海岸に位置するカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の学内で結成された合唱団並びにオーケストラによる「第九」演奏をとらえたもの。
昨年(2008年)の12月6日にUCLA学内にある由緒ある建物の一つ、ロイスホール(Royce Hall)で行われていて、出演しているのは以下の通りです《原語表示のままでスミマセンが・・・;表記順は変えています》。
Andrea Fuentes, soprano Tracy Cox, mezzo-soprano Daniel Suk, tenor Mario Chae, baritone UCLA Chorale Angeles Chorale (Donald Neuen, choral director) UCLA Philharmonia Neal Stulberg, conductor |
ここで指揮を務めているニール・スタルバーグ(Neal Stulberg)はアメリカ・ミシガン州のデトロイト出身の指揮者及びピアニストで、ハーバード大学、ミシガン大学、ジュリアード音楽院を卒業、現在はUCLA音楽学部の教授(講師?)を務めています。
指揮をフランコ・フェラーラに師事〔ローマ聖チェチーリア音楽院にて〕、ピアノをレナード・シュア(Leonard Shure)、セオドア・レトヴィン(Theodore Lettvin)、ウィリアム・マセロス(William Masselos)、ミッシャ・コトラー(Mischa Kottler)に師事したとのことですが、参考までに、指揮の恩師であるフランコ・フェラーラは同時に前回紹介したチョン・ミュンフン(→『チョン・ミュンフン=ソウル・フィル(ソウル市交響楽団)による「第九」・・・故郷ソウルでの公演から』)やリッカルド・シャイー、リッカルド・ムーティらの恩師でもある他、ピアノの恩師では、レナード・シュアについては往年の名ピアニスト、アルトゥール・シュナーベルの助手を務めたことで知られていて、教え子には島谷恵介やローレンス・レイトン・スミス、イタマール・ゴラン(ヴァイオリニスト庄司紗矢香等の伴奏ピアニスト)らが名を連ねている他、セオドア・レトヴィンについては教え子としてジェローム・ローズ(第13回ブゾーニ国際ピアノコンクール第1位。リスト弾きとして有名)や渡邉康雄(指揮者兼ピアニスト)らが名を連ねています。
ニール・スタルバーグ自身、指揮者としてオランダを初めノルウェー、ギリシャ、スペインなどのヨーロッパ各国のオーケストラや韓国、香港(中国)、イスラエルなどのアジア・中東諸国のオーケストラ、ロシアのオーケストラなどを客演してきている他、ピアニストとしてもリサイタルや室内楽公演をこなすなど、数多くの音楽キャリアを積み重ねてきている模様です。
合唱指揮を務めているドナルド・ノイエン(Donald Neuen)もまたUCLA音楽学部の教授を務めるとともに、クリスタル大聖堂(カリフォルニア州ガーデングローブ市)専属聖歌隊の指揮者、そして今回紹介している「第九」演奏の合唱の一翼を担った「Angeles Chorale」の”Resident Guest Conductor”(専属客演指揮者?)にも就いています。
彼自身、過去にはロバート・ショウ合唱団の団員である同時に合唱指揮者で同合唱団設立者ロバート・ショウの助手(副指揮者)なども歴任、そして今日までに合唱やオーケストラの指揮者としてアメリカ国内(カリフォルニア州とその周辺地域)やアジア、ヨーロッパ諸国やカナダ、メキシコなどで活躍を続けています。
その、今回紹介している「第九」演奏で合唱の一翼を担い、ドナルド・ノイエンも”Resident Guest Conductor”として関わってきている「Angeles Chorale」は1975年に設立されたボランティアの音楽団体で、現在はオーディションで選ばれたプロフェッショナルな合唱団員130名で構成されていて、1993年の夏に中国(香港と中国本土3都市?)に於いて地元オーケストラとの共演にてメンデルスゾーン作曲『オラトリオ「エリヤ」作品70』の公演を行うなどの実績を残しています。
4人のソリスト陣のうち、女声2人は何れもUCLA出身者らしく、このうちソプラノ独唱を務めたアンドレア(・レニー)・フエンテス〔Andrea Renee Fuentes〕は、自らも会員になっている世界最大級SNS『MySpace』内に掲載している自身のページの中で、今回紹介の「第九」演奏の模様の一部を映した動画を公開しています《後ほど紹介します》。
メゾ・ソプラノ(アルト)独唱を務めたトレーシー・コックス(Tracy Cox)もまたSNS『MySpace』に加入し、こちらも地元カリフォルニア州を中心に舞台出演などの実績を積み重ねてきている模様です。
出演者の紹介が長くなってしまいましたが、ここで今回の「第九」演奏動画について触れてみようと思います。
収録されている範囲は終楽章(第4楽章)のみで、以下に示すとおり3本の動画に分割されています。
◇ 第1分割 楽章始め~308小節目 ◇ 第2分割 308小節目~693小節目 《ソロ4重唱による「Wollust ward dem …」のところから》 ◇ 第3分割 693小節目~曲終 《いわゆる”二重フーガ”箇所の途中から》 |
ここまで「動画」と書いてきていますが、実際には「第九」演奏の模様が映し出されているわけではなく、恐らく公演当日に配布されたであろうパンフレットの表紙のものと思われる画像が映し出されているだけで、公演の模様は音声のみで伝えています。
つまり、事実上これは”静止画像付き音声ファイル”ということになるわけですね。
それでは、以下の”静止画像付き音声ファイル”3本を順次再生してみて下さい。
そして、以下は先に記しました、ソプラノ独唱を務めたアンドレア・フエンテスがSNS『MySpace』内にある自身のページにて公開している今回の「第九」演奏の中の彼女が登場している部分を映し出している動画となります《アンドレア・フエンテスが歌っている部分だけを抜き出してつなぎ合わせた動画となっています》。
一通り聴いてみて思うのですが、一部のパートで若干の先走り感があるものの、全体として慄然とした音楽作りできちんとまとまっていました。
何だか単刀直入的に訴えかけているような感じで、勢いというものを感じさせてくれます。
コーラスのほうもしっかりと音程を保たせながら歌い上げていて、ソリスト陣もまた慄然と歌い上げていました。
ストレートかつパワフルな感じのする「第九」・・・聴いていてそう感じた次第。
地域に根ざした、そして学内に根ざした「第九」・・・何となくぬくもりのようなものを感じずにいられない気持ちですね。
【おことわり】
動画共有サイト(『Google Video』、『YouTube』等)に投稿・公開されている動画については、今後、投稿者或いは運営サイドの判断等により削除される可能性がありますことを予めご承知おき下さい。
<(_ _)> ありがとうございます <(_ _)>
←ソーシャルブックマークです
←ランキング参加してます
【関連記事(ベートーヴェン「第九」ポータル)】
「ベートーヴェン「第九」演奏動画&音声ファイル&楽譜類を一堂に取り揃え・・・鑑賞、練習の一助に」
【関連記事(「第九」演奏・終楽章のみ)】
「バーンスタイン指揮によるベルリンの壁崩壊「第九」ライヴ・・・『YouTube』より」
「南米・ボリビアのオーケストラによる「第九」・・・・・・『Google Video』より」
「2006年大晦日、東京駅前丸の内ビル(丸ビル)に於ける年越し「第九」ライヴから・・・」
「1970年「ベートーヴェン・イヤー」に於けるバーンスタイン=VPOによる「第九」・・・・・・『YouTube』より」
「アニハーノフ=レニングラード国立歌劇場管の「第九」 in オーチャードホール(2003年12月)・・・『YouTube』より」
「『”ルチアーノ・パヴァロッティのマスタークラス”と「第九」』の補足書き・・・続いてフルトヴェングラー指揮の「第九」」
「アシュケナージ=N響の「第九」(2005年)・・・・・・「1万人の第九」最新情報及び「第九ひろしま」注意情報も」
「ワインガルトナー指揮の「第九」レコードコンサート!?・・・「第九ひろしま」&鳴門市「第九」最新情報も」
「「第九ひろしま2008」早くも第1部ゲストに言及か・・・泰日友好コンサートに於ける「第九」《タイ=バンコクにて》」
「ヴァーツラフ・ノイマン指揮NHK交響楽団の”N響「第9」演奏会”から(1984年12月)…過去紹介「第九」動画の追記も」
「東京・歌舞伎座に於ける70年ぶりの「第九」公演、『YouTube』にて一部公開・・・全国どこでも視聴可能」
「アメリカ・ワシントン州タコマ本拠の「Northwest Sinfonietta」による「第九」・・・終楽章後半のみ」
「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ演奏による「第九」・・・1995年2月、ベネズエラ「エル・システマ」の一成果」
「シモン・ボリバル公園の花火の”「第九」演奏”?…2008年12月、コロンビア=ボゴタに於ける「Monarca shows」にて」
「ドゥダメル、自らの故郷で”聖母”に捧ぐ「第九」を若者たちと共に・・・ベネズエラ=ララ州バルキシメトの教会にて」
「「第九」は2国間の和解の証!?・・・2008年12月、ホンジュラス=テグシガルパ市。エルサルバトルの合唱団も迎えて」
「ベネズエラ音楽界の巨匠エドゥアルド・チバスが指揮してのベートーヴェン「第九」・・・ベネズエラ交響楽団ほか」
「南米ペルーの首都リマにある大聖堂に響く歓喜の調べ・・・2007年、リマ大聖堂に於けるベートーヴェン「第九」演奏」
「ヘスス・ロペス=コボス指揮の「第九」、スペインで平和主義と人道主義の響き・・・2005年5月8日、首都マドリードにて」
「治安悪化の街で平穏な生活を切望する「第九」の響き・・・メキシコ北部、ファレス市立大学(UACJ)学内オケと合唱団」
「ドホナーニ=クリーヴランド管によるベートーヴェン「第九」・・・テラーク、1985年録音。カラヤンを連想させるクリアさ」
「ヴォルケル・アルトゥング指揮による「第九」…2008年4月、シンガポールの芸術系専門学校NAFA創立記念行事にて」
「クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルによる「第九」(2000年5月開催の「ヨーロッパ・コンサート」にて)」
「イタリア生まれの名指揮者ジュリーニがLSOと組んで作り上げた「第九」・・・1972年11月、ロンドン。EMI録音か」
「香港在住の日本人と中国人のジョイントによる「第九」・・・1995年1月25日、香港大會堂。ブラジル人指揮者の下で」
「バーンスタイン=VPOによるベートーヴェン「第九」・・・1979年。ジョーンズ、コロらを従えての極上の”人間臭さ”」
「マンハッタンの東、クイーンズ校の杜の「第九」・・・2008年。CUNYアーロン・コープランド音楽学校教授ペレスの指揮」
「インマゼール=アニマ・エテルナによるベートーヴェン「第九」──古楽アンサンブルにしてモダンな感じ《兼現況確認》」
「小澤征爾が長野と世界5大陸の各合唱団を指揮する地球規模の「第九」・・・1998年長野冬季五輪開会式の終わりに」
【関連記事(「第九」演奏・全曲)】
「ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮の「第九」・・・『YouTube』より」
「なが~い「第九」、所要時間2時間近く!・・・・・・コブラが指揮する「第九」演奏動画」
「南仏の世界遺産・オランジュ古代劇場に於けるマズア指揮の「第九」・・・・・・『YouTube』より」
「まだ”清水市”だった6年前に行われた「第九」・・・・・・静岡市東部本拠の清水フィル演奏」
「「ギネス級!?」のアマチュア・オーケストラ、横浜交響楽団による「第九」~その1」
「富士山河口湖音楽祭2007に於ける「第九」公演 & 横浜交響楽団による「第九」・その2」《大阪情報も関連》
「今年の『21世紀の第九』(佐渡裕指揮)前売開始へ & 横浜交響楽団による「第九」・その3(終)」《大阪情報も関連》
「米国CUNY・アーロン・コープランド音楽学校所蔵(!?)の「第九」・・・「1万人の第九」・「第九ひろしま」の話題も少々」《大阪・広島情報も関連》
「トスカニーニ指揮の「第九」・・・2度開かれた鳴門「第九」の話も」
「カリフォルニア大学デービス校交響楽団他による「第九」(2007年3月11日)・・・ヘンデル『オルガン協奏曲』と共に」
「リッカルド・シャイー=ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団による「第九」・・・う~ん、惜しい!」
「オットー・クレンペラー指揮のベートーヴェン「第九」…1964年、英国ロイヤルアルバートホール《+Proms2008情報》」
「ギュンター・ヴァント指揮による「第九」…【全4楽章フル収録】演奏音声と”ベートーヴェンの肖像画”だけですが」
「小澤征爾=サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)による「第九」演奏・・・2002年夏のSKFにて?」
「チョン・ミュンフン=ソウル・フィル(ソウル市交響楽団)による「第九」・・・故郷ソウルでの公演から」
「ヤンソンス=バイエルン放送響による「第九」・・・2007年、ローマ・カトリック総本山の地にて」
「ハンガリー生まれの名指揮者フェレンツ・フリッチャイ指揮による「第九」・・・1958年頃録音。カラヤンらを凌ぐ活躍ぶり」
「「南米のパリ」ブエノスアイレス(アルゼンチン)に響く「第九」・・・トルカチール指揮。会場は過去に「NHKのど自慢」も」
「譜面上のメトロノーム指示に従った独自解釈の「第九」?・・・レイボヴィッツ=ロイヤル・フィル。1960年代演奏・収録」
« チョン・ミョンフン(鄭明勳)=ソウル・フィル(ソウル市交響楽団)による「第九」・・・故郷ソウルでの公演から | トップページ | ヤンソンス=バイエルン放送響による「第九」・・・2007年、ローマ・カトリック総本山の地にて »
この記事へのコメントは終了しました。
« チョン・ミョンフン(鄭明勳)=ソウル・フィル(ソウル市交響楽団)による「第九」・・・故郷ソウルでの公演から | トップページ | ヤンソンス=バイエルン放送響による「第九」・・・2007年、ローマ・カトリック総本山の地にて »
コメント