ヤンソンス=バイエルン放送響による「第九」・・・2007年、ローマ・カトリック総本山の地にて
マリス・ヤンソンスといえば、私自身、すぐさまオスロ・フィルハーモニー管弦楽団との組み合わせを連想してしまうところがあります。
これもラジオ(FM・・・勿論NHK-FMのことですが)や音楽雑誌などの影響をモロに受けた結果と考えているところなのですが、実際ヤンソンスはオスロ・フィルの音楽監督を20年以上にわたって務めていて、それだけ両者の関係は良好だったということなのでしょう。
私の手元には過去にエアチェックしてPCに取り込んだ、1997年にヤンソンスが当時の手兵オスロ・フィルと組んで演奏したドヴォルザーク作品(何れも交響曲)の演奏2つがあるわけですが、何度か繰り返し聴いているうちに、ヤンソンスが打ち出す音楽的解釈にオケがよく応えていて、結果両者が見事溶け合い一体となって音楽を完成させているような印象を受けるようになったものでした。
その後、ヤンソンスは21世紀への変わり目と前後してオスロ・フィルを離れていくことになるわけですが、それまでの間にオスロ・フィルと組んで残してきた録音の数々は今も音楽ファンの間で語りぐさとなっているみたいで、ヤンソンスとともに過ごしてきた20年以上もの長い時間はオスロ・フィルにとっては大きな財産となっていたことでしょう。
ヤンソンス、今も客演という形で時折オスロ・フィルを振ったりしているのだろうか・・・
で、前回に引き続き、動画共有サイトに寄せられているベートーヴェン「第九」演奏動画を今回も取り上げるわけですが、今回はそのマリス・ヤンソンスが指揮しての「第九」演奏を収めたものを紹介したいと思います。
但し、今回紹介する「第九」演奏動画で管弦楽を務めているのは、オスロ・フィルではなく、ヤンソンス自身2003年以降首席指揮者を務めてきているドイツのオーケストラ、バイエルン放送交響楽団となります。
収録範囲は全4楽章で、全部で9本の動画に分割される形で『YouTube』に寄せられています。
9本の動画と楽章ごとの関係を以下にて示します。
◇ 第1楽章 →第1分割・第2分割 ◇ 第2楽章 →第3分割・第4分割 ◇ 第3楽章 →第5分割・第6分割 ◇ 第4楽章 →第7分割・第8分割・第9分割 |
これまでの「第九」演奏動画の紹介で、複数の動画に分割して公開されているものについては動画ごとにどこで分割しているのかを小節単位で示してきましたが、どうやら楽譜出版元により表記法に違いがあるみたいで、必ずしもこちらが示した動画分割点と一致しないケースが考えられることから〔気づくのが遅いっ!〕、今後は上記のような分け方で示すこととします。
動画ごとに具体的に何処で分かれるかについては、ご面倒でも、お手持ちのスコア等で確かめてもらえれば、と思います《もしスコアの類をお持ちでなければ、そのまま聴いてくださいね》。
それで、今回紹介している「第九」演奏動画は2007年にヴァチカン市国の教皇パウロ6世オーディエンス・ホールに於いて行われたもので、出演者は以下に示すとおり。
ソプラノ:クラッシミラ ストヤノヴァ (Krassimira Stoyanova) アルト:リオバ・ブラウン (Lioba Braun) テノール:ミヒャエル・シャーデ (Michael Schade) バリトン:ミヒャエル・ヴォレ (Michael Volle) 合唱:バイエルン放送合唱団 (Chor des Bayerischen Rundfunks) 合唱指揮:ミヒャエル・グレーザー (Michael Gläser) 管弦楽:バイエルン放送交響楽団 (Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks) 指揮:マリス・ヤンソンス (Mariss Jansons) |
ちょっと余談になりますが、この2007年、ヤンソンスは上記と同じ布陣にてイギリスで行われたBBCプロムス(PROMS)にも参加、同年8月30日に開かれた「Prom62(”第62公演”或いは”第62プロムナード”)」でオネゲル『交響曲第3番「典礼風」』とベートーヴェン「第九」の2曲を演奏していました《→『「第九」を2度演奏!?・・・・・・今年のBBCプロムス(Proms)』》。
今回紹介の「第九」演奏動画では、添付テキストデータに演奏年のみ記載されていてその年のいつ頃行われたかの記載がありませんが、恐らく夏か秋口に行われたものと推測でき、またこの時期くらいにヤンソンスとバイエルン放送響他出演メンバーたちはヨーロッパ諸国などを巡業していたのかもしれませんね《勝手に想像する私…》。
それはさておき、では以下に示す9本の動画を順次お聴き頂きましょうか・・・
どちらかといえばノン・レガート基調で構築しているような印象で、管・弦共々、楽譜にかかれている音符に忠実に(音程をよく保ちながら)歌い上げ、声楽(独唱&コーラス)も適度に抑制をきかせながらもここぞというところはしっかり歌い上げている・・・まぁそんなところですね。
何処かサバサバした感触の、しかしながら見事高らかに歌い上げた、聴き応え十分な「第九」となっています。
なお、このヴァチカンでの「第九」公演にはローマ教皇ベネディクト16世も臨席していて、一連の動画では演奏の終わりあたりを中心にローマ教皇の姿が時折映し出されています《演奏が終わった直後にも拍手を送るローマ教皇の姿が映し出されていました》。
「歓喜の歌」の歌詞を眺めていて思うのですが、今更ながら、これ、キリストの思想とよく合いそうな感じがする。
ヤンソンスのノン・レガート基調の「第九」メロディー、イエス様のお耳にはどう聞こえているのだろう・・・
【おことわり】
動画共有サイト(『Google Video』、『YouTube』等)に投稿・公開されている動画については、今後、投稿者或いは運営サイドの判断等により削除される可能性がありますことを予めご承知おき下さい。
<(_ _)> ありがとうございます <(_ _)>
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