「BBCプロムス2008」最終夜公演に於けるベートーヴェン『合唱幻想曲』・・・グリモーとノリントン=BBC響のコンビ
前回まで珍しく(!?)現代音楽の話を書きましたので、今回は趣をガラッと変えて、古典派作品ネタを書きたいと思います。
久しぶりの、ベートーヴェン「第九」のルーツ的存在、『合唱幻想曲作品80』の演奏動画の紹介といきましょうか…
今回紹介するベートーヴェン『合唱幻想曲作品80』演奏動画は、イギリス音楽界いや世界の音楽界の夏の風物詩の一つと化した感のある「BBCプロムナード・コンサート(プロムス、PROMS)」の昨年(2008年)開催分の会期中に演奏されたもの。
昨年のプロムスは7月18日から9月13日までの会期で開催されていましたが、『合唱幻想曲』が演奏されたのは会期最終日つまり9月13日にロイヤル・アルバート・ホールで行われた「Prom 76」(第76公演、第76プロムナード)すなわち「The Last Night of the Proms」に於いてのことで、公演前半の最後に演奏されていた模様。
余談ですが、この昨年のプロムスに於ける最終夜公演「The Last Night of the Proms」の前半ではベートーヴェンの作品が2曲演奏されていて、一つはこの『合唱幻想曲』、もう一つは開演早々に演奏された『バレエ音楽「プロメテウスの創造物」作品43から”序曲”』だったのでしたが、「The Last Night of the Proms」を迎えたこの日、会場のロイヤル・アルバート・ホールに詰めかけていた聴衆たちは、イギリスの国旗や各種の鳴り物(なんでもクラッカーの類もあるとか…)などをめいめいに準備し、後半に備えていたことでしょう。
それはさておき、このプロムス最終夜に於ける『合唱幻想曲』演奏で参加していたのは以下に示しているアーティストたち。
ピアノ:エレーヌ・グリモー〔Hélène Grimaud〕 ソプラノ(1):アンナ・リーズ〔Anna Leese〕 ソプラノ(2):ソフィー・ベヴァン〔Sophie Bevan〕 メゾ・ソプラノ:コラ・ブルグラーフ〔Cora Burggraaf〕 テノール(1):ネイサン・ヴァレ〔Nathan Vale〕 テノール(2):ジョシュア・エリコット〔Joshua Ellicott〕 バス・バリトン:ジョナサン・レマル〔Jonathan Lemalu〕 合唱:BBCシンガーズ〔BBC Singers〕 BBC交響合唱団〔BBC Symphony Chorus〕 管弦楽:BBC交響楽団〔BBC Symphony Orchestra〕 指揮:ロジャー・ノリントン〔Roger Norrington〕 |
ところで、私にとってロジャー・ノリントンは、一時期、古楽オーケストラの指揮者としてとらえていた節があったのですが、とうとうBBCプロムスの、しかも最終夜公演の指揮(タクト)を任されるまでになったことに、いやはや「ここまで来たか」という感慨にふけってしまうところがあります。
古楽オーケストラの指揮者がその後標準的なオーケストラを指揮してロマン派作曲家の作品などにも手を広げていった例としては、他にニコラウス・アーノンクール、トレヴァー・ピノックなどの名が挙げられるところなのですが、その中でピノックの指揮により演奏されたドヴォルザークの8番(オーケストラ名称は失念…)は、私もNHK-FMを通じてこの演奏に接しているわけですが〔一時期何度か繰り返し聴いていたものでしたが、今はちょっと…〕、何だか全身全霊をかけて歌わせているとでもいうか、何とか頑張ってこの曲を語らせる・・・といった気迫というものを感じさせられ、初めてこの演奏に接した際には、それまでの古楽器アンサンブルの指揮者というイメージを覆された思いから、ちょっと唖然としていた記憶があります。
え、あの古楽器アンサンブル「イングリッシュ・コンサート」を創ったチェンバロ奏者かつ指揮者のピノックが指揮しているのか、というような感じで・・・
ちなみに日本国内で古楽アンサンブルの指揮者といえば、日本テレマン協会(コレギウム・ムジクム・テレマン;関西発祥です!)を率いる延原武春やバッハ・コレギウム・ジャパンを率いる鈴木雅明などが知られているところなのですが、このうちの延原武春については、私も今まで知らなかったのですが〔恥ずかしながら…〕、古楽アンサンブルにとどまらず、一指揮者として既に国内外のオーケストラとの客演を数多くこなしてきているらしく、今年9月下旬には西宮にある兵庫県立芸術文化センター・KOBELCO大ホールに於いて開かれる大阪フィルハーモニー交響楽団の公演で同楽団の初客演指揮に臨むことになっています。
その西宮に於ける延原武春指揮大阪フィルの公演ではベートーヴェンの1番、ブラームスの1番などでプログラミング、いわば「第一」尽くしの内容(厳密には違うが…)となっているのですが、いかんせん座席料金が「S席¥6,000・A席¥5,500」の2ランクのみの設定となっていて、見ていておわかりかと思いますが、国内オーケストラの公演としては正直ちょっと料金が高めな印象・・・
やはり○音が主催者の一員として絡んでくると、上がるものなんですね、これは。
これがもし大阪フィル主催公演として行われるとすれば、最低ランクの座席で2,000~3,000円程度〔定期公演ならば1,500円見当〕で聴けるはずだろうけれども・・・大阪フィルには、次は楽団主催公演で延原を指揮者として迎え入れられるよう頑張ってほしいです(何ということを…)
大いに脱線してしまいましたが、昨年のプロムス最終夜に於けるベートーヴェン『合唱幻想曲』演奏動画は、以下に示すように、2本の動画に分割される形で『YouTube』に寄せられていました。
では、順次再生してお楽しみを・・・
予め一通り聴いてみたのですが、エレーヌ・グリモーのピアノ・ソロ、そしてノリントン指揮するBBC響共々、明朗に歌い上げているような印象で、特にピアノ・ソロで静かにならす場面でのグリモーの音の扱いはとてもクリアで、思わず聴き惚れてしまうほどです。
声楽(ソリスト陣&合唱団)のほうもまずまずの歌いっぷりといったところでしょうか。
それにしても今回紹介のベートーヴェン『合唱幻想曲』演奏動画、プロムス最終夜公演「The Last Night of the Proms」ならではの熱気をも伝わってくるような気がしてくるところですね。
【おことわり】
動画共有サイト(『Google Video』、『YouTube』等)に投稿・公開されている動画については、今後、投稿者或いは運営サイドの判断等により削除される可能性がありますことを予めご承知おき下さい《「P.S.」欄で紹介している動画類についても同様です》。
P.S.
本文中でも記しました、昨年(2008年)開催のBBCプロムス期間中の最終夜公演「The Last Night of the Proms」に於いて取り上げられた2つのベートーヴェン作品の1曲目として開演早々に演奏された『「プロメテウスの創造物」序曲』の演奏についても、以下の動画の中で聴くことが出来ます。
ちなみにこの動画はBBCテレビの放送番組からのキャプチャとみられますが、実際の『「プロメテウスの創造物」序曲』演奏を含めたステージ光景がが視聴出来るのは再生開始から2分12秒後くらいからとなっています。
《削除されました(利用規約違反)》
聴いた印象としては、可もなく不可もなく・・・といったところでしょうか《尤も開演早々の演奏なので、後々のためにセーブしておきたいという指揮者の思惑も無くはないところですが…》。
なお、本文中で紹介した『合唱幻想曲』演奏動画も、恐らくは放送番組からのキャプチャと思われます《『「プロメテウスの創造物」序曲』演奏などが収められている上の動画と共に、近い将来、運営サイド或いは投稿者サイドにより削除される可能性があります》。
<(_ _)> ありがとうございます。よろしくお願いします <(_ _)>
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