シモン・ボリバル公園の花火の”「第九」演奏”?…2008年12月、コロンビア=ボゴタに於ける「Monarca shows」にて
ベートーヴェン「第九(交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付”)」演奏動画に限らず、ここのところ各種動画共有サイトには数多くのクラシック音楽系統の演奏動画が寄せられてきているのが見えます。
勿論、その多くにはアーティスト・データや演奏日時・会場等が記されたテキストデータが添付されているわけですが〔尤も出演アーティスト・データについては全部の出演者が記されている場合と一部の出演者のみ記されている場合(例えばオーケストラ演奏会の動画で指揮者のみが記されているとか)とがありますが…〕、たまにアーティスト・データか演奏日時・会場の何れかのテキストデータが見当たらないか、両者ともテキストデータとして一切添付されていない演奏動画に出くわすことがあります。
まぁ細切れ演奏動画(数分程度の長さの演奏動画)1本だけというのであれば諦めがつくのですが・・・・・・
例えばベートーヴェン「第九」演奏動画の場合、声楽の入る終楽章の全てか全4楽章分が投稿・公開されているにもかかわらず〔幾つかの動画に分割された上で公開されているものも含む〕、誰が演奏したのか、そして何時何処で演奏されたものなのか・・・といったテキストデータが見当たらない一方で、演奏動画本体から流れてくる「第九」演奏がクォリティ的に一定水準以上との印象を受けたとき、この演奏動画をどう紹介したらいいのかわからないし、かといって紹介せずに放っておくのも勿体ない、ということになって正直頭を抱えることになってしまいます。
添付テキストデータに出演アーティスト名の記載が見当たらないケースとして見受けられるものとしては、当該演奏動画に収められている演奏曲目(楽章)が記載されているだけとか、演奏曲目に関する楽曲解説の類が長々と記載されているだけとか・・・があります。
ただ、そういった添付テキストデータだけでは出演アーティスト名の判らない演奏動画であっても、その動画に対して寄せられている一連のコメントから出演アーティストなどが判明したりすることもたまにありますが、寄せられているコメントがただ単に動画を視聴しての感想の類ばかりであったり、或いはコメントが寄せられていない・・・となれば、こちらはもうお手上げです。
尤もこういったことは投稿者次第なので、こちらがどうこう言ったところで何にもならないことなのですが・・・
と、ここまでぼやいてみたわけですが(ォィ)、実は今回ご紹介するベートーヴェン「第九」演奏動画は、3本の動画にわたって終楽章のみ全てが公開されているものになるわけですが、投稿動画に添付されているテキストデータに、演奏に参加したオーケストラ(管弦楽)、指揮者、ソリスト陣、合唱団の名前の記載が一切見当たりません。
以下に示すのがそのテキストデータ(ちなみに3本の動画とも添付されているテキストデータは同一内容でした)・・・
Piromusical de la Novena Sinfonía de Beethoven realizado por Monarca shows el 7 de diciembre de 2008 en el parque Simon Bolivar de Bogotá (Colombia) |
このテキストデータから、昨年(2008年)の12月7日にコロンビア共和国の首都ボゴタにあるシモン・ボリバル公園で開催された「Monarca Shows」というお祭の中で”演奏”されたベートーヴェン「第九」、ということが判明するわけですが、指揮者の名前や管弦楽を受け持ったオーケストラ、ソリスト陣4人それぞれの名前、そして合唱団の名称と思しき語句は、コメント欄も含めて、何処にも見当たりません《ちなみに公園名称に使われている「シモン・ボリバル」はコロンビアでは”建国の父”という位置づけとなっていると共に、コロンビアを含むラテンアメリカ諸国に於いては”解放者(リベルタドーレス)”としてたたえられています》。
そして、今回の3本の動画には、打ち上げ花火が「第九」の”演奏”にあわせて盛んに打ち上げられているのが映っているのみで、いくら目を凝らしてみても、オーケストラや4人のソリスト、合唱団を一人の指揮者が従えつつ演奏している姿は何処にも映っていませんでした。
どうやら赤字で示した「Monarca Shows」というのが肝となっているように思うわけですが、実はこの「Monarca Shows」には公式サイトも開設されていて、生憎スペイン語オンリーとなっているため詳しい内容はわかりませんが〔サイト自体がFlash主体(Flashオンリー?)でつくられているため翻訳サイトにもかけても翻訳出来ないという有様・・・〕、一定の音楽に合わせて花火を打ち上げることをメインとする祭典のようで〔ロゴマークの中にも打ち上げ花火が見えている〕、この昨年12月7日に行われたこの「Monarca Shows」ではベートーヴェン「第九」の音楽に合わせて花火が打ち上がったということになるわけですね。
ただ、映像には生演奏する姿が見えなかったところから、映像には映らない箇所にオーケストラなどを配置させて生演奏を行ったのか、それとも、日本でも一部のバレエ公演で採られているやり方なのですが、予め別の場所で演奏して録音しておいた録音テープ(或いはパソコンに保存された演奏データ)を祭典会場で流して(再生して)いたのか・・・の何れかになると思うのですが、勿論真相は定かではありません《あとで私自身が聴いてみての印象からの推測を書いていますが》。
ここは、ヘンデルの『王宮の花火の音楽』よろしく、次々と打ち上げられる花火に見とれながら純粋に「第九」鑑賞を楽しむか〔題して『シモン・ボリバル公園の花火の”「第九」演奏”』!?〕、或いはダウンロードしておいて音声データとして(或いはダウンロード後ネット上で出回っているソフトを使って音声データのみ抽出して)「第九」の自主練習に使うか・・・の何れかが考えられるところですね。
ここまで少し説明が長くなってしまいましたが(ォィ)、それでは以下の3本の動画を順次再生してみてお楽しみ下さい。
演奏自体については、一通り聴いてみて、それほど熱っぽくなく程よく抑制の効いた構築方となっていて、ソリスト陣そして合唱団は共にクリアに歌い上げているような印象でした。
リズム・テンポとも均整が取れている・・・
で、ラテンアメリカ諸国に於ける「第九」演奏ですぐ連想される組み合わせとして、コロンビアと同じくラテンアメリカ諸国に属するベネズエラが発祥の「エル・システマ」で育ったグスターボ・ドゥダメルとシモン・ボリバル・ユース・オーケストラの組み合わせが挙げられそうなところなのですが、一通り聴いた感じではちょっと違うような印象ですね・・・う~ん、変な話、アバド指揮の「第九」演奏から管楽器の響きを削り取ったような感じ(というか管楽器セクションの響きを抑制したような感じ)に聞こえてくるなぁ。
そして、動画再生中に聞こえてくる音の響き具合から考えると、どうやらこれは別の場所で演奏して録音しておいたテープとかのメディアを現地で再生させているような感じですね《いわゆる”特別録音テープを使用”というヤツですね;それとも市販のベートーヴェン「第九」CDを現地で再生させているとか・・・このあたりよくわからないけれど》。
まぁ「第九」鑑賞用としても楽しめないことはないのですが、どちらかといえば「第九」自主練習用ツールとしての役割に期待したほうがいいのかもしれませんね。
【おことわり】
動画共有サイト(『Google Video』、『YouTube』等)に投稿・公開されている動画については、今後、投稿者或いは運営サイドの判断等により削除される可能性がありますことを予めご承知おき下さい。
<(_ _)> ありがとうございます <(_ _)>
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