「パイオニアⅢ台車」(Pioneer III)引退へ・・・南海6100系最後の生き残り「6107F編成」が運行終了、「6300系」へ
南海の車両だったかどうかハッキリと覚えていませんが、今回記事の主役である南海6100系電車が履いている、車輪の外側にもディスクが付いている「パイオニアⅢ台車」(Pioneer III、アメリカ=バッド社開発)、車輪の外側にディスクがあり、このディスクを締め付けることでブレーキ(ディスクブレーキ)をかけるという構造の台車で、子どもの頃に目にした鉄道書籍に掲載されていたこの台車の写真を眺めていて、何だか凛々しく格好よく映っていたように記憶しています。
その「パイオニアⅢ台車」を履いた南海6100系電車が来たる7月5日を以て営業運転を終了すると、南海の去る6月22日付ニュースリリースの中で発表となりました《営業運転最終日である7月5日まで記念のヘッドマークを付けて運転中→『南海高野線6100系が営業運転終了へ』・『南海電鉄6100系 営業運転終了へ』とか》。
こう書かれると、何だか6100系電車が引退・除籍されて解体処分にされるようなイメージを持ってしまうところなのですが、リリース文をよく読んでみると、車両自体が引退・解体処分になるのではなく、現在6100系電車として唯一残存している6107F編成(6両編成)が履いている「パイオニアⅢ台車」を履き替え、車両形式を「6300系」に変更した上で引き続き運用するということです。
台車履き替え(更新)は営業運転最終日の翌日(7月6日)に千代田工場に於いて実施することになっています。
ちなみに変更後の車両形式となる「6300系」についてですが、1996年以降、1970年のデビュー以来76両製造されてきた6100系電車に対して台車履き替えと車体更新を同時実施したものを順次「6300系」に形式変更、今年中に全ての6100系電車を「6300系」化する計画だったとか。
そして、この6100系電車を「6300系」化するにあたって「パイオニアⅢ台車」に代わって履くことになった台車というのが「S型ミンデン台車」と呼ばれる台車で、これは台車中心側へと伸びた上下二枚の板ばねで軸箱の位置を定める構造をしています。
で、「6300系化にあたって「パイオニアⅢ台車」に代わって履くこととなったこの「S型ミンデン台車」、ブレーキ構造はどうなっているのだろうか・・・今でも大抵の鉄道車両(が履いている台車)で見かける”踏面ブレーキ”なのだろうか。
だとすると、何だか昔に戻ってしまったような感覚・・・まぁそのほうが走行性能面で安定しているからなんでしょうね《定かではないけれども》。
ところで、6100系電車の履く「パイオニアⅢ台車」についてですが、路面状況にかかわらず常に安定したブレーキ力を維持し、軽量且つ高強度などの特長を備える反面、高速域に於ける乗り心地に難がある他、「S型ミンデン台車」を履いた系列の車両との併結がブレーキ構造(引通構造?)の相違などから不可能で、このことが車両運用の自由度を阻害する要因となっていました。
この「パイオニアⅢ台車」自体のことについては『東急車輛の台車』が詳しいのですが、なんでも元々はアメリカの標準軌鉄道向けに開発された台車とのことで、狭軌が主体の日本の鉄道車両で使うには、勿論カスタマイズされたものの、ちょっと無理があったみたいですね。
1973年に「パイオニアⅢ台車」を履いていた小田急4000系電車が脱線事故を起こした他、ある特定条件の下では軸重抜けが発生するということも判明、小田急4000系電車脱線事故以降はこの「パイオニアⅢ台車」新規採用は無くなり、南海でもこのアメリカ発祥の台車を履いていた6000系電車が1985年以降順次行われた車体更新並びに冷房改造に於いて住友金属製の「S型ミンデン台車」への履き替えも併せて実施、その6000系の両開き扉版ともいえる6100系電車も、先に記していますように、1996年から順次車体更新と同時に履き替えを行いました。
ちなみに6100系電車の履く「パイオニアⅢ台車」はかつて6000系電車が履いていたそれの改良版で、冷房装置搭載後の車体重量増にも対応したものだそうです《台車型番は、6000系が履いていたものは「TS-702(付随台車はTS-702[T])」、6100系が履いていたものは「TS-709(付随車はTS-710)」》。
今回、最後まで残っていた6100系電車6両編成の台車履き替え(車体更新も一緒にするだろうか・・・)によって「パイオニアⅢ台車」は完全引退ということになるわけですが〔現役車両としては大手私鉄に於いて唯一の生き残りだったとか〕、何だか先進的な薫りがして格好良かったこの「パイオニアⅢ台車」に”長い間お疲れさま”と声をかけてやりたい心情です。
最後の最後まで、無事故に駆け抜けてほしいです。
<(_ _)> ありがとうございます。よろしくお願いします <(_ _)>
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