”チェコ語による「第九」”を聴いてみた・・・マタチッチ指揮チェコ・フィル他。1980年6月、プラハにて《廃盤CD!?》
ちょっと間が開いてしまいました・・・ゴメンナサイ。
以前、このブログで原語(ドイツ語)以外で歌われるベートーヴェン「第九(交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付”)」演奏について取り上げたことがあり、その中でチェコ語に訳された「歓喜の歌」歌詞による「第九」の演奏のことを書きましたが〔→『チェコ語で歌う、日本語で歌う・・・・・・原語(ドイツ語)以外で演奏される「第九」』〕、そのチェコ語で歌われた「第九」の一つである、ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団による「第九」演奏を収めたCDをネットを通じて購入、一聴してみました。
この音楽CDは「PRAGA」レーベル(「ハルモニア・ムンディ」系列!?)としてリリースされて全世界に出回っていたものなのですが、既に廃盤とされてしまったみたいで、現在では日本国内外のアマゾンWebサイト内に於ける「マーケット・プレイス」で売られているのみとなっている上、プレミアが付いて日本円にして1万円を超えるものも散見されていました。
今回、英国(イギリス)のアマゾン・サイト内にある「マーケット・プレイス」で新品として販売(出品)されていた1枚を注文し、一昨日(7月6日)届いたところを昨日のうちにPCに取り込んだ上で一通り聴いてみました。
小形包装物(Small packet)扱いの航空便にて、緩衝材(プチプチ)内蔵の専用袋に封入された状態で到着。
航空便扱いを指示する「BY AIR MAIL」と表示された水色のシールに「Small Packet」とのアンダーライン付き筆書の取り合わせを見て、あぁ本当に英国から来たんだな、と感慨深げになっていた私(爆)
小形包装物扱いとなっているにもかかわらず、税関告知用のシールが無いな、と訝しく思っていたら裏面にデカデカと貼られているのが見えました。
英国作成の「CN22」様式による税関告知書(CUSTOMS DECLARATION)───白くてちょっと大きめな感じ(笑)
で、右端に記されている金額表記欄を見て、一瞬「ユーロ」かと思いましたが〔書き方からして「ユーロ」の通貨記号そっくり!〕、考えてみたら英国の通貨単位はまだ「ポンド(£)」のままで、差出人(というか今回のCDの販売者サイド)では恐らく「£」のつもりで走り書きしたのかも知れないし・・・いや、やはり「ユーロ」かも(ォィ)
いよいよ開封し、取り出したフィルムのかかった新品CDの本体・・・ジャケット(というかライナーノーツ表紙)の絵柄、古代ギリシャ建築を連想させる建造物に何やらキラキラ輝く球体が乗っているあたり、何処かシュールで面白い感じがしました。
CD本体を裏返してみたところ。
曲名とオーケストラ名称、指揮者氏名などが記載されているだけで、何処にもチェコ語による演奏の旨の記載は無し。
唯一、ライナーノーツ表紙をめくったところに見える曲目・演奏者一覧のところに「Sung in Czech」の表示が見えるだけ。
それでいて、ライナーノーツ自体は英・仏・独の3カ国語による記載のみとなっていて、「歓喜の歌」の歌詞も含めて、チェコ語による記載は見られませんでした。
そのため、チェコ語版ウィキペディアに掲載されている「歓喜の歌(Óda na radost)」項目内にある”Text”項のところに掲載されているドイツ語とチェコ語による「歓喜の歌」歌詞対訳のところを部分印刷させてライナーノーツに挟み込むという行動に・・・やはり紙に記された(というか印刷された)”ドイツ語=チェコ語”歌詞対訳を見ながら聴くことで、原語で歌われる「第九」と同様に楽しむことが出来ると感じました。
それで、今回一聴したマタチッチ指揮による「第九」演奏は1980年6月に当時のチェコスロバキア(現在のチェコ)の首都プラハに於いて行われたもので、合唱をプラハ・フィルハーモニー合唱団が、管弦楽をチェコ・フィルハーモニー管弦楽団が受け持っていました。
全般的な印象として、きらびやかに管楽器をも鳴らし、伸びやかな感じでメロディーラインを歌わせていたような感じでしたか・・・聴き始めたとたん、思わず「おぉ~っ」と歓声を上げそうになりました。
何だか、生きた感じのする・・・とでもいうか、そこに人間がいるかのような「第九」になっていたような感じでしたよ。
そして、いよいよ肝となる終楽章の声楽導入部分・・・印刷しておいた「歓喜の歌」の”ドイツ語=チェコ語”歌詞対訳を見ながら聴いていると、以前このブログでやはり”チェコ語で歌われた「第九」演奏”例として紹介したエーリヒ・クライバー指揮による「第九」演奏(1949年の「プラハの春音楽祭」から)と比べて、ソリスト陣については、ソプラノ・ソロの歌唱が少々くぐもった感じになっていたものの、全体として伸びやか且つ淀みの無い綺麗な歌唱となっていました。
合唱については、音程に忠実で且つ心のひだを感じさせる見事な歌唱ぶりを見せてくれていました《一つ贅沢を言うならば、声の出し方に於いて、所々で地声っぽい響きがしていたのは私の気のせいだろうか…》。
泥臭いとでもいうか、人間くさい感じのする「第九」演奏であるように感じると共に、当時はまだ「チェコスロヴァキア」という国名で、しかも東欧の共産主義諸国の一つに数えられていながら、一方でこの「第九」演奏の3年前(1977年)には当時の反体制派知識人が人権抑圧に対する抗議などを記した「憲章77」と呼ばれる文書が当時の西側諸国の一つであった西ドイツの新聞紙上に掲載されるなど、共産主義体制に対する反抗の灯火が燻っていたであろう中で行われたこの”チェコ語の「第九」”は、ある意味、遠回しに自由を求めていたのでは、とちょっと強引ながらも、想像してしまうところなのですが・・・
とはいえ、人間くさくクリアに歌い上げた「第九」に久しぶりに接することが出来たという喜びを噛みしめている私です(笑)
<(_ _)> ありがとうございます。よろしくお願いします <(_ _)>
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私もこの第九は知人から借りて聴いたことがあります。とても生き生きとして人間臭い演奏だったと記憶しています。
ひょっとしたら、こういう演奏は母国チェコ語だからあり得たのかもしれませんね。
投稿: ピースうさぎ | 2009年7月 9日 (木) 16時38分
ピースうさぎさん、こんばんは。
私も同感ですね。
この演奏が録音された時期に於ける社会情勢を考えれば、わざわざチェコ語(つまり自分たちの言語→母国語)に訳す等の手間をかけてまでして実現させたこの手の「第九」演奏の存在意義は十分あるように感じる次第です。
投稿: 南八尾電車区 | 2009年7月12日 (日) 22時34分