ベネズエラ音楽界の巨匠エドゥアルド・チバスが指揮してのベートーヴェン「第九」・・・ベネズエラ交響楽団ほか
7月の下旬に入り、北九州や中国地方で激しい雨に見舞われ、土砂崩れ(土石流)や冠水などの自然災害とそれに伴う被害状況が相次いで報道されています。
例年だったらそろそろ「梅雨明け」の声が聞かれそうなところなのですが・・・これもまた地球温暖化が引き起こした異常気象の仕業か?
それはともかく、被災された地域にお住まいの方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。
さて、今回は久しぶりに中南米地域で行われたベートーヴェン「第九(交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付”)」演奏を一つ紹介します。
今回ご紹介するのは、今をときめく新進気鋭の指揮者グスターボ・ドゥダメルの生まれ故郷であるベネズエラに於いてヴェテラン指揮者〔いや”マエストロ(巨匠)”の域に達しているか…〕の一人と目されているエドゥアルド・チバスがベネズエラ交響楽団を指揮して演奏したベートーヴェン「第九」を収録したもので、『YouTube』に於いて投稿・公開されています。
収録範囲は第4楽章(終楽章)のみで、3本のファイルに分割される格好で公開されています。
投稿されているファイル形態は「音声+静止画像スライドショー」となっていて、スライドショーされている静止画像はベートーヴェンの肖像画や演奏風景、ベネズエラ国内に建つコンサートホールとみられる建造物等々です。
投稿ファイルに添付されているテキストファイルと投稿ファイル自体が映し出すデータから、4人のソリスト陣は以下の通りとなっています《指揮者も含めて列挙》。
ソプラノ:カローラ・グレーザー (Carola Glaser) メゾ・ソプラノ:カティウスカ・ロドリゲス (Katiuska Rodriguez) テノール:イドベル・アルバレス (Idwer Alvarez) バリトン:アンドレアス・ダウム (Andreas Daum) 指揮:エドゥアルド・チバス (Eduardo Chibas) |
あと合唱についてですが、添付テキストデータには「Participan varios coros de Caracas」とあり、スペイン語の翻訳エンジンにかけた感じでは、どうやら首都カラカスで活動している幾つかの合唱団から選抜したメンバーで結成したものなのか、或いは首都カラカス(とその近郊…)に於いて一般公募して集めたメンバーで結成したものなのか・・・の何れかであるように推察しているところです《本当のところはわかりませんが》。
ところで、ベネズエラ交響楽団は創立以来70年以上の歴史を誇るオーケストラで、あのフルトヴェングラーもこのオーケストラを客演指揮したことがあるそうですが〔→1954年3月にブラームス『交響曲第1番』などで客演したとの話有り〕、現在では自主制作レーベル「MOUSIKE」を立ち上げており、ここのところはベートーヴェンの交響曲全曲演奏(チクルス)がエドゥアルド・チバスとのコンビにより進行中とのこと《オーケストラ自身が自主制作レーベルを立ち上げる動きはここのところ盛んのようで、海外の有名処ではロンドン・フィルやサンフランシスコ交響楽団などに於いて行われていて、日本国内でも日本フィルハーモニー交響楽団やオーケストラ・アンサンブル金沢などで取り組まれています→『オーケストラ 自主盤CD』》。
そして、前記の指揮者エドゥアルド・チバスについては、その指揮者としての実力が名ヴァイオリニストにして指揮者でもあるシャーンドル・ヴェーグにも認められるほどだそうで、ベートーヴェンやブルックナー、ワーグナーの各作品を主要なレパートリーとしているほか、ベネズエラのワーグナー協会の理事長にも就任しているのだそうです《余談ですが、シャーンドル・ヴェーグの門下生には、ヴィオラ奏者でアルカント・カルテットに属するタベア・ツィンマーマンや、日本人ヴァイオリニストの古澤巌と塩川悠子などもいます》。
先にベネズエラ交響楽団自主制作レーベルの、同楽団とチバスのコンビによるベートーヴェン交響曲全曲演奏が進行中であることを記しましたが、昨年(2008年)10月にはその第4弾として「第九」(Mousike 1026)が日本国内リリース(というか取扱開始)されていて、起用されている4人のソリスト陣が、まさしく、上記で示した4人の名前そのままとなっていました《→『08-10 No.27』》。
今回紹介している「音声+スライドショー」ファイルのうちの音声部分、もしかすると、その昨年10月の新譜である「第九」CDからの音声キャプチャかもしれません・・・尤もこのことについては、当方で裏をとっているわけでは無いので、断言は出来ませんが。
それでは、以下列挙の3本の「演奏音声+スライドショー」を順次再生の上、お楽しみ下さい。
一通り聴いてみて、オーケストラのほうはきちんと緩急をつけながら、一つ一つ噛みしめるがごとく丁寧に歌い上げているような印象を受けるのですが、声楽、ことにコーラスが今ひとつの出来といったところかな。
所々で不協和音状態を作り出してしまっていて、そこのところは正直聞き苦しい〔尤も発生している箇所はそう多くないのですが〕・・・う~ん、コーラス全体としてみれば”可もなく不可もなし”といった感じでしょうか。
ソリスト陣もまた同じ印象かなぁ・・・
ちょっと勿体ない気のする「第九」だったような・・・ただ、逆に言うと、コーラス側にとっては一つの課題が見えてきているような演奏だったということにもなりますね《合唱経験者の一人として身につまされる思いです(ん?)》。
【おことわり】
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◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『エドゥアルド・チバス=ベネズエラ交響楽団自主制作CD新譜”ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱つき」”』
『「フルトヴェングラーの死/難聴に絶望」(EJ第2591号)』
『フルトヴェングラーの魔術』
『交響曲第1番(ブラームス)』
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