九州新幹線「新800系」、実車お披露目へ・・・8月22日デビュー。「金箔」世界初採用、山陽新幹線区間にも対応
九州新幹線のことをしばらく書いてきませんでしたが、最近になって目立った動きがひとつ見られました。
新八代~鹿児島中央間の先行開業以来、800系新幹線車両6両編成6本で営業運転してきた九州新幹線・鹿児島ルート〔博多~鹿児島中央〕、2年後(2011年)の春に控えている全線開業を見据えて、新たに6両編成3本を追加投入することが昨年(2008年)暮れに発表されていたわけですが、その追加投入分のうちの1本目(U-007編成)がこのほど完成した、と去る7月31日付けでJR九州から発表がありました《→『新幹線車両「新 800系」完成』》。
で、この「新800系」車両、6月中に製造元である山口県下松市にある日立製作所笠戸事業所で竣工されて鹿児島の川内港まで航送、6月21日に川内港に到着し、その後陸揚げされて6月24日未明に川内港から国道3号線や住宅密集地などを経由して川内市内にある新幹線車両基地までの20kmあまり(一部報道で「約21.5km」)の道のりを陸送されていきました。
その時の模様が『YouTube』にも動画となって寄せられてきています。
この川内の新幹線車両基地までの陸送では編成1本分の半分にあたる3両が搬送されたそうですが、残る3両も直後に搬送されたのかどうか、それとも7月に入ってから陸送されたのか・・・7月末になって「完成した」とJR九州が発表されているあたり、そう考えてしまうところがあります《JR九州が何を以て「完成」と考えているのか、そこのところが気になる私です…》。
それはさておき、今回追加投入となった「新800系」車両では、前照灯を覆うライトカバーとして世界初の凸型曲面構造をしたライトカバーが採用されている他、従前からの800系以上に九州の特産品が採用されているのが特徴とされているのですが、中でも目玉といえるのが、「金箔」を車両の妻壁に張り付けていることでしょう。
この試みもまた、鉄道車両としては世界初だとか・・・
JR九州によるリリース文書(7月31日付)の別添資料「平面図」によると、「金箔」が張られているのは・・・
◎ 3号車・4号車の両側妻壁《上半分のみ(※1)》 ◎ 2号車の鹿児島方(1号車寄り)妻壁《全面》 ◎ 5号車の博多方(6号車寄り)妻壁《全面(※2)》 |
【記事】 (※1) 3号車・4号車の両側妻壁の下半分は「ハードメープル」 (※2)金箔の張られている5号車の博多方(6号車寄り)妻壁については、公式発表(リリース文書別添資料「平面図」)では下半分が「ハードメープル」ということになっているが、同じく7月31日付リリース文書の別添資料「金箔」に写っている5号車博多方妻壁をよく見ると、下半分も含めた妻壁全体が金箔張りになっている模様 |
となっていて、これらの妻壁以外では、1号車と6号車の妻壁は「クス(樟、クスノキ)」が、2号車の博多方(3号車寄り)妻壁は「ペアウッド〔梨(洋梨)の木〕」、5号車の鹿児島方(4号車寄り)妻壁は「ハードメープル」が、素材としてそれぞれ使用されているとのこと。
妻壁に張られている金箔は、日本国内では生産量でほぼ独占している金沢(石川県)の職人の手によるものが使われているとのことですが、それにしても金箔だと年数を経るに従って剥がれていってしまう心配がありそうなものなのですが〔特に妻壁全体に金箔が施されている2号車鹿児島方と5号車博多方の各妻壁がとても心配〕・・・剥がれないようにする工夫とかがなされているのであろうか。
なお、妻壁に使われている金箔以外の素材のうち、1号車と6号車の各妻壁に使われているクス材については従前からの800系車両に引き続いて鹿児島産のクス材が採用されているそうですが、5号車の鹿児島方妻壁などに使われているハードメープルと2号車の博多方妻壁に使われているペアウッドって、正直、何処か外国の素材っぽい響きを感じてしまう・・・実際これら2つの木材について輸入されたものが使われているのかどうかはわからないけれど。
ただ「ハードメープル」は硬めのメープル材の総称であり、その中の一つにサトウカエデ(シュガーメープル)も含まれていますが、この「サトウカエデ」は日本国内でも栽培可能で、主に街路樹として植えられているとの話なので、もしかしたらその日本国内に植えられているサトウカエデの木から採れるハードメープル材を使っていたりして・・・これもまた真相は語られていないのでわかりませんが。
そして、素材の話以上に驚かされたのは、今回お披露目となった「新800系」車両が山陽新幹線区間への乗り入れにも対応できるように造られていること。
この山陽新幹線区間乗り入れ対応「新800系」は2010年秋にかけて都合3本計18両が順次投入されることになっているわけですが、同時に従前からの800系車両についても山陽新幹線区間への乗り入れが出来るよう改造工事が施されることになっているのだとか。
当初、九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業と同時に始まる山陽新幹線と九州新幹線の相互直通乗り入れに於いて、800系車両は九州新幹線区間限定で運用されると発表されていたわけですが、今度「新800系」が山陽新幹線対応とされているのに加えて既存の800系車両にも山陽新幹線対応施工を行うとの発表がなされたところから考えると、基本的には九州新幹線区間内限定とするものの、もしかすると山陽新幹線への800系車両の乗り入れも、一定範囲に限定されるのかもしれないけれども、実現する可能性があるということなのでしょうね《或いは、N700系7000番台「さくら」車両が車両検査などで走行できない場合を想定して、そのようにしたのかも知れないけれど…》。
まぁ、あくまで関西~九州間直通新幹線列車の主役はN700系7000番台(列車名「さくら」)が担うことになるでしょうけれども・・・とはいえ、来年中に発表されるであろう九州新幹線全線開業後の具体的な列車ダイヤの発表が楽しみになってきました。
九州新幹線「新800系」車両は、今月9日(日)に鹿児島中央駅に於いて一般公開(内覧会)が行われた後、20日(木)には小学生を対象とした「新800系体験ツア」体験乗車会を実施、そして22日(土)の鹿児島中央10:18発「つばめ42号」にて正式デビューすることになっています。
来年には残る2本(U-008・U-009両編成)も順次投入されるとのことで、山陽・九州両新幹線直通用「N700系7000番台(青磁ヴァージョン)」の新規投入と併せて、2年後の九州新幹線・鹿児島ルート全線開業をもり立ててくれることでしょう。
◎ 参照記事
『九州新幹線新800系を投入 JR九州』
『九州新幹線全線開業に向けて800系を増備』
『九州新幹線「新800系」順次導入へ-車内随所に九州の伝統工芸』
『九州新幹線に新しい「つばめ」- 客室に金箔を採用した「新800系」を導入』
『JR九州、新幹線客室に金箔-地元九州を生かして』
『新幹線新800系が完成 今月運転開始』
『新800系,8月22日に営業運転を開始』
『新800系つばめが完成=JR九州』
『九州新幹線「新型800系」は金箔でキラキラ - 9日に一般公開、22日に出発式』
『金箔、蒔絵…豪華な内装 つばめ新800系車両公開』
《→『金箔、蒔絵…豪華な内装 つばめ新800系車両公開』》
『つばめ新800系車両を公開 金箔、蒔絵…豪華な内装』
『九州新幹線「新800系」完成-車内随所に九州各地の伝統工芸』
『新800系が川内に到着』
『「つばめ」住宅街走る 九州新幹線新車両、車両基地へ』
『路地裏新幹線?…「つばめ」鹿児島の県道スレスレ陸送』
『深夜の住宅街に九州新幹線…「新800系」を陸路搬送』
《→『九州新幹線「新800系」を陸路搬送』》
『新幹線「新800系」を陸路搬送 JR九州、夏から導入』
『玄関開けたら新幹線!? 鹿児島、新800系搬送』
『九州新幹線、新顔「つばめ」到着 未明の薩摩川内市街地を走行』
『新幹線「新800系」を陸路搬送 JR九州、夏から導入』
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