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126年続いた伝統の「オリエント急行」廃止・・・現存するVSOEやNIOEは「オリエント急行」のリバイバル・トレインか

 先月下旬のこと、私はひとつの記事に目がとまりました。

 

 去る8月23日付で時事通信Webサイト『時事ドットコム』に掲載された配信記事・・・

 

 

「オリエント急行」年内廃止=コスト高、126年の歴史に幕-英紙

 

 これが伝えるところでは、126年にわたる長い歴史を誇り、アガサ・クリスティの推理小説の中でも取り上げられたりしたこともあるという夜行列車「オリエント急行(オリエント・エクスプレス)」が、運行コスト高を理由に、今年12月に廃止されるとのことなのですが、この記事を見て、1988年にパリからはるばる日本にもお目見えした、紺色の車体をした重厚かつ豪華なあの”オリエント・エクスプレス(NIOE)”が姿を消すのか・・・そうマジで思っていました。

 

 ところが、上記時事通信社配信記事掲載の2日後にあたる8月25日に『夕刊フジ』Web版である『ZAKZAK』に掲載された以下の記事・・・

 

オリエント急行廃止報道…あの超豪華列車と違った!

 

 この記事が伝えるところによれば、先の時事通信社記事の中で報じられている”今年12月に廃止される「オリエント急行」”というのは、実はフランスのストラスブールとオーストリアのウィーンを結ぶ定期運転の夜行急行列車のことを指し、一般的に広く知られているであろう、1988年にパリからはるばる日本にやって来た豪華列車「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行(NIOE)」や、ロンドンからパリを経てヴェネツィアまで運行される豪華列車「ベニス・シンプロン・オリエント急行(VSOE)」のことではないというのです。

 そして、ウィキペディアなどで調べてみると、あとに挙げたNIOEとVSOEの2つの”オリエント急行”は何れも本家「オリエント急行」の129年前のデビュー以来使われてきたであろう国際寝台車会社(ワゴン・リ社)の車両を購入・復元した、いわば”リバイバル・トレイン”といわれるべき存在だそうで、この事実に対して思わず「えぇぇ~っ」と驚く私。

 

 私自身もご多分に漏れず、「オリエント急行」といえばあの紺色をした古風且つ重厚な豪華列車であり、紳士淑女が着飾って乗るもの、という固定概念を持ち続けていただけに、今回の一連の報道から、実はフランス北東部にあるドイツとの国境にほど近い街とオーストリアの首都を結ぶ一般的な定期夜行急行列車だった、と知ることになるも、すぐには信じられない気分でした。

 

 固定概念として今まで抱いてきた「オリエント急行」に対するイメージと、実際の”本家「オリエント急行」”の姿とのギャップは大きかったです・・・頭が破裂しそう(自爆)

 

 

 ちなみに今回廃止が報じられている”本家「オリエント急行」”についてですが、1883年にパリ~コンスタンティノープル(現・イスタンブール)間で運行を開始し、1930年に最盛期を迎えるも、その後は航空機や自動車の発達もあって衰退の一途をたどり、2001年6月にはパリ~ウィーン間に、そして2年前(2007年)には現行のストラスブール~ウィーン間に運行区間が短縮され、列車編成も、2004年3月時点のデータとして、「寝台車1両・クシェット(簡易寝台車)2両・2等座席車3両」の計6両編成だったと伝えられてきていて、現在一般的によく知られている豪華列車版「オリエント急行」とは似ても似つかぬ見窄らしい姿に成り下がっていたのだそうです。

 

 で、現在私たちのよく知るところとなっている豪華な車両を連ねた”オリエント急行”は、先に記した”本家「オリエント急行」”でかつて運用されていた国際寝台車会社の寝台車を買い取って復元、そして編成された”リバイバル・トレイン”的なもので、1976年にスイスのチューリッヒに本社を構えていたインターフルーク社が購入・復元し、1988年に来日を果たした「ノスタルジー・イスタンブール・オリエント急行 (NIOE) 」と、1977年に海運会社の社長がオークションを通じて購入そして復元し、1982年にロンドン~ヴェネチア間で運行を開始した「ベニス・シンプロン・オリエント急行 (VSOE) 」の2つが現存します《尤もこれら以外にも”オリエント急行”と称するものは幾つか存在しますが》。

 

 このうちNIOEについてはデビュー当時の運行会社が1992年に破綻、その後幾つかの所有者のもとを転々とし、その過程の中で一部の車両が廃車となったものの、2008年の時点ではNIOE編成を使ったチャーター運行は継続されているとの話です《但し所有者については具体的な情報として何も伝わっておらず、かつ”NIOE”という名称での運行は、権利上の理由から、行われていないとのこと》。

 

 また1982年から運行を初めたVSOEについては、近年更新改造が施され、高速(160km/h)走行対応の台車に全て履き替えられるなど、今も健在の模様。

 今回の英国「インディペンデント」紙による”「オリエント急行」廃止”報道に対しては、VSOEの運行会社であるオリエント・エクスプレス・ホテルズ・トレインズ&クルーゼス(オリエント・エクスプレス・ホテルズ社)が世界中に広がっている”「オリエント急行」廃止=VSOE廃止”という誤解の「火消し」に躍起となっている様子。

 

オリエント・エクスプレス、運行中止報道を否定-来年も運行継続

 

 何ともご苦労様なことです・・・まぁ庶民の私にすれば雲の上の存在なのですけどね《勿論憧れてはいますが》。

 

 

 私自身、VSOEやNIOEとも称される、現在一般的によく知られている「オリエント急行」が、実は”本家「オリエント急行」”のリバイバル・トレインであるということを、今回の一連の報道を通じて、改めて認識させられました《何とも世間知らず…》。

 

 そして、その”「オリエント急行」リバイバル”とも言われるべきVSOEとNIOEのうち、元々の運行会社であるオリエント・エクスプレス・ホテルズ社が今も健在のVSOEについては来年も引き続き運行すると同社がハッキリ表明しているのに対し、1988年の来日以後に元々の運行会社が倒産する等して今や形のみの存在となってしまっているNIOE車両については、今のところ動静を伝えるものが何も無く、今後の処遇が気になるところですね。

 

 

 それにしても、今度の”「オリエント急行」廃止”報道には、私自身、大いに振り回されてしまいました・・・何ともどょ~んとした気分となりましたよ(鬱)

 

 

<(_ _)> ありがとうございます。よろしくお願いします <(_ _)>
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