「東北ローカル線パス」新発売・・・「北海道&東日本パス」の弟分、そして「旅名人の九州満喫きっぷ」と同類項!?
東日本・北日本地域を走るJR線の普通列車が乗り放題となるきっぷとしては、全国のJR旅客会社全線で使える「青春18きっぷ」ともう一つ、JR東日本とJR北海道が共同開発した「北海道&東日本パス(普通列車限定)」が存在することは既に多くの方がご存じのことでしょう。
そのうちの「北海道&東日本パス」の弟分ともいうべきフリーきっぷが今月から発売となっています。
JR東日本は去る8月27日、東北6県(青森・秋田・岩手・山形・宮城・福島各県)のJR線を中心に、休日を挟む連続3日間、普通列車が乗り放題となるフリーきっぷを発表、その名前はというと〔既にご存じの方もおられると思いますが〕・・・
「東北ローカル線パス(普通列車限定)」
《ニュースリリース文書・きっぷパンフ》
きっぷ名称のところに”普通列車限定”と括弧書きながら添えられていること、そして3日間(有効期間)連続して使用する決まりとなっているあたり、このフリーきっぷを「北海道&東日本パス」と同じ仲間(というか弟分)ととらえることが出来るところでしょう。
このフリーきっぷ、JR北海道とJR東日本の両管轄エリアの普通列車が乗り放題となる「北海道&東日本パス」と比べて、フリーエリアがJR東日本管轄内の、それも東北6県のみと限定されている代わりに、初夏の候に同じくJR東日本から発売された「ツーデーパス(2009年版)」と同様、中身が充実しているのが特徴。
東北6県内のJR線を初め、青森県を走る「津軽鉄道」、宮城県仙台市内を走る「仙台市交通局(地下鉄)」と「仙台空港鉄道(SAT)」の以上3鉄道事業者を除く東北6県内の11鉄道事業者全路線に於いて普通列車乗り放題となっているほか、「青春18きっぷ」や「北海道&東日本パス」と同様”特急・急行一切不可”となっているものの、旧国鉄阿仁合・角館両線などを引き継いだ第3セクター鉄道、秋田内陸縦貫鉄道を走る急行「もりよし」には例外的に急行券を別途購入することで乗車できるようになっています。
広域フリーきっぷの類でJR線と民間の鉄道事業者路線の双方を対象とした普通列車乗り放題タイプのものとしては、先に記した「ツーデーパス」の他、JR九州の「旅名人の九州満喫きっぷ」(9月1日より第2期発売開始済)がありますが、東北地方に於いては初めてのケース。
発売額は1枚6,000円(小児半額)で、東北6県内に所在する「JR東日本の『みどりの窓口・指定席券自動券売機・旅行センター(びゅうプラザ)』・主要旅行会社店頭」にて販売取扱を行い、発売期間並びに通用期間は・・・
【発売期間】 11月28日(土)まで 《9月1日から発売》 【通用(利用)期間】 9月4日(金)~11月30日(月)の期間内に於ける 「金・土・日」または「土・日・月」の連続3日間 《9月18日~28日、10月30日~11月3日 の両期間内に限り任意の連続3日間利用可能》 |
となっています。
今年の春以降JR旅客会社各社から続々発売されてきている広域フリーきっぷの類と同様、この「東北ローカル線パス」もまた”高速道路通行料金上限千円”割引(休日特別割引)に対抗すべく開発されたといわれ、JR東日本仙台支社では家族連れなどの利用を想定し、発売期間中の販売目標を「3,000枚」に設定しているほか、IGRいわて銀河鉄道を初めとするエリア内の鉄道事業者たちも、JRや中小私鉄、それに第3セクター鉄道線が協力して地方路線を活性化させたい、と意気込んでいる様子。
で、ひとつ思ったのが、今度の「東北ローカル線パス」発売に際してエリアから漏れてしまった鉄道事業者の一つに最近開業した「仙台空港鉄道」がありますが、JR線とも直接つながっていて相互直通乗り入れも実施されていますし、仮にエリア内に入っていたならば空路仙台入りした旅行客をも取り込めたのかもしれないだけに、ちょっと残念な気がします。
ただ、この11月いっぱいまでの約2ヶ月間の販売実績次第では来年以降も発売される可能性もあり、その際にはエリア拡大を期待するところです。
そして、今度の「東北ローカル線パス」とJR九州「旅名人の九州満喫きっぷ」(第2期発売分)と、指定エリア内に於いてJR線と他の鉄道事業者路線が乗り放題となる広域フリーきっぷの類が相次いで発売されたことで、ひとつ気になってくるのが、毎年の「鉄道の日」(旧鉄道記念日、10月14日)の前後に「鉄道の日記念・JR全線乗り放題きっぷ」と共に発売される、JR西日本管轄エリア内限定で普通列車が乗り放題となる「鉄道の日記念・西日本一日乗り放題きっぷ」。
以前にもこのブログで触れたことがありますが〔→『JR東日本「ツーデーパス」(6月20日発売)から普通列車対象のフリーきっぷに於ける”差別化”を少し考えてみた・・・』にて〕、発売額の面で全国版である「鉄道の日記念 JR全線乗り放題きっぷ」1回分の金額とさほど変わりないにも拘わらず、エリアだけJR西日本管轄エリア内に限定され、効力面についても全国版と同一とあっては、おまけも付かないマルス発券となってしまった現在に於いては、その存在意義が疑われても仕方ないところでしょう。
前記の高速道路「休日特別割引」に対抗するためにも、売れ行き好調と伝えられている2人以上のグループ旅行客向けフリーきっぷ「西日本パス」と共に、1人客や若年旅行客をも含めた全ての旅行客を対象に、「鉄道の日記念 西日本一日乗り放題きっぷ」もまた、管轄内の第3セクター線をもエリアに組み込むなど、中身を充実させつつ一目置かれる存在として育っていってほしいところです。
来週後半(9月10日前後)くらいには「鉄道の日記念 JR全線乗り放題きっぷ」今年発売分のニュースリリースが入ってくるとみられますので、その出方に注目していたいと思います。
今度発売の「東北ローカル線パス(普通列車限定)」が、兄貴分にあたる「北海道&東日本パス(普通列車限定)」、そして同類のJR九州「旅名人の九州満喫きっぷ」と共に、高速道路「休日特別割引」と競う中で、日本に於ける鉄道復権への布石とならんことを期待するばかりです。
P.S.
今回発売となった「東北ローカル線パス」のエリア内鉄道事業者の一つとなっている、第3セクター転換路線のパイオニア的存在・三陸鉄道(北リアス線・南リアス線)は、年々旅客数を減らしているところへ原油高などのあおりも受けてますます経営が苦しくなってきている状況で、去る6月12日に発表された同鉄道の昨年(2008年)度決算の中で、1984年の開業以来初めて旅客数が100万人を割り込んだ(977,439人・・・開業初年度の3分の1強)ことが明らかにされています。
「三陸赤字せんべい」の販売や三陸鉄道応援ソング「Sanriku Railway」の発表&CD販売、そして一部の駅の命名権販売などで経営立て直しを図る中での今回の「東北ローカル線パス」発売で、他の第3セクター鉄道線や中小私鉄線と共に、旅客数の底上げが実現できるかどうか、沿線自治体などと連携した取り組みの成果が問われようとしています。
◎ 参照記事
『東北ローカル線3日乗り放題6千円=12事業者で連携、秋発売-JR東日本』
『東北の鉄道乗り放題 共通パス来月販売』
『自由席3日間乗り放題 JRなど11社が9月1日発売』
『三セク元祖、三陸鉄道25歳 赤字せんべいで奮闘』
『経営厳しい三陸鉄道に応援ソング、青森のグループが発売』
『開業以来、初の利用客100万人割れ 三陸鉄道』
『三陸の恵み、駅名でPR 釜石で三鉄が看板除幕』
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北&東パスの弟分?
最初見た時違和感おぼえたけど、
きっぷは女性名詞だから妹分と表記しないと
なんかしっくりこないな。
投稿: | 2009年9月15日 (火) 19時23分
「2009/09/15 19:23」付けで投稿された名無しさん、こんにちは。
ご指摘ありがとうございます。
今回の記事に於いて「東北ローカル線パス」についてはタイトルと本文に”「北海道&東日本パス」の弟分”という表記をしましたが、これはあくまで私の考え(解釈)であり、実際に読まれてどう解釈されるかは読者各人にお任せしています《例えば”「北海道&東日本パス」の姉妹品”というふうに捉えてもらってもかまわないということです》。
あと、言語としての日本語に”性”の概念はありません。ドイツ語やフランス語、イタリア語などにはありますが。
投稿: 南八尾電車区 | 2009年9月16日 (水) 12時50分