香港在住の日本人と中国人のジョイントによる「第九」・・・1995年1月25日、香港大會堂。ブラジル人指揮者の下で
大阪「サントリー1万人の第九」公式サイトから連絡している『10000人の交換絵日記2009』に『衣装のおはなし』という記事が今日になって掲載されるのが見えました。
その中に男声陣が着用する”蝶ネクタイ”のことで寄せてきたお便りが紹介されていましたので、ちょっと私からも一言だけ・・・
実は私自身、初めて「第九」に合唱参加して以来ずっと使い続けてきた蝶ネクタイが昨年ついに「ご臨終」を迎えてしまい、某大手ネットショッピングモールを通じて新しい蝶ネクタイを購入しました《→『蝶ネクタイ”ご臨終”・・・「第九ひろしま2008」に向けてネットで注文』》。
勿論黒色の、無難なデザインのものを選んだわけですが、価格は500円と手頃だったものの、その価格分以上の送料がかかってしまい、結局支払額で千円オーバーとなりました(涙)
いつまで保ってくれるのかがちょっと気がかりなところですが、まぁ使えるところまで使ってみよう・・・と開き直るのみの私です。
さて、今回も各種動画共有サイトに最近寄せられてきていますベートーヴェン「第九(交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付”)」演奏動画の中から一つを当ブログに加えようと思います。
今回はアジア地域、それも中国大陸に於ける「第九」演奏を収めた動画のご紹介となります。
ご紹介しますのは中国大陸の南部に位置する香港(ホンコン、中華人民共和国香港特別行政区)に於いて行われたベートーヴェン「第九」演奏を収録したもの。
これは約14年前の1995年1月25日に香港島・中環(セントラル)地区に所在する香港大會堂コンサートホール(Hong Kong City Hall Concert Hall)で行われた「第8回香港=日本ジョイント・チャリティ・コンサート(THE 8TH HONGKONG-JAPAN JOINT CHARITY CONCERT)」の中で行われたもので、『YouTube』にそのときの演奏動画が寄せられています。
収録範囲は第1楽章と第4楽章(終楽章)で、第1楽章は2本にわたって、第4楽章は3本にわたって、それぞれ収録されて投稿・公開されています。
残念ながら、投稿動画に添付されているテキストデータに4人のソリスト陣の名前の記載がありませんが〔ただ「Soloists」とあるのみ〕、合唱とオーケストラなどについては・・・
合唱:香港オラトリオ研究会 《Hong Kong Oratorio Society》 香港日本人倶楽部合唱団 《Hong Kong Japanese Club Choir (HKJCC)》 管弦楽:香港シンフォニエッタ 《Hong Kong Sinfonietta》 指揮:ヴェイガ・ジャウジン 《Veiga Jardim》 |
と記載されています。
メンバー的には指揮者を除いて全て香港在住者で占められているわけですが〔ある意味当然だが…〕、その中で合唱のみ、元々の香港人(つまり中国人)による合唱団と香港在住の日本人による合唱団が共演しているあたり、イヴェント名に「香港=日本ジョイント」が入る所以になっているわけですね。
ちなみに、この「第九」演奏で指揮を務めたヴェイガ・ジャウジンはブラジル=リオデジャネイロ出身の指揮者で、1989年に同じく中国大陸南部に位置するマカオ(澳門、中華人民共和国澳門特別行政区)に音楽活動の拠点を定め、以来、マカオでオーケストラを設立する等マカオを拠点に音楽活動を展開する一方で、マカオに初の音楽専門学校を設立するなど音楽教育にも力を注いできています。
そして管弦楽を務めた香港シンフォニエッタ(香港小交響樂團)は1990年に設立された楽団で、1999年に一度再編されてからはウラディーミル・アシュケナージやクリストファー・ホグウッド、ルチアーノ・パヴァロッティらの著名音楽家との共演も重ねていき、2006年に開催された「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン”モーツァルトと仲間たち”」(於・東京国際フォーラムとその周辺)にも全会期参加しています。
余談ですが、この香港シンフォニエッタの現在の音楽監督はイップ・ウィン・シー(葉詠詩、Yip Wing-sie)で、1960年中国・広州生まれの女性指揮者・・・前記の2006年開催の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」にも指揮者として引率参加しています。
彼女は1978年にイギリス王立音楽大学(RCM)、そして1983年には米国インディアナ大学に、それぞれ留学しており、1985年開催の第35回ブザンソン国際指揮者コンクールで第1位入賞を果たしている他、1988年開催の第8回東京国際音楽コンクール<指揮>で本選進出(入選)をも果たしており〔不調だったか?〕、2002年から香港シンフォニエッタ音楽監督に就任すると共に、彼女の出生地である広州を活動本拠としている広州交響楽団の首席客演指揮者をも務めています《ちなみに彼女は昨年行われた北京オリンピックに際しての香港域内に於ける聖火リレーに参加していました→『北京五輪 香港聖火リレー』より。第96走者だったそうです》。
そんな、香港域内に於いては一流の指揮者・オーケストラに恵まれての今回紹介の「第九」演奏なのですが、聴いてみての印象としては、う~ん、ちょっと微妙・・・
オーケストラのほうはというと、アンサンブル水準としてはプロとしてまずまずの域ではあるが、幾つか音抜けなどがあったりして、ちょっといただけない感じ───でも歌い上げ方自体についてはまぁ良いほうだったかな。
ソリスト陣については、ソプラノ独唱に於いて、高い音域を拾おうとする余り、譜面上に書かれている音より高いところを彷徨ってしまってかえって聴き苦しくしてしまったところもあったが、他の3人のソリストも含めた総体としてはまずまずの歌いっぷりだったと思う《アルト独唱もちょっと怪しかったかな…》。
コーラスについては、やはり高音域を中心に音程を掴みきれていなかったのが残念だったかな・・・声の響かせ方については、まぁ及第点レヴェルだったかな。
ここで折しも、「1万人の第九」まで残り1ヶ月半を切り、「第九ひろしま」まで残り2ヶ月を切ってしまっていますが、勿論これを書いている私自身もそうなのですが、合唱傘下目指してレッスンに励んでいる方々には、特に初心者の方々にはしんどいことかもしれませんが、譜面に書かれているとおりの音程をきちんと掴みながら歌っていかないと、今回の「第九」演奏でみられるような聞こえ方に聴衆側に於いてなってしまいますので、せっかく入場料を支払って聴きに来てくれている人たちのためにも、1回1回のレッスンを大切にして、本番に於いてそのレッスンの成果をきちんと発揮させられるよう努めなければなりません《当時この「第九」演奏会に合唱参加された方々には失礼なことかもしれませんが…》。
と少々辛口調になってしまいましたが、演奏全体でみれば、まずまずの印象と思っています。
それでは、以下の計5本の動画を順次再生してお聴き下さい・・・
◎ 第1楽章
◎ 第4楽章
演奏収録具合も必ずしも良好とはいえないあたりも聴き辛さの要因になっているように感じる「第九」演奏・・・でも幾度か繰り返し聴いていくうちに、オーケストラ、コーラス、そしてソリスト陣ともそれなりに歌えているように感じてしまう私でもあります《それでもコーラスの”ピッチ下がり”は正直ちょっと痛いなぁ…》。
P.S.
今回紹介の「第九」演奏で指揮を務めているヴェイガ・ジャウジンはブラジル=リオデジャネイロ出身の指揮者と本文中で紹介しましたが、ブラジルといえば、いま同国で高速鉄道プロジェクトが持ち上がっていることが世界的な話題となっていて、日本からも新幹線技術の売り込みに懸命になっているところ《→『ブラジル高速鉄道プロジェクト、入札条件公示迫る・・・新幹線携えて”参戦”する「日本連合」。2014年開業は困難か』》。
彼の出生地であるリオデジャネイロもサンパウロと共にその高速鉄道の予定線ルート上にあるわけですが、この予定線ルートは山が多くて高低差も大きいことなどから、同じく山の多い国土の中で育まれた日本の新幹線技術の出番であるように私自身思うところなのですが、果たしてどうなることやら。
そしてそのブラジルの隣国の一つであるアルゼンチンに於いても高速鉄道導入の動きを見せているものの、こちらはフランスのアルストムを初めとする企業連合が落札して現在建設中の模様だとか・・・ちなみにそのアルゼンチンに於いて最近行われたとみられる「第九」演奏についても当ブログで取り上げていますので、よろしければ併せて聴いてみて下さい《→『「南米のパリ」ブエノスアイレス(アルゼンチン)に響く「第九」・・・トルカチール指揮。会場は過去に「NHKのど自慢」も』》。
P.S.(2)
今回紹介の「第九」演奏の指揮者ヴェイガ・ジャウジン(Veiga Jardim)に関しては『Veiga Jardim & the MYSO』・『Macau Travel Talk ~São Domingos Church Inspired Setting for Immortal Music』などで出生地や経歴などが紹介されています。
そして、管弦楽と合唱をそれぞれ務めた演奏団体については各々公式サイトを開設していますので、以下にその各々公式サイトへのリンクを載せておきます。
【出演者リンク集(指揮者除く)】 ◎ 香港シンフォニエッタ (Hong Kong Sinfonietta) ◎ 香港オラトリオ研究会 (Hong Kong Oratorio Society) ◎ 香港日本人倶楽部合唱団 (HKJCC) |
これらの中で私自身一番印象に残っているのは香港オラトリオ研究会の公式サイトで、同サイト内で公開されている宣伝用フラッシュムービーはまるでサスペンス映画のオープニング(というか予告編)を見ているかのようなちょっと恐い内容になっていて、合唱団に対するイメージとのギャップに頭の中がちょっとしたパニック状態になりました。
香港人の発想に頭抱え気味の私(自爆)
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現在香港日本人倶楽部合唱団に所属しています。
この合唱団の歴史の一部がここに記されていて、なんだか不思議というか興味深く拝見させていただきました。
投稿: | 2010年4月27日 (火) 20時04分
「2010/04/27 20:04」付けでご投稿の名無しさま───香港日本人倶楽部合唱団の団員さまでいらっしゃいますね。
こんばんは、当ブログに直々にコメントして下さり、当方として光栄の極みです。
本記事掲載を通じて、貴合唱団の存在を知るところとなり、また香港の地に於けるベートーヴェン「第九」演奏のことを知るところとなりました。
公式サイトも拝見しましたが、香港の地に於いて様々な合唱作品に取り組んでいるあたり、心強く感じた次第です。
貴合唱団の今後ますますのご活躍・ご発展を祈念いたします。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年4月28日 (水) 22時20分