山陽新幹線「新大阪~姫路」間、トンネル気にせず携帯通話可能に…2010年3月、3大キャリア等でサービス開始予定
円筒形の車体をし、カワセミのくちばしを思わせるような前面形状で知られている新幹線500系車両が来年「のぞみ」運用から完全撤退するなど、車両の世代交代が進む東海道・山陽新幹線なのですが、そんな中、先日になってこんな話に出くわしました。
約4ヶ月前の話になりますが、山陽新幹線区間のうち「新大阪~姫路」間について、来年3月をめどにトンネル内も含めて携帯電話の通話が出来るよう、該当区間内に存在するトンネル(六甲トンネル、神戸トンネルなど)に於いてアンテナ整備に乗り出すことになり、総務省近畿総合通信局から補助金も下りていることがわかりました。
事業主体は携帯キャリア各社などでつくる(社)移動通信基盤整備協会で、総事業費は約26億円、このうちの半分について国が補助することになっています。
国の補助金といえば、先の衆議院選挙で圧勝して政権獲得を果たした民主党の掲げるマニフェスト(政権公約)のため、補助金の執行停止などが進められているところなのですが、この山陽新幹線「新大阪~姫路」間に存在するトンネルに於けるアンテナ整備事業については補助金交付決定日が今年の6月3日となっていることから、既に事業主体の手に渡っているものと思われ、影響は受けないものとみられるところです《というか執行停止対象の中に今回の山陽新幹線トンネル区間アンテナ整備事業は見えなかったので…》。
完成後、サービス提供を予定している事業者は携帯電話3大キャリア(ドコモ・au・ソフトバンク)と猿・・・じゃなかったイーモバイルの計4社となっています《それにしてもイーモバイルの”お猿さんCM”、ここのところ見かけないけれど…》。
新幹線に於ける携帯電話通話可能範囲を巡っては、JR東海が管轄している東海道新幹線に於いては2003年4月頃から「東京~新大阪」の全区間でトンネル内も含めて3大キャリアの携帯電話が使えるようになっている他、JR東日本が管轄している東北新幹線の「東京~仙台」間でも今年4月頃から同じく3大キャリアの携帯電話にてトンネル区間も含めて使えるようになってきている模様です。
今度の山陽新幹線「新大阪~姫路」間のアンテナ整備により、完成すれば「東京~姫路」間がトンネルの有無に関係なく携帯電話による通話が途切れなく出来るようになり、事業主体である移動通信基盤整備協会では姫路以西の区間に於いても今後順次整備していくことを表明しています。
更に、新八代~鹿児島中央間で先行営業中の九州新幹線(鹿児島ルート)についても、地元経済団体である九州経済連合会が移動通信基盤整備協会に対して、九州新幹線トンネル区間に於けるアンテナ整備などを今年5月に要望していたことが明らかになるなど、携帯電話が生活インフラの一つにまで成長していく中で、新幹線車内でトンネルを気にせずに使えるためのアンテナ整備に対する期待感は高まる一方といえそうですね。
携帯電話が使えるようになるということは、同時にネットブック等の小型ノートPC(モバイルPC)と携帯電話本体とを繋いでのデータ送受信(無線LANではありませんよ)が出来るようになるということでもあるので、私もこの動きには大いに注目したい一心です。
尤もそのモバイルPCのユーザを意識して電源コンセントを大幅増備したN700系の追加投入が先に記した500系車両の「のぞみ」からの完全撤退に追いやったということもあるので、そのあたりちょっと複雑な心境にもありますが・・・
P.S.
新幹線車内に於ける携帯電話通話といえば、昨年(2008年)1月30日付けで『スラッシュドット・ジャパン』にアップされた『新幹線で携帯電話つながってますか?』(或いはこちら)によると、東海道新幹線「京都~新大阪」間に於いて、各携帯キャリアが設置した基地局の多さから携帯電話が断続的につながりにくくなっているとの話がアップされています。
現在はどういう状況になっているのか知りませんが、通話エリア拡大に各携帯エリアが躍起になってアンテナなどを建てまくるあまり、思わぬ副産物(というか副作用)を生み出しているというわけで、各キャリアとも対策に頭を抱えているとのこと。
なお、同様の状況は首都圏に於いても見受けられるものの、「東京~新横浜」間で線形の関係から速度規制(ほぼ在来線並みの速度)がかかっていること等により〔→『東海道新幹線の品川~新横浜間と東北新幹線の上野~大宮間』〕、さほど問題にはなっていないとの由です。
いつでも何処でもその場で電話連絡やネット接続が出来ることがウリの今の携帯電話、その進歩がかえってこのような状況を生み出すなんて・・・まぁこのあたり、各携帯キャリアにとっては技術革新のチャンスともいえると思いますが、それにしてもモバイル全盛期の中にあって、この問題は色々と考えさせられるところですね。
◎ 参照記事
『新大阪-姫路トンネル内で携帯通話可能に 新幹線』
『山陽新幹線、姫路まで携帯電話の通話が可能に~平成21年度電波遮へい対策事業の補助金交付決定~』
『トンネル内も携帯OK 3月末、東海道新幹線』
『電波遮へい対策事業費補助金の交付を決定≪JR東日本 東北新幹線トンネル内で携帯電話が利用可能に≫』
『携帯通話トンネル内でもOKへ-東北新幹線東京~仙台-』
『東北新幹線東京⇔仙台間でトンネル内通話可能に』
『九州新幹線トンネル内での携帯電話の不感地帯解消要望について』
『トンネル内でも携帯通信』
<(_ _)> ありがとうございます。よろしくお願いします <(_ _)>
←ランキング参加中。各1クリックお願いします!
【関連記事(山陽・九州新幹線相互調通乗り入れ)】
「(1)JR西日本・JR九州正式合意と記者会見」
「(2)正式合意の陰に潜む闇を見つめて」
「(3)JR東海の対応、そして建設工事現況」
【関連記事(その他、九州新幹線関連)】
「のりば増設の新大阪駅、地元デパート増床の鹿児島・・・・・・2011年春予定の九州新幹線全通に向けて」
「鹿児島の最新の動き《九州新幹線と絡めて》・・・・・・その1「鹿児島市中心部の動きと九州新幹線意識調査」」
「鹿児島の最新の動き《九州新幹線と絡めて》・・・・・・その2「肥薩おれんじ鉄道」」
「ついに相互直通乗り入れ実現へ・・・・・・九州新幹線と山陽新幹線、JR西日本・JR九州双方で合意に達す」
「九州新幹線・博多~新八代間、いよいよレール敷設へ・・・大牟田で安全祈願祭」
「九州新幹線・鹿児島ルートの最長トンネル「筑紫トンネル」貫通・・・・・・進捗率6割超える」
「山陽・九州新幹線を「青磁」が走る!?・・・相互直通乗り入れ用新型車両デザイン発表さる」
「山陽・九州両新幹線直通列車の列車名公募・・・初めて私も!《一方でひかりレールスター廃止も…》」
「列車名「さくら」・・・山陽・九州両新幹線直通列車名称のこと」
「九州新幹線「新800系」、実車お披露目へ・・・8月22日デビュー。「金箔」世界初採用、山陽新幹線区間にも対応」
「九州新幹線・鹿児島ルート建設区間(博多~新八代)の高架全てつながる・・・熊本市富合町にて。次は線路敷設」
「「鹿児島市中心部(鹿児島中央駅)~鹿屋市街」直行バス、実証運行開始──12月1日。九州新幹線全線開業にらむ」
「博多駅の新駅ビル、棟上げ(上棟)式挙行──着工から4年弱。次は内外装工事《10月中旬鹿児島R全区間繋がる》」
【関連記事(その他、山陽新幹線関連)】
「”初代「のぞみ」”として活躍の300系、東海道新幹線から引退か・・・・・・新型「N700系」、前倒し投入へ」
「新幹線500系車両、来春にも東海道・山陽新幹線「のぞみ」定期運用から撤退へ・・・以後は山陽新幹線「こだま」に」
« 【「第27回1万人の第九」レッスン記;3】”二重フーガ”をみっちり。講談仕立ての講義も《「佐渡練」の日時通告有り》 | トップページ | 阪神なんば線に「第8回日本鉄道賞」・・・関西圏に於ける新しい鉄路アクセス、国も高く評価。一方で課題も »
この記事へのコメントは終了しました。
« 【「第27回1万人の第九」レッスン記;3】”二重フーガ”をみっちり。講談仕立ての講義も《「佐渡練」の日時通告有り》 | トップページ | 阪神なんば線に「第8回日本鉄道賞」・・・関西圏に於ける新しい鉄路アクセス、国も高く評価。一方で課題も »
コメント