「北近畿」・「きのさき」等特急向け新型車両「287系」の開発・投入──2011年春。衝撃吸収構造等の安全対策講ず
現在京阪神と山陰地方を結ぶ電車特急(「北近畿」・「きのさき」など)について、JR西日本は去る7月23日に現行の旧国鉄時代からの特急型車両に代わる新型特急型車両の導入を決めていたわけですけれども、このほどその新型特急型車両の概略が明らかとなりました。
北近畿地域のJR線電化区間〔福知山線・山陰本線(京都~城崎温泉)・舞鶴線〕に於いては、これまで別途料金を要しない普通列車に新型車両(223系5500番台)が投入される一方で、別途料金を徴収する優等列車(特急列車)は旧国鉄時代からのオンボロ車両(485系・489系から交流対応機器を無しにした183系車両)が使われ続けてきたという、ある種の不条理が存在していましたが、これでこの不条理も解消されることとなりそうですね。
JR西日本が10月2日付けで発表されたところによると、今度新たに投入されることになった特急型電車の形式称号は「287系」で、直流専用車両となっています。
約80億円の費用を投じて4両編成が7本と3両編成が6本の合わせて46両が製造・投入されることになっています《ちなみに現在「北近畿」などで運用されている旧国鉄時代からの183系電車は合わせて86両存在し、今度の「287系」への置き換えによってもなお残る40両分の処遇については現時点ではまだ発表されていません》。
JR西日本による当該ニュースリリースに添付されているイメージ画像を目にした私自身、これはまさしく「サンダーバード」車両・・・と感じたものでしたが、そのとおりみたいで、当該リリースにも「『サンダーバード』などJR西日本の特急のデザインを踏襲しつつ、新たなデザインとしています」と記載されているあたり、「サンダーバード」向け車両である683系をベースにしていることを謳っている格好ですね。
この「287系」の大きな特徴としてはオフセット衝突に対応した車体構造をしているところに衝撃吸収構造(クラッシャブルゾーン)も採用されていること。
クラッシャブルゾーンの採用はJR西日本の車両としては先月新規導入が発表された近郊型電車「225系」に続くもので、オフセット衝突対応については、同社の車両としては、昨年(2008年)7月以降落成された223系2000番台電車の「7次車」、今年6月に投入され「287系」のモデルともなった683系4000番台に次いで3例目となります。
そして、日本国内で衝撃吸収構造(クラッシャブルゾーン)の採られた特急型車両といえば、1992年9月に発生した成田線大菅踏切事故をきっかけに鉄道車両に於ける乗務員保護に本格着手しているJR東日本が中央本線等で運用されているE257系車両で導入されている他〔→『JR北海道の運転台が高い車両は、全国標準にならない?』〕、同様に1991年発生の日高本線内踏切事故をきっかけに乗務員保護に着手したJR北海道に於いても281系特急型気動車以降に開発・投入された特急型車両で導入されるなど〔→『JR北海道の乗務員防護対策』〕、衝突事故発生を想定した鉄道車両に於ける安全対策の取り組みは日本に於いてもようやく浸透の兆しを見せてきています。
安全面以外のところでは、車内設備のうち座席については、足元スペースの拡大と共に、グリーン車座席の全てと普通車座席の車両最前部・最後部座席(妻面部座席)にモバイル用途向けコンセントが設置されることになっている他、急病人や授乳中の母子のための多目的室や車イス対応トイレを設置するなどのバリアフリー対応を施すなど、今年3月下旬に発表された特急「はまかぜ」向け新型特急型気動車に準ずるとみられる設備改善にも取り組むとしています。
北近畿地域のJR線電化区間に於いては、普通列車向けの新型車両「223系5500番台」が7月下旬から福知山線に、8月中旬から山陰本線・舞鶴線に、それぞれ投入されてきていますが、今度の「北近畿」や「きのさき」等特急列車向け「287系」新規開発・投入により、同時期に投入される予定の前記「はまかぜ」向け新型特急型気動車と併せて、北近畿地域の鉄道路線にも新しい風が本格的に吹き込まれることになるでしょう。
また「287系」電車と「はまかぜ」向け新型特急型気動車の新規投入が予定されている2011年春は、大阪駅・新駅舎完成予定時期や九州新幹線・鹿児島ルート全線開業予定時期などと重なるため、同時期はまさしく鉄道界に於いて激動の時期となりそうな予感ですね。
楽しみに待っていましょう。
◎ 参照記事
『城崎温泉結ぶ特急に新型車両…座り心地アップ 多目的室設置』
『城崎・天橋立方面に新型特急』
『新型特急新型電車287系導入へ JR西福知山支社』
『JR福知山が特急に新型車両導入 2011年春』
『特急「北近畿」などに新型車両導入へ JR西日本』
『特急北近畿など新型車両に 2011年 JR西』
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
←ランキング参加中。各1クリック願います!
【関連記事(JR西日本「287系」関連記事)】
「2つの新型車両「287系」と「キハ189系」のデザイン、車内設備など発表…2011年春投入予定《+「エーデル」の末路》」
「225系近郊型電車「12月1日」運用開始──JR西日本、10月に展示会。113系等淘汰進むか《287系は構体段階に》」
「新型直流特急形電車「287系」、ついに報道公開そして出場…JR西日本。来年に北近畿エリア、再来年に「くろしお」へ」
「関西の'ホームライナー'消滅…「はんわライナー」・「やまとじライナー」廃止。来年3月ダイヤ改正《287系投入余波?》」
「287系特急形電車、ようやく製造本格化か・・・北近畿エリア電化区間向け。今は近車オンリー、2011年度から川重も?」
「JR西日本「287系&521系」、相次いで出場…2月22・23日、近車と川重。日車のJR東海キハ25形と”同時多発的”か」
「287系特急形電車、北近畿エリアに登場・・・3月12日、「こうのとり」等向け。9日前に第4陣出場《381系も期間限定で》」
【関連記事(JR西日本、その他2009年発表の新型車両)】
「223系の後継車両「225系」新規投入・・・JR西日本、2010年度中に運行開始予定。「クラッシャブルゾーン」を採用」
「特急「はまかぜ」用新型気動車キハ189系実車現る…新潟の製造元から甲種輸送。2011年春登場《287系と同時期》」
「キハ189系、豊岡(鉄道部)を経て米子駅へ──特急「はまかぜ」向け、キハ181系の後継。豊岡鉄道部にて報道公開」
« ブラジル高速鉄道プロジェクト、入札条件公示迫る・・・新幹線携えて”参戦”する「日本連合」。2014年開業は困難か | トップページ | 「成田エクスプレス」新型車両E259系、ついにデビュー・・・京成は日暮里駅の新下り線ホームの使用開始等の動き有 »
この記事へのコメントは終了しました。
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 「北近畿」・「きのさき」等特急向け新型車両「287系」の開発・投入──2011年春。衝撃吸収構造等の安全対策講ず:
» JR西日本、特急用新型車両「287系」導入 [kqtrain.net(京浜急行)]
JR西日本 : プレスリリース一覧>特急「きのさき」「北近畿」などへの新型特急形電車の投入について [続きを読む]
» 「北近畿」などへ287系投入 [たべちゃんの旅行記「旅のメモ」]
以前、「北近畿」などに新型車両を投入する話を書きましたが、その続報です。 新 [続きを読む]
« ブラジル高速鉄道プロジェクト、入札条件公示迫る・・・新幹線携えて”参戦”する「日本連合」。2014年開業は困難か | トップページ | 「成田エクスプレス」新型車両E259系、ついにデビュー・・・京成は日暮里駅の新下り線ホームの使用開始等の動き有 »
コメント