合唱が主人公───水戸の「300人の《第九》」。電子オルガン・ピアノ・打楽器の小アンサンブルと声楽陣の掛け合い
今冬も大阪「1万人の第九」の2週間後に開催される広島「第九ひろしま2009」は、去る11月1日に「第九」経験者が合流しての”結団式”が挙行され、いよいよ本番に向けての第2段階に入った模様ですが、そんな中、その”結団式”出席者数が主催者・中国放送(RCC)のWebサイト内2つのソースから発表されました。
一つは『RCCニュース ~広島のニュース』に去る「2009/11/1=18:02」付けで掲載された『「第九ひろしま」結団式』という記事で「広島市中区であった結団式には、市民およそ600人が参加…」と報じています。
そしてもう一つはRCC社内ブログの一つ『アラカン+ブログ 』に結団式翌日(11月2日)の日付で掲載された『第九ひろしま結団式』という記事で、こちらは「結団式には約700人の合唱団員が参加され…」と報じています。
えっ、600と700、どっちが正しいの───プチ・パニック状態の私。
数え方の違い、という可能性も否定できないけれども、恐らくは後者の記事のほうが真である可能性が高いでしょう《『アラカン+ブログ 』自体が「第九ひろしま」の企画・運営を実際に担当する部署(事業部)が開設しているものなので》。
そんな「第九ひろしま」の今冬開催分の公園期日まであと約1ヶ月半・・・師走はすぐそこまで来ているんですね。
さて、今回は各種動画共有サイトに最近寄せられてきているベートーヴェン「第九(交響曲第9番ニ短調作品125”合唱付”)」の中から一つを新たに紹介しようと思います。
今回は、この手のシリーズとしては初となる、編曲版演奏の紹介となります。
ご紹介しますのは、昨年(2008年)の12月14日に茨城県水戸市に所在する水戸芸術館コンサートホールATMにて行われた『水戸の街に響け!300人の《第九》2008』に於ける「第九」演奏を収めた動画。
『YouTube』に何れも2分程度の抜粋動画4本が投稿・公開されています。
実はこの『水戸の街に響け!300人の《第九》』については当ブログでも過去に紹介記事を2~3書いてきていることもあり、今回『YouTube』に公演の模様の一部が演奏動画となって複数本アップされているのを発見した私自身、公演内容を紹介したからにはその結果も紹介しなければ、と思い立って今回の記事を起こした次第。
この『水戸の街に響け!300人の《第九》』は概ね毎年12月第2日曜日に水戸市内にある水戸芸術館広場で行われている、いわば”野外の「第九」”であり、その内容は「第九」第4楽章(終楽章)のみを電子オルガン・ピアノ・パーカッションのコンパクトなアンサンブルと共に合唱するという格好となっています《ちなみに今年も開催されることが予定として決まっています→『水戸の街に響け!300人の《第九》2009 コーラス参加者 応募要項』》。
地元では新聞紙上にも掲載されるなど年末の風物詩と化した感のあるこの「第九」イヴェントなのですが、昨年はあいにくの雨模様だったみたいで、雨天時会場であるコンサートホールATMを使って行われていました。
その昨年開催された公演分の出演者一覧を以下に示します。
【独唱】 ソプラノ:結城滋子 アルト:大木円 テノール:倉石真 バリトン:清水良一 【合唱】 一般公募による参加者、茨城県合唱連盟、水戸市合唱連盟 【管弦楽相当】 電子オルガン:小林由佳、久保田彩子 《ヤマハ「エレクトーン」使用》 ピアノ:中村真由美、中村佳代 《ヴァーグナー編曲によるピアノ版を演奏》 ティンパニ:尾花章子 【指揮】 鈴木良朝 《茨城県合唱連盟》 |
で、私も一通り4本の動画を視聴してみました。
テンポ運びはほどよい感じで、構築の仕方も至極真っ当、ピアノと電子オルガンとティンパニという小規模なアンサンブルだけあって、音がズレる等といったことはほぼ無かったかな。
ソリスト陣はというと、響かせ方もさることながら、音高(ピッチ)もきちんと掴みながら流暢に歌い上げているような感じで〔きれいな発音(歌詞)の仕方もしていたかな…〕、安心して聴けるレヴェルって感じ。
合唱については、声の響かせ方についてはまずまずな感じだったのですが、やはり高音域を中心にピッチ下げが目立ってしまっているのがちょっと残念なところ・・・ピッチ下げとでもいうか、記譜されている音列についていき辛そうにしているような感じ、と言った方がいいのかな。
けれどもこれは、いま「1万人の第九」公演本番に向けてレッスンを受けている私たちも含めて、永遠の課題とも思えるところですね。
では、以下の演奏動画4本を順次再生してお聴き下さい。
そして、実は『YouTube』には一昨年開催の『水戸の街に響け!300人の《第九》2007』の模様を収めた演奏動画も1本だけ寄せられているのですが、こちらは晴天の野外広場(水戸芸術館広場)で行われているのが映っています。
併せて再生してみて下さい《「練習番号M」の箇所のみ収録された1分足らずのごく短い動画になりますが…》。
これが水戸の『300人の《第九》』本来のスタイルというわけですね。
ここで、茨城県民ではない私が言うのも変ですが、公演会場として使用されている水戸芸術館(広場またはコンサートホールATM)には小規模ながら専属のプロ・オーケストラが控えている一方、水戸市を初めとする茨城県内には大学オケも含めて10程度のアマチュア・オーケストラが活動していて、特にその中の一つである茨城交響楽団は国内有名指揮者を招聘するなどレヴェルは高い模様で、オーケストラと組んで原曲そのままの「第九」を演奏する環境は整っているはずなのに〔スケジュール上の問題は別にして〕、何故オーケストラと組むようなことをしないのか。
まぁ、これもまた一つのこだわりというものなんでしょう《スケジュール面もさることながら費用面の問題も考えられるところですが…;一方で、交響曲は本来オケが主人公だが水戸の「第九」は合唱が主人公だ、との地元民の声も聞こえてきています》。
これからも水戸市いや茨城県に於ける文化発信源として頑張っていってほしいところです。
P.S.
電子オルガン等と共に奏でる「第九」といえば、本文中で紹介した『水戸の街に響け!300人の《第九》』以外にも、昨年催された洗足学園大学・短大の冬季音楽祭「FUYUON!2008」会期中の12月1日に行われた「電子オルガン&パイプオルガン演奏会II ~幼児教育保育科・第九コンサート」に於いても見られました。
以下に示す演奏動画はそのときの模様の一部を収めているものです───何だかプロモーション・ヴィデオっぽい作りになっていますが。
こちらはピアノ無しで、電子オルガン4台(「ステージア」・・・水戸「第九」と同様ヤマハ「エレクトーン」の一機種が使われている模様)と「第九」で登場する打楽器4種全部(ティンパニ・バスドラム・シンバル・トライアングル)というアンサンブル陣容に声楽陣の組み合わせにより行われ、タクトを執ったのはテレビ(『たけしの誰でもピカソ』など)やラジオへの出演歴数多のマルチタレント青島広志でした。
この洗足学園内の音楽祭に於ける第九、淀みなく流れる大河を挟んで繰り広げられる生命の息吹というものをイメージするかのような演奏であり歌いっぷりと感じました。
【おことわり】
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