京成「空港第2ビル」駅新「ホーム&線路」使用開始──島式1面2線の行き違い可能駅へ。運賃面の”改良”も
成田空港アクセスで、JR「成田エクスプレス」の最大のライヴァルとされている京成「スカイライナー」。
その「スカイライナー」用の新型車両「2代目AE形」の活躍の舞台となる、来年(2010年)7月開業予定の「成田新高速鉄道」線の建設進捗に合わせて既存の京成線内の改修工事も進んでいる様子で、去る10月3日の京成日暮里駅3階下り線新プラットホームの供用開始に続き、今日(11月14日)からは成田空港側の2つある駅のうちの「空港第2ビル」駅(京成線ホーム)の新しいプラットホーム(のりば)と線路の供用が開始となりました。
今回供用が開始されたのは、成田空港第2ターミナル最寄り駅である「空港第2ビル」駅の京成線ホームで、これまでJR線ホームと同様1面1線の棒線駅だったのを、ホーム外側の壁を取り壊して新しい躯体を建設した上で新たにレールを敷設、島式1面2線のホームに改修したもので、長さ266m、幅3.6mとなっており、現地調査を基にしたレポート記事『2009年9月26日成田新高速工事調査(3) 空港第2ビル駅編』によると、京成上野方に2両分ホーム延伸を行ったとのこと。
これにより上下線で線路を分離することが可能となり〔新設されたホームは上り線(京成上野方面)のりばに、既存のホームは下り線(成田空港行き)のりばに、それぞれ分離〕、同時に上下交換(行き違い)可能駅としても機能することになります。
そして、終点駅・成田空港の京成線ホームに於けるプラットホーム・線路の増設を伴う改修工事も進行中で、「成田新高速鉄道」線が開業する来年(2010年)7月頃に増設線路・ホームの供用が開始される予定となっています《新しいホームと線路は特急専用として供用予定;10月初旬現在、増設される側の壁は取り壊されていない模様→『2009年9月26日成田新高速工事調査(2) 成田空港駅編』より》。
しかしながら、成田空港・空港第2ビル両駅間を結ぶ線路(約1km)については”単線のまま存置”とされているあたり、正直なところ、中途半端な感を禁じ得ないところです。
来年7月の「成田新高速鉄道」線開通で京成本線からの列車だけでなく新線からの列車も流入するわけで、成田空港からの出入国者など空港利用者の便宜を図るためにも、ホーム増設と併せて両駅間の複線化もまた是非実現させるべきであるように考えるところです。
けれども、実際にそれに着手しようとすると、第3種鉄道事業者としてこの区間の諸施設を保有している「成田空港高速鉄道」に京成と同割合で出資している関係から、同区間で並行しているJR東日本が承知しないのかも・・・
ならばJR東日本側も同様に線路やプラットホームの増設をすればいいようなものなのですが、こちらは一向にそのような動きは見受けられず。
現状に於いて利用者数でJRが京成に負けているためなのだろうか・・・実際調べてみると、本当に負けていそうな感じだけれども。
一方、建設途上の「成田新高速鉄道」線につながる北総鉄道線について、これまでは首都圏を走る鉄道路線の中で運賃が際立って高いことで知られてきているわけですが、これについて、今月5日に開かれた千葉県の定例記者会見の席上、来年予定されている「新高速鉄道」線開業に合わせて北総鉄道の運賃を約5%値下げを行う見通しであることを表明し、値下げに伴う減収分については千葉県と県内2市6村で年間計3億円、京成と北総の2社で年間計3億円(うち京成が年間2億5千万円)をそれぞれ負担することで一応の折り合いが付いたことも明らかにしました。
当初は千葉県側と京成側で年間4億円を折半負担するというものだったそうなのですが、京成側のうちの、北総電鉄の親会社にあたる京成電鉄が「年間2億5千万円以上は譲れない」と難色を示したところから千葉県からの要請を受けた国(国土交通省)が仲介に入り、負担額を両者とも年間3億円とする一方で通勤定期値下げ率を当初案より小さくする等の調停案を提示、合意に至ったとのことです。
ただ、自治体側拠出者のうちの鎌ケ谷・印西両市の市長は当初案で示された値下げ率より縮小された形での合意に対して「不十分な点はあるが、やむなく賛成した」などと複雑な胸の内を明かしている他、同じく自治体側拠出者の一つである白井市の市長は「北総鉄道の過去の建設コストを利用者が高運賃で支払い続ける仕組みの是正も必要」と指摘、更に北総線沿線住民の間からも今回の合意に対する不満の声が相次いでいます。
千葉県の森田健作知事は「満足出来る案ではないが、更なる値下げに向けての大いなる第一歩。これからも働きかけたい」と語り、引き続き運賃値下げに向けての交渉を続けるとしていますが、考えてみると、京成による成田空港アクセスを考えるときにも、このひときわ高い北総鉄道の運賃を巡る問題は看過出来ないわけで、スピードだけでなく運賃面でもJRに対して有利に運ぶためにも、ここは千葉県の奮闘を期待したいところですね・・・あれ、他力本願になってしまってる(爆)
施設面の改良もさることながら、運賃面の”改良”もまた成田空港アクセスに於ける京成の競争力強化のキーワードとなりそうな感じですね。
尤もこのことはJRにも言えることですが・・・
◎ 参照記事
『空港第2ビル駅上りホームを新設します』
『京成グループ中期経営計画「F4プラン」の進捗状況について 別冊資料』
『空港第2ビル駅に上りホーム新設 京成』
『空港第2ビル駅に新ホーム』
『房総経済:京成、上り線ホームが完成 成田・空港第2ビル駅に--きょうから /千葉』
『和で出迎え 第2ビル京成新ホーム』
『成田「空港第2ビル駅」上りホーム、14日に供用開始=京成電鉄』
『成田新高速のホーム完成 空港第2ビル駅』
『北総鉄道の運賃値下げ実現へ 値下げ幅縮小に沿線首長は複雑…』
《→『北総鉄道の運賃値下げ実現へ 値下げ幅縮小に沿線首長は複雑…』》
『北総線5%値下げ…千葉』
『北総線、5%値下げ 千葉県、鉄道会社と合意へ』
『北総鉄道値下げ支援3億円…千葉県と沿線6市2村』
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