英国高速新線HS1(CTRL)本格営業開始──12月13日。日立が車両に保守に貢献、英国内他路線にも?《”+α”有》
このブログでは、量的には国内ものと比べて圧倒的に少ないのですが、海外の”鉄的”話題も扱ってきています。
そうした中の一つに、英仏間国際特急列車「ユーロスター」のため、イギリス国内に於いて建設が進められてきた高速新線HS1(CTRL)の話があります。
鉄道発祥の国に於けるこの高速新線建設を巡っては、初めて日本製の高速鉄道車両(クラス395)が乗り込んだことで日本国内でも大きな話題となったわけですが・・・
私の自宅で購読している朝日新聞の昨日(12月15日)付朝刊の経済面に、そのイギリス高速新線HS1が「正式開業」したとの記事が、あの日本製高速鉄道車両の写真入りで掲載され、私も思わずハッとさせられました。
「正式開業」───正確には、高速新線HS1を介した英国の鉄道事業者による、日本製高速鉄道車両(クラス395)を使っての本格的営業運転、つまりは通常の営業運転が本格的に開始したというものですが。
英仏間国際特急列車「ユーロスター」のため、イギリス国内に於いて高速新線HS1(CTRL)の建設が始まったのは1998年10月のこと。
それまでは英仏間に横たわるドーバー海峡を鉄路で渡るべく掘削されたユーロトンネル(英仏海峡トンネル、Channel Tunnel)を潜ってイギリス側に出ると、いきなりイギリス側在来線に入る格好となっていたみたいでしたが、なんと日本の地下鉄(東京メトロ丸ノ内線、大阪市営地下鉄御堂筋線など)と同じ第3軌条方式電化区間となっていて、最高速度が160km/hに制限されていた上に、速度の遅いイギリス国内限定の在来線列車も混在していたことから、所要時間短縮の妨げとなっていました。
このような状況を目の当たりにしたイギリス政府は重い腰を上げ、1996年にイギリス議会で「Channel Tunnel Rail Link Act」(CTRL法?───つまりCTRL建設を進めるための法律のことか)を成立させると、これを基にして高速新線建設のための第3セクター会社「London & Continental Railways Limited」が設立され、ここに路線全長109kmを2つに分けて格好での建設工事が始まりました。
そして、「ユーロスター」運転開始からちょうど9年後にあたる2007年11月14日に全線開通、これに伴ってそれまでのウォータールー(または”ワーテルロー”)駅からセント・パンクラス駅にロンドン側国際ターミナルの機能が全面的に移されたわけですが、この全線開通の約3ヶ月前にあたる同年8月23日、日本の日立製作所が高速新線HS1向けに開発・製造した高速鉄道車両「クラス395」が初めてイギリス本土に陸揚げされました。
このことについては、日本の鉄道車両メーカーの手による初の欧州向け高速鉄道車両の納入ということで日本国内でも話題となったものです《このブログでも『日本の新幹線技術、次は鉄道発祥の地へ・・・・・・英国の高速新線CTRL向け「新幹線ベース」車両の陸揚げ』という記事タイトルで書いていました》。
それから約2年の歳月をかけて続々とイギリスに陸揚げ(というか納入)されていき、今年8月17日の陸揚げ分を以て受注分全ての納入(陸揚げ)を完了させたのです。
これら納入された「クラス395」車両は、車両保有会社であるHSBCレール社が保有し、高速新線HS1を鉄道路線として運営する鉄道事業者サウスイースタン(London & South Eastern Railway Limited)にリースする形が採られ、ケント州アシュフォード区に所在するアシュフォード車両基地に配属される格好となっています《尤もこの車両基地がアシュフォード国際駅の付近に造られるか否かはわかりませんが…;地図参照→「ロンドン~アシュフォード」・「アシュフォード国際駅とその周辺」〔アシュフォード国際駅はケント州アシュフォード区アシュフォードの中心部から約1マイル(1.6km)離れたところに位置→アシュフォード国際駅のWebサイト(英文サイト。トップページに駅位置に関する記述有;同国際駅の住所など・・・英国国内に於ける住居表示)〕》。
ここまでの話について、仮に日本の鉄道の仕組みに準えるとすれば、高速新線HS1(CTRL)は「London & Continental Railways Limited」が第3種鉄道事業者として、そして「サウスイースタン(London & South Eastern Railway Limited)」が第2種鉄道事業者として、それぞれ携わる格好になるわけで、このあたりの関係は阪神なんば線に於ける「西大阪高速鉄道(第3種)=阪神電気鉄道(第2種)」、京阪中之島線に於ける「中之島高速鉄道(第3種)=京阪電気鉄道(第2種)」、JRおおさか東線に於ける「大阪外環状鉄道(第3種)=西日本旅客鉄道(JR西日本、第2種)」などと相通ずるものがあるように思えるわけです。
そして日本の日立が開発・製造した「クラス395」車両を別途設立された「HSBCレール社」が保有して「サウスイースタン」にリース(貸与)するというこの両者の関係については、初めのうち私はJR発足直後に於ける新幹線運営形態(新幹線保有機構が施設全般を保有して新幹線各線を運営するJR各社にリース)を連想していたのですが、これは間違いであり、JR東日本に於けるミニ新幹線区間(山形新幹線と秋田新幹線)で使われる新幹線車両の各保有会社とJR東日本との関係を連想すべきところなのです《山形新幹線に於ける「山形ジェイアール直行特急保有」(400系車両のみ)と秋田新幹線に於ける「秋田新幹線車両保有」》。
で、日本からの「クラス395」車両全編成が納入完了となる約2ヶ月前にあたる6月18日からその「クラス395」を使った試運転が始まり、同29日から高速新線HS1内限定(ロンドン・セントパンクラス駅からケント州のエブスフリート国際駅及びアシュフォード国際駅までの間)で試験営業運転を開始、2ヶ月あまり後の9月7日からはHS1を経由してのケント州内在来線への直通運転(ロンドンからドーバー・プライオリー(Dover Priory)駅及びラムスゲート(Ramsgate)駅までの間)も開始し、試験営業運転の範囲を広げていきました。
そして去る12月14日、サウスイースタンは、これまでの試験営業運転の実績を基に、ロンドン・セントパンクラスとケント州内21駅とを結ぶ、高速新線HS1を介した「クラス395」を使っての高速鉄道輸送サービスを本格的にスタートさせました《通常営業運転のスタート;日本国内ではこれを「正式開通」と報じています》。
この日のロンドン・セントパンクラス発1番列車(ロンドン06:25発ロチェスター行)にはイギリスのアンドリュー・アドニス運輸大臣を初め運営会社サウスイースタン、車両製造元の日立などの関係者たちが乗り込んでいましたが、アドニス運輸相はこの車内で「時速140マイル(約225キロ)で走る列車の営業運行は国内初。これを機に高速鉄道網を全国に広げていきたい」と意気込みを語ると共に、ゴードン・ブラウン首相も、この日の午前に開かれた開通式典の席上、「英国鉄道の長い歴史に於いて記念すべき日となった」と誇らしげに語っていたそうな。
で、ここで一つ疑問に感じたのは、報道では”12月14日に開通”となっていますが、高速新線HS1を路線として運営するサウスイースタンの公式Webサイトに、以下のくだりが見えます。
Full high speed services begin on 13 December from St Pancras International to 21 stations. |
つまり12月13日から本営業を開始する旨の記載になっているわけですが、にもかかわらず”12月14日に開通”となったのは何故なんだろうか。
何らかの原因で準備に手間取ってしまい、開業が1日遅れたということなのだろうか。
そのあたり、ネット上で探ってみたのですが、残念ながらその理由はわからないままです。
とはいえ、1日遅れながら、鉄道発祥の国に乗り込んだ日本の高速鉄車両技術が本格的に花開いた瞬間でもあったわけで、歴史的出来事といってもよいでしょう。
あ、一つ忘れそうになるところだった───高速新線HS1の、ロンドン(セント・パンクラス)の次駅として据えられているストラトフォード国際駅について、付近に位置する貨物操車場跡地の再開発地域「ストラトフォードシティ(Westfield Stratford City)」一帯の整備と、2012年開催のロンドン・オリンピックに関連する諸施設の整備に合わせての開業を目指してきた関係で、駅施設自体はHS1(CTRL)2期工事区間完成前の2006年4月に完成しているものの、今日まで正式開業が見送られてきていました。
今回のHS1正式開業(通常営業運転開始)に合わせて、そのストラトフォード国際駅も営業開始となった模様───但し、少なくともLRT路線である「ドックランズ・ライト・レイルウェイ」が同国際駅まで延伸開業する予定となっている2010年頃までは、同国際駅に於ける「ユーロスター」の客扱い停車は無いとの話です。
さて、開業記念式典の席上、ブラウン首相は「来年3月までに次世代の鉄道網整備に関する策定案を発表する」とも表明していますが、この中で、イギリス国内に於けるロンドンとスコットランドを結ぶ”高速新線HS2”計画に関して説明するのでは、との一部メディアによる憶測も流れています。
今回本格的に営業運転を始めたケント州(英仏海峡トンネル)方面とを結ぶ高速新線HS1に続く、スコットランド(当初はバーミンガムで伝えられているみたいだが…)とを結ぶ高速新線HR2は、イギリス政府内に於いて必要性は示しながらも予算不足などを理由に事実上頓挫している格好となっていました。
今回のブラウン首相の発言はこうした頓挫状態からの打開に一定の道筋をつけるのかどうかという点で注目されるところといえるでしょう。
1994年から1997年にかけて実施されたイギリス国鉄の細々とした分割民営化で施設がすっかり疲弊し、結果重大事故の多発という事態を招いたイギリスの鉄道網───高速新線HS1向けに高速鉄道車両を納入した日本の日立製作所は併せて路線保守関連なども受注していて、更にこれとは別にイギリス国内に於ける都市間高速鉄道車両置き換え計画(IEP=Intercity Express Programme、インターシティ・エクスプレス・プログラム)に基づく車両製造及び保守事業についての優先交渉権をも今年2月に獲得し、来年3月末までの交渉期間中に於ける正式契約締結を目指しているとのことで、日立のこうした一連の行動がイギリス鉄道界にどのような影響を与えるものなのか、日本の鉄道好きの一人として、期待を以て注目していこうと思います。
P.S.
本文中でも少し紹介しました、高速新線HS1を鉄道路線として運営する鉄道事業者サウスイースタンの公式Webサイトについてですが、昨日アクセスした時点では以下に示すように表示されていました。
ページ右側に日立が開発・製造した「クラス395」車両の”顔”写真入りバナー(「Full speed ahead」の文字も入っている)が添えられていて、このあたりのさり気なさが何ともいえぬ雰囲気を醸し出しているかのようです。
余談ながら、ページ右上に見える「View journey Map」バナーをクリックするとサウスイースタン営業路線の路線図が表示されますが、そこから更により詳しいPDF形式の路線図(運行系統図)を取り出すことも出来ます《ちなみにその「詳しいPDF形式の路線図(運行系統図)」がこちらです》。
ここで右側に見える、日立が製造した「クラス395」車両の”顔”写真入りバナーをクリックすると・・・
何とも可愛らしい「クラス395」車両の”顔”がページ上部に現れますが、要するにここは高速新線HS1の営業案内ページになっていて、ここに「12月13日営業開始」の旨の記載が見えていました。
今回鉄道発祥の国イギリスへの乗り込みに成功した日立ですが、更なる野望を抱いている様子で、なんと日本の新幹線にとって最大のライヴァルであるフランスTGV(というかそのTGVが主として走行する高速軌道LGV)を運営しているフランス国鉄SNCFが来年にも行う見通しであるという車両受注入札にも挑む姿勢を見せているほか、果てはドイツICEの車両更新に伴う受注獲得をも目指しているとも報じられていて、イギリスに於ける鉄道車両等の大型受注という成果を上げた日立の今後の動向が益々興味深いものとなってきたように感じるところです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『日立の高速列車、英国で発車 日本の車両、初の運行』
《→『日立の高速列車、英国で発車 日本の車両、初の運行』》
『日立の新型高速列車、フル運行開始』
『ロンドン~ケント州高速鉄道が正式開通』
『英で日本製の高速列車快走 通勤と五輪の足に期待』
『日立が英で初の鉄道工場建設へ 海外で初、世界的な受注増で』
『日立、英で鉄道大型受注 総事業費1兆円、川重は米向け路面電車』
『サウスイースタン、日立製車両高速鉄道の区間延長』
『日立製の高速鉄道デビュー=時速225キロを達成』
『新幹線鉄道保有機構の成立と沿革』
『日立:仏独高速鉄道で新幹線の受注獲得目指す-TGVなどに対抗』
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