博多駅の新駅ビル、棟上げ(上棟)式挙行──着工から4年弱。次は内外装工事《10月中旬鹿児島R全区間繋がる》
今から1年以上前にあたる2008年10月11日から12日にかけて、当時引退間近だった0系新幹線車両の追っかけのため九州入りしていた私。
主にホームに停車している0系「こだま」を見送りながら南下し、博多駅前にあるネットカフェで一泊したあと、JR鹿児島本線の春日駅経由にて博多南駅へと向かい、そこに停車していた博多南線・博多行き0系車両に乗るところから北上を開始、途中新下関駅にて停車中の0系「こだま」を見送り、そのまま帰宅の途に就いたというものだったわけですが、その中で博多駅前にあるネットカフェで一夜を明かし、再び博多駅に戻る際に目の当たりにしたのがこの風景。
旧国鉄時代の1963年(昭和38年)にオープンしたかつての博多駅舎(三代目)はすっかり取り壊され、その姿は跡形もなくなっていました。
それから1年あまり───博多新駅舎建設は順調に進んでいた様子で、去る12月22日(つまり昨日のことですね)、新駅ビルを構成する最後の鉄骨を組み上げることを祝する棟上げ式(上棟式)が、唐池恒二JR九州社長や宮本洋一清水建設社長ら関係者約130人の出席の下、執り行われました。
式では、まず棟木に見立てた長さ7m、重さ2.5tの、新駅ビルを構成する最後の鉄骨に金・銀それぞれのボルトを締め付ける「鋲打(びょううち)の儀」を行い、次いでそこから吊り下げられたくす玉を割って工事の安全を祈願、そしてその割られたくす玉ごと建設中の新駅ビルの最上部へと上棟されていったのでした。
2006年1月に着工した新博多駅ビルは地上10階・地下3階建てで、2階部分に在来線8線分を収容する他、東隣には再来年(2011年)の3月に全線開業予定の九州新幹線(鹿児島ルート)のプラットホームが造られることになっています。
そして、その新博多駅ビルに入居する店子(テナント)の中には、共に九州初進出となる阪急百貨店や東急ハンズ、そして複合型映画館(シネマコンプレックス)も含まれており、日本政策投資銀行九州支店による試算では、ビル全体の年間売上高として約1300億円が見込まれるとのこと。
現時点での工事進捗率は工事計画ベースで約7割とのことで、来年の年明け以降に内外装工事が本格化し、5月までには外装工事を終え、再来年3月の九州新幹線・鹿児島ルート全線開業に合わせての新装開店を目指すとしています。
この博多駅ビル建て替え工事は、言うまでもなく、九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業を睨んでのものなのですが、その九州新幹線・鹿児島ルートを巡っては、今年10月中旬に熊本市富合町の建設現場で建造が進められていた「志々水(ししみず)架道橋」(全長約57m)が完成して鹿児島ルート全区間(博多~鹿児島中央)が高架橋やトンネルなどの構造物(路盤)で一つにつながり、現在は来年(2010年)春の完了を目指して目下レール敷設工事中とのこと。
そしてレール敷設が終わった後には電気・通信・信号保安関係の工事などに本格着手するものとみられ、来年秋には実際に新幹線車両を走らせながら各種点検作業などを行うとしています。
鹿児島ルート全区間が一つの路盤でつながった10月中旬時点のレール敷設工事進捗率は約8割とのことですので、今頃は9割近い進捗率になっていることでしょう。
路盤の全区間完成、そして新しい博多駅ビルの棟上げ───今も山陽新幹線区間では山陽・九州両新幹線直通用のN700系「青磁仕様」(7000番台)車両「S1編成」が試運転を重ねていることと思いますが、こうして”器”が出来てくるにつれて、それまでイメージでしかなかった鹿児島ルート工事区間に於ける新幹線列車走行の様子などがより具体化される形でのイメージが出来るようになり、それが全線開業に対する期待となって次第に気分の高揚につながるところがあります。
これからも建設工事の無事を願わずにいられないのと共に、この九州新幹線・鹿児島ルート、そしてそれにつながっている山陽新幹線の動向を注視し続けていこうと思います。
P.S.
本文後半で、九州新幹線・鹿児島ルート全区間が高架橋やトンネルなどの構造物により一つにつながったことを記しましたが、実はその中の高架橋の建設に際して使われたパネル材について、昨年(2008年)10月、剥離や脱落の虞が指摘されているとの報道が一部メディアにより為されていました《→『九州新幹線に不具合パネル 麻生が販売、はく離や脱落』》。
このパネル材は麻生太郎元首相の親族が経営している建設資材メーカー「麻生」(福岡県飯塚市)が製造・販売したもので、コンクリートの型枠として鹿児島ルートの高架橋橋桁の9割で使用されていましたが、施工中に一部箇所で剥がれる事例が発生していたとのこと。
このことに関して製造元の麻生は社外専門家による委員会を組織して現場調査や聞き取り調査などを実施、そして、剥離の原因について「特定できなかった」と結論づけた上で「パネル材製造過程での品質のばらつき」や「施工段階のミス」などの可能性を指摘、全線開業後に於ける新幹線運行については「点検や補修などを徹底することで当面の安全性に問題はない」と強調しています《→『九州新幹線高架のはく離パネル「欠陥品なし」 販売会社が調査結果公表』》。
九州新幹線・鹿児島ルート全線開業を前に、早くも不安要素をひとつ抱えてしまったという印象を受ける私自身───まぁ鹿児島ルート全線開業後間もない時期に高架橋のコンクリートが剥落、そして崩壊するようなことは無いと思うのですが、JR九州などには、鹿児島ルート全線開業後に於いて、安全運行の基本である保線作業と共に高架橋などの各種構造物の保守点検をもきちんと行い、事故防止に万全を期してもらいたいところです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『新博多駅ビル:11年春のオープン目指し、上棟式』
《→『新・博多駅:11年春オープン目指し上棟式 地上10階・地下3階』》
『JR博多新駅ビルが上棟式 新幹線開通の11年春開業』
《→『JR博多新駅ビルが上棟式 新幹線開通の11年春開業』》
『新博多駅ビル7割完成 JR九州社長らが上棟式』
《→『新博多駅ビル7割完成 JR九州社長らが上棟式』》
『博多の顔 整備着々 新駅ビルで上棟式 工事の7割が完成』
《→『博多の顔 整備着々 新駅ビルで上棟式 工事の7割が完成』》
『九州新幹線 新博多駅ビルが上棟、11年春全線開業控え』
『257キロつながった…九州新幹線鹿児島ルート』
《→『新幹線鹿児島ルート257キロ、全線つながった!』》
『九州新幹線つながった 構造物完成』
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