新型観光特急車両開発・投入へ──近鉄、「第62回伊勢神宮式年遷宮」を意識。阪神なんば線乗り入れ対応なるか
早速上記掲載記事を基にネット上で探してみたところ、前記記事の元となった記事も発見《→『近鉄、新型観光特急投入へ 伊勢志摩へ誘客強化』》。
なんでも、20年に一度行われている「伊勢神宮式年遷宮」が3年後(2013年)に62回目を迎えるとあって、これに合わせる形で近鉄が伊勢志摩観光向けの新しい特急車両を開発・投入することを決めたとのこと。
ここのところ収益力が低下してきていることに対して近鉄が危機感を露わにした格好になっているといえそうですね。
伊勢志摩向けの近鉄特急車両といえば1994年3月にデビューした23000系「伊勢志摩ライナー(ISL)」がありますが、当時志摩スペイン村の開業に合わせて開発・導入されたとあって、どちらかといえばリゾート風な造りになっているような印象《→『鉄路の名優「23000系「伊勢志摩ライナー」」』》。
今回、62回目を迎える「伊勢神宮式年遷宮」に合わせて投入されることになる新型特急型車両は、観光客ら1万人に対して実施してきた「理想の特急」アンケートの回答内容等を基にして「全く新しいコンセプト」の下で開発するとしていて、「他社にない新しい特急像を練り上げ、観光特急に新風を」と意気込んでいる様子。
このニュースに接した時、私の頭の中ですぐに「阪神なんば線」を連想してしまいました。
そして「すわ、阪神相直対応の近鉄特急新型車両の開発か」と思ったものでした。
近鉄自身、阪神なんば線が開業する2年前(2007年)には早くも神戸・姫路から奈良・伊勢志摩方面への特急直通運転の構想を立てていることを明かしており、その翌年には特急の直通乗り入れ先と目された阪神と山陽電鉄との3者間で基本合意に達し、そして阪神なんば線が開業した2009年には実際に山陽電鉄線に於いて近鉄車両の乗り入れに支障がないかどうかの調査に乗り出したり、阪神三宮駅の駅長室カウンターに近鉄の特急券等発券端末「ASKA」(JRでいうところのマルス端末に相当)を設置したりするなど、近鉄特急の三宮・姫路への直通乗り入れに意欲を見せ、それに向けての動きを着実に進めてきています。
今回の報道では新たに投入される”伊勢志摩観光向けの新型観光特急”の具体的な諸元(仕様)については何も触れられていないことから、阪神なんば線を介した三宮・姫路方面への直通乗り入れに対応(相直対応)させるつもりなのかどうかまでは定かでありませんが、前記の近鉄側の意欲的な姿勢から考えれば、恐らくは阪神相直対応仕様で開発してくるものと思われるところですね。
とはいえ、近鉄が当初今春を目標としていた近鉄特急の阪神線以西への直通乗り入れ、今回の報道から、もう1年程度先延ばしになってしまいそうなところかな───まぁどういう諸元の、そしてデザインの特急車両を我々の前に示してくれるのか、楽しみに待っていようと思います。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『新型汎用特急車を2009年春に導入』
『山陽姫路~賢島間の直通特急運転で基本合意』
『姫路-伊勢志摩直通を 近鉄が山電への乗り入れ調査』
『伊勢志摩─姫路250キロ、4社横断最長特急に近鉄乗り気』
『阪神三宮駅に近鉄特急発券機設置』
《→『阪神三宮に特急発券機 近鉄への乗り換えスムーズに』》
『阪神・三宮駅で近鉄特急券販売』
P.S.(100319追記)
今日(3月19日)のことになりますが、ぶらりと「++Rail」に立ち寄った私は、とあるユーザーさんの日記で、阪神なんば線を介して神戸三宮と近鉄の賢島(伊勢志摩)を結ぶ直通特急列車が早ければ伊勢神宮式年遷宮の年・2013年にも実現できる見通しとの話を知るところとなりました。
これまで慎重な姿勢を崩さなかった阪神の坂井信也社長が「臨時や貸切の形ならば出来るだけ早期に考える」旨の発言をしたとの由で、一部メディアがこれを三宮・姫路への近鉄特急直通乗り入れに向けて前向きに検討しているものととらえている様子《→『阪神・三宮←→近鉄・賢島に直通特急構想』・『姫路−名古屋・賢島 直通特急 「早い時期に臨時便」 阪神電鉄・近鉄』》。
尤も現時点では報道メディア間で捉え方の差異が見られることから流動的であることは否めないところなのですが、時期的なことを考えると、記事本文で紹介されている”伊勢志摩観光向けの新型観光特急”は、阪神なんば線、そして阪神線以西区間にも対応させるよう造られる可能性がいよいよ濃厚となってきましたね───引き続き期待を以て”新型観光特急”車両の出現を待っていようと思います。
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