「JQ CARD」誕生・・・JR九州、3月1日募集開始。九州新幹線への「EX-IC」(エクスプレス予約)導入の足がかりに?
九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)の全線開業まで、残すところあと1年あまり。
去る2月15日には、建設工事区間(博多~新八代)に於けるレール敷設工事が3月22日で完了出来る見通しであること、そして10月に試運転を開始する見通しであることが公式に発表され、いよいよ現実の物となって我々の前に姿を見せてくれてきています。
一方で、九州北部地域のJR在来線ではJR九州のICカード型乗車券「SUGOCA」が導入されており、今春のJRグループ定例ダイヤ改正に合わせる格好で、同じく北九州地域で導入されている西日本鉄道(西鉄)「nimoca」と福岡市交通局「はやかけん」の2つに首都圏・東北地域のJR線を管轄するJR東日本の「Suica」を加えた4者間で包括的相互利用サービス(乗車券機能+電子マネー機能)の提供を開始するのに続き、来年(2011年)3月の九州新幹線・鹿児島ルート全線開業に合わせる格好で、「SUGOCA」とJR西日本「ICOCA」の間でも同様に包括的相互利用サービス提供を開始することが既に発表されています。
なお、「ICOCA」との間で来年3月から開始予定の包括的相互利用サービス提供では、既に東海道・山陽新幹線の全線にわたって導入されている会員制新幹線予約サービス「エクスプレス予約」のシステムを利用したチケットレスサービス「EX-IC」との連携〔博多・小倉両駅に於ける新幹線乗換改札に於ける「EX-IC」カード(或いは紙の新幹線きっぷ)と「SUGOCA」等の在来線向けICカード型乗車券との併用による直接乗換対応〕が図られる一方で、今春から開始する「Suica」との相互利用では「SUGOCA」と共に参加を表明している「nimoca」や「はやかけん」の両者がこの「ICOCA」との相互利用に関しては、現時点では、一切反応を示しておらず、何処か中途半端な印象を禁じ得ないところはありますね。
それはさておき、来年3月の九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業に合わせて開始となる「SUGOCA」と「ICOCA」の間での包括的相互利用サービス提供と、小倉・博多両駅に於ける「EX-IC」カードと「SUGOCA」等の併用による新幹線乗換サービス対応に関して───この鹿児島ルート全線開業では、ご存じのように、山陽新幹線と九州新幹線の相互直通乗り入れも開始されるわけでありますが、ならばついでに、現在山陽新幹線区間にまで導入が進んでいる「EX-IC」サービスを九州新幹線区間にも入れられないものなのか、半ば願望の情を抱きながら考えていた私。
けれども、既に旅客会社毎の独自クレジットカードを発行してきている本州JR旅客3社に対し、いわゆる「JR三島会社」の一つに数えられるJR九州ではこれまで自社独自のクレジットカードというものを発行してきませんでした。
「EX-IC」サービスが付随している東海道・山陽新幹線に於ける「エクスプレス予約」では、利用(会員登録)に際して、JR東海「エクスプレスカード」やJR西日本「J-WESTカード(エクスプレス)」といった「エクスプレス予約」に対応した旅客会社毎発行のクレジットカードが必要とされているため、JR九州が管轄している九州新幹線にも「EX-IC」サービスを入れようと思ったら、JR九州自体も「エクスプレス予約」に対応したクレジットカードを独自に用意する必要が出てきます。
私もそのあたりの動向が少し気になっていたところなのですが、そんな中、今月に入ってからのことになりますが、JR九州でも独自のクレジットカードが来月にも誕生する予定であることが判明しました。
「JQ CARD」と名付けられたこのクレジットカード───実は昨年(2009年)10月30日付でJR九州とカード発行元2社の計3社が既に発行の旨をリリースしており、来月(3月)1日から入会受付が始まることになっています《来月13日からは「JQ CARD」Webサイト上からでも入会申込可能》。
入会金不要で年会費は「1,312円」となっているものの、年会費部分については入会初年度のみ無料で、次年度以降であっても前年1年間に1度でもクレジット利用があれば不要となる但し書きが付いています───このあたりはJR西日本「J-WESTカード(ベーシック)」と同じ格好になっていますが、年会費額がちょっと高めになっていますね《ちなみに「J-WESTカード」年会費額は”ベーシック”・”エクスプレス”ともに「1,050円」》。
そして、この「JQ CARD」には、JR東日本の「”ビュー・スイカ”カード」と同様、手持ちの「SUGOCA」〔但し記名式タイプ(定期券含む)に限る〕と紐付けしてのオートチャージサービスも用意されています───ひとつ異なるのは、これは3月13日(JRグループ定例ダイヤ改正施行日)以降の話になりますが、「”ビュー・スイカ”カード」のオートチャージ・サービスが「Suica」の相互利用相手先である「PASMO」の導入エリアに於ける改札入場時にも対応しているのに対し、「JQ CARD」のオートチャージ・サービスはJR九州「SUGOCA」導入エリア内に於ける改札入場時に限られています《「SUGOCA」の九州内に於ける相互利用相手先である「nimoca」・「はやかけん」両導入エリア内に於ける改札入場時には未対応》。
ということで、JR九州管轄エリアにも「JQ CARD」というクレジットカードが誕生したことによって九州新幹線にも「エクスプレス予約」そしてそれに付随する「”EX-IC”サービス」を導入するための素地が出来上がったことになるわけですが・・・
ここで一つ問題が浮かび上がってきています───それは年会費。
「エクスプレス予約」に対応しているJR東海「エクスプレスカード」とJR西日本「J-WESTカード(エクスプレス)」は何れも年会費「1,050円」が、クレジット等の利用状況に関係なく、恒常的にかかってきています。
一方「JQ CARD」は、前記の通り、年会費「1,312円」となっているものの条件如何で”年会費不要”となったりもする・・・
”年会費不要”となるケースが存在するあたりで引っかかる上、年会費額も異なっているため、このままでは「エクスプレス予約」を運用しているJR東海とJR西日本に受け入れてもらえないことでしょう。
ならば、JR東日本の「モバイルSuica」に別途”ビュー・エクスプレス特約”を付加させるのと同じ要領で、「JQ CARD」の会員向けに「エクスプレス予約」利用のための特約を別途用意することも考えられるところですが・・・
この場合、クレジットカードに別途ETCカードを付加(貸与)するのと同じ要領で、特約申込者に対して別途「EX-IC」カードを用意すると共に、通常の年会費とは別に「エクスプレス予約」年会費(”ビュー・エクスプレス特約”に倣って「1,050円」と考えます)を徴収することが方法として考えられるところでありますが、「JQ CARD」の年会費部分が1度以上のクレジット利用により無料に出来ること等を考え合わせれば、あながち不可能ではないように思えるところですね。
尤もその「EX-IC」カードを別途用意するに要するコストの負担にJR九州が耐えられるのかどうかという問題が残るところですが───或いはJR東海あたりが「EX-IC」カードを代わりに用意してくれることも考えられないことも無いかな《余談ながら、JR西日本が「J-WESTカード(エクスプレス)」会員向けに別途用意する「EX-IC」カードには、その右上に”Club J-WEST”ロゴが刷り込まれてしまっています→『EX-ICカードを入手』;JR東海発行分と思われる「EX-IC」カードの写真画像が『EX-ICカード届く』というブログ内記事に掲載(この記事で「EX-IC」カード自体に磁気ストライプも入っていることを本格的に知りました)》。
一方、九州新幹線鹿児島ルートへの「エクスプレス予約」そして「EX-IC」サービスへの対応のため、鹿児島ルート全区間の各駅には「EX-IC」サービスへの対応に必要な機器類(座席情報表示機、きっぷ受取機など)の導入と新幹線用自動改札機の改修を要することになるわけですが、経営基盤の不安定とされるJR三島会社の一つにあって2つの九州新幹線〔鹿児島ルートと西九州(長崎)ルート〕の並行在来線の引き続いての路線運営により更なる負担を強いられることになるであろうJR九州に「EX-IC」サービス導入のための費用負担に耐えうるだけの財務力・経営力があるのかどうか、現時点では正直なところ疑問符が付きそうなところですね。
更に「エクスプレス予約」は主にビジネス客に照準を合わせたサービスともいわれていますが〔昨年11月末時点での「エクスプレス予約」会員数は約155万人〕、鹿児島地域経済研究所が、2004年3月の九州新幹線「新八代~鹿児島中央」間先行開業の翌年(2005年)以来、毎年行ってきている九州新幹線利用客に対するアンケート調査(調査地点「鹿児島中央駅新幹線改札内コンコース」)で、利用客全体に占めるビジネス目的利用客の占める割合は過去5年間で・・・
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利用客全体:34~35%程度 鹿児島県内在住者のみ:31~32%程度 他県在住者のみ:37~38%程度 |
で推移───このあたり東海道新幹線区間(特に「のぞみ」利用客)と比較するのは酷というものでしょうけれども、ちょっと微妙な数字であるように思えるところがあります。
そして、JR九州管轄の九州新幹線区間に「エクスプレス予約」そして「EX-IC」を導入するに際して最大の障害となりうるのは、JR九州独自の回数券型特別企画乗車券(トクトクきっぷ)である「2枚きっぷ・4枚きっぷ」の存在《九州新幹線区間を包含するものは「新幹線つばめ2枚きっぷ」という名称が与えられている》。
2001年10月1日に登場したこのトクトクきっぷは区間により高い割引率が設定されていることで知られ、ものによっては1枚あたりの換算額が該当区間の普通運賃より安くなるケースがあったりするほどで、これによってJR九州内完結の数多くのトクトクきっぷが発売中止に追い込まれたのだとか。
従前からの「エクスプレス予約」そしてそれに付随する「EX-IC」サービスに於いても一定の制約条件を設けた上でお得に利用出来る「EX-IC早特」等が存在するものの、一方で普通乗車券では片道201km以上で適用される「特定都区市内」制度がチケットレスの「EX-IC」サービス利用時には適用されないため、新幹線駅から更に在来線に乗り継ぐ場合、金額面でのお得度はそれほどではないとの話があります。
そのため、九州新幹線区間にも「エクスプレス予約」そして「EX-IC」サービスを導入し、従前からの「2枚きっぷ・4枚きっぷ」と総合的にほぼ互角に闘えるようにしていくためには、シーズンに関係なく通常の新幹線特急料金より安価な「e特急券」が購入可能であること、指定列車の発車時刻前で且つ「e特急券」として受け取る前であれば何度でも無手数料で変更が出来る等のメリットを前面に打ち出すことは勿論のこと、「e特急券」や会員専用の早割制度「EX-IC早特」について、九州新幹線区間内限定で、割引率を東海道・山陽新幹線区間と比べてより高く設定する等の対策を講じる必要が出てくるように考えるところです。
もう一つ、九州新幹線区間にも「EX-IC」サービスが導入された場合に於ける利便性向上に資する観点から、現在九州北部地域のJR線に導入されている「SUGOCA」を熊本周辺や鹿児島周辺の各エリアに於けるJR線にも是非導入すべきところでしょう《来年3月の九州新幹線鹿児島ルート全線開業後に導入することで、「SUGOCA」は勿論のこと、その相互利用相手先である「nimoca」や「はやかけん」、そして本州系の「Suica」や「ICOCA」もまた熊本・鹿児島両エリアでも使えるようになります》。
そして、仮に鹿児島県内のJR線に於いて「SUGOCA」が導入された後(或いは導入と同時)に、鹿児島県内のバス路線などで導入されている「RapiCa」・「いわさきICカード」の2つと九州北部地域で導入されている「SUGOCA」・「nimoca」・「はやかけん」の3つとの相互利用サービス提供が実現すれば、例えば「SUGOCA」を使って鹿児島県内のJR線のみにとどまらずバス路線、鹿児島市電にも乗車出来るようになる他、昨年12月から試験運行が開始された「鹿児島市内(鹿児島中央駅)~鹿屋」間直行バスにも乗れるようになりますし、加えて、九州新幹線区間に「EX-IC」サービスが導入されている前提で、「SUGOCA」等と「EX-IC」カードを組み合わせて使うことにより、九州北部地域から熊本地域そして鹿屋を含む鹿児島地域までチケットレスで乗り通すことが出来るようになります《勿論反対方向(”鹿児島→博多”など)も然りですが…;余談ながら、当ブログで鹿児島市中心部(鹿児島中央駅)から鹿屋までの直行バスに関する話も記しています→『「鹿児島市中心部(鹿児島中央駅)~鹿屋市街」直行バス、実証運行開始──12月1日。九州新幹線全線開業にらむ』》。
あ、鹿児島といえば、去る2月18日にリニューアル・オープンした鹿児島中央駅の駅舎を兼ねた構内商業施設「フレスタ鹿児島」に入居している各店舗に「SUGOCA」(電子マネー機能)が鹿児島地域内に於いて大々的に先行導入されているみたいで、これを見るにつけ、近い将来に鹿児島県内のJR線にも「SUGOCA」が導入されるのではないかと、つい期待してしまいますね《尤も現時点ではJR九州からの公式発表は何もありませんが───でも「SUGOCA」の利用価値を鹿児島県内に於いて一層高めるためにも鹿児島地域を走るJR線への導入を願うばかりです》。
またもや長大な文章となってしまいましたが、JR九州のクレジットカード「JQ CARD」の誕生は、来年3月に全線開業し、山陽新幹線とレールがつながる九州新幹線・鹿児島ルートへの「エクスプレス予約」とそれに付随する「EX-IC」サービスの導入に向けての道筋をつくったものといえるでしょう。
東海道・山陽新幹線を管轄しているJR東海とJR西日本が既に株式上場して完全民営化を果たしているのに対し、九州新幹線区間を管轄するJR九州は現在でもJR三島会社の一つとして経営安定基金に頼らざるを得ない状態が続いていて〔→『JR三島会社の経営安定基金と大学財団』・『第2節 三島会社』〕、そこへ、来年3月の鹿児島ルート全線開業によって発生する並行在来線(鹿児島本線「博多~新八代」間)は例外的にJR九州の路線として引き続き運営されることが決まっているほか、建設に際して様々な政治的駆け引きなどが飛び交っていた九州新幹線・西九州(長崎)ルートに関しても並行在来線となる長崎本線「肥前鹿島~諫早」間が「20年」という期限付きながら引き続きJR九州の路線として運営していくことが決まるなど、幾つもの重い負担を新たに背負い込む状況となるところから、「EX-IC」サービス導入への道はJR九州にとって大変険しいものになることは想像するに難くないところでしょう。
とはいえ、「SUGOCA」を熊本エリアや鹿児島エリアのJR線にも本格導入し、それと組み合わせる格好で鹿児島ルート全線に「EX-IC」サービスを導入することで利便性を飛躍的に向上させることが可能で、更には「SUGOCA」と「RapiCa」・「いわさきICカード」との相互利用を実現させることでより多くの鹿児島県在住者の取り込みも可能になるなど、工夫を凝らして利便性を高めていくことで結果として収益拡大につなげられるように思うところです。
九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業まで残り1年あまり、JR九州のこれからの行動ぶり(というか挑戦ぶり!?)を見守っていようと思います。
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