鉄道趣味、そして鉄道ファンのこと《一ブログ内記事から》──ただ吠え立てるのではなく、あくまで慎ましく愉しんで
先日、とあるブログサイトに掲載された一記事の中で紹介されていた、JR東日本「209系電車」の当初運用先である京浜東北線(”東北本線+東海道本線”各駅停車)及び根岸線に於ける運転最終日の出来事とそこに居合わせた鉄道ファンたちの立ち振る舞いに関して報じた産経新聞記事を巡り、拙いながらも、鉄道ファンに対する私なりの思いなどを書いてみました。
正直、捉えどころのわからないままごり押し的に書いてしまった感がありますが、多くの方々がお読みになられているみたいで、反応のすごさに驚くとともに、私として心から感謝申し上げるのみです。
ところで、記事を書き上げて掲載した後に、別のブログサイトにも前置きで紹介した産経新聞記事を素材として取り上げた記事を発見、一読してみたところ、これまで私自身が気づかなかった点が見えてきました。
それは、鉄道趣味界への間口を広げたことによって鉄道愛好者の数が増加した反面、質的に低下してしまっているのではないか、という点。
そう気づかせるきっかけを作ってくれた、今回発見した記事というのが、当方でお世話になっているところの一つである『さすらい館』に掲載された『1248.「困った鉄ヲタ」の生態、遂に一般紙が取り上げる』という記事で、この記事ではその一例として、バブル景気に入る直前に大阪ミナミに第1号店をオープンさせ、その後東京にも「麻布十番店」(第7号店)を開くなど全国展開していった高級ディスコチェーン「マハラジャ」の盛衰の軌跡を挙げています。
その具体的な軌跡については当該ブログ内記事をごらん頂くとして、要は全国展開していって間口を広げていったことが却ってブランドイメージの低下につながってしまったわけであり、鉄道趣味とて例外ではない、ということを語っています。
正直言って、今までの私の発想には無かった考え方だったわけでありますが、このことから、ふとあることを思い出しました。
何れも話として接しているのみの話なのですが、1970年代に巻き起こった「SLブーム」とそれに続く「ブルートレイン(ブルトレ)ブーム」です。
ウィキペディア解説「鉄道ファン」によれば、日本国内で鉄道を趣味対象と捉える動きは鉄道の歴史と並行して見られたらしく、けれども明確に趣味のレヴェルで鉄道を探求する人物が現れたのは明治後期の頃というふうにいわれていますが、戦前期には主に富裕層の人たちが鉄道趣味活動を愉しんでいたのだそうで、人数的にもほんの一握りに過ぎなかったことでしょう。
それが、戦後、一般の人たちの間にも鉄道趣味が徐々に浸透し始めていく中で、当時の国鉄による無煙化政策〔動力近代化計画;1960年~1975年(入替用機関車のみ1976年)〕に伴う蒸気機関車(SL)の淘汰に端を発した「SLブーム」によって急速にその裾野を広げていきました《尤も同時期にカメラや録音機材が一般に普及したことも手伝っているようですが…》。
さらに蒸気機関車全廃後には、今度は当時すでに衰退期に入りつつあった夜行寝台列車「ブルートレイン(ブルトレ)」を対象とした「ブルートレインブーム」が巻き起こり、主に小中学生の少年たちの間で広がりを見せていきました。
しかしその一方で、これらのブームによって鉄道趣味の裾野が急速に広がりを見せていった結果、撮影場所を巡ってのファン同士のトラブルや、地元住民とのトラブルなどが散見されるようになっていったのです。
そして、そこから”鉄道ファンのマナー”の問題が表面化し、今日に至るまで議論がなされるようになっていったとの話です。
最近では旧国鉄時代から引き継がれてきている、いわゆる”国鉄形車両”(103系、113系など)の相次ぐ廃車によりファンの数を増やしてきており、その一方で、旧国鉄時代に宮脇俊三や種村直樹らの鉄道紀行作家による執筆活動に国鉄による「いい旅チャレンジ20,000km」キャンペーンも相まって鉄道旅行(今でいう”乗り鉄”)もまた鉄道趣味の一分野として確立、トラベルライター横見浩彦の手にによって更なる発展を見るとともに、これまで鉄道趣味とは無縁とされてきた女性たちの間にも鉄道趣味が本格的に普及し始めていき〔そこから横見の言うところの”レールクイーン”たちが出現していきました〕、結果として鉄道趣味の裾野の広がりを、近年、再び見せてきているわけですが・・・
ある鉄道会社の関係者が産経新聞の取材に対してこう指摘しました、「それにあわせて迷惑行為も増加している」。
これに関し、前記で紹介した当該ブログ内記事では、迷惑行為を働くのはごく一部の心無いファンに過ぎないだろうけれども、大多数の良識ある鉄道ファンが彼らを指さして「一緒にしないで」とか「私はそんなことはしない」等と吠え立てたところで世間一般には通用しない、と指摘しています。
そのブログ内記事の中でも書かれていることなのですが、一部の心無い鉄道ファンによる数々の迷惑行為により、大多数の真面目な鉄道ファンに対しても、彼らと同類項な存在として、世間から最大公約数的に白い目を向けることになりかねないわけです。
ちょうど、ある企業の社員が営業活動でクライアント(顧客)企業を訪問しているとき、その社員がとっている行動は、顧客の側からすれば、その社員個人としてではなく、その社員が籍を置いている企業全体としてとっている行動のように映ってしまうかのように・・・
私も然りですが、迷惑行為(時に犯罪行為)に走る不届きな鉄道ファンを指して「あれはひどい」等と非難するのは簡単なことでしょう。
しかし、これは前記で紹介した当該ブログ内記事でも主張されていることなのですが、鉄道趣味の本質的なところは、一人一人が鉄道趣味者としての自覚を持ち、一般人に迷惑をかけない等の最低限のマナーを弁え、継続的にひたすら慎ましく愉しんでいくしか無いのでは、と考えるところです《私自身決して人に言える立場ではありませんが…》。
一つ一つ積み上げていくしかないってこと・・・
現状、私自身貧乏な身であることに加えて、正直言うと、精神面に問題を抱えているところから対人コミュニケーションを苦手としているところがあって、半ば引きこもり状態にして”自宅鉄”ばかりしている状態です《但し”模型鉄”とかではなく、鉄道関連ニュースなどを読んで自分なりの思いなどをブログに書いているという…》。
勿論それなりに楽しめてはいるのですが、やはり現場で実物の車両に接してナンボのものですので、今は貧乏の身であっても可能な”鉄分”補給であろう、自宅から近いところにある鉄道現場(車庫など)で、地道に密か(?)に、やっていくしか無いだろうなぁ、なんて思ったりする今日この頃です。
無論、その時には迷惑をかけぬよう行動する心積もりでいますけどね───ただ恐いのは、自分自身は迷惑をかけないよう気をつけているつもりが先方にとっては迷惑行為と受け取られてしまうケースが出ないとも限らないことであり〔尤も私自身時に変に突っ走ってしまうところがありますが…〕、そのことに変にビクついてしまって中途半端に終わってしまっては何にもならないので、このあたりが課題となりそうな感じです。
で、実をいうと、今回喋った内容とは別にもう一つ、鉄道趣味に関して同じく私自身これまで気づかなかったことに出会うことも出来ているわけですが、それについては機会を改めて喋りたいと思います。
<(_ _)> ありがとうございます。応援よろしくお願いします <(_ _)>
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» 先日「暴走行為を止めて欲しい」と書いたばかりなのに・・・大和路線「あすか」撮影で一部悪質なファンの線路侵入事件 [阪和線の沿線から]
先日こちらの記事で一部鉄道ファンの暴走行為について記し、そのような行為は迷惑となるので止めて欲しいことを記しましたが、このエントリーからそう経過していないうちに、今度はこちら関西地区で同じくファンの暴走行為があり、列車が止まるという事件が起きました。
....... [続きを読む]
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こんばんは。こちらにカキコさせていただくのは初となります。
私のブログを紹介して下さいましてありがとうございますm(__)m
「数の増加による質の低下」でディスコの例を挙げたのは、何かの雑誌記事でこのことを指摘していたのを記憶していて、それを引き合いに出した次第です。
必然的な関連性まではなくとも、数が増えればその分質を維持することは大変になりますから、結果として質が低下しやすくなることはいえると思います。
腹立たしいのは、いくら私たちが「一緒にするな」といっても、世間がそう見てはくれないことです。だからこそ、私たち一人一人が気をつけないといけないし、そのくらいしかできることはないのでしょう。
またこの問題とは別に、あるニュースサイトのコメントで「鉄道ファンなら業界内で自浄しろ。それができなければ同類と見られても仕方がない」という書き込みがあり、頭を鈍器で殴られたような衝撃をうけました。私は古い人間なので、自浄作用というか「お互いに分かりあえる」ことを信じたい気持ちはあるのですが、教育の弊害なのか最近の若年層には我々の常識が通じない場合が多く、もはや「異民族」として遇するしかないのかとすら思ってしまいます。
「あすか」の線路内立ち入りといい、なかなか改まりませんね。
※ すみません、名前等記載しないままコメントを送信してしまいました。よって再送信いたします。
投稿: さすらいの8143 | 2010年2月18日 (木) 20時03分
さすらいの8143さん、こんばんは。
先日はありがとうございました。
それにしても「マハラジャ」の例はまさしく言い得て妙の感がありますよ。
数の増加(と女性の間への鉄道趣味の浸透)は私としても嬉しい限りですが、その前提としてが皆がそれぞれの得意な分野・好きな分野で慎ましく行動することが求められているように思うところです。
あと、ニュースサイトに寄せられたコメント、確かに言っていること自体は正論なのですが、私が受けてもヘコんでいたのかも・・・
P.S.
”名無しさん”の状態で送られたほうは削除しておきましたので、お知らせします───ご連絡ありがとうございます。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年2月20日 (土) 19時28分