山形新幹線向け400系車両、4月で引退──ミニ新幹線(新在直通対応)車両第1号。保存要望も《+200系廃車近し》
東海道・山陽新幹線に於いては、N700系車両追加投入の進捗により、初代「のぞみ」向け車両と言われるべき300系車両の廃車が進行中であるほか、更にJR西日本独自開発の新幹線車両で新幹線史上初の300km/h運転を山陽新幹線区間に於いて実現させた500系車両も先月を以て「のぞみ」運用そして東海道新幹線区間に於ける運用から完全撤退したことは記憶に新しいところでしょう。
その「のぞみ」運用撤退後の500系車両の余生は、8両編成に短縮された上で山陽新幹線区間に於ける「こだま」運用に───短縮に際して若干の性能ダウンが図られるものの、それでも各駅停車タイプの「こだま」向けとするには性能的にちょっと持て余し気味になりそうな感じがして、何だか気の毒な感じがしないでもないところで、せめて「ひかり」の1往復ぐらいに充ててほしい、なんて考えるのは私だけなのでしょうか。
それにしても、JR西日本オリジナルが故、JR東海に嫌われるなど、何とも悲運な500系だこと・・・
それはさておき、そんな東海道・山陽新幹線の現状に対して、今回は東北・上越方面に路線網をのばしてきているJR東日本管轄新幹線群に目を向けてみることにします。
尤も今回の記事は東北新幹線系統中心の内容となってしまっていますが・・・
この方面に於いては、ご存じのように、まず今年暮れに東北新幹線・「八戸~新青森」間延伸開業が予定されている他、それに引き続いて来年(2011年)春──九州新幹線・鹿児島ルート(博多~鹿児島中央)全線開業予定時期とほぼ同時期──にはその東北新幹線に新型車両「E5系」が新規投入される予定となっています。
「E5系」といえば、昨年(2009年)6月に量産先行車がJR東日本新幹線総合車両センターにて報道陣向けに初公開されたあと〔→『E5系量産先行車を公開。』〕、昨年暮れには東北新幹線「仙台~八戸」間で実施した報道陣を乗せての試験走行で最高時速「320km/h」をマークしていたこと(→『最速320キロの車内を公開 新型「E5系」試験走行』)が記憶に新しいところなのですが、その「E5系」新幹線車両が来年春からの約5年間(2015年度まで)に量産先行車(量産化改造予定あり)を含む10両編成59本を順次投入、東北新幹線に於けるミニ新幹線(新在直通対応)車両を除く既存全車両を置き換える計画となっています《ミニ新幹線車両のうち秋田新幹線(田沢湖線・奥羽本線)向けE3系「こまち」車両については「E5系」の弟分にあたる「E6系」に置き換えられる計画となっています;→『「E6系」量産先行車概要発表…秋田新幹線向け、「E5系」併結相手。2012年度末デビュー《→山陽新幹線の現実?》』》。
で、一部報道によると、この「E5系」新規投入(2011年春)以降、JR東日本管轄新幹線に於ける旧国鉄時代からの生き残りである200系新幹線車両〔K編成(10両編成)のみ現存〕は順次廃車となり、E2系・E4系については上越新幹線に転出されるとの話───ふとネット上で探していると・・・
『200系 K49編成』
『200系 K44編成』
『東北新幹線 200系 やまびこ54号 東京行き』
『【走行音】東北新幹線200系 なすの255号(新白河→郡山)』
昨年秋頃から今年にかけても、東北新幹線区間に於いて200系車両はまだまだ活躍していましたね(笑)
とはいえ、来年春以降「E5系」投入が始まると、それに押し出されるかのようにE2系・E4系が上越新幹線に転出、そうなるとJR東日本新幹線群の中では最古参の200系はそれらに押し出されるかの如くに運用を離脱〔初代MAX車両であるE1系の処遇はどうなるだろう・・・やはり200系と共に運用離脱そして廃車となるだろうなぁ〕、廃車となるのは自然の流れといえるでしょう《余談ながら、上越新幹線の高崎以北の区間に於いては、2004年以降、E2系車両の運用が途絶えていますが、「E5系」投入の進捗によりカムバックする格好になることでしょう》。
そうした状況の中で、いち早く全車現役引退となる新幹線車両形式があります。
既に去る2月25日付けでJR東日本からリリースされていることなのですが、ミニ新幹線方式による開業第1号となった山形新幹線(奥羽本線標準軌区間)に最初に投入された、いわば”ミニ新幹線(新在直通対応)車両の元祖”といわれるべき「400系」新幹線車両です《→『山形新幹線400系「つばさ」ご利用に感謝を込めて』》。
私も一度だけ、米沢あたりでこの400系車両に乗った記憶がありますが〔生憎時期は失念…〕、やはり新幹線用に作り込まれている車両だけあって、聞こえてくるジョイント音はまさしく新幹線車両ならではの響き方となっていたのを覚えています。
あと、そういえば鉄道好きと公言する女性著名人の一人である「ゆゆ」こと木村裕子は、この400系車両を”彼氏(或いはイケメン)”呼ばわりしていたような・・・
そんな”イケメン”の400系車両は1992年初頭から半年間に都合6両編成12本(L1~L12)が投入され、3年後(1995年)には1両増結して7両編成とされたわけですが、耐用年数到来のため、一昨年(2008年)暮れあたりから、山形新幹線向けに新造されたE3系2000番台への置き換えが始まり、その後、昨年秋にかけて順次置き換えが進められ、現在では「L3」編成を残すだけとなりました。
そして、その最後の生き残りである400系・L3編成も来月(4月)に最後のE3系2000番台車両編成(L72編成)が投入されることを受けて現役を退くとしており、それに伴って来月3日と18日に特別運転を行うとしています。
この特別運転は「ありがとう400系“つばさ18号”」(4月3日)又は「さよなら400系“つばさ18号”」(4月18日)と銘打つ形で行われ、2日間とも午前中に新庄駅を発って正午前後に東京駅に到着するというダイヤが組まれています───全車指定とされ、前者は既に指定席券の前売りが始まっていますが、恐らく現状では満席状態にあることでしょう《東京に於ける折り返しはどうするのだろう・・・回送?》。
なおJR東日本では引退後も「車両運用の都合により止むを得ず4月19日以降に営業運転列車として当該車両を充当する場合がある」としていて、このあたり、どうやら既運用車両(E3系1000番台・2000番台)に万が一の事態が発生したとき等に備えての予備車として当面廃車せずに残しておく考えのようですね。
その一方で、唯一現存するL3編成以外の400系車両については既に解体を終えているとの話があり〔→『山形新幹線>400系解体始まる』〕、その一方で、地元紙報道によると、現時点ではこの唯一の生き残りであるL3編成の保存に関してJR東日本からの正式な発表はなされていないとのことですが、製造時点に於ける最先端技術がふんだんに採り入れられたというこの400系車両は技術的・歴史的に価値が高いとして鉄道ファン等から鉄道博物館(さいたま市)に於ける保存などを求める声が挙がっているとのこと。
私としても、この”ミニ新幹線(新在直通対応)車両の元祖”ともいわれるべき400系車両については、日本の鉄道史そして新幹線史に於ける特異な存在として後世に伝えるべき鉄道遺物の一つであるように考えると共に、そのため既に鉄道博物館入りしている200系車両と共に保存車両の一つに列せられるべきであるように考えています。
新幹線フル規格区間と在来線規格区間とを行き来する新在直通対応車両の第1号「400系」には、月並みの言葉になってしまいますが、どうか最後の最後まで無事故で走り抜けていってほしいと願っています。
P.S.
いま400系車両(L3編成)の両先端部には「おかげさまで新庄延伸10th」の記念ロゴが貼付されているわけですが、この記念ロゴの貼付された400系車両前面部が写っている写真画像を少し遠目で眺めていると、顔つきが400系ではなくE3系のように思えてしまうところがあります。
特にE3系前面部と並んで停まっている場面をとらえた写真画像(→『“400系つばさ号”運転』とか)では、何だかE3系車両が並んで停まっているような錯覚に一瞬陥りそうになります(爆)
どうやら記念ロゴの両端部に配されている”羽”の部分(→『400系L3編成,ステッカーを掲出したまま“つばさ”に』・『【JR東】山形新幹線新庄延伸10周年記念の話題』)がE3系1000番台や同2000番台の前面部に見られる前照灯窓に見えてしまうみたいです《尤も間近に見れば”羽”とわかるのですが…》。
う~ん、思わずビックリさせられました(笑)
P.S.(2)
今回完全引退となる山形新幹線向け400系車両は、山形新幹線区間の施設及び車両を保有している第3セクター企業「山形ジェイアール直行特急保有」から、13年間のリース契約の下、JR東日本が借りている格好となっているわけでありますが、その400系完全引退後も同新幹線区間に於ける施設のリース業務が継続される他、借入金返済にも引き続きあたる必要があることから、「山形ジェイアール直行特急保有」自体は企業組織として当面存続されるとのことです。
ちなみに400系車両に代わって投入されてきているE3系1000番台・2000番台車両については、JR東日本自身が保有する格好となっています《なお同じE3系車両であっても秋田新幹線「こまち」向け車両〔E3系基本番台(0番台)〕については、今回の400系と同様、別に組織された第3セクター企業「秋田新幹線車両保有」が保有する形を採ってきていましたが、来る3月21日を以て保有車両のリース期間が満期を迎えるのに伴い、リース先であるJR東日本に23億5,400万円にて保有車両を譲渡すると共に企業組織を解散することが、去る1月21日に開かれた同企業の取締役会と臨時株主総会にて決議されました(秋田の地元紙「秋田魁新報」の去る1月22日付報道記事『県に出資金115億円返還へ 秋田新幹線車両保有会社』による→記事自体は既に報道元サーバから削除済)》。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『山形新幹線400系、4月18日引退』
『初代山形新幹線「400系」4月に引退 車内設備老朽化』
《→『初代山形新幹線「400系」4月に引退 車内設備老朽化』》
『山形新幹線:初代「つばさ」400系引退 老朽化進み、4月18日に /山形』
『つばさ400系のラストランは4月3、18日 新庄-東京間を臨時運行』
『今春惜しまれ“先駆者”引退 つばさ初代車両400系、ファンからは保存求める声』
『東海道、東北から“イケメン新幹線”が相次ぎ引退』
《→『東海道、東北から“イケメン新幹線”が相次ぎ引退』》
『初代つばさスクラップの危機 山形新幹線 来年3月引退』
『【新幹線・一気貫通~新青森延伸へ;第1部】(5)静かさ求め、三つの“鼻”試作』
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栃木に住んでいるきのっぴと申します。いま、この記事で話題になっている東北新幹線200系の中から書いています。仕事の都合で新幹線通勤をしていて、この200系にもよく乗りますがさすがに彼も寄る歳波には勝てないようでガタガタ震えながら走っております。特に大宮以北の高速区間は気の毒になるくらいです。あまり鉄道に詳しくない私でも世界的に歴史的に価値の有るものだと思えるので是非保存公開して欲しいものです。
ところで400系ですが時より月曜日の朝、宇都宮6:36のなすの号にMAX車両に引かれてやってきます。どういうローテーションかわかりませんが、運が良ければ会うことができます。
投稿: きのっぴ | 2010年3月18日 (木) 20時22分
きのっぴさん、おはようございます。
200系実乗レポートをありがとうございます───やはりガタガタといわせながら走っていますか・・・何だか痛ましいような印象を受けるところです。
私もふと思うのですが───東海道・山陽新幹線に於いては、丸鼻顔をした新幹線車両0系が一昨年(2008年)暮れに既に完全引退していて、今は同じく旧国鉄時代にデビューしたとんがり鼻の顔をした100系が山陽新幹線区間の「こだま」に専ら充てられて行き来しているわけですが、一方でJR東日本管轄新幹線群(東北・上越新幹線系統)に於いては、逆に、200系グループの中で先にデビューした丸鼻顔をした車両(”0系”的200系車両…)がリニューアル施工を受ける形で何編成か残留していて、同じ200系グループで後から登場したとんがり鼻顔の車両(”100系”的200系車両…)が先に全車引退してしまっているあたり、ある種運命的なものを感じてしまうところがあります。
「400系+MAX車両(E4系?)」のコンビによる”なすの”ですか───山陽新幹線で言えば「レールスター」車両(700系7000番台)が充当された”こだま”ということになりそうなところですが、それにしても”なすの”と行先案内表示された400系車両というのは貴重なシーンといえますね。
P.S.
さいたま市にある鉄道博物館には、丸鼻顔をした2つの新幹線車両───0系車両と200系車両の先頭車両1両ずつ(+0系車両先頭部カットモデル)が展示されています《→「http://www.railway-museum.jp/zone/history/06.html」》。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年3月19日 (金) 08時41分
400系引退しますね。
私も小さい頃から親に踏み切りに連れてってもらいました。かっこよかったですね。
ですが、引退した後はどうなるのか?・・・・
な、なんと保存する予定だそうです!!!!!
400系を所有している山形ジェイアール直行保有の社長が言ってました。
ちなみに、東京方の411(グリーン車)だそうです。保存場所はわかりません。
投稿: 鉄の錬金術師 | 2010年4月10日 (土) 21時04分
鉄の錬金術師さん、こんにちは。
保存となりましたか───私も一安心です。
何しろミニ新幹線車両第1号とも言うべき存在ですから・・・
保存場所については、やはり大宮にある鉄道博物館が一番望ましいところなのですが、保存スペースが確保出来るかどうかが問題となってきそうなところですね。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年4月11日 (日) 13時40分