313系ベースの新型気動車「キハ25形」今年から313系追加分と共に投入か───武豊線では2015年春に電化予定
昨日(3月21日)出会いました『武豊線 2015年春、電化決定』というブログ内記事から、JR東海が新形式のディーセルカーを今年から順次投入することを初めて知りました。
ちなみにその新形式のディーゼルカー投入が発表されたのは一昨年(2008年)の暮れのこと・・・寡聞にして今まで全く知りませんでした(恥)
その、昨日になって初めて私の知るところとなった、JR東海が今年から投入を予定しているディーゼルカーとは、「キハ25形」と呼ばれる新形式の気動車。
この新形式気動車「キハ25形」の新製については一昨年(2008年)の12月15日付けでJR東海が発表した内容の中に含まれていますが〔→『313系と新形式のキハ25形を新製 JR東海』〕、この発表によると、2010年から2013年にかけて、総額約250億円を投じて、313系電車を120両、「キハ25形」気動車を10両を製造する、としています。
発表では、このうちの新気動車「キハ25形」の大まかな車両諸元について、次の通りとしています。
◎ 313系電車をベースとする ◎ 2両で1ユニット(2両固定編成) ◎ 省エネ・バリアフリー等に配慮した造り ◎ ATS-PT車上装置も取り付け |
このうち「313系電車をベースとする」という点について、JR東海からイメージ図も公表されていますが、見た感じ、殆ど313系電車と同じ外観で造るような印象を受けましたが、果たして本当にそのように造るのだろうか・・・
とはいえ、このあたりは、JR西日本が223系電車をベースに北陸線向け521系交直流電車や姫新線向けキハ127系気動車を製造するのと傾向として類似していますね。
尤も姫新線向けキハ127系と223系とでは乗降口ドアの数や窓形態などが異なっていますが・・・
それはさておき、一方で、一昨年暮れの発表ではトイレ設置の有無について一切触れておらず、現時点に於いても公式な発表が無いため、トイレが設備されるのか否かについては何とも言えませんが、現行運用車両の一つであるキハ11形(300番台を除く)のようにトイレ無しとした場合には運用範囲が限定されてしまうところから、トイレ付きとする可能性は高いとみています《バリアフリーに配慮すると表明していることから、備えるとすれば、当然、車いすにも対応した大型トイレとなることでしょう》。
で、このJR東海の新型気動車「キハ25形」について、当初発表では非電化のまま残る武豊線に投入するとなっていますが、その武豊線について、今年に入ってから新たな発表がなされました。
JR東海は、去る3月18日、1886年に愛知県内で最初に開業した鉄道路線として知られ、現在非電化となっている武豊線について、2015年春を目処に電化させることを発表しました。
JR発足以来、JR東海管轄エリア内に於いては、これが初めての電化例となるとのこと。
ちなみに電化予定時期としている「2015年」は武豊線開業130周年の前年にあたるわけで、一つの節目を迎える前に電化させようとする格好となっていますね。
この武豊線の電化を決めた背景としてJR東海は、同じく非電化区間である高山本線で運用されている普通列車向けディーゼルカー(キハ40系・キハ11形)が更新時期を迎えていることもあり、運行コストを含めて検討した結果、現在武豊線で運用されているキハ75形(”快速「みえ」”で運用されている車両と同じ仲間)30両を高山本線に転用させた上で武豊線を電化したほうが有利と判断したから、としています。
武豊線の電化を巡っては、旧国鉄時代の1963年以来、沿線自治体から要望が出されてきており、中部国際空港(セントレア)開港前年にあたる2004年(平成16年)の11月中旬には、沿線自治体の一つである半田市が、当時の榊原半田市長を会長とする「武豊線近代化促進期成同盟会」として、武豊線の電化などを求める『武豊線の近代化促進に関する要望』をJR東海と中部運輸局宛に提出しています。
JR東海の松本正之社長も「ずっと前から一つのテーマで(車両更新の)時期を待っていた」と、このことを承知していた様子。
その一方で、前記の『武豊線の近代化促進に関する要望』で武豊線電化と共に要望していた「乙川駅から東成岩駅間の鉄道立体化の早期実現」、つまり半田駅とその前後の区間の立体交差化について、JR東海は「市との関係もあり、別のプロジェクトになる」と、今回は見送ることにしている様子。
電化工事は3月下旬、つまり間もなく着手することになっており、投資額は約82億円。
そしてこの電化実現による効果として、運用車両の共通化による輸送サービスの効率化や列車遅延時の対応能力の向上が図れること、そして二酸化炭素(CO2)の排出を年間で約2900トン削減できること、を挙げています。
今度の武豊線電化が決定されたことで、当初武豊線に投入することを前提に造ると発表していた新型気動車「キハ25形」の処遇が気になるところでありますが、これについてJR東海は、「キハ25形」は予定通り製造するが他線区に投入する、としています。
投入されるとすれば、やはり高山本線か紀勢本線あたり───ということになるわけですが、これらの路線で運用されている車両が所属している美濃太田車両区と伊勢車両区に配置されている普通列車向け車両について見てみると・・・
【美濃太田車両区(2009年4月1日現在)】 ◎ キハ11形 19両 《100番台17両・200番台2両(借入車)》 ◎ キハ40系 36両 《キハ40形7両・キハ47形5両・キハ48形24両》 【伊勢車両区(2008年4月1日現在)】 ◎ キハ11形 21両 《0番台9両・100番台と300番台各6両》 ◎ キハ40系 23両 《キハ40形7両・キハ48形16両》 |
このうち車両面では、旧国鉄時代からの生き残りであるキハ40系気動車だけでも2つの車両区を合わせて59両在籍しているわけでありますが、それぞれの車両区が抱える車両の距離面での運用範囲、そして今回の武豊線電化決定の公式発表で武豊線で運用されているキハ75形30両を高山線に転用すると表明しているところから考えると、紀勢本線や参宮線向け車両を抱える伊勢車両区に優先的に配置する可能性が幾分高そうな気がするところですが、まだ何処に配置するかの公式な発表がありませんので、現段階では推測の域を出ないです。
ただ、前記にもありますように、「キハ25形」は今年から2013年にかけて順次投入するとしているところから、間もなくすれば、具体的な車両諸元と共に、何処に配属されるのか・・・そのあたりのJR東海からの公式発表、或いは各種メディアによる報道があると思います。
その時を、今は待つのみですね。
中京圏に於ける鉄道輸送は、また一歩、近代化に向けて踏み出そうとしています。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『JR東海 新形式気動車キハ25形を導入』
『愛知の武豊線、15年春から電化 JR東海の旅客線で初』
『JR東海:武豊線を15年春に電化』
『JR武豊線、2015年春までに電化へ』
『国鉄時代の車両に別れ - JR東海、2013年までに電車120両、気動車10両を製造』
『JR東海、武豊線の電化を決定 - 313系電車28両を新製投入し都市圏輸送を強化』
『JR東海、老朽化した車両を大幅取替 250億円投じる』
『一線物語 第3章 JR東海武豊線』
『鉄道の部屋「JR武豊線」』
『第1章 東浦町の広域的な位置づけ』
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