旧国鉄色381系に”せんとくん”…臨時特急「まほろば」運転開始。「やまとじライナー」運休日(土休)の”臨時仕事先”
2010年度最初の日即ち4月1日、関西圏のJR線に於いて新たに設定された臨時特急列車が運行を開始しました。
新大阪と奈良の間を天王寺・大和路線(関西本線)経由にて直結する臨時特急「まほろば」───停車駅や所要時間などの面から、従前から大和路線で運行されている座席定員制快速列車「やまとじライナー」とあまり変わらぬ印象を禁じ得ないところなのですが〔充当車両も同じですし…〕、2006年のJRグループ定例ダイヤ改正で急行「かすが」が廃止されて以来、JR優等列車(特急・急行)の走らない県としても知られてしまっている感のある奈良県にとっては約4年ぶりとなるJR優等列車乗り入れとなりました。
で、この臨時特急「まほろば」、今日から6月いっぱいまでの土休日に1日1往復運転されるわけでありますが、運転初日となった4月1日──当日のみ全車指定扱い(全416席)で満席だったとのこと──には始発駅=新大阪と終着駅=奈良の両駅のホーム上に於いて記念のセレモニーが開かれました。
そして、JR西日本のWebサイト上でも予告されていたとおり、今年奈良県内で展開中の「平城遷都1300年祭」の公式マスコット・キャラクター”せんとくん”も登場していました。
この”せんとくん”登場に関して、JR西日本のニュースリリースには「“せんとくん”がグリーティング(出迎え)」とだけありますが、4月1日に関しては、記念セレモニーの絡みもあったかどうか知りませんが、どうやら”せんとくん”は分身を作っていたようなのです《というか2体で迎えていたということです》。
それの証拠となりそうな映像が『YouTube』にアップされているのが見えました───運行初日である4月1日に「まほろば」を同列車の始発駅=新大阪と終着駅=奈良の両駅に於いてそれぞれとらえている各映像です。
一つは始発駅=新大阪に於ける発車シーンをとらえたもので、ここで示すのは2本───当日、吹田(向日町)方から11番のりばに旧国鉄色の381系車両が回送列車として入線、セレモニーが執り行われたあと奈良に向けて発車となったわけですが、その出発セレモニーの様子を前からとらえたものと後ろからとらえたものとを一つずつ・・・
何れの映像にも、しっかりと、「まほろば」発車を駅長らと共に見送る”せんとくん”の姿が映っているのが見えますね。
それと、何だか奈良の夕焼け(?)をイメージしてしまいそうな「まほろば」ヘッドマークも・・・
その、新大阪を発車した下り「まほろば」の車内をとらえた動画もアップされているのが見えましたで、ついでに・・・
ビットレートの都合でしょうか、何処かぎこちない(というか粗めの)映像となっていますが、到着時間案内などの車内放送が流れる中を検札し回る車掌の姿が見えます〔映像の中に微かに見える車窓風景から、恐らく梅田貨物線を走行しているときの場面と思われますが…〕───奈良までの短いひとときの始まり・・・
そして、小1時間で奈良に到着ということになったわけですが、その奈良駅に於ける「まほろば」到着の光景───ちなみに奈良駅では4番のりばへの入線となった模様です《奈良駅は去る3月13日のJRグループ定例ダイヤ改正に合わせて全てのプラットホームが高架化されました》。
その到着ホームである4・5番島式ホーム上には、新大阪駅と同様、関係者たちがセレモニー式場をセッティングして「まほろば」到着に備えていた他、その4・5番島式ホームは勿論、映像の手前側に写っているプラットホーム(恐らく2・3番島式ホームでしょう)上にも多くの鉄道ファンらのギャラリーがカメラ片手に同じく「まほろば」入線を待ちかまえている姿が見えました。
で、この所要時間「01:35」(1分35秒)の映像の中の「01:19」から「01:21」にかけての約2秒間、「まほろば」が所定位置に停止したのを受けてセレモニー式場に準備されていたくす玉から伸びる紅白のひもに関係者一同が手をかけて割るシーンのところで、そのくす玉のほぼ真下にあたりに”せんとくん”の姿が見えています。
映像で見るのはちょっとわかりにくい、という人のために、そのシーンを切り出した画像を以下にて・・・
角の部分がちょっと見えにくいですが、確かに”せんとくん”ですね(笑)
なお、運転初日に於ける「まほろば」について報じた各種メディアの記事では、その一部について、奈良駅に於いて荒井正吾・奈良県知事らと共に出迎えた”せんとくん”の姿をとらえた写真を掲載しています。
それにしても、始発駅=新大阪発車の際にも、そして終着駅=奈良到着の際にも、”せんとくん”の姿がそこにあったんだなぁ・・・
まさか”せんとくん”が、新大阪駅で「まほろば」を見送った後、高速道路を車で飛ばすなり、或いはヘリコプターをチャーターするなりして奈良駅に先回りしたというわけでは・・・う~ん、ちょっと考えにくいかなぁ(悩)
恐らくは、2体の”せんとくん”が、新大阪駅で、そして奈良駅で、それぞれ「まほろば」を見送るなり出迎えるなりしていた───ということなんでしょうね。
まぁ何はともあれ、大きなトラブルもなく「まほろば」運転初日を終えることが出来て何よりでした。
ところで、この臨時特急「まほろば」について、既に『JRおでかけネット』(JR西日本)に於いてもその運行ダイヤ(運転時刻)が掲載されていますので、同じく大和路線に於いて旧国鉄色381系車両を使って平日に運行されている「やまとじライナー」と、運転区間の重複する「天王寺~奈良」間に於いて所要時間などのデータを比較してみました。
先に「まほろば」から見た場合の”下り”方向、つまり大和路線上りに於いて比較しますと・・・
天王寺から奈良までの区間に於いて、平日の夜に2本運転されている「やまとじライナー」では2本ともちょうど30分なのに対して、「まほろば」は37分かかっていることがおわかりになるかと思います。
これも臨時列車であるが故の悲しさというものでしょうか…
しかしその一方で、料金面に関しては、上図の中で示してありますように、特急(というか優等列車)として運転される「まほろば」のほうが逆に高くなっており、着席保証の無い自由席利用であっても「やまとじライナー」乗車整理券料金の2倍強するという有様《運賃額を上回っているし…》。
次に「まほろば」から見た場合の”上り”方向、つまり大和路線下りに於いて比較します。
こちらは、奈良から天王寺までの区間で見た場合、「やまとじライナー」と「まほろば」の両者とも所要時間はほぼ同一となっています《王寺駅に於ける停車時間の差がそのまま所要時間の差となって現れている格好となっています》。
とはいえ料金面では、当然のことながら、前記「天王寺→奈良」の場合の図中で示している運賃と料金がそのまま当てはまりますので、ここでも「まほろば」に係る特急料金の高さが際だってしまうところですね。
尤も、これは上り・下り両方についていえることですが、「やまとじライナー」は平日のみの運行であるのに対し、「まほろば」は6月までの土休日限定運行となっているため、同じ日に2つの列車が共存することは無く、選択のしようがありませんが・・・
奈良県にとって今年2010年は、「平城遷都1300年」の年にあたっているのと同時にJRグループ主唱による”デスティネーションキャンペーン(DC)”春季展開地の選定を受けたりするなど、特別な年であるといえるわけで、「まほろば」はそんな年を飾るにふさわしい臨時列車ともいうことが出来るわけですが、正直、私のような鉄道好き(というか物好き)や遠方からの観光客でない限り、見向きもされないのかな、という思いはあります。
でも、別の見方をすれば、日根野電車区に配置されている旧国鉄色の381系車両(グリーン車連結無し)にとっての現在の”仕事先”である「はんわライナー」と「やまとじライナー」が、昨年のJRグループ定例ダイヤ改正(2009年3月14日施行)により、平日のみの運転とされてしまい、土休日については何らかの臨時列車や団体専用列車の運転の声がかからない限り手持ち無沙汰の状態にあるわけですが、そんな中での今度の「まほろば」設定は、いわば6月までの期間限定且つ土休日のみの”臨時の仕事先”であるように言えなくもないところかなぁ、とも思ってしまいます。
まぁ土休日が手持ち無沙汰である現在の旧国鉄形381系車両の運用パターンであるからこそ、土休日限定の臨時特急「まほろば」の運転が実現出来た、という考えも成り立ちそうなところですが───これがもし旧国鉄形381系車両が現在も平日に加えて土曜日にも「はんわライナー」や「やまとじライナー」の運用を担っていたのであれば、今みたいに奈良県内で「平城遷都1300年祭」や「奈良DC」が展開されているにせよ、果たして「まほろば」という特急列車自体が設定出来ていたのかどうか、何とも言えないような感じがします。
何れにせよ、奈良県内においては4年ぶりとなる優等列車となった「まほろば」が果たして実際どのくらい利用されるのか、大和路線沿線に住む一人として、見守っていようと思います。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『臨時特急“まほろば”運転』
『臨時特急「まほろば」号運行』
『新大阪―奈良間、まほろば号運行始まる…JR西』
『せんとくんが奈良駅で出迎え 集客キャンペーン始まる』
『来て!感動の大和路 - JR新大阪から臨時特急』
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