”前面展望スペース”立入禁止に…JR北海道、5月から。1月29日発生の深川踏切事故を踏まえ、安全上の理由から
私にとっても、これはちょっと寂しい話になりますね。
『鉄道コム』を通じて行き当たった『JR北海道 先頭展望部分使用不可へ・展望車危機か』というブログ内記事で知るところとなりましたが───JR北海道の高運転台タイプの特急型車両に出来ている”前面展望スペース”、来月から立入禁止にされるみたいですね。
私も、時期とか列車は残念ながら覚えていないのですが、1度だけだったか、何かの拍子でこの高運転台タイプの車両の運転台直下に位置する”前面展望スペース”に入った覚えはあります。
勢いよく線路上を駆ける中で展開される、前方から迫りゆく走行風景を目の当たりにして運転士気分に浸ることが出来て嬉しい反面、特急が故の高速のため、正直ちょっと怖い思いもしていましたけどね・・・
とはいえ、前面展望を楽しむにはもってこいのスペースでした。
今年1月29日のこと、函館本線「妹背牛~深川」間の深川6号線踏切(深川留萌自動車道の深川西インターチェンジすぐ近く)に於いて発生した、ダンプカーと5両編成の特急「スーパーカムイ24号」との衝突事故で、「スーパーカムイ24号」先頭車両先端部が大破したことを重く見たJR北海道が、安全上の理由から、来月(5月)以降、先頭車両先端部貫通路先端部(運転台直下)に出来ている”前面展望スペース”への出入りを禁止することを決めました。
ちなみに、事故そのものについてはというと、当時現場周辺は吹雪のため視界が悪く、ダンプカーの運転手は警察の事情聴取に対し「吹雪で遮断機が見えなかった。ブレーキが間に合わず踏切に入ってしまった」などと話しているとのことですが、一方で踏切に備え付けの非常停止ボタンは押されておらず、「スーパーカムイ24号」運転士もダンプカーの存在に気づくのが遅れた可能性があるとも指摘されています。
その事故現場となった深川6号線踏切には、前記の非常停止ボタンの他、線路内に進入してきた障害物を検知する装置(踏切障害物検知装置)は備えられていなかったのだろうか───例えば豪雪地帯に設置されている踏切でも使えるとされるループコイル式検知装置とか。
まぁ踏切事故自体に関しては、現在、国土交通省の運輸安全委員会が中心となって、事故に遭った特急車両の分析や、ダンプカーの運転手が勤務する運送会社に立ち入り監査するなどして調べを進めているところなので、ここではとやかく言いませんが、この深川市内に於ける踏切事故のため、今まで楽しむことの出来たJR北海道の高運転台タイプの特急形車両からの前面展望が出来なくなることに対しては、正直なところ残念な限りなのですが、やはり乗客の安全第一ということから考えればやむを得ないところと思います。
ところで、JR北海道オリジナルの高運転台タイプ特急形車両(789系電車・キハ261系・キハ281系・キハ283系)には、函館本線電化区間を走る電車特急「スーパーカムイ」に充当されている789系1000番台を除き、先頭車両先端部の運転台直下に貫通路がつくられていて、連結時には通路として、そして非連結時には閉め切られた貫通扉に付いている窓から前面展望を楽しむことの出来る”前面展望スペース”が副次的に形成されています。
JR北海道曰く、これらの高運転台タイプ特急形車両については、来月以降、先頭車両先端部の運転台直下貫通路に通ずる部分にロープ或いは柵を設置することで立入禁止の措置を執ることにしているとの由。
ちなみに、これらJR北海道オリジナルの高運転台タイプ特急形車両と同じく、現在JR線を走る前面展望のきく特急形車両としては、他にJR東日本の「スーパービュー踊り子」向け251系電車やJR西日本の「オーシャンアロー」向け283系電車、JR九州の「ハイパーサルーン」こと783系電車や「白いソニック(かもめ)」こと885系電車(ちょっと苦しいけど…)・・・等がありますが、このうちJR九州の広報部は、毎日新聞の記者に対し、「立入禁止にする理由がない」と話しているとか。
尤もJR九州に於ける前面展望のきく前記2車種(783系・885系)は、外界とを隔てているのは貫通扉1枚だけという前記JR北海道の高運転台タイプ特急形車両とは異なり、間に運転台〔乗務員室)が挟まっている構造となっているため、それほど深刻には考えていないのかも・・・まぁ本当のところは定かではないですけどね。
北海道(というかJR北海道管内)に於いて前面展望を楽しみたければ、特急ではなく、速度の遅い普通列車に乗れということなのかもしれませんね───ちょっと酷な言い方になってしまいますが。
あ、785系電車がありましたね・・・
P.S.
最初のところで紹介したブログ内記事に於いても指摘されていることですが、実は4年前(2006年)にも今回と類似したケースが見られました。
『小田急ロマンスカー 展望席券発売中止』によると、2006年2月16日、神奈川県相模原市に所在する小田急小田原線相模原駅構内に於いて、通過中の特急ロマンスカーに男性が投身、その際ロマンスカーのフロントガラスに当たって穴が開き、飛び散ったガラス破片で乗客9人がけがをするという事件が発生しました。
この事件を受けて小田急では事件発生翌日から約1週間ロマンスカー展望席エリアの指定席券の販売を見合わせていました。
小田急ロマンスカーに関しては、現在も50000形VSE車や10000形HiSE車などで運転席を挟まない形での前面展望が楽しめるようになっていますが、今回のJR北海道に於ける高運転台タイプ特急形車両の場合は、この車両の設計趣旨などから考えると、立入禁止措置が将来的に解かれることは恐らく無いでしょう。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『もう楽しめぬ 運転士の眺望』
『JR北海道:衝突事故、先頭車両は危ない 特急展望室を廃止「人気より安全優先」』
→『JR北海道:特急展望室を廃止 川島令三さん、木村裕子さんの話』
『特急の先頭もう展望不可 JR北海道来月にも』
『踏切事故で運輸局が立ち入り監査 JR函館線』
『【写真一覧】列車事故:特急とトラック衝突 乗客ら25人軽傷 北海道』
『JR函館線、1日で復旧 北海道、特急とダンプ衝突事故』
『函館線で特急とダンプが衝突 乗客ら24人軽傷』
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