モーツァルト『交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」』をムーティ=ウィーン・フィルの演奏で──1999年来日公演から
アイスランドの火山噴火で、ヨーロッパ諸国は大変なことになってしまっていますね。
ますます広まる火山の噴煙のため、ヨーロッパ諸国の空港が次々と閉鎖、そして日本からヨーロッパに向けての航空路線が軒並み欠航し、逆にヨーロッパから日本に帰りたくても帰れず足止めされてしまっている───自然災害ということでどうしようもないところがあるのかもしれませんが、1日も早く正常に戻ることを祈るばかりです。
さて、先日に続き、今回もモーツァルトが作曲した交響曲の一つを聴いてみての印象を書こうと思います。
先日は後期3大交響曲の一つに数えられる『交響曲第40番K.550』をおしゃべりしましたが、今回取り上げるのは、1783年、モーツァルト27歳の時に作曲された『交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」』。
家族の反対を押し切ってコンスタンツェと結婚したモーツァルトは、この年の夏に彼女と共にザルツブルクに帰郷して約3ヶ月間滞在、そして同年10月から11月にかけての約3週間はウィーンへの帰りの道中にあたるリンツに立ち寄り、トゥーン・ホーエンシュタイン伯爵宅に逗留していましたが、その滞在先の主であるホーエンシュタイン伯が開く予約演奏会のため作曲を依頼され、僅か4日間で書き上げたのが第36番シンフォニーだったわけであり、言うまでもなく、「リンツ」という標題は作曲当時の滞在先の地名からとられたものです。
全4楽章で標準的な演奏所要時間は約25分───モーツァルトの交響曲としては初めて曲の冒頭に緩やかな序奏が据えられている等の特徴をもつこの作品を4日間で書き上げるあたりが”天才モーツァルト”である所以であるともいわれていますし、私もこのことを初めて勉強させてもらって驚いています(ぉぃ)
そんなわけで、モーツァルトならではの天真爛漫さ(?)に荘重さを付け加えたような格好のこの「リンツ」交響曲、先日の第40番シンフォニーと同じく、去る1999年に来日して公演を行ったリッカルド・ムーティ率いるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏にて繰り返し耳にしています。
ちなみにこのムーティ=ウィーン・フィルの演奏については、この演奏を扱っていた放送分のNHK-FM『ベストオブクラシック』をエアチェックすることで取得、後日にPCに取り込んだものを繰り返し聴いているものです《実は先日しゃべりました『交響曲第40番ト短調』演奏についても同じ方法で取得していました───記事掲載時、このことを書き漏らしていました。どうもスミマセン》。
で、ムーティ指揮による演奏ですが、総じて言えば、よけいな飾り気の無い、ストレートな感じの音楽作りとなっているような印象ですね。
ただ、所々で感情が渦巻いているかのように感じられる演奏になっていたのかな───というか、演奏自体には余計なアゴーギクなどの装飾の類は無くてストレートな構築方になっているのですが、音に厚みがあり、そして前のめりに進んでいこうとする気持ちがムーティ指揮するこの音楽の中に込められているような感じがするのです。
この構築方が本来のモーツァルト作品解釈にかなったものなのかときかれると、ちょっと微妙なところかもしれませんが〔特に古楽器演奏家たちの間からはブーイングが出そうかなぁ…〕、とはいえ私が聴いている分には、適度に理性を保ちつつも時に感情が多少込められている聴き応え十分な演奏、のように思えるところがあって、クセになってしまってます・・・ハマりかけてます(笑)
何と言われようとも、私にとってはお気に入りの演奏の一つなのです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『モーツァルト交響曲第36番の概要と演奏』
『モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」』
『モーツアルト交響曲を聞く40交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」』
『「ミサ曲 ハ短調」に込められたもの‥‥‥聴いて欲しいモーツァルト その1』
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小生にはこの作品、何かもの悲しさを感じます、なぜかはわかりません。
小学生のときたまたまラジオから流れてたのを録音しててそれを聴いてて思ったことです。(ちなみにそれがリンツとわかったのはそれから11年後、大学に入学した後)
投稿: ポケット保持 | 2010年4月20日 (火) 22時50分
ポケット保持さん、こんばんは。
引き続きのコメントをありがとうございます。
言われてみると、第1楽章と第4楽章の途中に短調に転ずる箇所があって、そこのところを取り出して聴くと、確かにもの悲しさを感ずるのかも知れないですね。
それにしても、僅か4日間でこのような作品を作り上げるあたり、やはりモーツァルトは天才ですね───改めて感心しました。
投稿: 南八尾電車区 | 2010年4月24日 (土) 02時24分