鉄道系株主優待券の現在の相場値と使用法など(1)──本州JR旅客3社《有効性判定に使える数式(不等式)も》
先日、金券ショップに於ける主力的存在としてみられている新幹線きっぷ類が、長引く景気低迷等の影響で需要が落ち込み、一方で換金目的で持ち込まれるケースが増えてきていることから、安値で推移していることが日本経済新聞Web版にて報じられていました。
これを受けて当ブログでは、その日経報道で示された各種金券の金券ショップ店頭価格帯のうち鉄道関連のみをピックアップして示すと共に、新幹線きっぷ類に関してヤフオクなどのネットオークションサイトに於ける大凡の相場値、そして「エクスプレス予約」利用時に於ける「運賃+料金」額などを示してきました。
ただ、日経記事報道の中で示された各種金券の中から当方でピックアップした鉄道関連金券類の中には、新幹線きっぷ類と共に、本州JR旅客3社がそれぞれ発行する株主優待券も含まれていました。
先日掲載した記事では、専ら新幹線きっぷ類に纏わることばかり書いてきており、後日に株主優待券に関して書きます、ということで閉じていますので、今回はJRを含めた鉄道事業者が発行している株主優待券(株主優待制度)のことについて、最新情報を交えつつ、書いていきます。
なお、先日掲載の記事と同様、オークションサイトに於ける相場値の調査にはオークション総合サイト『aucfan』を利用していますが、当方の眼で独自に相場値を書いていますので、実勢相場値とのズレが生じている可能性がありますことを予めご了承下さい。
まずは本州JR旅客3社がそれぞれ発行している株主優待券から。
ご存じの方も多いかと思いますが、JR旅客各社が発行している株主優待券は割引券形式となっています。
基本的な使い方としては、発行元であるJR旅客会社の管轄エリア内に於ける片道一区間の乗車券及び特急(急行)券などの購入に際して使う〔購入(割引適用申請)区間など必要事項を記入して発行元JR旅客会社管轄エリア内に所在する駅の「みどりの窓口」などに提出する〕ことになります。
乗車券部分に関しては、普通に片道乗車券を購入する際と同様、同じ駅を2度通過しない限り、一筆書きの如く、長ったらしい片道きっぷとしても構わないわけですが、購入経路に於いてちょっとでも管轄外にはみ出てしまう部分がある場合、そのはみ出た部分については別に無割引の乗車券を作る形となってしまうので〔別会計扱い〕、そこのところを注意する必要があります《この決まりについては乗車券と共に購入する特急券などについても同様です》。
また特急券などの料金券部分に関しては、JR西日本についてのみ割引購入対象とした片道乗車券の区間内に於ける全ての優等列車などについて割引対象としているのに対し、他のJR旅客2社については、一部例外を除き、割引購入対象とした片道乗車券の区間内に於ける1列車分のみを割引対象としています《但し寝台(JR東日本にあっては「寝台列車」)利用の場合、株主優待券は一切使用不可》。
ここで、現行の、片道一区間分の乗車券及び料金券(特急券など)の購入に際して同時使用可能な枚数上限と割引率を以下にて示します《旅客会社名のところをクリックしますと各々の株主優待制度を案内するページへと飛びます》。
余談ですが、JR西日本の株主優待券について、かつてはJR東日本のそれと同じく「1枚で2割引、2枚で4割引、同時使用は2枚まで」という決まりだったわけでありますが、2005年6月から有効分(同年5月下旬発行送付分)の優待券から現在の「1枚で5割引、1回につき1枚のみ使用可」にルール変更されています。
そんな、本州JR旅客3社が各々の株主に対して発行している割引券形式の株主優待券───当然かもしれませんが、私みたいに何れの株主でもない人間がそのJRの株主優待の恩恵を受けようと考えるならば、現状、金券ショップ店頭やオークションサイトにて流通している各JR旅客会社毎の株主優待券を、金券ショップやオークション出品者から示された対価を支払うことにより、入手するしかありません。
このうち金券ショップ店頭に於ける相場値については、前回掲載記事に於いて、日経記事報道が伝えている相場値を示しましたが、これとは別に、現在のオークションサイトに於ける相場値を以下にて示します。
◎ JR東日本・・・2000円程度 ◎ JR東海・・・・1000円程度 ◎ JR西日本・・・4800円程度 |
尤も出品者によっては送料を別途求めるところと求めない(というか「送料込み」とする)ところとありますので一概にはいえませんが、総じていえば、金券ショップ店頭より安く入手出来ている印象を受けました。
とはいえ、先にも記しましたように、上記各JR旅客会社の株主になっていない以上、予め示された対価を払って入手せざるを得ないことに変わりは無いわけであり、そうなっている以上は、金券ショップ店頭にて入手する場合も含めて、支払った対価を上回る割引効果が得られるよう検討することはごく自然な流れであり、ある意味当然であるともいえるところでしょう。
そこで、いま組まれているJR線を主たる交通手段とする旅程に於いてJRの株主優待券が使えるのか否かを簡易に判定できる数式のようなもの(?)を用意してみました。
但し、2つ以上のJR旅客会社をまたがるようなケースについては、普通に乗車券類を購入する場合よりも却って割高となってしまいかねませんので、JR旅客会社による株主優待割引によらず、何らかの割引きっぷの類を使うなどしたほうがお得に出来るかもしれません。
(運賃+料金合計)×B>C JR東日本:B=0.4、C=5000(4000) JR東海:B=0.2、C=2500(2000) JR西日本:B=0.5、C=5500(5000) |
【Cの値について】 先日掲載した前回記事の中で日経記事報道が示していた金券ショップ店頭価格帯を基にしている。 その隣に示している括弧内の数字は、今回示したオークションサイトに於ける相場値を基にした値(但し送料など諸費用については無視している) |
上記で大書きしました数式(というか不等式)が成立すれば、株主優待券を使うことでお得に乗車券類を購入することが出来ます《逆に成立しなければ、普通に乗車券類を購入したほうが安いともいえるわけです》。
BとCの2つの定数については、上記にて示している、これから利用しようとする旅客会社毎に与えられた定数を代入することになります。
このうちの定数Cについて、例えば優待券自体の有効期限が間近に迫っている場合などに於いて売値が下がってきたりしていると当然のことながら小さくなる・・・等といった変動は考えられますが〔その際にはご自身でC値を調整してみて下さい〕、通常は上記で示しました値を適用されるとよろしいでしょう。
ここで、上記数式(?)の使用例を以下にて示します《以下の例は何れも金券ショップ店頭で株主優待券を購入し、1回のきっぷ類購入につき同時使用枚数上限いっぱいに株主優待券を使用することを想定(例えばJR東日本の株主優待券ならば1回のきっぷ類購入につき2枚を同時使用)》。
【例1:JR東日本管内】 「東京から八戸乗り継ぎにて青森まで」 八戸まで東北新幹線 八戸から在来線特急(「つがる」など)を利用 「東京→青森」片道運賃10,190円 「東京→八戸」 新幹線普通車指定席(通常期)6,000円 「八戸→青森」 特急普通車指定席(通常期)1,410円 《乗継割引適用の場合「700円」》 上記のうち、全乗車区間の運賃分と、八戸までの新幹線特急料金に株主優待割引を使うと仮定 (10190+6000)×0.4=6476>5000 よって株主優待券を使えばお得になる |
【例2:JR西日本管内】 「岡山から新大阪乗り継ぎにて福井まで」 新大阪まで山陽新幹線「のぞみ」 新大阪から在来線特急「サンダーバード」を利用 「岡山→福井」片道運賃6,090円 「岡山→新大阪」 「のぞみ」普通車指定席(通常期)3,120円 「新大阪→福井」 特急普通車指定席(通常期)2,610円 《乗継割引適用の場合「1,300円」》 {6090+(3120+2610)}×0.5 =(6090+5730)×0.5 =5910>5500 よって株主優待券を使えば少しはお得になる |
【例3:JR東海管内】 「名古屋から高山まで特急”ひだ”利用」 「名古屋→高山」片道運賃3,260円 特急普通車指定席(通常期)2,610円 (3260+2610)×0.2=1174<2500 よって株主優待券は使うべきではない(損をする) |
以上のような感じで、株主優待券の有効性の判定に活用してもらえれば───と思います。
なお、ネットオークションを通じてJR旅客会社の株主優待券を入手された方で、入手の際に落札金額分とは別に送料の類も支払っている方は、その送料の類の分もC値に加えてから数式運用されるとよろしいかと思います。
ここまで、本州内JR旅客3社で発行されている株主優待券についてお話ししてきました。
次にJR以外の民間鉄道事業者が発行する株主優待券について触れたいところなのですが、ここまでだいぶ長くなってしまっていますので、それについては次回以降の記事に譲らせてもらいます。
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