佐渡裕、ベルリン・フィルの来年度定期演奏会で指揮台に…来年5月20日から始まる3日間。ショスタコーヴィチ等予定
現在ガン治療中の身である指揮者・小澤征爾が大事を取って今秋予定されていたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者としての出演を断念、当ブログではそんな療養中の小澤の”ピンチヒッター”として、「サプライズ」と断りながらも佐渡裕の名前を挙げました。
佐渡自身が音楽監督(総監督)兼指揮者を務めている「サントリー1万人の第九(10000人の第9)」に於いて、管弦楽を務める「1万人の第九オーケストラ」の教導役(?)としてウィーン・フィルの楽団員など海外のプロ奏者を招請していることなどから、ウィーン・フィルから”ピンチヒッター”として声がかかるのではないか、と推測すると同時に、彼が小学校卒業に際して寄せた文章の中で「将来の夢はベルリン・フィルの指揮者になること」と綴っているところから、ベルリン・フィルと双璧をなしているウィーン・フィルから声がかかれば、彼自身のスケジュールが許す限り、引き受けるのではないか、とも記しました。
その、京都市生まれの佐渡が子供の頃に夢見ていたことが、ついに実現する見通しとなってきました。
昨日夜に放映されたテレ朝の『報道ステーション』の中で急遽報じられ〔私もビックリでした…〕、そして他の各種メディアでも続々と報じられてきていることなのですが・・・
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が昨日(5月12日)のうちに発表した、来年度(2010-2011シーズン)の定期演奏会全日程について、来年(2011年)の5月に4回組まれている定期演奏会プログラムのうちの5月20日から始まる3日間のプログラム分に於いて佐渡裕が指揮台に立つことが明らかとなりました。
現在病気療養中の小澤に次ぐ、日本人指揮者としては2人目となるベルリン・フィル定期公演へのデビューということになります。
佐渡がタクトを執ることになっている、来年の5月20日から始まる3日間の定期公演プログラム分に於いて組まれている演奏曲目は、武満徹が1990年に作曲した『フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム(From me flows what you call Time) ~5つの打楽器と管弦楽のための』と、ショスタコーヴィチの『交響曲第5番ニ短調作品47』の2作品。
開演時刻は3日間とも現地時間の夜20時、日本時間で言えば各公演日の翌日未明3時、ということになりますが───それはさておき、是非ともNHK-FMの『ベストオブクラシック』あたりでこの佐渡裕指揮ベルリン・フィルのライヴを放送してほしいと願うのは私だけでしょうか…
ベルリン・フィルへの日本人音楽家の進出といえば、大阪出身のヴィオラ奏者・清水直子が2001年2月から首席ヴィオラ奏者を務めてきている他、昨年(2009年)3月を以て第1コンサートマスターの職を辞して退団した安永徹に代わって、ロンドンに生まれて現在ドイツに在住しているヴァイオリニスト樫本大進が同年6月18日付で第1コンサートマスターに内定、現在は約1年間にわたるとされる試用期間に入っているわけですが、昨年退団した安永と同じく第1コンサートマスターを現在も務めているダニエル・シュタープラバからも「集中力があり、常に周到な準備を怠らず、ベストの結果を出そうとしている」と樫本を高く評価しています。
また、これは昔のことになりますが、大阪フィルハーモニー交響楽団を創設し、生涯にわたって同楽団の「音楽総監督」を務めてきた、今は亡き名指揮者・朝比奈隆も、1956年から58年にかけてベルリン・フィルを3回客演指揮していたことが伝えられてきています《→『大栗裕・大阪俗謡による幻想曲の概要(前編)』》。
そして、これは少し余談っぽくなりますが、実は今回発表されたベルリン・フィルの来年度定期公演プランの中で、佐渡が受け持つ5月20日から始まる3日間のプログラムの後に、佐渡の恩師の一人でもある小澤がタクトを受け持つ5月26日から始まる3日間のプログラムが控えており〔ちなみに予定されている曲目はK.A.ハルトマンとブルックナーの各作品計2曲〕、このあたり、ある種の因縁というものを感じてしまうところがあります〔こんなこと感じるのは私だけ?〕───なお、ベルリン・フィルでは同楽団の年末恒例事業であるジルヴェスター・コンサートの今冬開催分の指揮台に小澤を招くことも発表しており、これがヨーロッパに於ける復帰公演になるだろうともみられています。
たしか、一昨年(2008年)の「1万人の第九」本番に向けての”佐渡裕特別レッスン(佐渡練)”の中で「ベルリンのフィルハーモニー付近に移り住んでベルリン・フィルから声がかかるのを待つ」といったニュアンスの言葉を聞かされ、夢の実現のために躊躇わず行動に移すその姿勢に感心させられたことを今でも覚えています。
その佐渡のとった行動が遂に実を結び、そして子供の頃に抱いていた夢が叶う───約1年後に訪れる大きなチャンスをものに出来るのか、佐渡にとって正念場といえるところでしょう。
それにしても、この佐渡のベルリン・フィル客演決定の報せは「1万人の第九」にお世話になってきている一人として喜ばしい限りです───今冬の「万九」ではきっと大きな話題となることでしょう。
ちょっと気が早いかも知れませんが、私も佐渡のベルリン・フィル主催公演での無事の成功を祈るばかりです。
◎ 参照記事(本文中紹介分を除く)
『指揮者の佐渡裕さん、ベルリン・フィル定期公演に起用』
『佐渡裕さん:ベルリンフィルに客演へ』
『ベルリンフィル、佐渡裕さん起用へ』
『指揮者の佐渡裕さん、ベルリン・フィル出演へ』
『ベルリン・フィル、佐渡裕氏起用 11年5月の定期公演に』
『「小学生からの夢かなう」 ベルリン・フィルを指揮する佐渡裕さん』
《→『夢が実現 ベルリン・フィル指揮者の佐渡裕さん』》
『小沢征爾さん今年末、本格復帰へ ベルリン公演で』
『新兵庫人、輝く ~第14部・旋律の担い手』
『樫本大進さん、ベルリン・フィルのコンサートマスターに内定!』
『ベルリン・フィル来日「コンマスの樫本、集中力ある」』
『【天才の育て方】指揮者佐渡裕のお母さん・つた子さん:3 やってみたら、ええんちゃうか』
『【天才の育て方】指揮者佐渡裕のお母さん・つた子さん:4 周りに感謝、恩返しは使命や』
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